今回はThe Heptonesのアルバム

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「On Top」です。

The Heptonesはロックステディの時代から
ルーツ・レゲエの時代に活躍した、リード・
ヴォーカルのLeroy Sibbles、コーラスの
Earl MorganとBarry Llewelynからなる、
3人組のコーラス・グループです。

特にロックステディの時代の彼らの人気は
凄まじく、彼らのアルバム「On Top」は、
ジャマイカで今までで一番売れたアルバム
と言われています。
「Party Time」や「Prety Looks Is't All」
など彼らの残した多くの楽曲は、今の時代に
至るまで多くのアーティストに使われ続け、
ファウンデーション・リディムとして愛され
続けているんですね。

またリード・ヴォーカルのLeroy Sibblesは
多才な人で、ベーシストとして当時の
Studio Oneのバック・バンドSoul Vendors
やSound Dimensionなどで活躍しています。

そんなThe Heptonesですが、その後は
ルーツの時代にヒット曲は出したものの
徐々に失速し、一時期Leroy Sibblesが脱退
し、Naggo Morrisが加入してリード・
ヴォーカルをとっていた時代もありました。
後にまたLeroy Sibblesが戻り、元の編成に
戻っています。

アーティスト特集 Heptones (ヘプトーンズ)

今回のアルバムはジャマイカがまだロック
ステディの時代だった1968年に
Studio Oneレーベルからリリースされた
アルバムです。

書いたようにジャマイカでもっともよく
売れたアルバムと言われているアルバムで、
「Equal Rights」や「Heptones Gonna
Fight」、「I Hold The Handle」、
「Pretty Looks Isn't All」、「Party
Time」など、彼らの代表曲が並ぶアルバム
です。
彼らの代表作と言うだけではなく、ロック
ステディの代表的なアルバムとしてもよく
知られています。

手に入れたのはStudio Oneからリリース
されたCDの(新盤)でした。
オリジナルの12曲に加えてCDボーナス・
トラック3曲がプラスされた、全15曲入り
のアルバムでした。

全15曲で収録時間は約44分。
オリジナルは12曲で、7曲目「A Change
Is Gonna Come」と、8曲目「When You Are
Down」、15曲目「Oil In My Lamp」の
3曲はCDボーナス・トラックです。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

Produced by Clement 'Sir Coxon' Dodd
Recording Engineer: Sylvan Morris
Recorded at Jamaica Recording & Publishing Studios Ltd.

Photography: Jackie Estick
Designed by O'Neil Nanco

という記述があります。

プロデュースはStudio Oneレーベルの主催者
'Sir Coxon' Doddで、レコーディング・
エンジニアはSylvan Morrisが担当し、録音
はJamaica Recording & Publishing Studios
で行われています。

ジャケット写真はJackie Estick、アルバム・
ジャケットのデザインはO'Neil Nancoが
行っています。

さて今回のアルバムですが、ロックステディ
やルーツ・レゲエの好きな人、レゲエを
幅広く聴きたい人などは、絶対に押さえて
おきたいアルバムだと思います。

驚くべきはその音楽の質で、レゲエの前身の
ロックステディの時代の60年代後半の
アルバムなので、まだチャンネル数も少なく
多少音質の悪いところはありますが、その
作り上げている音楽は後に「レゲエの
モータウン」と呼ばれたStudio Oneだけ
あって、かなり濃厚でさすが!と唸るような
アルバムなんですね。
このロックステディという音楽はスローで
甘いメロディが特徴の音楽ですが、リード・
ヴォーカルのLeroy Sibblesの甘い
ヴォーカルに、蕩けるようなコーラス・
ワークは、この時代の中でも最上の音楽を
提供しています。
このアルバムがジャマイカで一番売れた
アルバムというのも、あながち間違って
いないのではないかと思われる内容なんです
ね。

彼ららしい元気のあるコーラス・ワークの
1曲目「Equal Rights」から始まり、凝った
メロディが面白い2曲目「Pure Sorrow」、
ダンスホールの時代になってもそのリディム
が愛された、彼らのテーマ曲3曲目
「Heptones Gonna Fight」、渋めの佳曲
4曲目「I Hold The Handle」、隠れ名曲
ともいえる10曲目「We Are In The Mood」、
オリジナルは50年代のPhil Phillipsの
ポピュラーのヒット曲11曲目「Sea Of
Love」、多くのミュージシャンに愛された
スウィートなリディムの12曲目
「Pretty Looks Isn't All」、名リディム
としてよく知られている「Party Time」
など、捨て曲ナシの素晴らしい楽曲が
そろったアルバムです。

1曲目は「Equal Rights」です。
後にDennis Drownなどもカヴァーしている
The Heptonesの名曲のひとつです。
タイトル通り「平等の権利」が欲しいと
訴える、ジャマイカらしい歌詞の曲です。
(同タイトルのPeter Toshの曲とは同名
異曲です。)
賑やかなホーンのメロディから始まる、
蕩けるようなコーラス・ワークが魅力的。

The Heptones - Equal Rights (Coxsone)


2曲目は「Pure Sorrow」です。
こちらも華やかなホーンのイントロから、
ピアノやギターのメロディに乗せた
Leroy Sibblesのヴォーカルとコーラス・
ワークが冴える曲です。

