今回はShineheadのアルバム

shinehead_01a

「Unity」です。

Shinehead(本名:Edmund Carl Aiken)は
80年代半ばから90年代に活躍した、
レゲエとヒップホップを融合したラガ・
ヒップホップ・スタイルで人気を博した
ディージェイです。
ネットのDiscogsを見ると、8枚ぐらいの
アルバムと40枚を超えるシングルを
リリースしています。

Shinehead - Wikipedia

今回のアルバムは1988年にUSの
Elektraというレーベルからリリースした
彼のセカンド・アルバムです。

プロデュースにはヒップホップのRun-D.M.C.
のJam Master Jayも参加したアルバムで、
The Beatlesの「Come Together」のリディム
を使った表題曲の「Unity」や、Bob Marleyの
ヒット曲「Who The Cap Fits」などが収め
られた、彼の代表作とも言えるアルバムです。

手に入れたのはElektraからリリースされた
CDの中古盤でした。

全10曲で収録時間は約44分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

All songs written by Edmund Carl Aiken
except Unity by Paul McCartney, John Lennon & Edmund Carl Aiken,
Chain Gang - Rap original words and music by Sam Cooke,
and Golden Touch written by Whitfield, Downing & Kenoly

Edmund Carl Aiken (Shinehead): Lead Vocals, Background Vocals (All songs),
Keyboards ("Who The Cap Fits","Golden Touch"), Bass ("Unity","Chain Gang - Rap"),
Drum Programming ("Hello Y'all","Do It With Ease","Gimme No Crack"and"Raggamuffin")
Wycliffe 'Steely' Johnson: Keyboards
Cleveland 'Cleavie' Browne: Drum Programming
"Hello Y'all","Know How Fe Chat","Who The Cap Fits" and "Golden Touch"
English Babbler: Piano
Mikey Chung: Guitar, Keyboards
Flabba Holt: Bass
Style Scott: Drums
Bingie Bunny: Rhythm Guitar
Cut Master Quick: Overdub Scratches

Produced by Claude Evans except "Unity"","Chain Gang - Rap" and "The Truth"
Produced by Jam Master Jay and Davy D. for Dee-Jay-Run Productions
Executive Producer: Claude Evans

Arranged by: Jason Mizell, Davy D., Claude Evans
Recorded at Ian London Studios, East Islip, NY
Engineer: Ken Wallace
Assistant Engineers: Mike Hogan, Franklyn Grant
LP Mastered by: Herb Powers at Frankford Wayne
Art direction: Carl Bobolts
Photography: Ken Collins

となっています。

全ての曲の作曲はEdmund Carl Aiken
(Shinehead)ですが、1曲目「Unity」は
The Beatlesのaul McCartneyとJohn Lennon
の曲にEdmund Carl Aikenの歌詞を載せた
もので、2曲目「Chain Gang - Rap」は
ソウル・シンガーSam Cookeの楽曲を編曲
したもの、10曲目「Golden Touch」は
ソウル・グループRose RoyceのWhitfieldと
Downing、Kenolyの作曲となっています。

ミュージシャンは、リード・ヴォーカルと
バック・ヴォーカル、9曲目「Who The Cap
Fits」と10曲目「Golden Touch」の
キーボード、1曲目「Unity」と2曲目
「Chain Gang - Rap」のベース、4曲目
「Hello Y'all」と5曲目「Do It With
Ease」、6曲目「Gimme No Crack」、7曲目
「Raggamuffin」のドラム・プログラミング
をEdmund Carl Aiken (Shinehead)ガ担当し、
キーボードにWycliffe 'Steely' Johnson、
ドラム・プログラミングにCleveland
'Cleavie' Browneが担当しています。
4曲目「Hello Y'all」と8曲目の「Know
How Fe Chat」、9曲目「Who The Cap Fits」
と10曲目「Golden Touch」の演奏は、
ピアノにEnglish Babbler、ギターと
キーボードにMikey Chung、ベースに
Flabba Holt、ドラムにStyle Scott、
リズム・ギターにBingie Bunny、オーヴァー
ダブ・スクラッチにCut Master Quickという
布陣です。
まとめると4曲目と8~10曲目の演奏が
Roots Radicsのメンバーと思われる布陣で、
残りの曲がSteely & Cleavieがバックを担当
しているようです。

