今回はCultureのアルバム

culture_07a

「Two Sevens Clash」です。

Cultureは1976年にJoe Gibbs
プロデュースの曲「Two Sevens Clash」
で衝撃的なデビューを飾った3人組の
コーラス・グループです。
リード・ヴォーカルのJoseph Hill、
コーラスのAlbert WalkerとKenneth
Paleyからなる3人組のグループとして
活躍し、ルーツ・レゲエの時代には
Joe Gibbsや女性プロデューサーの
Sonia Pottingerの元に多くの素晴らしい
アルバムを残しています。

82年に二人のバック・コーラスが離れ、
以後はJoseph HillがCultureを名乗る
ようになります。
その後も一人で活躍を続けましたが、
2006年に亡くなっています。

アーティスト特集 Culture (カルチャー)

プロデューサーのJoe Gibbsについても
書いておきます。

Joe Gibbsはレゲエの歴史に数々の名曲を
残したプロデューサーとして知られて
います。
彼とエンジニアのErrol Thompsonのコンビ
はThe Mighty Twoと名乗り、レゲエの歴史に
数々の名曲、名アルバムを残して来ました。

しかしCharley Prideのカントリー・ソング
「Someone Loves You Honey」をレゲエ・
アレンジして大ヒットしたものの、その
著作権料を支払わなかった為に裁判を起こ
され敗北し破産。
以降は音楽界で活躍出来なくなります。
2008年に心臓発作で亡くなっています。

レーベル特集 Joe Gibbs (ジョー・ギブス)

culture_02a
Culture ‎– Cumbolo (1979)

今回のアルバムは1977年にJoe Gibbs
のレーベルJoe Gibbs Recordからリリース
されたCultureのファースト・アルバム
です。

この77年頃になるとレゲエも世界的に
認められる音楽になっていて、今回の
アルバムはUKのパンク・シーンにも
多大な影響を与えたと言われています。
真偽のほどは解りませんが、タイトル曲の
「Two Sevens Clash」はあのパンク・
バンドClashの名前の由来になったという
説があるほどなんだとか。
ただ一見違う音楽と思われているパンクと
レゲエですが、あの「ニューヨーク・
パンクの女王」と呼ばれたPatti Smithが
Tapper Zukieに熱烈なラヴ・コールを
送ったのはとても有名な話で、当時この
2つの音楽はとても思想的に近い音楽
だったんですね。
今回のアルバムも多くの販売サイトに
UKのパンク・シーンに多大な影響を
与えたと書かれていますが、その表現も
あながち間違いではないと思います。

大ヒットした「Two Sevens Clash」を
はじめとして、Cultureらしい
ラスタファリズムのリリックとミックス
のErrol Thompsonのポップな感覚が
素晴らしいルーツ・レゲエを生み出した
アルバムで内容はとても良いです。

手に入れたのはShanachieからリリース
されたCDの中古盤でした。

全10曲で収録時間は約34分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Produced and Arranged by Joe Gibbs and Errol Thompson
Photo by Kate Simon
Cover Design and Hand Lettering: Anita Karl
Degital remastering by Bill Giolando, CMS Digital

Drums: Sly Dunbar
Bass: Lloyd Parks
Keyboards: Franklyn Waul, Errol Nelson, Harold Butler
Guitars: Lennox Gordon, Robert Shakespeare, Eric Lamont
Percussion: Sticky
Alto Sax: Herman Marquis
Trombone: Vin Gordon
Tenor Sax: Tommy McCook
Trumpet: Bobby Ellis

となっています。

プロデュースとアレンジはJoe Gibbsと
Errol ThompsonのコンビThe Mighty Two
です。
なお今回のアルバムにはスタジオの表記が
ありませんが、Joe Gibbsのアルバムなの
でジャマイカのキングストンにある
Joe Gibbs Studioで行われたと思います。

写真はKate Simon、カヴァー・デザインと
文字のレタリングはAnita Karl。
なおオリジナルのジャケット・デザイン
とは変わっていて、オリジナルは黄色の地
に重なった7の文字が2つ、メンバーが
影のように写った写真のジャケットなん
ですね。

バックはJoe Gibbsの録音なので、彼の
バック・バンドThe Professionalsだと
思われます。
メンバーはドラムにSly Dunbar、ベースに
Lloyd Parks、キーボードにFranklyn Waul
とErrol Nelson、Harold Butler、ギター
にLennox GordonとRobert Shakespeare、
Eric Lamont、パーカッションにSticky、
アルト・サックスにHerman Marquis、
トロンボーンにVin Gordon、テナー・
サックスにTommy McCook、トランペットに
Bobby Ellisという布陣です。

