今回はClocktower Productions (Carlton &
'Family Man' Barrett)のアルバム

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「The Sound Of Macka Dub Vol.1」です。

まずはこのアルバムをリリースしている
Clocktower Recordsというレーベルに
ついて説明しておきます。
DiscogsなどによるとClocktower Records
は、1971年にBrad Osborneによって
ニューヨークのブロンクスに設立された
ルーツ・レゲエとダブのレーベルで、
のちにカナダのAbraham傘下のレーベルと
なったようです。
主催者のBrad Osborneはプロデューサー
のBunny Leeとも仲が良く、彼を通じて
ジャマイカのレゲエのアルバムを多く
リリースしたレーベルとして知られて
います。

今回のアルバムはDiscogsの記載では
「Unknown(制作年不詳)」となっており
ハッキリとした年月は解らないのですが、
ネットのレゲエレコード・コムの記載では
1978年となっており、おそらくその
78年あたりにClocktower Recordsから
リリースされたアルバムだと思われます。

実はこのアルバムにはアーティストの名義
がありません。
ただジャケットに「The Sound Of Macka
Dub Vol.1」と書かれているだけです。
その為アーティスト名の表記はまちまち
で、「Clocktower Productions」と書かれ
ていたり、「Carlton & 'Family Man'
Barrett」になっていたり、タイトルの
「Macka Dub」と書かれていたりします。
今回は便宜的に「Clocktower Productions
(Carlton & 'Family Man' Barrett)」と
しました。

「Clocktower Productions」と書かれて
いるように、Clocktower Recordsで制作
されたダブで、プロデュースは主催者の
Brad Osborne、ミックスはKing Tubby's
などで活躍したPhillip Smartが担当して
います。
なので本当は、アーティスト名をあえて
付けるとしたら、Phillip Smartが一番
正しい気がします。
(まあ、知名度から考えるとその名前では
出さないと思いますが…笑。)

「Carlton & 'Family Man' Barrett」と
いうアーティスト名が使われたりしている
ように、The Wailersなどでも活躍した
ドラムのCarlton Barrettとベースの
Aston 'Family Man' BarrettのBarrett
兄弟も演奏に参加したダブ・アルバム
です。
ネットのアルバム評などを見ると、2曲目
「Ista Episode」の雷のエフェクト音が
有名なダブのようですが、全体としては
'Family Man' Barrettのベースを中心と
したインストに近い激渋のダブです。

手に入れたのはClocktower Recordsから
リリースされたCDの中古盤でした。

ジャケットの裏面には、元々はLPだった
ためか、Side 1が5曲、Side 2が6曲の
計11曲の記載があります。

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裏ジャケ

ところがこのアルバムは12曲入りで、
1曲足りないんですね(苦笑)。
そのためパソコンのiTunesで読み込むと、
最後の12曲目が「Untitled」となって
います。
ただネットのDiscogsの記載などを見ると、
A面の6曲目が「Untitled」となって
います。
これは「Untitled」が入って、元の曲の
名前がズレているのかなと思ったのです
が、ネットのYouTubeで聴き較べてみた
限りでは、CDにする際にはこのA面の
6曲目の「Untitled」の曲を最後に持って
来ている模様です。
(文章の最後に曲目を表記。)

全12曲で収録時間は約40分。
書いたように1曲「Untitled(タイトル
なし)」となっている曲があります。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Produced & Arranged by Brad Osbourne
Mixing Engineer: Phillip Smart
Record Engineer: Mike from Artcraft Studio

Special Thanks to Following Personal:
Piano, Organ: Glen Adams, Mr. Wire
Guitar: Rick Trater, Bobby Chung
Drums: Carlton Barrett, Tad Dawkins, Sparrow Martin
Bass: Maurice, Family Man Barrett

Special Effects: Michael Scudder
Special Sound Effects: Brad Osbourne

となっています。

プロデュースとアレンジはBrad Osbourne、
ミックス・エンジニアはPhillip Smart、
レコーディング・エンジニアはArtcraft
StudioのMikeが担当しています。

演奏に参加したミュージシャンは、ピアノ
とオルガンにGlen AdamsとMr. Wire、
ギターにRick TraterとBobby Chung、
ドラムにCarlton BarrettとTad Dawkins、
Sparrow Martin、ベースにMauriceと
Family Man Barrettという布陣です。
ピアノとオルガンの「Mr. Wire」は、
Earl 'Wire' Lindoと思われます。

