今回はDillingerのアルバム

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「CB 200 + Bionic Dread」です。

Dillingerは70年代のルーツ・レゲエの
時代から活躍するディージェイです。
ディージェイを始めた当初は「ヤング・
アルカポーン」と名乗るほど、当時の人気
ディージェイDenis Alcaponeに憧れて
いた彼でしたが、プロデューサーの
Lee Perryに「お前はヤング・アルカポーン
じゃない!Dillingerだ!」と言われ、
この名前に改名しています。
Sutudio Oneの「Ready Natty Dreadie」と
いうアルバムでアルバム・デビューし、
その後も「Cocaine In My Brain」などの
数々のヒットを飛ばし、独自のステッパーズ・
スタイルのトースティングで人気を博した
のが、このDillingerというディージェイ
です。

アーティスト特集 Dillinger (ディリンジャー)

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Dillinger ‎– Ready Natty Dreadie:Ten To One (1975)

今回のアルバムは1976年にUKの
Island Recordsからリリースされた
セカンド・アルバム「CB 200」と、
同年に同じIsland Recordsからリリース
されたサード・アルバム「Bionic Dread」
を1枚にまとめた2in1仕様のアルバム
です。

セカンド・アルバム「CB 200」は、
Gregory Isaacsの「The Sun Shines For Me」
リディムを使った表題曲の「CB 200」を
はじめ、世界的なヒットになった彼の最大
のヒット曲「Cocaine In My Brain」、
Heptonesの「Love Me Girl」リディムの
「General」などが収められたアルバムで、
彼の代表作ともいえるアルバムです。
またそれに続くサード・アルバム
「Bionic Dread」は、彼の好調さを感じ
させるアルバムで、表題曲の「Bionic
Dread」をはじめ、Bob Andyの「Unchained」
リディムの「Ragnampiza」、Leroy Smart
の「Ballistic Affair」リディムの
「Eastman Skank」など、彼の得意と
するステッパーズ・リディムに乗せた
トースティングが楽しめるアルバムに
なっています。

手に入れたのは2004年に日本の
Universal Musicからリリースされた
Island Records盤のCDの中古盤でした。

中には武田洋さんという方の解説文と
英文の歌詞、akiyama sistersという方の
歌詞の対訳が付いていました。
付いていた帯には次のような文章が書かれ
ていました。

「『ロッカーズ』ムードがプンプン薫る、
70年代を代表する男伊達DeeJay。その
キラーなマイクさばきが痛快に炸裂する
76年の代表アルバム『CB 200』、
そして同年の初CD化作品、2枚分の
チャンネル・ワン音源がここに世界初
合体。」

全20曲で収録時間は約61分。
初めの10曲がセカンド・アルバム
「CB 200」の曲で、残りの10曲がサード・
アルバム「Bionic Dread」の曲が収められ
ています。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Tracks 1-10 originally released as CB200, 1976

Drums: alias Sly and Benbow
Guitar: alias Chinna
Bass: Familyman, Ranchie
Keyboards: Ossie
Horns: Vin Gordon, Tommy McCook, Bobby Ellis
Special thanks to The Gladiators, Hossie, Sticky
Vocal Backing: Trinity
Recorded & Mixed at Channel One Recording Studio, Jamaica
Engineered by Ossie & Ernest Hoo Kim
Produced by Jo Jo Hookim
All titles published: Blue Mountain Music Ltd.

Tracks 11-20 originally released as Bionic Dread, 1976

Record date: 1976
Produced by Joseph Hookim
Engineered by Mac & Ernest Hookim & Barnabas
Recorded at Channel One (kingston, JA)

となっています。

1~10曲目までが76年のセカンド・
アルバム「CB200」からの曲で、
ミュージシャンはドラムにSly Dunbarと
Benbow Creary、ギターにEarl 'Chinna'
Smith、ベースにAston 'Familyman' Barrett
とBertram 'Ranchie' McLean、キーボードに
Ossie Hibbert、ホーンにVin Gordonと
Tommy McCook、Bobby Ellis、「Special
thanks」としてThe GladiatorsとHossie
(おそらくLeroy 'Horsemouse'Wallaceで
ドラム)、Sticky(おそらくパーカッション)、
バック・ヴォーカルにTrinityという布陣
です。
レコーディングとミックスはジャマイカの
Channel One Recording Studioで行われ、
エンジニアはOssie HibbertとErnest Hoo
Kim、プロデュースはJo Jo Hookimとなって
います。

