今回はTony Rebelのアルバム

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「If Jah」です。

Tony Rebel(本名Patrick George Anthony
Barrett)は80年代半ばから活躍する
レゲエのディージェイであり、シンガーで
ある人です。
あの若くして亡くなったGarnet Silkの親友
としても知られ、レゲエという音楽が
スラックネス(下ネタ)やガン・トーク
(銃や暴力の歌)中心になる中で、盟友の
Garnet Silkとともに常にコンシャスな
リリックで歌い、レゲエという音楽の質を
変えようとしたディージェイとして知られて
います。
(そうした運動をラスタ・ムーヴメントと
いいます。)

アーティスト特集 Tony Rebel (トニー・レベル)

Tony Rebel - Wikipedia

今回のアルバムは1997年にUSの
VP Recordsからリリースされた彼のソロ・
アルバムです。

彼の代表曲の「Jah Is By My Side」が
収められたアルバムで、全編ほとんど歌って
いるような彼のシング・ジェイ・スタイルが
堪能できるアルバムです。

ちなみにこのアルバムとほぼ同内容の
アルバムが、同97年にTony Rebelの
レーベルFlamesから「Jah By My Side」と
いうタイトルでリリースされています。

手に入れたのはVP Recordsからリリース
されたCD(新盤)でした。

全16曲で収録時間は約63分。
同時に発売されたLPの収録曲は12曲
で、12曲目以降はCDのみのボーナス・
トラックです。

ミュージシャンについては1曲ごとの記述
があり、ちょっと長いですが載せます。

1. Jah Is By My Side
Produced by: Tony Rebel
Written by: Patrick Barrett
Musicians: Fire House Crew, Howard Messam, W. Latbeaudiere
Engineers: Raymond Ledgister, Andrew Thomas
Studio: Penthouse Recording Studio
2. Love Fountain
Produced by: Tony Rebel
Written by: Patrick Barrett
Arranged by: Dean Fraser
Musicians: Jazwad
Engineers: Andre 'Deadly' Tyrel, Dean Prendagast
Studio: Penthouse Recording Studio
3. Celebrate Life
Produced by: Phillip 'Fattis' Burrell
Written by: Patrick Barrett
Musicians: Sly Dunbar, Donald Dennis
Engineers: Stephen Stanley, Colin 'Bulby' York
4. Jah Will Never Let Us Down
Produced by: Bobby 'Digital' Dixon
Written by: P. Barrett, C. Dodd
Musicians: George Miller, Computer Paul Henton, Ernie Wilks, Dean Fraser
Engineers: Bobby 'Digital' Dixon at Degital-B Studio
5. Africa
Produced by: Phillip 'Fattis' Burrell
Written by: Patrick Barrett
Musicians: Sly Dunbar, Donald Dennis
Engineers: Stephen Stanley, Colin 'Bulby' York
6. Warning
Produced by: Bobby 'Digital' Dixon
Written by: Patrick Barrett
Engineers: Bobby 'Digital' Dixon
7. Ready To Go (featuring Marcia Griffiths)
Produced by: Donovan Germain
Written by: P. Barrett, L. Sibbles
Musicians: Leroy Sibbles, Sly Dunbar, Steve 'Lenky' Marsden
Engineers: Stephen Stanley at Penthouse Recording Studio
8. Know Jah
Produced by: Donovan Germain
Written by: Patrick Barrett
Engineers: Andre 'Deadly' Tyrel
Studio: Penthouse Recording Studio
9. Mama Land (featuring Mutabaruka)
Produced by: Tony Rebel
Written by: Patrick Barrett, Allan Hope
Musicians: Fire House Crew, Howard Messam, W. Latbeaudiere
Engineers: Raymond Ledgister, Andrew Thomas
Studio: Penthouse Recording Studio
10. Human Blood
Produced by: Donovan Germain
Written by: Patrick Barrett
Engineers: Andre 'Deadly' Tyrel
Studio: Penthouse Recording Studio
11. Keep Your Joy
Produced by: Tony Rebel
Written by: Patrick Barrett
Musicians: Fire House Crew, Jah Wayne
Engineers: Raymond Ledgister, Andrew Thomas at Penthouse Recording Studio
12. Revolution
Produced by: Richard 'Bello' Bell
Written by: Patrick Barrett
Engineers: Colin 'Bulby' York
13. Who You Are
Produced by: Courtney Cole
Written by: Patrick Barrett
Tracks Laid by: Barry O'Hare
Horns by: Rueben Alexander
14. Bible Chant
Produced by: Donovan Germain
Written by: Patrick Barrett
Engineers: Andre 'Deadly' Tyrel
Studio: Penthouse Recording Studio
15. Jah Is By My Side (Acoustic Mix)
Produced by: Tony Rebel
Written by: Patrick Barrett
Musicians: Fire House Crew, Howard Messam, W. Latbeaudiere
Engineers: Raymond Ledgister, Andrew Thomas
Studio: Penthouse Recording Studio
16. Think On These Things
Produced by: Donovan Germain
Written by: Patrick Barrett
Engineers: Andre 'Deadly' Tyrel
Studio: Penthouse Recording Studio

