今回はTrevor HartleyとEarl George
(George Faith)のアルバム

trevor_hartley_01a

「Innocent Lover / One & Only」です。

Trevor Hartleyについてはあまり情報が
なく、UKで活躍したレゲエ・シンガー
という事ぐらいしか解りません。
1979年に今回のアルバム「Innocent
Lover」と、94年に「Hartical」という
2枚のアルバムを残しているほか、31枚
ぐらいのシングル盤を残しているよう
です。

Earl George(本名:Earl George
Lawrence)はGeorge Faithという名前で
知られるシンガーで、1977年に
Lee Perryプロデュースのアルバム
「To Be A Lover」(別タイトル:Super
Eight)でデビューして以来共演盤を
含めて17枚ぐらいのアルバムと多くの
シングル盤を残している、ソウルフルな
歌唱で知られるシンガーです。

george_faith_01a
George Faith ‎– To Be A Lover (1977)

2003年に亡くなっています。

ジョージ・フェイス - Wikipedia

今回のアルバムは1979年にUKの
Burning Rockersからリリースされた
Trevor Hartleyのファースト・アルバム
「Innocent Lover」と、1978年にUK
のBurning Soundsからリリースされた
Earl Georgeのセカンド・アルバム
「One & Only」を1枚にカップリングした
2in1のアルバムです。

ちょっと強引なカップリングですが、2枚
のアルバム共にプロデュースはPhill Prat
が担当していて、Trevor HartleyとEarl
George (George Faith)という2人の
個性的なヴォーカリストの曲が楽しめる
アルバムになっています。

手に入れたのはBurning Soundsから
リリースされたCD(新盤)でした。

全19曲で収録時間は約60分。
1~9曲目までの9曲が79年のTrevor
Hartleyのファースト・アルバム
「Innocent Lover」の曲で、10~19曲
目までの10曲が78年のEarl Georgeの
アルバム「One & Only」の曲です。

79年のTrevor Hartleyのアルバム
「Innocent Lover」については以下の記述
があります。

Musicians:
Drums: Stanley 'Barnabas' Bryan, Lowell 'Sly' Dunbar
Bass: Bertram 'Ranchie' McClean, Robert 'Robbie' Shakespeare
Lead Guitar: Winston 'Bo Peep' Bowen, Radcliff 'Duggie' Byran
Rhythm Guitar: Radcliff 'Duggie' Byran, Eric 'Bingy Bunny' Lamont
Keyboards: Ansel 'Pinkie' Collins, Bobby Kalphat
Percussion: Noel 'Skully' Simms, Uzziah 'Sticky' Thompson

Recorded at:
Channel One Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Earnest Hookim
Joe Gibbs Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Errol 'ET' Thompson
Chalk Farm Studios, London, England
Engineer: Sid Bucknor

All tracks written by Trevor Hartley, except track 9; unknown

Arranged by: Trevor Hartley
Produced by: Phill Prat

となっています。

ミュージシャンはドラムにStanley
'Barnabas' BryanとLowell 'Sly' Dunbar、
ベースにBertram 'Ranchie' McCleanと
Robert 'Robbie' Shakespeare、リード・
ギターにWinston 'Bo Peep' Bowenと
Radcliff 'Duggie' Byran、リズム・ギター
にRadcliff 'Duggie' ByranとEric 'Bingy
Bunny' Lamont、キーボードにAnsel
'Pinkie' CollinsとBobby Kalphat、
パーカッションにNoel 'Skully' Simms
とUzziah 'Sticky' Thompsonという布陣
です。

レコーディングはジャマイカのChannel
One(エンジニアはEarnest Hookim)と
Joe Gibbs(エンジニアはErrol 'ET'
Thompson)、イギリスのロンドンにある
Chalk Farm(エンジニアはSid Bucknor)で
行われています。
もしかしたらですが、バックの演奏は
ジャマイカで録音して、Trevor Hartley
の声入れをロンドンで行ったという事なの
かもしれません。

作曲はTrevor Hartleyとなっています
が、9曲目の「I Am Alright」のみ作者
が「unknown(作者不詳)」となっていま
す。

アレンジはTrevor Hartleyで、プロデュース
はPhill Pratとなっています。

なかなか印象的なジャケットのイラスト
ですが、作者名が載っていません。
ただ裏ジャケに「Raven」というサイン
があります。
どうもイラストの作者らしいのですが、
それ以上のことは解りませんでした。

ちなみに表ジャケの小冊子に載っていた
ジャケットの写真を疑似的に加工すると
こんな感じです。

trevor_hartley_02a
表ジャケ

trevor_hartley_03a
裏ジャケ

78年のEarl Georgeのセカンド・アルバム
「One & Only」についてはあまり詳細な
記述はありません。

All tracks written by George Faith
Published by Westbury Music
except tracks 11,13,14,17,19; unknown