1曲目「Unity」と2曲目「Chain Gang -
Rap」、3曲目「The Truth」のプロデュース
がJam Master JayとDavy D.で、残りの曲が
Claude Evansのプロデュースです。
エグゼクティヴ・プロデューサーはClaude
Evans。

アレンジはJason MizellとDavy D.、Claude
Evansで、炉コーディングはニューヨーク
にあるIan London Studiosで行われ、
エンジニアはKen Wallaceが担当し、
アシスタント・エンジニアはMike Hoganと
Franklyn Grantが担当しています。

アート・ディレクションはCarl Bobolts、
写真はKen Collins。
表じゃけはおそらくニューヨークと思わ
れるビルの廃墟の前にたたずむ、大きな
サングラスに坊主頭、赤いジャケットの
Shineheadの写真が使われています。

さて今回のアルバムですが、レゲエとヒップ
ホップの融合したラガ・ヒップホップの
Shineheadらしいアルバムで、ポピュラリティ
もあり聴き心地は悪くありません。

もともとヒップホップのラップは、レゲエ
のディージェイI Royなどのトースティング
に影響を受けて、アメリカで誕生した音楽
なんですね。
70年当時に曲の中で歌うではなく喋ると
いうレゲエの生んだディージェイという
スタイルは、画期的な発明だったんです
ね。
そのディージェイというスタイルに触発
されて、アメリカで誕生したのがヒップ
ホップのラップというスタイルで、この
スタイルは瞬く間に火が着き、世界的な
音楽に発展して行きます。

ヒップホップ - Wikipedia

そのためI Royは「元祖ラッパー」と言われる
事があるんですね。

そうしたラップが今度はジャマイカの
アーティストに影響を与え、誕生したのが
このShineheadのラガ・ヒップホップ・
スタイルなんですね。
正直なところこうしたスタイルは私のように
70年代のルーツレゲエや80年代前半の
アーリー・ダンスホールばかり聴いている
人間には、リズムも横ノリではなく縦ノリ
だしちょっと馴染みのないものですが、
そうして他の音楽を取り入れて行く意欲は
やはり高く評価すべきものがあります。
そうした貪欲さがジャマイカの音楽を
スカからロックステディへ、ルーツ・レゲエ
へ、アーリー・ダンスホールへ、デジタル
のダンスホールへと、次々と変貌させて
行ったんですね。
そうした進化が「生きている音楽」として
必要な事で、そうした進化が止まると音楽は
型にハマった「昔の音楽」となってしまうん
ですね。

そうした意欲的なShineheadのアルバムです
が、聴いた印象としてもレゲエのフィールド
というよりもインターナショナルな
フィールドを狙ったのかポピュラリティの
ある音楽で、その分軽目の音楽といった印象
です。
またデジタルのダンスホール・レゲエ以降の
傾向ですが、リズムのノリもユッタリとした
横ノリではなくリズミカルな縦ノリなんです
ね。
良くも悪くもレゲエが持っているコアな
ディープさとは色彩が違うんですね。
そのあたりはかなり好き嫌いが分かれるかも
しれません。

ただそうした事も含めて今回のアルバムは
Shineheadの代表作で、表題曲のThe Beatles
の「Come Together」のリディムを使った
「Unity」や、アメリカの英雄とも言える
60年代に反骨精神のある歌を作った
ソウル・シンガーSam Cookeの歌詞を使った
2曲目「Chain Gang - Rap」、リズミカルな
ヒップホップらしいリズムの3曲目
「The Truth」、自らのヒット曲の別テイク
「African Beat」リディムの7曲目
「Raggamuffin」、「Sleng Teng」リディム
の8曲目「Know How Fe Chat」、Bob Marley
のヒット曲9曲目「Who The Cap Fits」、
ソウル・グループRose Royceのヒット曲
10曲目「Golden Touch」と、
ポピュラリティのある魅力的なアルバムに
仕上がっています。

前半の1~3曲目まではヒップホップ・
グループRun-D.M.C.のJam Master Jayが
プロデュースした曲が並んでいます。

1曲目は表題曲の「Unity」です。
あのThe Beatlesのヒット曲「Come
Together」のリディムを使った曲です。
誰でも知っているポピュラリティのある
メロディに、Shineheadらしいトース
ティング(ラップ?)が魅力的。