11~20曲目までが76年のサード・
アルバム「Bionic Dread」からの曲で、
詳細のミュージシャンの表記はなし。
プロデュースはJoseph Hookimで、
エンジニアはMacとErnest Hookim、
Barnabas、録音はChannel Oneで行われて
います。

ちなみにネットのDiscogsにはこの
「Bionic Dread」の方もミュージシャンが
書かれていて、それによるとドラムに
Sly、ベースにRanchie、キーボードに
Ansel CollinsとOssie、Tarzan、リズム・
ギターとリード・ギターにDuggie Bryan、
パーカッションに BarnabasとStickyと
いう名前がありました。
(参考程度に見ておいてください。)

バックはChannel Oneのバック・バンド
The Revolutionariesと思われます。

さて今回のアルバムですが、Dillingerの
代表作のひとつ「CB 200」と、初CD化
された「Bionic Dread」の2in1のアルバム
で、それだけで聴き心地満点のよく出来た
コンピュレーションだと思います。

やはり注目は世界的な大ヒットになった
「Cocaine In My Brain」が収められた
「CB 200」という事になると思います。
この「Cocaine In My Brain」はアルバムの
中でもちょっと異色の曲で、使われている
リディムはアメリカのソウル・グループ
People's Choiceの「Do It Any Way You
Wanna」という曲なんですね。
そのちょっとディスコ調の曲にDillinger
はうまく反応して、ちょっとイカレた麻薬
中毒者のラリったようなトースティングを
付けたんですね。

Dillinger - Cocaine In My Brain - 1976 -リリック

「ヘイ!ジム!…ナイフにフォーク、ボトル
にコルク…。」
明らかにラリった状態を描いたようなこの
歌詞は世界中に拡散して、パンクの
アーティストなどからも支持を受ける
人気者となるんですね。

そうしたそれまでのディージェイとは
ひと味違うルーディなイメージを確立した
Dillingerですが、今回改めてこのアルバム
を聴いてみると、むしろこの「Cocaine In
My Brain」がアルバムの中でもちょっと
異質な曲で、他はルーツ期のディージェイ
らしいオーソドックスなトースティングを
しているんですね。
ただその独特なルーズでルーディなトース
ティングは、やはり魅力的なんですね。

Gregory Isaacsの「The Sun Shines For Me」
のリディムを使った表題曲の1曲目「CB 200」
から始まり、Rod Taylorのちょっと悲し気な
「Bad Man Comes And Goes」リディムを
使った2曲目「No Chuck It」、そして
ヒット曲の3曲目「Cocaine In My Brain」、
The Heptonesの「Love Me Girl」リディム
の4曲目「General」、Alexander Henryの
「Please Be True」リディムの5曲目
「Power Bank」、Mighy Diamondsの「I Need
Roof」リディムの6曲目「Plantation
Heights」、Sound Dimensionの「In Cold
Blood」リディムの7曲目「Race Day」、
「Hide & Seek」リディムの8曲目「Natty
Kick Like Lightning」、Alton Ellisの
「It's A Shameリディムの10曲目
「Crankface」、さらに11曲目からは
サード・アルバムからの曲で、表題曲の
11曲目「Bionic Dread」から、
The Techniquesの「Mood For Love」リディム
を使った12曲目「King Of The Road」、
Bob Andyの「Unchained」リディムを使った
15曲目「Ragnampiza 」、Leroy Smartの
「Ballistic Affair」リディムを使った
16曲目「Eastman Skank」、Mighty
Diamondsの「Poor Marcus」リディムの
19曲目「Selassie I」、The Wailing
Soulsの「Things And Time」リディムの
20曲目「Natty B. S. C.」まで、この
ルーツ期ならではの充実したトースティング
が楽しめるアルバムに仕上がっています。

