今回はMike Brooksのアルバム

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「What A Gathering / One Love」です。

Mike Brooks(本名: Edmond Brooks
1953年生まれ)は、70年代から活躍
するジャマイカのWestmoreland生まれの
レゲエ・シンガーです。
ネットのWikipediaによると、76年に
ファースト・アルバム「What A Gathering」
をリリースして以来、共演盤を含めて
これまでに22枚ぐらいのアルバムを
リリースしているシンガーのようです。

Mike Brooks (singer) - Wikipedia

今回のアルバムは2017年にUKの
Burning Soundsからリリースされた、
1976年(ネットのDiscogsでは制作年
不詳)にUKのBurning Soundsから
リリースされたファースト・アルバム
「What A Gathering」と、83年にUK
のVista Soundsからリリースされた
4枚目のアルバム「One Love」を1枚
にまとめた2in1のアルバムです。

「What A Gathering」はChannel Oneの
録音でバックはThe Revolutionariesが
務めていると思われ、プロデュースは
Jah Lloydガ担当したアルバムです。
Errol Dunkleyの「You Never Know」の
カヴァーや、Delroy Wilsonの「Somebody's
Stolen My Girl」のカヴァー、Leroy
Smartの「Ballistic Affair」のリディム
の表題曲「What A Gathering」など、彼の
ヴォーカルが堪能できる内容のアルバム
です。

「One Love」はタイトルに「with Roots
Radics」と入っているように、この
アーリー・ダンスホールの時代に活躍した
Roots Radicsがバックを務めたアルバム
で、Bob Marleyの「Keep On Moving」
リディムを使用した「No War Over Woman」
や、Gregory Isaacsの「Night Nurse」
リディムの「Complicated Love」など、
この時代に流行したRoots Radicsのスロー
なワン・ドロップに乗せた、Mike Brooks
の甘い歌声が楽しめるアルバムになって
います。

手に入れたのはBurning Soundsからリリース
されたCDの中古盤でした。

今回のアルバムですが、困った事に曲順が
かなり滅茶苦茶です(苦笑)。
曲を聴いていて歌詞と曲目が合わないん
ですね。
おそらくですが今回2枚のアルバムを
まとめる際に、担当者がかなりラリって
いたのか曲を適当に突っ込んだような感じ
です(笑)。
ネットのYouTubeや曲の歌詞を注意深く
聴いて、正しい曲目を最後に載せておき
ました。
参考にしてください。

全19曲で収録時間は62分。
1~9曲目までは76年のアルバム
「What A Gathering」の9曲が収められて
います。
10~19曲目までは83年のアルバム
「One Love」の10曲が収められています。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

76年のアルバム「What A Gathering」
の方は、以下のような記述があります。

Produced by Jah Lloyd (The Lion King)
Recorded at Channel 1, Kingston J.A.
Mastered by Kevin Metcalf Music Centre
Cove Designed by Standard Man

プロデュースはJah Lloyd (The Lion King)
で、録音はジャマイカのキングストンに
あるChannel Oneで行われています。
Channel One録音なので、バックはChannel
Oneのハウス・バンドThe Revolutionaries
ではないかと思われます。

ジャケット・デザインはStandard Manと
なっています。

ちなみに表ジャケの小冊子にあった
ジャケット写真はこんな感じでした。

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What A Gatheringジャケ写

83年のアルバム「One Love」の方は、
以下のような記述があります。

Written, Arranged & Produced by E. Brooks
Published by Vista Sounds Music 1983
Recorded at King Tubby's Studio, Jamaica
Engineered by Professor
Mixed at Channel One Studios, Jamaica
Backing Musicians: Roots Radics

Sleeve Design: Dany Hean
Photo by: Permission of Coptic Line

作曲とアレンジ、プロデュースはE. Brooks
(Mike Brooks本人)で、レコーディングは
ジャマイカのKing Tubby's Studioで行わ
れ、エンジニアはProfessorが担当し、
ミックスはジャマイカのChannel Oneで
行われ、バック・バンドはRoots Radics
となっています。