Produced by Phil Pratt

Original LP cover by Standard Man

という記述があります。

作曲はGeorge Faith(Earl George)本人。
ただし11曲目「Hooked On A Feeling」
と13曲目「Stand Between Us」、14曲
目「A Love To Guide Me」、17曲目
「One And Only」、19曲目「One Night
With You」の5曲は、「unknown(作者不詳)」
となっています。

プロデュースはPhil Pratt。

オリジナルのジャケット・デザインは
Standard Manとなっています。
このイラストはJustin Hines And The
Dominoesの76年のアルバム「Jezebel」
と78年のアルバム「Just In Time」と
同じ作者のイラストのように思われます。

justin_hines_01a
Justin Hines And The Dominoes ‎– Jezebel (1976)

justin_hines_02a
Justin Hines And The Dominoes ‎– Just In Time (1978)

ちなみに持っていた2枚のアルバムを
まとめた2in1のアルバムを調べてみた
ところ、

Design: Bloomfield/Travis

という名義になっていました。

ちなみに表ジャケの小冊子に載っていた
ジャケットの写真を疑似的に加工すると
こんな感じです。

george_faith_02a
表ジャケ

george_faith_03a
裏ジャケ

ちょっと前に調べたBurning Soundsの
アルバムでも、ジャケット・デザインが
「Standard Man」となっているアルバム
があったのですが、絵柄が今回のアルバム
とはだいぶ違うんですね。
もしかしたら作者が解らない時にこういう
「Standard Man」(標準的な人)という
言い方をしているのかもしれません。

さて今回のアルバムですが、ルーツ期後半
に作られた2枚のアルバムですが、どちら
のシンガーもそれなりの実力を備えた
シンガーで、内容はどちらも悪くないと
思います。

こうした2in1のアルバムはお得感があると
いう点では悪くないのですが、出来れば
別々にリリースしてもらえないかなと思う
ところがあります。
このBurning Soundsのアルバムなどでも
多いのですが、特に違うアーティストの
2in1のアルバムの場合は、その印象が
ボケてしまうので、どうなのかな?と思う
ところがあります。

まあセールスする側からすると少しでも
「盛って」セールスを上げたいという事も
あると思うので、致し方ない側面はあり
ますが…。
実際にレゲエのいろいろなアルバムを聴い
ていると、録音時間が両面で20分ぐらい
と短いものがあったりするし、知名度的に
セールスがあまり期待出来ないアーティスト
も居ますからねぇ…。
今回のアルバムもTrevor HartleyとEarl
Georgeと聞いても誰それ?という感じ
だと思います(笑)。
まあEarl Georgeの方はGeorge Faithだと
解れば、知っている人は多少は居ると思い
ますが…。

ただ今回のアルバムは実際にその音源を
聴いてみると、どちらのアルバムも内容は
悪くないんですね。

まずはTrevor Hartleyのアルバムですが、
Trevor Hartleyはちょっとしゃがれた
声が印象的なヴォーカリストです。
アルバムは2枚しかリリースしていない
ほとんど知名度のない人ですが、レゲエの
心地良いスローなワン・ドロップのリズム
に乗せたそのヴォーカルは、なかなかの
味わいがあり悪くありません。
詞の内容は細かくは解りませんが、UKの
レゲエ・シーンで活躍した人のせいか、
どうやらラヴ・ソングを中心とした内容の
ようです。
それがソフトな歌声とすごくマッチして
いる気がします。

またアルバム・ジャケットのヌードの
女性のイラストもすごく魅力的です。
実はこのアルバムを初めて聴いたのは
ネットのYouTubeで、アルバム1枚分が
コピーされて載せられていたんですね。
そこで試聴して欲しいアルバムだなあと
思ったんですが、入手は難しいだろうな
とも思いました。

理由は単純でこのジャケットがけっこう
魅力的なためです。
こういう女性のヌードのイラストや写真
のジャケットは、通称「エロ・ジャケ・
コレクター」みたいな人が居るんですね
(笑)。
おそらくはそれまでLPでしかリリース
されていないアルバムで、しかも
アーティストは非常にレアな人で、エロ・
ジャケ・コレクターも手に入れたい
アルバムとなると、やはり入手はかなり
困難だなぁと思います。
ちなみにこのアルバムのアルバム評が
ネットの販売サイトにひとつだけ載って
いましたが、「ジャケなしのため特価!」
となっていました。
やはりジャケットだけ欲しい人が居るん
ですね(笑)。

