今回はThe Mighty Diamondsのアルバム

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「When The Right Time Come I Need A Roof」です。

The Mighty Diamondsは70年代のルーツ・
レゲエの時代から80年代のダンスホールの
時代に活躍したコーラス・グループです。
リード・ヴォーカルのDonald 'Tabby' Shaw
を中心にコーラスのLloyd 'Judge' Ferguson
と Fitzroy 'Bunny' Simpsonからなる3人組
のグループで、1976年にアルバム
「When The Right Time Come (I Need A
Roof)」で、The Revolutionarieの攻撃的な
ミリタント・ビートと美しいコーラスで
デビューし、その後も活躍を続けた
コーラス・トリオとして知られています。

アーティスト特集 Mighty Diamonds (マイティ・ダイアモンズ)

今回のアルバムは1976年にジャマイカ
のChannel One傘下のレーベルWell Charge
からリリースされた、彼らのファースト・
アルバムです。

バックのThe Revolutionarieの攻撃的な
ミリタント・ビートに乗せた、彼らならでは
の美しいコーラス・ワークがウリのアルバム
で、タイトルにもなった「Right Time」や
「I Need A Roof」の他、「Shame And Pride」
や「Them Never Love Poor Marcus」、
「Have Mercy」、「Africa」など、すべての
曲が名曲と言って良いほど充実した内容の
アルバムです。

手に入れたのはChannel Oneからリリース
されたCDの中古盤でした。

ちなみに今回のファースト・アルバムは
ジャマイカ国内でリリースされた時の
タイトルはこのタイトルですが、Virgin
レーベルから世界的にリリースされた時の
タイトルは単に「Right Time」となって
おり、ジャケットも変更されています。

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The Mighty Diamonds ‎– Right Time (1976)

全13曲で収録時間は約44分。
オリジナルは10曲で、残りの3曲はCD
ボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Recorded at: Channel One Recording Studio
Remixed at: Channel One Recording Studio
Engineer: Ernest Hoo Kim, Ossie
Produced by: Joseph Hoo Kim

Lead Vocal: Lloyd Ferguson (Judge)
Lead Vocal: Donald Shaw (Tabby)
Harmony voices: Fitzroy Simpson (Bunny)

Special Thanks to The Musicians:
Drums: Sly, Hossie
Bass: Ranchie, Robbie
Lead Guitar: Rad Bryan (Doggie), Tony
Keyboards: Ansel Collins, Ossie
Percussion: Sticky
Alto Sax: Marques
Tenor Sax: Tommy McCook
Trombone: Don D Junior

となっています。

レコーディングとリミックスはChannel One
Recording Studioで、エンジニアは
Ernest Hoo KimとOssie、プロデュースは
Joseph Hoo Kimとなっています。

The Mighty Diamondsのメンバーは、リード・
ヴォーカルにLloyd Ferguson (Judge)と
Donald Shaw (Tabby)、ハーモニーに
Fitzroy Simpson (Bunny)
という布陣です。

バックのミュージシャンはドラムにSly Dunbar
とHossie(Leroy 'Hosemouse' Wallace)、
ベースにRanchie McLeanとRobbie Shakespeare、
リード・ギターにRad Bryan (Doggie)と
Tony Chin、キーボードにAnsel Collinsと
Ossie Hibbert、パーカッションにSticky、
アルト・サックスにHerman Marques、テナー・
サックスにTommy McCook、トロンボーンに
Don D Junior(Vin Gordon)という布陣です。

ちなみにVirgin盤の「Right Time」の方には、
ドラムにもうひとりBenbowという名前があり
ます。

さて今回のアルバムですが、The Mighty
Diamondsの作り出す美しいコーラス・ワーク
と、バックのThe Revolutionariesの生み出す
攻撃的なミリタント・ビートの組み合わせ
は、このルーツ・レゲエという音楽ならでは
の独特なメロー&ハードな音楽を作り上げて
おり、他の音楽では味わう事の出来ない
唯一無二のの世界観なんですね。

それを生み出しているのはやはりこの
The Mighty Diamondsならではの洗練された
コーラス・ワークで、他のコーラス・
グループのレゲエらしいザラザラとした
コーラス・ワークとは違う、まるでソウルの
コーラスか?と聴きまごうほどの統制感の
取れた高度なコーラス・ワークなんですね。
レゲエの場合はリード・ヴォーカルに重点を
置いた脇役的なコーラスが多いのですが、
彼らの場合はそのコーラス・ワークそのもの
が主役といった印象です。
これほど高度なコーラスを駆使するグループ
は他にはなかなか無く、しいて挙げれば
全盛期のThe Wailersぐらいのものなのかな
と思います。

