今回はKeith Hudsonのアルバム

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「Brand: Creative Reggae Instrumental Dub:
The Joint」です。

Keith Hudsonはレゲエの歴史に名を刻む
プロデューサーであり、シンガーである人
として知られています。
1974年に発表された彼のファースト・
アルバム「Flesh Of My Skin Blood Of My
Blood」は、「レゲエ初のコンセプト・
アルバム」という高い評価を受けている
アルバムで、まるでライブのような水の音
のエフェクトなど、彼独特の世界が描かれ
ています。

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Keith Hudson - Flesh Of My Skin Blood of My Blood (1974)

それに続く75年の「Pick A Dub」は
初期ダブの傑作と呼ばれるアルバムで、
それによって彼はLee PerryやKing Tubby、
Errol Thompsonと並ぶ「創世記ダブ
四天王」という言い方をされる事があり
ます。

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Keith Hudson - Pick A Dub (1975)

独特の世界観を持った音楽を作り続け
「レゲエ界の異端児」などと呼ばれた
Keith Hudsonですが、84年末に42歳
という若さでガンで亡くなっています。

アーティスト特集 Keith Hudson (キース・ハドソン)

Keith Hudson - Wikipedia

今回のアルバムは、レゲエがルーツ・
レゲエの時代だった1977年に、UKの
Brandというレーベルからリリースされた
Keith Hudsonのダブ・アルバムです。
翌78年にリリースされた彼のアルバム
「Rasta Communication」の曲が多く収め
られたダブ・アルバムです。

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Keith Hudson ‎– Rasta Communication (1978)

このアルバムはその後も何度かリリース
されていて、USのJoint International
というレーベルからは制作年は「Unknown」
となっていて解りませんが「The Joint:
Keith Hudson Dub」という名前で、さらに
は2015年にはUKのGreensleeves
Recordsから「Rasta Communication In
Dub」という名前でリリースされています。
そういう別名がいくつかあるアルバムなん
ですね。

手に入れたのはUKのレゲエ・リイシュー・
レーベルPressure Soundsからリイシュー
されたCDの中古盤でした。

全12曲で収録時間は約41分。
オリジナルは10曲で、残りの2曲はCD
ボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Musicians:
Drums: Carlton 'Carly' Barrett, Eric 'Fish' Clarke,
Lowell 'Sly' Dunbar
Bass: Aston 'Family Man' Barrett, George 'Fully' Fullwood,
Bertram 'Ranchie' Mc Clean, Robbie Shakespeare
Rhythm Guitar: Tony Chin, 'Gitsie', Keith Hudson,
Bertram 'Ranchie' Mc Clean, Earl 'Chinna' Smith
Lead Guitar: Earl 'Chinna' Smith
Hawaiian Guitar: Willy Barrett
Key Boards: Theophilus 'Easy Snappin' Beckford, Ossie Hibbert,
Keith Hudson, Errol 'Tarzan' Nelson, Keith Sterling
Synthesizer: Ken Elliott
Percussion: Tony Brother

Recorded at:
Chalk Farm Studio, London, England
Engineer: Sid Bucknor
Channel One Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Lancelot 'Maxie' McKenzie
Randy's Studio Seventeen, Kingston, Jamaica
Engineer: Clive Chin
Mixed at: King Tubby's Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Lloyd 'Prince Jammy' James
Remastered by: Dave Blackman @ Hiltongrove Mastering, London, England

Produced and Arranged by: Keith Hudson

Artwork & Design by: Ben Baley
Project Co-ordination: Pete Holdworth
Released Under Licence from Junior Walker @ Joint International Records

with thanks to: Steve Barker, Steve Barrow & Junior Walker

となっています。

ミュージシャンはドラムにCarlton 'Carly'
BarrettとEric 'Fish' Clarke、Lowell
'Sly' Dunbar、ベースにAston 'Family Man'
BarrettとGeorge 'Fully' Fullwood、
Bertram 'Ranchie' Mc Clean、Robbie
Shakespeare、リズム・ギターにTony Chin
と 'Gitsie'、Keith Hudson、Bertram
'Ranchie' Mc Clean、Earl 'Chinna' Smith、
リード・ギターにEarl 'Chinna' Smith、
ハワイアン・ギターにWilly Barrett、
キーボードにTheophilus 'Easy Snappin'
BeckfordとOssie Hibbert、Keith Hudson、
Errol 'Tarzan' Nelson、Keith Sterling、
シンセにKen Elliott、パーカッションに
Tony Brotherという布陣です。
Keith HudsonはSoul Syndicateをバックに
よく起用していますが、今回もバック・
バンドはそのSoul Syndicateという事に
なるのでしょうか?