レゲエも結構エロ・ジャケの多いジャンル
で、特に世界的にブレイクする以前の
70年代前半ぐらいにこうしたジャケット
が作られています。
あのBob Marleyですら1970年の
アルバム「Soul Rebels」は、胸をはだけた
戦闘服の女性のジャケットなんですね。

bob_marley_01a
Bob Marley & The Wailers ‎– Soul Rebels (1970)

そこには1枚でも多くアルバムを売りたい
という、売る側の気持ちが透けて見えるん
ですね。
今回のアルバムは79年のアルバムなので
芸術性を重視してのジャケットだと思い
ますが、今のデータで買う時代とは違い、
この時代は音楽と曲の構成、アートなども
含めて一つの作品だったんですね。
そうしたトータル面から見ても、とても
面白いアルバムで、欲しくなるアルバム
なんですね。

ギターとベースを中心としたユッタリと
した楽曲にTrevor Hartleyのちょっと
しゃがれたヴォーカルが魅力的な1曲目
「I Had Just One Wish」から始まり、
浮遊感のあるキーボードにユッタリとした
ワン・ドロップのリズムが心地良い2曲目
「Can't Sleep At Night」、力の抜けた
歌いぶりが魅力の3曲目「Two Of A Kind」、
ミリタント・ビートに乗せた歯切れの良い
4曲目「Free Sons Of The Almighty」、
Mighty Diamondsの「Right Time」
リディムの5曲目「Loving You The Way
I Should」、リリカルなピアノに乗せた
しゃがれたヴォーカルが魅力の表題曲
6曲目「Innocent Lover」、ズシっと
したベースが魅力の7曲目は「I'll Try
My Best」、ピアノのメロディにしゃれた
ヴォーカルが魅力の8曲目「Feeling
Lonely」、ズシっとしたベースに
ファルセットなコーラスの9曲目「I Am
Alright」と、このシンガーの魅力が
うまく収められた9曲が揃っています。

もうひとつのEarl George (George Faith)
のアルバム「One & Only」ですが、こちら
もなかなか好内容のアルバムで、聴く価値
は充分にあると思います。
この人は77年にLee Perryの元から
アルバム「To Be A Lover」でアルバム・
デビューしていますが、その魅力は何と
いってもそのソウルフルな歌唱にあり
ます。
今回のアルバムでも、そうしたソウルフル
な歌唱を披露しているんですね。

また今回のアルバムは彼のセカンドか
サードぐらいにあたるアルバムなんです
が、本名のEarl George Lawrenceに近い
Earl Georgeの名前でアルバムを出して
いるんですね。
ジャマイカのミュージシャンは、特に
デビューし立てなどに多いですが、時々
こうして名前が変わってアルバムを出す事
があるんですね。
それ自体は珍しい事ではありませんが、
今はGeorge Faithの方が通りが良いので
少し損をしているアルバムなのかも…。
ただソウル歌手やバラード歌手のような
ハリのある歌声はなかなか素晴らしく、
魅力的なアルバムなんですね。

フルートの音色に乗せた丁寧な歌唱が
素晴らしい10曲目「Love Is」から、
ホーンに乗せた語るようなヴォーカルの
11曲目「Hooked On A Feeling」、
浮遊感があるキーボードのメロディに
ソウルフルなヴォーカルが素晴らしい
15曲目「So Many Ways」、楽し気な
ヴォーカルの16曲目「Love Depression」、
ダブワイズの入ったギターとホーン、
ベースの演奏に乗せた表題曲の17曲目
「One And Only」、ギターとピアの
メロディに乗せたEarl Georgeの感情表現
豊かなヴォーカルが魅力の19曲目
「One Night With You」など、こちらも
George Faithのヴォーカルが素晴らしい
アルバムです。

1~9曲目までは79年のTrevor Hartley
のファースト・アルバム「Innocent Lover」
の曲が収められています。

1曲目は「I Had Just One Wish」です。
ギターとベースのユッタリとしたメロディ
に、Trevor Hartleyのちょっとしゃがれた
ヴォーカルがすごく魅力的な曲です。

Trevor Hartley - I Had Just One Wish


2曲目は「Can't Sleep At Night」です。
漂うような浮遊感のあるキーボードと
ベースのメロディに、語るようにユッタリ
としたTrevor Hartleyのヴォーカル。
ワン・ドロップのリズムが心地良い1曲。

3曲目は「Two Of A Kind」です。
歯切れの良いギターにズシっとした
ベース、ちょっと癖のあるTrevor Hartley
のしゃがれたヴォーカル…。
すごく力の抜けた歌いぶりが魅力的。

Trevor Hartley - Two Of A Kind


4曲目は「Free Sons Of The Almighty」
です。
心地良いミリタントなドラミングにギター
とベースを中心としたメロディ、語るよう
な余裕を感じるTrevor Hartleyの
ヴォーカルにキレの良いパーカッション…。