どうもこの記述はレコーディングと
ミックスが逆のような気がします。
おそらくですがレコーディングがChannel
Oneで、バック・バンドがRoots Radics、
ミックスがKing Tubby'sで、ミックス・
エンジニアがProfessorなのでは…。
King Tubby'sは声入れやミックスしか
出来ない、スタジオだったようなんです
ね。

ジャケット・デザインはDany Heanで、写真
はPermission of Coptic Lineとなって
います。

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One Loveジャケ写

さて今回のアルバムですが、Mike Brooks
というシンガーの魅力がうまく詰め込ま
れたアルバムで、内容は悪くないと思い
ます。

ここのところ意欲的なリイシューを繰り
広げているBurning Soundsですが、その
魅力はこの70年代から80年代に聴かれ
ていた「普通のレゲエ」が聴けるところ
なんですね。
もちろん「普通」といっても普通に良い、
普通に楽しめるという意味です(笑)。
どうしてもエポック・メイキングな
アルバムに目が行きがちですが、こうした
普通に良いアルバムがレゲエという音楽を
底上げし、レゲエという音楽の歴史を
作って来たんですね。
また当時は普通と思われていた音楽も、
今となってはとても貴重で聴く価値は充分
にあるんですね。

今回のMike Brooksもシンガーとして
なかなか魅力的な人で、その甘く個性的な
歌声は一聴の価値があると思います。
加えて「What A Gathering」はバックが
The Revolutionaries、「One Love」の方
はRoots Radicsがバックを担当しています
が、その演奏がとても良いんですね。
けっこうバックのベースのズシっとした
サウンドを聴いているだけで、充分な
満足感があります。
バックの詳細なメンバーが書かれていない
ので誰が演奏していたかはハッキリとは
解りませんが、おそらくThe Revolutionaries
はRobbie Shakespeare、Roots Radicsは
Errol 'Flabba' Holtあたりがベースを担当
していたと思われます。
こうしたバックのスタジオ・ミュージシャン
のレヴェルの高さが、この時代のジャマイカ
の音楽レゲエを支えていて、常に平均点
以上の音楽を作る事を可能にしていたん
ですね。

1~9曲目まではThe Revolutionariesの
演奏に乗せた76年のファースト・
アルバム「What A Gathering」の曲です。
1曲目Errol Dunkleyの「You Never Know」
のカヴァーから始まり、ズシっとした
ベースに魂を持って行かれてしまうような
The Heptonesの楽曲の2曲目「Love Won't
Come Easy」、ズシっとしたベースを中心に
Mike Brooksのヴォーカルが印象的な4曲目
「Far Away Land → Fighting You're
Brethren」、Delroy Wilsonの「Somebody
Has Stolen My Girl」のリディムを使った
6曲目「Oh Oh Natty Dread → Somebody's
Stolen My Girl」、Mike Brooksのハリの
あるヴォーカルが素晴らしい7曲目
「Fighting You're Brethren → Oh Oh
Natty Dread」、Leroy Smartの「Ballistic
Affair」リディムの軽快なナンバー表題曲
の「What A Gathering」まで、Mike Brooks
のちょっと個性的なヴォーカルが楽しめる
アルバムに仕上がっています。

10曲目以降はRoots Radicsがバックを
務めた83年のアルバム「One Love」の曲
です。
サックスのメロディにMike Brooksの語る
ように丁寧に歌うヴォーカルが印象的な
10曲目「Grooving → No War Over
Woman」から始まり、強力なサックスの
メロディの11曲目「Sensie Man →
Lovely」、Bob Marleyの「Keep On Moving」
リディムの15曲目「No War Over Woman
→ Grooving」、ノビのあるMike Brooks
の歌声が魅力的な16曲目「Lovely →
Sensie Man」、Roots Radicsらしいシン・
ドラムのワン・ドロップが印象的な
18曲目「Lover's Street → Love On
The Highway」、Gregory Isaacsの「Night
Nurse」リディムの大人の味わいの19曲目
「Complicated Love → A Man Is King」
まで、こちらもMike Brooksのヴォーカル
が堪能できる内容になっています。