2in1仕様のアルバムだけあって聴き応えは
充分です。

ちなみに今回のアルバムのうち「CB 200」
は、シンコー・ミュージック刊行のレゲエ本
「Roots Rock Reggae」にも紹介されている
アルバムです。

なお一応書いておくと、今回のアルバムは
「Cocaine In My Brain」など薬物を歌った
歌がありますが、そうしたドラッグや
覚せい剤、マリファナなどの幻覚作用のある
ものは、自分の人生を台無しにしてしまう
とても危険なものだと私は考えています。

たとえマリファナでも使えば人生が終わってしまう

実際に幻覚を見るようなものが、脳に影響が
ないとは言えないんですね。
よく「マリファナはタバコよりも害がない」
という人も居ますが、それはタバコに害が
あるというだけでマリファナに害がないと
いう事ではないんですね。
一度脳が壊れてしまうと、場合によっては
正常な生活や正常な人生が送れなくなって
しまいます。
誰かに誘われてもけっして薬物には手を
出さないでください。

私はレゲエという音楽は好きですが、
レゲエという音楽にある「マリファナ礼賛」
の思想は支持していません。
念のために書いておきます。

1~10曲目まではセカンド・アルバム
「CB 200」からの曲です。

1曲目は表題曲の「CB 200」です。
リディムはGregory Isaacsの「The Sun
Shines For Me」。
ベースを中心としたノビノビとした楽曲
に、Dillingerらしいルーズなトース
ティングがグッとくる曲です。

Dillinger - BC 200 - 01 - CB 200


2曲目は「No Chuck It」です。
リディムはRod Taylorの「Bad Man Comes
And Goes」。
リリカルなピアノとズシっとしたベースを
中心としたちょっと悲し気なメロディに、
Dillingerの流れるように軽快なトース
ティング。
ユッタリしたリズムに、ダブワイズも
キマった1曲。

3曲目は「Cocaine In My Brain」です。
書いたようにDillingerの世界的なヒット曲
で、リディムはソウル・グループPeople's
Choiceの「Do It Any Way You Wanna」
です。
聴いて解るようにディスコ調のナンバー
で、このアルバムの中でも特に異彩を
放っている1曲。
薬物中毒者のような歌詞も、パンクスに
人気を博した一因か?

Dillinger - Cokane In My Brain


4曲目は「The General」です。
リディムはHeptonesの「Love Me Girl」
ですが、この「The General」という
リディム名で知られています。
ギターのメロディに乗せた、エコーの
効いたトースティング。

Dillinger - CB 200 - 04 - The General


リズム特集 General (ジェネラル)

5曲目は「Power Bank」です。
リディムはAlexander Henryの「Please Be
True」。
ホーンとピアノのメロディに乗せた、明るい
トースティング。
イイ感じのダブワイズもキマっています。

6曲目は「Plantation Heights」です。
リディムはMighy Diamondsの「I Need
Roof」で、オリジナルはLarry Marshallの
「Mean Girl」。
ズシっとしたベースを中心に、合間良く
入ってくるホーン、Dillingerのキレのある
トースティングが魅力。

Plantation Heights - Dillinger


7曲目は「Race Day」です。
リディムはSound Dimensionの「In Cold
Blood」。
ダブワイズしたユラユラしたバックに、
呟くようにトースティングするDillinger
が魅力。

8曲目は「Natty Kick Like Lightning」
です。
解説文によるとTreasure Isleレーベルの
「Hide & Seek」というリディムのようです。
ピアノとベースを中心としたメロディに、
ちょっと酔っ払ったようなDillingerの
ラフなトースティングが印象的な曲です。

9曲目は「Buckingham Palace」です。
リリカルなピアノと重量感のあるベース
を中心とした演奏に、Dillingerらしい
ラフなトースティングが冴える曲です。