5曲目は「Loving You The Way I Should」
です。
リディムはMighty Diamondsの「Right
Time」か?
キーボードの印象的なメロディに、ズシっ
としたベースと歯切れの良いドラムの
ミリタント・ビートが効いた曲です。
それに乗せたTrevor Hartleyの心地良さ
そうなヴォーカルも魅力。

6曲目は表題曲の「Innocent Lover」
です。
ピアノのリリカルなメロディに、ズシっと
したベース、表現力豊かなTrevor Hartley
のしゃがれたヴォーカルが魅力。

7曲目は「I'll Try My Best」です。
心地良いドラミングにズシっとしたベース、
ハリのあるTrevor Hartleyのヴォーカル…。

8曲目は「Feeling Lonely」です。
ピアノとギター、ベースを中心とした演奏
に、ハリのあるTrevor Hartleyのしゃがれ
たヴォーカルが魅力。

Trevor Hartley - Feeling Lonely


9曲目は「I Am Alright」です。
ギターのメロディにズシっとしたベース、
ファルセットなコーラスに乗せた
しゃがれたヴォーカルにダブワイズ…。

10~19曲目までは78年のEarl George
(George Faith)のセカンド・アルバム「One
& Only」の曲が収められています。

10曲目は「Love Is」です。
フルートのメロディに乗せた、Earl George
のバラード歌手のような丁寧な歌い方が
印象的な曲です。

Earl George-Love Is (One & Only 1978) Burning Sounds


11曲目は「Hooked On A Feeling」
です。
ホーン・セクションのメロディに、語る
ように丁寧なEarl Georgeのヴォーカル。

12曲目は「Love Is Something」です。
勢いのあるドラミングからピアノとギター
のメロディに、サビに入ってくるホーン、
Earl Georgeの柔らかいヴォーカルが魅力
的な曲です。

Earl George - Love Is Something


13曲目は「Stand Between Us」です。
ピアノとギター、ベースの息の合った
メロディに、語るようなEarl Georgeの
ヴォーカルがナイスな曲です。

14曲目は「A Love To Guide Me」です。
ギターを中心とした疾走感のあるメロディ
に、感情を込めたEarl Georgeのヴォーカル
が心地良い曲です。

15曲目は「So Many Ways」です。
浮遊感のあるキーボードのメロディに、
丁寧に歌うEarl Georgeのソウルフルな
ヴォーカルがグッとくる曲です。

Earl George - So Many Ways


16曲目は「Love Depression」です。
刻むようなベースとピアノののメロディ
に、表情豊かなEarl Georgeの個性的な
ヴォーカルとコーラス・ワークが楽し気
な曲です。

17曲目は表題曲の「One And Only」
です。
ギターとホーン、ベースのメロディに、
Earl Georgeの丁寧に歌うヴォーカルが
良い感じの曲です。

Earl George-One & Only (One & Only 1978) Burning Sounds


18曲目は「Greenhills」です。
キーボードとギターを中心としたメロディ
に、Earl Georgeの落ち着いた語るような
ヴォーカルの曲です。

19曲目は「One Night With You」です。
ギターとピアノ、ベースのメロディに
乗せたEarl Georgeの感情表現を盛り
込んだソフトなヴォーカルが魅力的な曲
です。

Earl George-One Night With You (One & Only 1978) Burning Sounds


ざっと追いかけてきましたが、どちらの
ヴォーカリストもとても素晴らしい
ヴォーカリストで、むしろ強引に2in1に
してしまったのが、印象が薄れてもったい
なく思えてしまうアルバムなんですね。
ただ両者の知名度からすると、致し方ない
側面があります。

ある意味この2枚のアルバムはこの当時
からすると、普通(に良い出来)のアルバム
だったんですね。
ただ今の時代に聴くとその「普通」が
すごく魅力的です。
そんな「時間のマジック」にかかった
アルバムが、今回のアルバムなんですね。

機会あればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Trevor Hartley / Earl George (George Faith)
○アルバム: Innocent Lover / One & Only
○レーベル: Burning Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1979 / 1978

○Trevor Hartley / Earl George (George Faith)「Innocent Lover / One & Only」曲目
(Innocent Lover)
1. I Had Just One Wish
2. Can't Sleep At Night
3. Two Of A Kind
4. Free Sons Of The Almighty
5. Loving You The Way I Should
6. Innocent Lover
7. I'll Try My Best
8. Feeling Lonely
9. I Am Alright
(One & Only)
10. Love Is
11. Hooked On A Feeling
12. Love Is Something
13. Stand Between Us
14. A Love To Guide Me
15. So Many Ways
16. Love Depression
17. One And Only
18. Greenhills
19. One Night With You