レコーディングは3か所で行われており、
ロンドンのChalk Farm Studioはエンジニア
がSid Bucknor、ジャマイカのキングストン
のChannel One Recording Studioでは
エンジニアがLancelot 'Maxie' McKenzie、
同じくキングストンにあるRandy's Studio
SeventeenではエンジニアがClive Chin
という組み合わせです。
ミックスはKing Tubby's Studioで、
ミックス・エンジニアはLloyd 'Prince
Jammy' Jamesが担当しています。

プロデュースとアレンジはKeith Hudson。

アート・ワークとデザインはBen Baleyと
なっています。

さて今回のアルバムですが、このKeith
Hudsonという人は必ずしもレゲエの枠に
収まらないような、独特の感性を持った人
なんですね。
彼は「レゲエ界の異端児」などと言われ
ますが、一言でいうと好きな人は好き、
嫌いな人は嫌いという、非常に取っ付きが
悪い音楽を作る人なんですね(笑)。
ただ一度好きになると本当に中毒になる
ほど好きになる人で、失敗作と言われた
アルバムまで全部集めて聴きたくなるほど
魅力的な人なんですね(笑)。

実は私自身もこの人が初めはよく解り
ませんでした。
アルバムを何枚か買ってみたものの、
彼の歌があまりうまくない酔っ払いの
ような曲は、どこか良いのかはじめは
まったく解りませんでした。
その評価が一変したのは74年のアルバム
「Flesh of My Skin Blood Of My Blood」
を聴いてからでした。
「レゲエ初のコンセプト・アルバム」と
呼ばれるこのアルバムは、彼のナイーヴな
個性が感じられるアルバムで、レゲエと
いう音楽の枠を超えた、すごく魅力的な
世界観を持った素晴らしい作品なんです
ね。
そのダークで魅力的な世界に、ヤラレ
ちゃったんですね(笑)。

それ以来すべてのパズルの謎が解けたよう
に、他のアルバムの魅力も解るように
なって来たんですね。
彼の作品は唯一75年の「Pick A Dub」
のみがレゲエのダブという「文法」で書か
れた作品で、残りの作品はすべてこの
「Flesh Of My Skin Blood Of My Blood」
の系譜に属する、彼独特のダークな感性で
作られた作品なんですね。
なので彼を知るには、まずは「Flesh Of
My Skin…」を最初に聴くことをおススメ
します。

さて前置きが長くなりましたが、今回の
アルバムですが彼独自のダークな感性が
感じられるアルバムで、内容は悪くないと
思います。

書いたようにこのアルバムは78年の
アルバム「Rasta Communication」のダブ・
アルバムで、彼の酔っ払ったような
ヴォーカルはダブの方がよりハマるんです
ね(笑)。
Keith Hudsonらしさが、よりよく出た
アルバムだと思います。

ズシっとしたベースを軸としたミリタント
なビートに、ピアノやギターなどが自在に
入ってくる演奏をバックに、Keith Hudson
独特のフラフラとしたドラッギーな
ヴォーカルがダブワイズしていく世界は、
やはり彼独特の世界なんですね。
よく彼は歌がヘタというふうに書かれます
が、うまくはないですが言われるほどヘタ
でもなく、このヴォーカルこそが彼の独特
な世界なんですね。
意外とバックはしっかりしたレゲエの演奏
なのに、彼のヴォーカルが入る事で彼独自
の異質の世界を作り上げています。
特にダブになるとその彼の、グンニャリ
歪んだ世界観がより強調されるんですね。
けっしてヤリ過ぎずにイイ感じでダブ
ワイズした、Prince Jammyのミックスも
素晴らしいです。
Keith Hudsonが好きな人にとっては、
かなりツボのアルバムなんですね。