Shinehead - unity


2曲目は「Chain Gang - Rap」です。
オリジナルは60年代に活躍したソウル・
シンガーSam Cookeの楽曲のようです。
それを完全にラップのノリに編曲して
います。

"Chain Gang-Rap" - Shinehead


3曲目は「The Truth」です。
ノリの良いヒップホップのリズムの1曲。
Shineheadのトースティング(ラップ?)も
ノリノリです(笑)。

4曲目は「Hello Y'all」です。
こちらの聴き覚えのあるリディムですが、
特定出来ませんでした。
ノリノリのShineheadのトースティング
(ラップ?)が素晴らしいです。
後半には口笛の後にThe Tokensのヒット曲
「The Lion Sleeps Tonight」のメロディ
も入ります。

Shinehead: Hello Y'all (Dancehall Reggae)


5曲目は「Do It With Ease」です。
デジタルらしいリズミカルな楽曲に、
Shineheadらしい心地良いトースティング。

6曲目は「Gimme No Crack」です。
デジタルらしいリズムかるなメロディに、
ちょっと早口なトースティング。

7曲目は「Raggamuffin」です。
リディムは「African Beat」。
彼のヒット曲の再演らしいです。
リズミカルなピアノのメロディに乗せた、
Shineheadの軽快なトースティングが、
心地良い1曲。

shinehead - raggamuffin(African Beat Riddim)


リズム特集 African Beat/Under Mi Sensi (アフリカン・ビート/アンダー・ミ・センシ)

8曲目は「Know How Fe Chat」です。
リディムはWayne Smithの「Sleng Teng」。
こちらはデジタルらしい感性の中に、
ちょっと重い陰影を感じる曲です。

リズム特集 Sleng Teng (スレンテン)

9曲目は「Who The Cap Fits」です。
ご存知Bob Marleyのヒット曲ですが、ネット
のRiddimguideを調べると「Tempo」と出て
来たので、そのリディムも隠れているよう
です。
デジタルのシンセによる重いリズムに、
Shineheadの滑らかなトースティングが
冴える曲です。

Shinehead, Who the Cap Fit. (Reggae)


リズム特集 Tempo (テンポ)

10曲目は「Golden Touch」です。
ソウル・グループRose Royceのヒット曲
「Golden Touch」ですが、こちらもネット
のRiddimguideではJohn Holtのヒット曲
「Love I Can Feel」のリディムと出て
来ました。
締めの1曲ですが、こちらはShineheadの
ソフトなヴォーカルが魅力的な曲です。
シッカリと歌も歌えるのが、この人の強み
なのかもしれません。

Shinehead - Golden Touch(A Love I Can Feel Riddim)


リズム特集 Love I Can Feel (ラブ・アイ・キャン・フィール)

ざっと追いかけて来ましたが、コアな
レゲエ好きには今ひとつという所がある
かもしれませんが、普通にポピュラーの
アルバムとして聴いてもなかなかよく出来た
アルバムで、内容は悪くないんですね。
90年代に入るとShabba Ranksなど多くの
アーティストが世界に進出して行きますが、
それより早いこの88年にこれだけの
アルバムを作っていた事は、やはり褒めない
訳にはいきません。

実はこうして音楽がデジタル化する事で、
レゲエだラップだという音楽のジャンルや
スタイルは、手軽にパソコン上で疑似的な
楽器が使える事で徐々に崩れて行くんです
ね。
今の音楽がどのジャンルでも似たような音楽
になって来ているのは、パソコン上でどんな
音楽も手軽に作れるようになった為なんです
ね。
今回のアルバムはそうしたDTMのクロス・
オーヴァーも、どこか感じさせるアルバム
でもあります。

機会があれば聴いてみて下さい。


○アーティスト: Shinehead
○アルバム: Unity
○レーベル: Elektra
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1988

○Shinehead「Unity」曲目
1. Unity
2. Chain Gang - Rap
3. The Truth
4. Hello Y'all
5. Do It With Ease
6. Gimme No Crack
7. Raggamuffin
8. Know How Fe Chat
9. Who The Cap Fits
10. Golden Touch

●今までアップしたShinehead関連の記事
〇Shinehead「Sidewalk University」