Dillinger - Buckingham Palace 1976


10曲目は「Crankface」です。
リディムはAlton Ellisの「It's A Shame」。
ギターを中心としたメロディに、
フライング・シンバルのビート、Dillinger
とTrinityの掛け合いも楽しい1曲。

11~20曲目まではサード・アルバム
「Bionic Dread」の曲が収められています。

11曲目は表題曲の「Bionic Dread」です。
ベースを中心としたホーンのダブワイズも
効いたバックに、Dillingerらしい滑らかな
トースティングが冴える曲です。

Dillinger - Bionic Dread - 01 - Bionic Dread


12曲目は「King Of The Road」です。
リディムはThe Techniquesの「I'm In The
Mood For Love」。
甲高いキーボード(シンセ?)のメロディ
にベース、Dillingerの滑らかなトース
ティングといった曲です。

リズム特集 Mood For Love (ムード・フォー・ラブ)

13曲目は「Invisible Dread」です。
ズシっとしたベースを中心とした演奏に、
こちらもDillingerらしいトースティング
が冴える曲です。

14曲目は「Forward 10 Commandments」
です。
こちらもド・渋なベースを中心とした
歯切れの良いリズムに、Dillingerらしい
表情豊かなトースティングが魅力的。

Dillinger - Forward Commandments


15曲目は「Ragnampiza」です。
リディムはBob Andyの「Unchained」。
語りからホーン・セクション、ベースを
中心としたミリタントなビート、Dillinger
の口舌滑らかなトースティングという曲
です。
ルーツらしいガツンっとした味わいのある
1曲。

Dillinger - Ragnampiza


16曲目は「Eastman Skank」です。
リディムはLeroy Smartの「Ballistic
Affair」。
軽快なオルガンのメロディにズシっと抑え
の効いたベース、Dillingerの滑らかな
トースティングという曲です。

リズム特集 Ballistic Affair/College Rock (バリスティック・アフェア/カレッジ・ロック)

17曲目は「Ital Fighting」です。
リディムはRoy Richardsの「Freedom
Blues」。
ホーンのイントロから、ベースとギターを
軸とした演奏に、Dillingerらしい流れる
ようなトースティング。

リズム特集 Freedom Blues (フリーダム・ブルース)

18曲目は「Combination Two」です。
キーボードとピアノのメロディにベース、
Dillingerの流れるようなトースティング
が魅力的。

19曲目は「Selassie I」です。
リディムはMighty Diamondsの「Them Never
Love Poor Marcus」、通称「Poor Marcus」
リディムです。
Channel Oneらしい飾り気を配した
ストイックなピアノのリディムに、
Dillingerらしい表情豊かなトースティング
が映える1曲。

Dillinger - Bionic Dread (76) - 09 - Selassie I


20曲目は「Natty B. S. C.」です。
リディムはThe Wailing Soulsの「Things
And Time」。
心地良いサックスのメロディに、ノリノリ
のDillingerの明るいトースティングが
魅力的。

リズム特集 Things & Time (シングス・アンド・タイム)

ざっと追いかけてきましたが、どちらの
アルバムもこの時代のDillingerの好調さ
がうかがえるアルバムで、内容はとても
良いと思います。
強いて挙げればやはり「CB 200」は、
Dillingerの代表作といえるアルバムの
ひとつと言えるでしょう。

このDillingerの活躍が、ディージェイの
トースティングという音楽をよりメジャー
なものにした功績は否定出来ません。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Dillinger
○アルバム: CB 200 + Bionic Dread
○レーベル: Island Records (Universal Music)
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1976, 1976

○Dillinger「CB 200 + Bionic Dread」曲目
(CB 200)
1. CB 200
2. No Chuck It
3. Cokane In My Brain
4. The General
5. Power Bank
6. Plantation Heights
7. Race Day
8. Natty Kick Like Lightning
9. Buckingham Palace
10. Crankface
(Bionic Dread)
11. Bionic Dread
12. King Of The Road
13. Invisible Dread
14. Forward 10 Commandments
15. Ragnampiza
16. Eastman Skank
17. Ital Fighting
18. Combination Two
19. Selassie I
20. Natty B. S. C.