1~9曲目までは76年のファースト・
アルバム「What A Gathering」の曲が収め
られています。
1曲目「You Never Know」と2曲目は
「Love Won't Come Easy」、8曲目
「Woman Of Assylum」、9曲目「What A
Gathering」の4曲は曲目が一致して
いますが、あとの5曲は曲目が違って
います。

1曲目は「You Never Know」です。
Errol Dunkleyの「You Never Know」の
カヴァー曲です。
スウィートで引きずるような歌い方は、
Errol Dunkleyと個性が似ている印象
です。
ユッタリしたホーンとピアノのメロディ
に乗せた、アクの強いヴォーカルが
魅力的。

Mike Brooks - You Never Know


2曲目は「Love Won't Come Easy」です。
こちらはThe Heptonesの「Love Won't
Come Easy」のリディムを使った曲です。
ズシっとしたベースにピアノのリリカル
なメロディ、丁寧に歌うヴォーカルが
グッとくる1曲。
ベースの音だけ聴いていても、レゲエと
いう音楽の魅力に惹き込まれて行くような
曲です。

3曲目は曲順では「Never Give Up」と
なっていますが、実際には「Far Away
Land」という曲のようです。
リリカルなピアノのメロディがとても
魅力的な曲です。
Mike Brooksの引きずるような感情を込め
た歌声もグッド。

4曲目は曲順では「Far Away Land」と
なっていますが、実際は「Fighting
You're Brethren」という曲のようです。
ズシっとしたベースとギター、キーボード
を中心に、Mike Brooksの感情を乗せた
ヴォーカルが魅力的な曲です。

Mike Brooks - Fighting Your Brethren


5曲目は曲順では「Somebody's Stolen
My Girl」となっていますが、実際は
「Never Give Up」という曲のよう
です。
キーボーとギターのメロディに、ノビの
あるMike Brooksのの歌声が魅力的な曲
です。

6曲目は曲順では「Oh Oh Natty Dread」
となっていますが、実際には「Somebody's
Stolen My Girl」という曲のようです。
リディムはDelroy Wilsonの「Somebody
Has Stolen My Girl」。
漂うようなシンセとギターを中心とした
メロディ、Mike Brooksの感情を込めた
歌声が強く心に残る曲です。

Mike Brooks - Somebodys Stolen My Girl


7曲目は曲順では「Fighting You're
Brethren」となっていますが、実際の曲
は「Oh Oh Natty Dread」です。
ギターのメロディに乗せたMike Brooksの
ハリのあるヴォーカルが素晴らしい曲
です。

8曲目は「Woman Of Assylum」です。
浮遊感のあるキーボートとギターの刻む
ようなメロディに、ズシっとしたベース、
Mike Brooksの伸びやかなヴォーカル…。

9曲目は表題曲の「What A Gathering」
です。
リディムはLeroy Smartの「Ballistic
Affair」。
軽快なギターとキーボードのメロディ
に、伸びやかなMike Brooksのヴォーカル
が冴える曲です。

Mike Brooks - What a Gathering


10~19曲目までは83年のアルバム
「One Love」の曲が収められています。
こちらはすべての曲がA面とB面が逆に
なったような曲のズレ方をしています。

10曲目は曲順では「Grooving」となって
いますが、実際の曲は「No War Over Woman」
です。
サックスとキーボードの奏でるメロディ
に、Mike Brooksの語るように丁寧に歌う
ヴォーカルが印象的な曲です。