スペシャル・エフェクトにMichael Scudder、
スペシャル・サウンド・エフェクトに
Brad Osbourneという名前があります。

さて今回のアルバムですが、全体に
Family Man Barrettなどのベースを中心と
したインストに近いダブで、少し地味な
印象はありますが内容はとても良いです。

ミックスを担当しているPhillip Smart
ですが、70年代後半のダブを量産して
いたKing Tubby'sのミキサーで、Bunny Lee
のハウス・バンドThe Aggrovatorsのダブ
などを詳しく調べていると、よく名前の
出て来るミキサーのひとりなんですね。
正直なところPrince JammyやScientistと
いったミキサーよりは知名度が劣ります
が、そのミックスは彼ら較べても遜色は
なく、King Tubby'sの主力のミキサーの
ひとりなんですね。
今回のアルバムはその知名度から
「Family Man Barrettのダブ」のような
言い方をされますが、実質的にはこの
Phillip Smartの名仕事のダブなんです
ね。

本当に内容の良いダブ・アルバムだと
思います。

1曲目は「Bradsta Dub」です。
ベースと刻むようなギター、ピアノの
Jazzyなメロディで構成される渋いダブ
です。

DUB LP- MACKA DUB - Bradsta Dub


2曲目は「Ista Episode」です。
初めに入る雷のエフェクトが印象的。
そこから低音のベース、Jazzyなピアノの
演奏、雷と雨音のエフェクトなどがうまく
入れ替わる、音作りのウマさを感じる
ダビーな曲です。

Carlton Barrett & Family Man - Ista Episode


3曲目は「Dub In My Soul」です。
独特のこもった音色のハモンド・オルガン
と、ズシっと響くベースを中心としたダブ
です。

Carlton Barrett And Family Man Barrett Macka Dub 03 Dub in My Soul Carlton Macka Dub


4曲目は「KC Black」です。
こちらも影のあるハモンド・オルガンの
メロディと、刻むギター、ベーのズシっと
したサウンドを軸としたダブです。

5曲目は「Gubs I Rock」です。
ブラスのユッタリとしたメロディに
ギター、パーカッションなどが組み合わ
さったダブ。

6曲目は「Hawks Theme」です。
電気的なキーボードの面白いサウンドに、
ベースとドラムがうまく絡んだダブ。
ビートはフライング・シンバルか?

Macka Dub - Hawks Theme


7曲目は「Mike-O-Lete」です。
ドラムのブレイクから電気信号のような
エフェクト、電気的なキーボードの
サウンド…何やら妖しげなダブです。

Carlton & Family Barrett - Mike O Lete


8曲目は「Phillip Showcase」です。
刻むようなギターのメロディに、ズシっと
したベースの渋いダブです。

9曲目は「Capo Dub」です。
耳なじみのあるギターの刻むような
メロディに、電気的なキーボードの
サウンドが面白いダブです。

10曲目は「Shotman Chow」です。
ピアノのメロディから電気的なキーボード、
ベースがズシっと効いたダブ。

11曲目は「Synco-Session」です。
ちょっと面白い歪んだサウンドに、遠く
でピアノ、ギターの刻むようなリズム…。

12曲目は「Untitled」です。
ギターの畳みかけるようなイントロから、
ベースを中心とした渋いダブです。

Carlton Barrett And Family Man Barrett Macka Dub 06 Untitled Hidden Track] Carlton Macka Dub


ざっと追いかけてきましたが、この
70年代の後半らしいベースを中心とした
スタイリッシュなダブで、ちょっと地味
ではありますがとても聴き心地の良い
ジワっと来るダブです。

ダブのミックスをしたPhillip Smartは、
King Tubbyの完成させたダブという音楽
スタイルをシッカリと理解していて、
とてもKing Tubby'sらしい心地良くも
渋いダブをうまく作り上げています。
彼の才能がよく解る、彼の代表作といえる
ダブ・アルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Clocktower Productions (Carlton & 'Family Man' Barrett)
○アルバム: The Sound Of Macka Dub Vol.1
○レーベル: Clocktower Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: (1978)

○Clocktower Productions (Carlton & 'Family Man' Barrett)「The Sound Of Macka Dub Vol.1」曲目
1. Bradsta Dub
2. Ista Episode
3. Dub In My Soul
4. KC Black
5. Gubs I Rock
6. Hawks Theme
7. Mike-O-Lete
8. Phillip Showcase
9. Capo Dub
10. Shotman Chow
11. Synco-Session
12. Untitled