1曲目は「Image Dub」です。
彼の「Sinners」という曲のダブです。
(アルバム「Rasta Communication」には
入っていません。)
心地良いミリタント・ビートに乗せた、
Keith Hudsonらしいドラッギーな
ヴォーカルが印象的。
ズシっとしたベースのメロディに、
イイ感じのダブワイズがキマっています。

Keith Hudson - Image Dub


2曲目は「National Item」です。
アルバム「Rasta Communication」に収め
られた「Rasta Country」という曲のダブ
です。
心地良いミリタント・ビートにピアノの
メロディ、ズシっとしたベース、そして
Keith Hudsonのドラッギーなヴォーカル
にダブワイズ…。

Keith Hudson - National Item


3曲目は「National Anthem」です。
こちらも2曲目と同じ「Rasta Country」
のリディムが使われているようです。
心地良いミリタント・ビートのドラムと
ベースが強調されたダブです。

4曲目は「Highter Hights」です。
明るいメロディカのメロディに
パーカッションとギター、ユラユラと
したKeith Hudsonのヴォーカルに、
女性の合いの手のヴォーカルなど…。

5曲目は「Darkness Dub」です。
ユラユラしたギターのメロディにドスの
効いたベース、ダブワイズも効いた曲
です。

6曲目は「My Eyes Are Red Dub」です。
アルバム「Rasta Communication」に収め
られた「Bloody Eyes」という曲のダブ
です。
浮遊感のあるキーボードのスウィートな
メロディに、ユッタリと歌うKeith Hudson
のヴォーカルにダブワイズ…。

Keith Hudson - My Eyes Are Red Dub


7曲目は「Musicology Dub」です。
アルバム「Rasta Communication」に収め
られた「Musicology」という曲のダブ
です。
ミリタントなリズムにギターとキーボード
のメロディ、ベースのズッシリとした演奏
に、滲んで行くようなダブワイズ…。

8曲目は「Felt The Strain Dub」です。
アルバム「Rasta Communication」に収め
られた「Felt We Felt The Strain」と
いう曲のダブです。
ズシっとしたベースを中心としたミリタント
な演奏に、Keith Hudsonのダブワイズして
消えていくヴォーカル…。

Felt The Strain Dub - Keith Hudson


9曲目は「Barrabas Dub」です。
アルバム「Rasta Communication」に収め
られた「I Am Not Satisfied」という曲
のダブです。
浮遊感のあるキーボードに、癖のある
Keith Hudsonらしいヴォーカル、ズシンと
したベースの刻むリズムとキーボードが、
イイ感じで曲を引き締めています

Keith Hudson - Barrabas Dub


10曲目は「Rub Dub」です。
アルバム「Rasta Communication」に収め
られた、表題曲の「Rasta Communication」
のダブです。
漂うようなキーボードのメロディに、
華があって心地良いミリタントのビート、
ユラユラとしたKeith Hudsonのヴォーカル
が面白いダブです。

Rub Dub (Rasta Communication - King Saul) _ Keith Hudson


11~12曲目はオリジナルにはないCD
ボーナス・トラックが収められていますが、
ここでは割愛します。

ざっと追いかけてきましたが、この
Keith Hudsonという人はレゲエの枠を
超えた「Keith Hudsonの音楽」を作り
続けた人で、そこが好きな人にはタマラ
ない人なんですね。
ある意味すごく私的で誰でも好きになる
音楽ではないかもしれませんが、ひとたび
その才能の魅力が解るとタマラないほど
好きになる、それが彼の音楽なんですね。

今回はダブ・アルバムなので、より彼の
ちょっと歪んだ個性が強調されて面白い
仕上がりのアルバムになっています。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Keith Hudson
○アルバム: Brand: Creative Reggae Instrumental Dub: The Joint
○レーベル: Pressure Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年:

○Keith Hudson「Brand: Creative Reggae Instrumental Dub: The Joint」曲目
1. Image Dub
2. National Item
3. National Anthem
4. Highter Hights
5. Darkness Dub
6. My Eyes Are Red Dub
7. Musicology Dub
8. Felt The Strain Dub
9. Barrabas Dub
10. Rub Dub
(CD Bonus Tracks)
11. My Eyes Are Red
12. Rasta Took The Blame