Mike Brooks - No War Over Woman


11曲目は曲順では「Sensie Man」と
なっていますが、実際の曲は「Lovely」
です。
強力なサックスのメロディとズシっとした
ベースの演奏に、Mike Brooksのヴォーカル
が冴える曲です。

Mike Brooks - Lovely


12曲目は曲順では「Mother-In-Law」と
なっていますが、実際の曲は「One Heart
One」です。
ギターとベースのダブワイズしたワン・
ドロップのメロディに、Mike Brooksの
シャウトするヴォーカルが冴える曲です。

13曲目は曲順では「Love On The
Highway」となっていますが、実際の曲は
「Lover's Street」です。
リズミカルなキーボードとベースを中心と
した演奏に、Mike Brooksのハリのある
ヴォーカル…。

14曲目は曲順では「A Man Is King」と
なっていますが、実際の曲は「Complicated
Love」です。
勢いのあるキーボードとギターとベース
の演奏に、伸びやかなMike Brooksの
ヴォーカル。

15曲目は曲順では「No War Over Woman」
となっていますが、実際の曲は「Grooving」
です。
リディムはBob Marley and The Wailers
の「Keep On Moving」。
ギターのリズムに乗せた、Mike Brooksの
ファルセットなヴォーカルがなかなか
魅力的な曲です。

16曲目は曲順では「Lovely」となって
いますが、実際の曲は「Sensie Man」
です。
オルガンとギターのメロディに、ノビの
あるMike Brooksの歌声が魅力的。

mikey brooks - sensi man


17曲目は曲順では「One Heart One」
となっていますが、実際の曲は
「Mother-In-Law」です。
ズシっとしたベースとギターの演奏に、
表情のあるMike Brooksのヴォーカルが
魅力的な曲です。

18曲目は曲順では「Lover's Street」
となっていますが、実際の曲は「Love On
The Highway」です。
ちょっと重いピアノのメロディに、
Roots Radicsらしいシン・ドラムのワン・
ドロップの演奏。
表現力豊かなMike Brooksのヴォーカル
も、良い味を出しています。

MIKE BROOKS - Love on the Highway


19曲目は曲順では「Complicated Love」
となっていますが、実際の曲は「A Man Is
King」です。
リディムはGregory Isaacsの「Night
Nurse」。
ギターとピアノの特徴的なメロディに、
Mike Brooksの大人の味わいのヴォーカル
がすごく魅力的な1曲。

Mike Brooks - Man Is A King


ざっと追いかけてきましたが、Mike Brooks
のヴォーカルが堪能出来るアルバムで、
内容は悪くないと思います。

やはり惜しまれるのは曲のタイトルが一致
していない点で、どうしてこういう事に
なってしまったのか…。

ただとても素晴らしいヴォーカリストなの
で、こういう人がリイシューされた事は
とても喜ぶべき事だと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Mike Brooks
○アルバム: What A Gathering / One Love
○レーベル: Burning Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1976, 1983

○Mike Brooks「What A Gathering / One Love」曲目
(What A Gathering 1976)
1. You Never Know (一致)
2. Love Won't Come Easy (一致)
3. Never Give Up → Far Away Land
4. Far Away Land → Fighting You're Brethren
5. Somebody's Stolen My Girl → Never Give Up
6. Oh Oh Natty Dread → Somebody's Stolen My Girl
7. Fighting You're Brethren → Oh Oh Natty Dread
8. Woman Of Assylum (一致)
9. What A Gathering (一致)
(One Love 1983)
10. Grooving → No War Over Woman
11. Sensie Man → Lovely
12. Mother-In-Law → One Heart One
13. Love On The Highway → Lover's Street
14. A Man Is King → Complicated Love
15. No War Over Woman → Grooving
16. Lovely → Sensie Man
17. One Heart One → Mother-In-Law
18. Lover's Street → Love On The Highway
19. Complicated Love → A Man Is King

(書かれている曲目) → (実際の曲目)

●今までアップしたMike Brooks関連の記事
〇Mike Brooks「Rum Drinker」