さて今回のアルバムですが、そうしたUK
のパンクスに衝撃を与えた云々は別にして
も、Joseph Hillのルーツらしい濃い
ヴォーカルと、Errol Thompsonのとても
ポップなセンスがうまくコラボした
アルバムで、内容はとても良いと思い
ます。

今回のアルバムでバック・バンドの
The Professionalsがたたき出している
ビートは、Sly Dunbarが開発した、
マーチング・バンド風のミリタント・
ビート(別名:ロッカーズ・ビート)なん
ですね。
その心地良く前向きなビートに乗せた、
Joseph Hillのアクの強いヴォーカルが
このアルバムの最大の魅力になって
います。

このJoseph Hillのアクの強いヴォーカル
をイイ感じに個性に変えているのが、
ミックスのErrol Thompsonのポップな
センスなんですね。
曲をよく聴いてみると軽快なビートに
シンセのポップなメロディをうまく乗せて
いて、ヴォーカルを濃過ぎず薄過ぎずの
イイ感じにしているんですね。
これがのちにCultureが組んだ女性
プロデューサーのSonia Pottingerになる
と、Joseph Hillのヴォーカルが前面に
出て本来の彼らの個性が強くなる分、逆に
ちょっと地味な印象になります。
どちらが良いかは好みの問題があります
が、Errol Thompsonのミックス方が
キャッチーである事は間違いがなく、それ
によって彼らCultureは順調なスタートが
切れたんですね。

また今回のポップなミリタント・ビート
は、前年76年にリリースされた
同じミリタント・ビートを使用した、
The Mighty Diamondsのファースト「When
The Right Time Come: I Need A Roof」
と聴き較べてみると、その違いがとても
面白いところです。

mighty_diamonds_11a
The Mighty Diamonds ‎– When The Right Time Come: I Need A Roof (1976)

今回のポップなミリタント・ビートに
対して前年にリリースされたThe Mighty
Diamondsのアルバムは、バックをChannel
Oneのバック・バンドThe Revolutionaries
が務めており、The Mighty Diamondsの
美しいハーモニーを際立たせるために、
かなり禁欲的な演奏をしています。
その同じミリタント・ビートの色合いの
違いが面白いところですが、実はこの
2枚のアルバムは同じSly Dunbarがドラム
を叩いているんですね。
(Mighty Diamondsのアルバムの方は、
Leroy 'Horsemouse' Wallaceもドラムを
叩いています。)

たびたび書いていますが70年代当時の
ジャマイカのバック・バンドは、集まれる
人が集まって録るプラスティック・バンド
の形式が一般的だったんですね。
その為バンド名が違っても、けっこう同じ
ような人が参加しているんですね。
今回の例でいえばJoe Gibbsの元で演奏
すればThe Professionalsとなり、Channel
OneのHoo Kim兄弟の元で演奏すればバンド
名はThe Revolutionariesとなるんですね。
ただ雇い主の好みによってサウンドを使い
分けていたようで、今回の例でいえば
同じミリタント・ビートでも、ポップな
味わいや、ストイックなキレのある演奏
と、雇い主によってサウンドの違いを
うまく作っているんですね。
出来ればThe Mighty Diamondsのアルバム
の方も聴いてみると、その違いが判って
面白いかもしれません。

今回のアルバムではエフェクトなども駆使
したErrol Thompsonのポップなミックス
に、リード・ヴォーカルのJoseph Hillを
中心としたCultureの勢いのある
ヴォーカルとコーラス・ワークが大きな
魅力になっています。
世界的にも売れたというアルバムのよう
ですが、ルーツ・レゲエでありながら
ポップなセンスも持ち、前進力のある
ミリタント・ビートのスッキリと
まとまったサウンドは、やはりとても
魅力的で高評価は頷けるところ。

ライオンの咆哮のエフェクトが面白い
1曲目「Get Ready To Ride The Lion To
Zion」から始まり、軽快なミリタント・
ビートが心地良い4曲目「See Them A
Come」、不思議な味わいのある6曲目
「Calling Rasta Far I」、Marcus Garvey
の預言を歌った表題曲の9曲目「Two
Sevens Clash」、Joseph Hillらしい
スキャットの10曲目「I'm Not Ashamed」
まで、Cultureというヴォーカル・
グループの個性が光るアルバムに仕上がって
います。