The Heptones ✩ Pure Sorrow


3曲目は「Heptones Gonna Fight」です。
元気のある彼らThe Heptonesのテーマ曲
です。
後のアーリー・ダンスホールの時代に、
Michael Prophetが「Fight It To The Top」
というタイトルで、リディムをヒットさせて
いる事でも知られています。
こちらも賑やかなホーンから、Leroy
Sibblesのファルセット気味の伸びのある
ヴォーカルとコーラス・ワークが見事な曲
です。

The Heptones / Heptones Gonna Fight


リズム特集 Heptones Gonna Fight (ヘップトーンズ・ゴナ・ファイト)

4曲目は「I Hold The Handle」です。
ルーツの時代にもThe Heptones自身が
セルフ・カヴァーしている渋めの名曲です。
こちらもホーンとギターのメロディに、
ヴォーカルとコーラス・ワークが夢心地の
世界を作っている曲です。

Heptones - I've Got The Handle


5曲目は「My Baby Is Gone」です。
ギターとサックスのメロディに、コーラス・
ワークに乗せた、Leroy Sibblesの蕩ける
ようなヴォーカルが魅力的。

6曲目は「Soul & Power」です。
ユッタリしたホーン・セクションのメロディ
に、声を張ったLeroy Sibblesのヴォーカル
にスウィートなコーラス・ワーク。

7曲目は「A Change Is Gonna Come」です。
こちらはオリジナルにはない、CDボーナス・
トラックです。
タイトルを見るとSam Cookeのあの曲?と思い
ますが、別の曲のようです。

8曲目は「When You Are Down」です。
こちらはオリジナルにはない、CDボーナス・
トラックです。

9曲目は「Take Me Darling」です。
ギターのメロディに乗せた、スウィートな
ヴォーカルの曲です。

10曲目は「We Are In The Mood」です。
スローなホーンのメロディから、Leroy
Sibblesらしい蕩けるようなヴォーカルが
印象的な曲です。

The Heptones We are in The Mood


リズム特集 We're In The Mood/Rock Me (ウィ・アー・イン・ザ・ムード/ロック・ミー)

11曲目は「Sea Of Love」です。
こちらはあのThe Honeydrippersがヒット
させた事で知られている曲ですが、こちらの
方がだいぶ先なんですね。
オリジナルは1959年のPhil Phillips
という人のポピュラーのヒット曲なんです
ね。
そのカヴァー曲なんですが、刻むような
ロックステディのギターに乗せて、完全に
オリジナルとして昇華しています。

Heptones - Sea Of Love


12曲目は「Pretty Looks Isn't All」
です。
こちらも多くのミュージシャンが、リディム
をカヴァーしている名曲です。
ホーンの甘いメロディにコーラス・ワーク、
Leroy Sibblesの語りかけるようなヴォーカル
がグッと来る曲です。

THE HEPTONES - PRETTY LOOKS ISN ' T ALL


13曲目は「Party Time」です。
こちらも多くのミュージシャンに愛された
名リディムで、The Heptones自身ものちに
同タイトルのアルバムでセルフ・カヴァー
しています。
彼らを語る上で欠かせない1曲なんですね。
ロックステディらしいギターの刻むような
メロディに、蕩けるようなヴォーカルが
タマリません。

THE HEPTONES - Party Time


リズム特集 Party Time (パーティー・タイム)

14曲目は「I Love You」です。
ロックステディらしいギターの刻むような
メロディに、スウィートなヴォーカルと
コーラス・ワークが魅力的な曲です。

15曲目は「Oil In My Lamp」です。
こちらはオリジナルにはない、CDボーナス・
トラックです。

ざっと追いかけて来ましたが、やはりこの
時代のThe Heptonesは他とは一線を画した
別格の魅力があります。
芳香が漂うような甘い楽曲に、さらに蕩ける
ようなヴォーカルとコーラス・ワークは、
口の中の歯が蕩けて全部無くなってしまい
そうなほど、スウィートで魅力的なんです
ね(笑)。

この時代の彼らThe Heptonesは、ジャマイカ
でもっとも世界に近いアーティストだったの
かもしれません。
それだけにレゲエの時代に入ってからの失速
が惜しまれるグループなんですね。

ただロックステディの時代のその楽曲は、
今もジャマイカの大切な宝物なんですね。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: The Heptones
○アルバム: On Top
○レーベル: Studio One
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1968

○The Heptones「On Top」曲目
1. Equal Rights
2. Pure Sorrow
3. Heptones Gonna Fight
4. I Hold The Handle
5. My Baby Is Gone
6. Soul & Power
7. A Change Is Gonna Come *
8. When You Are Down *
9. Take Me Darling
10. We Are In The Mood
11. Sea Of Love
12. Pretty Looks Isn't All
13. Party Time
14. I Love You
15. Oil In My Lamp *
* CD Bonus Tracks

●今までアップしたHeptones関連の記事
〇Heptones「Meet The Now Generation」
〇Heptones「Night Food」
〇Heptones「Sea Of Love」
〇Niney The Observer「Deep Roots Observer Style」