そうしたThe Mighty Diamondsのコーラス・
ワークを盛り上げているのが、バックの
The Revolutionariesの攻撃的なミリタント・
ビートの演奏と、ミックスを担当した
Ernest Hoo Kimの無駄を削ぎ落とした禁欲的
なミックスです。
Sly Dunbarを中心としたThe Revolutionaries
の叩き出す、マーティング・バンド風の攻撃
的なミリタント・ビート(別名:ロッカーズ)
の演奏は、この70年代後期のルーツ・
レゲエの華なんですね。
そのThe Revolutionariesの魅力をうまく引き
出したのが中国系ジャマイカ人のミキサー
Ernest Hoo Kimで、黒人の感性とは一味違う
余分なものを一切排した禁欲的なミックス
は、この時代の他のレゲエとは一味違った、
異質な個性を放っています。
その特異な個性がChannel Oneを、この時代
のトップ・レーベルに押し上げたと言える
かもしれません。

そのChannel Oneのアルバムの中でも今回の
アルバムは、その完成度の高さからChannel
Oneの代表作のひとつと言える作品なんです
ね。

今回のアルバムは彼らの代表曲ともいえる曲
が多く収録されているアルバムで、その事
から見ても彼らのファーストにして彼ら自身
の代表作のひとつともいえるアルバムなん
ですね。
1曲目のリリカルなピアノから始まる表題曲
「Right Time」から始まり、ホーンの
メロディからロックステディを思わせる
ようなメロディに乗せたコーラス・ワークが
見事な3曲目「Shame And Pride」、ピアノ
のリリカルなメロディに彼らのコーラス・
ワークが冴えまくる5曲目「Them Never Love
Poor Marcus」、そしてもうひとつの表題曲で
あるLarry Marshallの「Mean Girl」リディム
の6曲目「I Need A Roof」、ホーンの
メロディから美しいファルセット・ヴォイス
を中心とした7曲目「Go Seek Your Rights」、
ロックステディのコーラス・グループ
The Cablesの「Baby Why」リディムの8曲目
「Have Mercy」、Big Willeの「College
Rock」リディムの9曲目「Natural Natty」、
そして彼らのコーラス・ワークが冴えまくる
壮大な名曲「Africa」まで、鳥肌が立つほど
の名曲揃いのアルバムです。

ちなみに今回のアルバムはシンコー・
ミュージック刊行の本「Roots Rock Reggae」
でも紹介されているアルバムです。

1曲目は表題曲のひとつ「Right Time」
です。
ギターとズシッとしたベースを中心とした
メロディに、リリカルなピアノ、ノビのある
ヴォーカルにThe Mighty Diamondsらしい
コーラス・ワーク。
彼らの時代の幕開けを告げる1曲です。
「審判の時が来ても正しく生きて来た
ナッティ・ドレッドは逃げない」そう歌う
歌詞には、彼らの生き方が刻まれています。

Mighty Diamonds right time


マイティ・ダイアモンズ(Mighty Diamonds) - Right Time - リリック

2曲目は「Why Me Black Brother? Why?」
です。
心地良いミリタント・ビートのオルガンの
メロディに、彼らの美しいコーラス・ワーク
の素晴らしさが際立つ曲です。。

3曲目は「Shame And Pride」です。
ホーンのメロディから始まる曲で、ロック
ステディの甘いメロディを思わせる曲です。
リード・ヴォーカルのちょっと甘い
ヴォーカルに、寄り添うように入って来る
コーラス・ワークが絶妙でキラー。

The Mighty Diamonds - Shame and Pride


4曲目は「Gnashing Of Teeth」です。
ズシッとしたベースにピアノのリリカルな
メロディ、ユッタリとしたヴォーカルに
まるでお喋りするようなコーラス・ワーク。
遊び心も入った、楽しい曲です。

5曲目は「Them Never Love Poor Marcus」
です。
貧しい時代のラスタファリズムの理論的な
指導者Marcus Garveyを歌った曲です。
まるで囁くように自由なコーラス・ワーク、
リリカルなピアノにピュアなヴォーカル。
彼らのヴォーカルの魅力が、具体的にすごく
よく解る曲です。

