今回はFrankie PaulとPinchersの
アルバム

frankie_paul_04a

「Turbo Charge」です。

Frankie Paul(本名:Paul Blake)は、
80年代のダンスホール・レゲエの時代
から、近年までで活躍したシンガーです。
生まれた時から盲目に近い状態だった彼
は、「ジャマイカのスティービー・
ワンダー」と形容されるほどの実力で、
このダンスホール・レゲエの時代に活躍
し、人気シンガーとなるんですね。
ネットのDiscogsによると、彼は共演盤
を含めて86枚ぐらいのアルバムと、
700枚を超えるシングル盤をリリース
しています。

その後も長く活躍をつづけたFrankie Paul
でしたが2017年に腎臓病のため亡く
なっています。

アーティスト特集 Frankie Paul (フランキー・ポール)

フランキー・ポール(Frankie Paul)、腎臓病により死去…

Pinchers(本名:Delroy Thompson)は
80年代の半ばごろから活躍するダンス
ホール・レゲエのシンガーです。
ネットのDiscogsの彼の履歴を見ると、
86年にアルバム「Can't Take The
Pressure」をリリースしてから現在まで
に、4枚の共演盤を含めて13枚ぐらいの
アルバムと、400枚を超えるシングル盤
をリリースしている人気シンガーです。

Pinchers - Wikipedia

アーティスト特集 Pinchers (ピンチャーズ)

今回のアルバムは1988年にUKの
Super Supremeというレーベルから
リリースされたFrankie PaulとPinchers
の2人のアーティストの曲を収めた
クラッシュ・アルバム(対決盤)です。

80年代ぐらいからこうした対決盤は
よく作られるようになりますが、普通の
アルバムは片面ずつにアーティストが
分かれているのに対して、今回のアルバム
はどちらのサイドも1曲目と2曲目が
Frankie Paul、3曲目と4曲目がPinchers
というちょっと変わった仕様のアルバムに
なっています。

手に入れたのはSuper Supremeからリリース
されたLPの中古盤でした。

Side 1が4曲、Side 2が4曲の全8曲。
どちらのサイドも1曲目と2曲目がFrankie
Paul、3曲目と4曲目がPinchersという仕様
になっています。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

Produced by Tommy Cowan / I. Laing

という記述があります。

さて今回のアルバムですが、Frankie Paul
とPinchersという2人のヴォーカリストの
魅力がうまく収められたアルバムで、内容
は悪くないと思います。

80年代ぐらいからレゲエではこうした
クラッシュ・アルバム(対決盤)が、よく
作られるようになるんですね。
元々は同じ曲を別の歌手が歌って競うと
いう形式で、その歌の実力を競う事から
クラッシュ・アルバムと呼ばれたんです
ね。
代表作としてはYellowmanとJosey Walesの
「Two Giants Clash」などがあります。

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Yellowman Versus Josey Wales ‎– Two Giants Clash (1984)

こうしたアルバムの場合バックの録音も
片面分で済むので、プロデューサーに
とっては経済面でも助かる仕様だったん
ですね。

ただその形式が徐々に崩れて、LPの片面
ずつに違う歌手の違う曲を入れたものも
多く作られるようになります。
元々は1人の歌手だとアルバムにするには
曲数が足りないとかの事情なんだと思い
ますが、LPの片面ずつに違う歌手の曲を
入れるというのは華やかさもあり、
けっこう良いアイディアだったんですね。

またこういう対決盤というのは、
ジャマイカ人の気質にも合っていたんだと
思います。
このジャマイカではサウンド・システム
などの歌手の競い合いの激しい世界で、
サウンド・システム同士の「サウンド・
クラッシュ」なども盛んに行われていた
ようで、そういう競争に打ち勝って残った
実力のある人気者が曲やアルバムを出して
いたんですね。
そうした人気者2人の曲が一度に聴ける
アルバムは、やはり人気があったのかも
しれません。

意外とこうしたクラッシュ盤は侮れない
ところがあり、今回のアルバムに収められ
ているFrankie PaulがSugar Minottと共演
したアルバム「Show-Down Vol.2」で聴か
せた曲「Worries In The Dance」は、
ダンスホールの歴史に残るような名曲
です。