1曲目は「Get Ready To Ride The Lion To
Zion」です。
ホーン・セクションのメロディにライオン
の咆哮のエフェクトが面白い曲です。
Joseph Hillのジックリと語るような
ヴォーカルと、息の合ったコーラス・
ワークも心地良い1曲。

Culture - Get Ready To Ride The Lion To Zion


2曲目は「Black Starliner Must Come」
です。
ホーンのメロディに乗せた心地良い
ミリタント・ビートに、ノビのある
Joseph Hillのヴォーカルにコーラス・
ワーク。
ちなみに「Black Starliner」とは、
貿易商でありアフリカ回帰思想の指導者
でもあったMarcus Garveyが持っていた
貿易船の名前なんですね。
ラスタファリズムのアフリカ回帰思想
では、この「Black Starliner」に乗って
アフリカに帰国するとされています。

culture - black starliner must come


3曲目は「Jah Pretty Face」です。
浮遊感のあるシンセと心地良い
パーカッションのメロディに、ハーモニー
に乗せた伸びやかなヴォーカルが魅力的な
曲です。

4曲目は「See Them A Come」です。
キーボードのメロディに乗せた軽快な
ビートに、Joseph Hillのヴォーカルが
冴える曲です。

Culture - See Them a Come


5曲目は「Natty Dread Taking Over」
です。
ギターとホーンのユッタリとしたメロディ
に、Joseph Hillの個性的なヴォーカルが
印象的な曲です。

6曲目は「Calling Rasta Far I」です。
シンセの浮遊感のあるメロディに、
パーカッションの心地良い響き、コーラス
に乗せたヴォーカル…。
何か不思議な味わいのある曲です。

Calling Rasta Far I


7曲目は「I'm Alone In The Wilderness」
です。
シンセのメロディに疾走感のあるビート、
コーラスに乗せたJoseph Hillの濃い
ヴォーカル…。

8曲目は「Pirate Days」です。
シンセとピアノのメロディに、Joseph Hill
の表情豊かなヴォーカルとコーラス・
ワーク。

9曲目は表題曲の「Two Sevens Clash」
です。
心地良いビートにシンセのメロディ、
コーラス・ワークに乗せたJoseph Hillの
心地良さそうなヴォーカル。
7と7がぶつかり合う時に何かが起きる
という、Marcus Garveyの預言を元に
作られた曲です。

CULTURE -Two Sevens Clash-


カルチャー(Culture) - Two Sevens Clash - 1977 - リリック

10曲目は「I'm Not Ashamed」です。
ホーンのメロディに乗せたスキャットから、
Joseph Hillらしい濃いヴォーカルが光る
曲です。

culture - i'm not ashamed


ざっと追いかけてきましたが、やはり
Errol Thompsonの音作りのウマさが光る
アルバムで、このアルバムによって逆に
Cultureというグループの個性が作られた
のかもしれません。
このアルバムは世界的に売れ、Cultureは
レゲエの中でも注目されるグループへと
なっていくんですね。

その後彼らはJoe Gibbsの元を離れ、女性
プロデューサーSonia Pottingerの元で
「Harder Than The Rest」や
「International Herb」、「Cumbolo」
などのアルバムを発表するんですね。

culture_01a
Culture ‎– Harder Than The Rest (1978)

culture_03a
Culture ‎– International Herb (1979)

この70年代の彼らの活躍は、多くの人々
の記憶に残っているんですね。
今回のアルバムはそのスタートの1枚と
して、とても貴重なアルバムだと思い
ます。

機会があればぜひ聴いてみてください。

culture -two sevens clash live



○アーティスト: Culture
○アルバム: Two Sevens Clash
○レーベル: Shanachie
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1977

○Culture「Two Sevens Clash」曲目
1. Get Ready To Ride The Lion To Zion
2. Black Starliner Must Come
3. Jah Pretty Face
4. See Them A Come
5. Natty Dread Taking Over
6. Calling Rasta Far I
7. I'm Alone In The Wilderness
8. Pirate Days
9. Two Sevens Clash
10. I'm Not Ashamed

●今までアップしたCulture関連の記事
〇Culture & The Deejay's「At Joe Gibbs 1977-79」
〇Culture「Africa Stand Alone」
〇Culture「Baldhead Bridge」
〇Culture「Cumbolo」
〇Culture「Good Things」
〇Culture「Harder Than The Rest」
〇Culture「International Herb」
〇Various「Different Fashion: The High Note Dancehall Collection」