Them Never Love


6曲目はもうひとつの表題曲「I Need A
Roof」です。
リディムはLarry Marshallの「Mean Girl」。
ギターとベース、ホーンのメロディに、ノビ
のあるヴォーカルとコーラス・ワークが
絡んだ曲です。

The Mighty Diamonds - I Need A Roof


7曲目は「Go Seek Your Rights」です。
ミリタントなビートにホーン・セクション
のメロディ、ファルセットなヴォーカルに
コーラス・ワークが良い味を出している曲
です。

The Mighty Diamonds - Go Seek Your Rights


8曲目は「Have Mercy」です。
リディムはロックステディの時代の
コーラス・グループThe Cablesの
「Baby Why」。
心地良いミリタント・ビートに乗せた
リリカルなピアノに、丁寧に歌うヴォーカル
とコーラス・ワーク。

マイティ・ダイアモンズ(Mighty Diamonds) - Have Mercy - リリック

9曲目は「Natural Natty」です。
リディムはBig Willeの「College Rock」と
して知られる曲で、オリジナルはJackie
Mittooの「Freak Out」という曲です。
疾走感のあるシンセのメロディにホーン、
丁寧なヴォーカルにタイミングの良い
コーラス。
リズミカルなメロディが心地良い曲です。

リズム特集:Ballistic Affair/College Rock (バリスティック・アフェア/カレッジ・ロック)

10曲目は「Africa」です。
こちらも彼らThe Mighty Diamondsの代表曲
のひとつです。
ほーのメロディからズシッとしたベースに
ギターのメロディ、堂々とした落ち着いた
ヴォーカルにファルセットな美しい
ハーモニー。
彼らのコーラス・グループとしての
素晴らしさが、実感できる曲です。

Mighty Diamonds Africa


11~13曲目までの残りの3曲は、
オリジナルにはないCDボーナス・トラック
が収めれらていますが、ここでは省略します。

ざっと追いかけて来ましたが、彼ら
The Mighty Diamondsのアルバムの中でも、
このアルバムのコーラス・ワークは群を
抜いているんですね。
というのもこのアルバムの次のセカンド・
アルバム「Ice On Fire」では、彼らは
ニューオーリンズのミュージシャンをバック
に自慢のコーラス・ワークで勝負している
んですが、残念ながらそのアルバムは商業的
には失敗しているんですね。

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Mighty Diamonds ‎– Ice On Fire (1977)

それ以降彼らのコーラス・ワークは、従来の
ルーツ・コーラス・グループ寄りのリード・
ヴォーカルを中心としたコーラスに微妙に
軌道修正をしているんですね。
彼らのコーラスはそれでも充分に素晴らしい
のですが、ただ今の時点で聴いてもこの
アルバムの彼らのコーラス・ワークがレゲエ
という枠組みを超えたさらに素晴らしい地点
まで達していた事が解ります。

レゲエ・コーラス・グループの最高峰の1枚
が、このアルバムなんですね。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: The Mighty Diamonds
○アルバム: When The Right Time Come I Need A Roof
○レーベル: Channel One
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1976

○The Mighty Diamonds「When The Right Time Come I Need A Roof」曲目
1. The Right Time
2. Why Me Black Brother? Why?
3. Shame And Pride
4. Gnashing Of Teeth
5. Them Never Love Poor Marcus
6. I Need A Roof
7. Go Seek Your Rights
8. Have Mercy
9. Natural Natty
10. Africa
(CD Bonus Tracks)
11. Plastic World
12. There's No Me Without You
13. Praise Is All We Get

●今までアップしたMighty Diamonds関連の記事
〇Mighty Diamonds「...Tell Me What's Wrong」
〇Mighty Diamonds「Deeper Roots (Back To The Channel)」
〇Mighty Diamonds「Get Ready」
〇Mighty Diamonds「Go Seek Your Rights」
〇Mighty Diamonds「Ice On Fire」
〇Mighty Diamonds「Inna De Yard」
〇Mighty Diamonds「Planet Earth & Planet Mars Dub」
〇Mighty Diamonds「Right Time」
〇Mighty Diamonds「Stand Up To Your Judgement」
〇Mighty Diamonds「The Roots Is There」