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Sugar Minott / Frankie Paul ‎– Show-Down Vol.2 (1983)

当時はまだ若かったFrankie Paulは、
この曲であのSugar Minottにも負けない
くらいの実力を、多くの人に見せつけて
いるんですね。

今回のアルバムですが力強く説得力のある
Frankie Paulのヴォーカルに対して、
ソフトな優しいPinchersのヴォーカルと
いう2人の色合いの違いがよく出た
アルバムになっています。
またクラッシュ盤の多い片面ずつに分か
れた仕様でないところも面白いところで、
シッカリしたFrankie Paulのヴォーカル
を聴いた後にソフトなPinchersの
ヴォーカルを聴くと2人の違いがより
際立つ印象です。
対決盤というよりは共演盤という印象が
強いアルバムに仕上がっています。

Side 1の1曲目はFrankie Paulの
「I Need You」です。
リディムはAdmiral Baileyの「Two Year
Old」。
デジタルらしい軽快なリズムに、Frankie
Paulらしい高音を生かしたヴォーカルが
素晴らしい曲です。。

2曲目はFrankie Paulの「Kuff (Don't
Mess Whith Me)」です。
デジタルらしいパーカッションのリズム
に、Frankie Paulの男らしい力強い
ヴォーカル、シンセの心地良いメロディ
もイイ感じの曲です。

frankie paul kuff


3曲目はPinchersの「Life Is A Gamble」
です。
デジタルなドラミングに浮遊感のある
シンセのメロディ、Pinchersのソフトな
ヴォーカルがとても良いグルーヴ感を
感じさせる曲です。

PINCHERS Life Is A Gamble (1988)


4曲目はPinchersの「Chat Mi Back」
です。
シンセのメロディに心地良いデジタル
らしいドラミング、Pinchersの滑らかな
ヴォーカルもこの時代の空気感をうまく
表現しています。

Side 2の1曲目はFrankie Paulの
「Traveller」です。
リディムはDennis Walks の「Drifter」。
Moodiscの名曲をデジタルらしいシンセ
のメロディに乗せて、Frankie Paulの
シッカリとしたキレのあるヴォーカルで
聴かせた1曲。

Frankie Paul - Traveller


リズム特集 Drifter (ドリフター)

2曲目はFrankie Paulの「I'm In Love
Again」です。
こちらもデジタルらしいシンセのメロディ
に、名ヴォーカリストFrankie Paulらしい
ノビのある心地良いヴォーカル。

Frankie paul.i'm in love again


3曲目はPinchersの「Musical Calamity」
です。
切れのあるデジタルのドラミングと、
ヴォーカルにハモるようなシンセの
メロディ、ソフトなPinchersのヴォーカル
もグッド。

4曲目はPinchersの「Memories Of Love」
です。
シンセのソフトなメロディに、
ファルセットも駆使したPinchersのソフト
なヴォーカル。
いかにもラヴ・ソングらしいラヴ・ソング
といった曲です。

Pinchers - Memories Of Love


ざっと追いかけてきましたが、両者の個性
が鮮やかに表れていて、なかなか悪くない
アルバムだと思います。

意外とこの80年代のクラッシュ・
アルバムというのは、侮れないところが
あります。
それはいかにもこの時代らしい、レゲエと
いう音楽の楽しみ方だからなんですね。

名盤名盤と人の評価を気にして音楽を聴く
のとは違う、単純にそこにある曲を聴く
楽しみがこうしたアルバムにはある気が
します。
意外と安価で手に入るアルバムも多い
ので、こうしたクラッシュ・アルバムを
手軽に楽しむのも、レゲエという音楽を
楽しく聴く遊び方のひとつです。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Pinchers - Life is a gamble live 1989



○アーティスト: Frankie Paul, Pinchers
○アルバム: Turbo Charge
○レーベル: Super Supreme
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1988

○Frankie Paul, Pinchers「Turbo Charge」曲目
Side 1
1. I Need You - Frankie Paul
2. Kuff (Don't Mess Whith Me) - Frankie Paul
3. Life Is A Gamble - Pinchers
4. Chat Mi Back - Pinchers
Side 2
1. Traveller - Frankie Paul
2. I'm In Love Again - Frankie Paul
3. Musical Calamity - Pinchers
4. Memories Of Love - Pinchers