今回はLucky Dubeのアルバム

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「Prisoner」です。

Lucky Dube(本名:Lucky Philip Dube)は
南アフリカ出身のレゲエ・シンガーです。
もともとは南アフリカのズールーの音楽を
起源とする音楽「ムバカンガ」の歌手として
キャリアをスタートさせ人気歌手となった
彼ですが、Peter ToshやBob Marleyなどの
プロテスト色の強いレゲエに影響を受け、
レゲエ・シンガーへと転身し人気のレゲエ・
シンガーとなって行くんですね。
25年の活動歴で、約22枚のアルバムを
発表しています。

2007年に強盗に襲われ殺害されています。

ラッキー・デューベ - Wikipedia

今回のアルバムは1989年に南アフリカの
Gallo Record Companyというレーベルから
リリースされた、彼のソロ・アルバムです。

Peter ToshやBob Marleyの影響を感じさせる
プロテスト色の強い内容のアルバムで、表題
曲の「Prisoner」や「War And Crime」、
「Dracula」などメッセージ色の強く出た曲
が多く収められたアルバムになっています。

手に入れたのはShanachieレーベルから
リリースされたCDの中古盤でした。

全8曲で収録時間は約37分。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

All tunes published by Gallo Music Publishers
Produced: Richard Siluma
Engineer: Dave Segal
Front Cover Design: Frederick Carlson
Degital Mastering: Robert Vosgien, CMS Digital, California

という記述があります。

さて今回のアルバムですが、Lucky Dubeが
レゲエ・シンガーに転向して、87年の
「Slave」、88年の「Together As One」に
続く3枚目のアルバムで、内容はなかなか
悪くありません。

Bob MarleyやPeter Toshなどのインター
ナショナルに活躍したルーツ・レゲエの
アーティストに強く影響を受けたのが、この
Lucky Dubeをはじめとするアフリカン・
レゲエ・アーティストなんですね。
ラスタファリズムのアフリカ回帰思想の影響
などもあり、アフリカ色の強い音楽を創造
したのがジャマイカのレゲエという音楽です
が、そのレゲエの持つプロテスト色の強い
歌詞に触発されたのが、アフリカのレゲエ・
アーティスト達なんですね。
彼らはレゲエにアフリカのリズムを取り
入れて、さらにアフリカ色の強い音楽を作り
上げて行くんですね。
アフリカン・レゲエ・アーティストの多くが
バックに女性コーラスを付けているのは、
Bob Marley & The Wailersがバック・コーラス
にI Threeを付けていたスタイルを模倣した為
だと言われています。
今回のアルバムでもLucky Dubeはバックに
女性コーラスを付けたスタイルで、歌って
いるんですね。

またこのLucky Dubeは、特にPeter Toshの
影響が強く感じられるシンガーなんですね。
レゲエの中でももっとも過激に黒人の平等の
権利を主張した男、それがPeter Toshなん
ですね。
そのPeter Toshに影響を受けたLucky Dubeの
音楽も、やはりプロテスト色の強いものなん
ですね。
タイトル曲になっている「Prisoner」は、
子供の頃に「貧困を無くすには教育が大切
だ」と言われた主人公が、大きくなって
犯罪者となり刑務所に入れられるという
ストーリー。
政府は学校でなく刑務所ばかりを作っている
と、体制を批判した内容です。
そうした歌詞には正義を貫こうとした、
真っ直ぐ過ぎるほど真っ直ぐなPeter Tosh
の「魂」が宿っているんですね。
ある意味Peter ToshやBob Marleyの歌った
プロテスト・ソングとしてのレゲエを、
もっともよく継いでいるのがこのLucky Dube
をはじめとするアフリカン・レゲエの
アーティストなんですね。

そうした姿勢からアフリカン・レゲエの
アーティストがレゲエ・フェスティバルの
トリを務める事もけっこうあったようで、
あのBunny Wailerが前座でLucky Dubeが
大トリという事もあったそうです。

1曲目は「War And Crime」です。
いかにもアフリカン・レゲエらしい乾いた
ドラミングからギターのメロディ、Lucky
Dubeの語るようなヴォーカルに女性コーラス
という曲です。
内容は深刻でも、カラッとした魅力のある
曲です。

2曲目は「Prisoner」です。
書いたように学校ではなく刑務所が作られ
ていると歌った曲です。
乾いたドラミングに伸びやかなLucky Dube
のヴォーカル。
漂うようなシンセのメロディと女性コーラス
に乗せた、Lucky Dubeの力強いヴォーカル
が冴えます。

Lucky Dube - Prisoner


3曲目は「False Prophets」です。
「間違った預言者」と題された曲です。
心地良いドラミングから華やかなホーン、
Lucky Dubeの表情豊かなヴォーカルに
コーラス・ワーク。

4曲目は「Remember Me」です。
美しい女性コーラスからユッタリとした
シンセのメロディに乗せた、Lucky Dubeの
ヴォーカル。

5曲目は「Jah Live」です。
明るいホーン・セクションとギターの
メロディにコーラス・ワーク、Lucky Dube
のよく通るヴォーカルも冴える、スケール
感のある優しい曲です。

LUCKY DUBE JAH LIVE


6曲目は「Dracula」です。
不思議な唸り声や語り、笑い声から始まる
曲です。
刻むようなギターのフレーズにタイトな
ドラミング、それに乗せたLucky Dubeの
伸びやかなヴォーカルにコーラス・
ワーク。
ギター・ソロも入った華やかな1曲。

Lucky Dube - DRACULA


7曲目は「Reggae Strong」です。
心地良いドラミングにシンセのメロディ、
伸びやかなLucky Dubeのヴォーカル。

8曲目は「Don't Cry」です。
乾いたドラミングにシンセとホーンの
メロディ、説得力のあるLucky Dubeの
ヴォーカル。

Lucky Dube - Don't Cry


ざっと追いかけてきましたが、乾いた
ドラミングと女性コーラスに乗せた
Lucky Dubeのヴォーカルは、力強くとても
魅力的です。
このシンガーがアフリカの人々の心を捉えた
のは、けっしてラッキーだったからという
訳ではないんですね。
彼の歌う曲は多くの圧政に苦しむアフリカ
の人々を力づけ、そして鼓舞したんだと思い
ます。

そんな彼がまるで彼が憧れたPeter Toshと
同じような、強盗を装った暗殺とも思われる
ような亡くなり方をしてしまった事は非常に
残念です。
ただそれでも彼の残した歌は、今もアフリカ
の多くの人々を勇気づけ続けているのかも
しれません。

私は彼らの歌を聴くと、初めてBob Marley
を聴いた頃の熱い気持ちが蘇ってくる思い
がするんですね。
ある意味でもっともよくレゲエという音楽
を継いでいるのは、彼らアフリカン・
レゲエ・アーティストなのかもしれません。
彼らの歌にはレゲエとして忘れては
ならない、「魂」のようなものがあり
ます。

機会があればぜひ聴いてみて下さい。

lucky dube war and crime live



○アーティスト: Lucky Dube
○アルバム: Prisoner
○レーベル: Shanachie
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1989

○「Prisoner」曲目
1. War And Crime
2. Prisoner
3. False Prophets
4. Remember Me
5. Jah Live
6. Dracula
7. Reggae Strong
8. Don't Cry