となっています。

長いので割愛しますが、バックにFire House
CrewやSly Dunbar、サックスのDean Fraser
などが参加したアルバムで、録音はほぼ
Penthouse Recording Studioで行われた
アルバムのようです。

さて今回のアルバムですが、Garnet Silkと
共にラスタ・ムーヴメントの主役だった
Tony Rebelのアルバムだけあって、前向き
でコンシャスなリリックの溢れたアルバム
で、内容はとても良いと思います。

レゲエレコード・コムの彼Tony Rebelの
紹介文を読むと、この人はPenthouse
レーベルのDonovan Germainに出会った事
で、その才能を開花した人なんだそうです。
今回のアルバムもそのDonovan Germainが
絡んだアルバムで、Fire House Crewなど
の作り出す分厚いバックのサウンドに、
Tony Rebelのほぼ歌っているようなシング・
ジェイ・スタイルのトースティングが入った
かなり濃厚なアルバムなんですね。

私は90年以降のレゲエはそれほど詳しくは
ないのですが、レゲエという音楽は70年代
のルーツ・レゲエの時代はホーンなどを
使った濃厚なサウンドが好まれたのですが、
80年代のアーリー・ダンスホールからそれ
に続くデジタルのダンスホール・レゲエの
時代になるとあまりホーンなどを使わない
シンプルな「薄い音」が好まれる時代になる
んですね。
ところが90年代に入ると、また音が厚く
なっている印象があります。
おそらく80年代中盤に訪れたデジタルの
ダンスホール・レゲエ(コンピューター・
ライズド)の流れが一段落して、デジタル
機材などにも慣れ、ホーンなどの生音など
ともうまく合わせられるようになって来たの
かも…。
一時流行していたデジタルの「人工的な
感じ」が、あまり無くなって来ているんです
ね。
ある意味目新しさはあまり感じませんが、
その濃厚なレゲエらしいサウンドはやはり
魅力的です。

そうした演奏に乗せてTony Rebelも力強い
シング・ジェイ・スタイルを披露して
います。
実際に聴いた印象としては、ディージェイ
というよりはほぼ歌っている感じなんです
ね。
それに曲によってはトースティングが入る
といった印象です。
ほぼ歌っているようなシング・ジェイ・
スタイルは、とても力強く言葉に力があり
ます。
分厚いグルーヴ感のある音楽に、彼の言葉
が乗った音楽はとても魅力的です。

彼の大ヒット曲濃厚なホーンのメロディ
から始まる1曲目「Jah Is By My Side」
をはじめ、ホーンと女性コーラスのバック
が盛り上げるBob Marley & Wailersの
「No Woman No Cry」リディムの3曲目
「Celebrate Life」、Marcia Griffithsの
ヴォーカルとの掛け合いが楽しい「Land Of
Love」リディムの7曲目「Ready To Go」、
ホーンと女性コーラスに乗せた「Swing
Easy」リディムの8曲目「Know Jah」、
レゲエの詩人Mutabarukaとコラボした
9曲目「Mama Land」など、彼らしい
ポジティヴで力強いトースティングが楽し
めるアルバムです。
さらにボーナス・トラックも充実していて、
8曲目「Know Jah」の別ヴァージョン
14曲目「Bible Chant」や、1曲目「Jah Is
By My Side」の別ヴァージョン15曲目
「Jah Is By My Side (Acoustic Mix)」
など、至れり尽くせりの仕様になって
います。

1曲目は「Jah Is By My Side」です。
ホーンのイントロからほとんど歌っている
ようなTony Rebelのシング・ジェイ・
スタイルの曲です。
細かいところまで作り込まれた、分厚い
バックが素晴らしいです。

Tony Rebel - If Jah Is Standing By My Side


2曲目は「Love Fountain」です。
浮遊感のあるシンセに女性コーラス、
シリアスな空気感のあるTony Rebelの
ヴォーカルという曲です。

3曲目は「Celebrate Life」です。
こちらはあのBob Marley & Wailersの名曲
「No Woman No Cry」のリディムを使った
曲です。
オープニングのサックス・ソロから、Tony
Rebelのトースティングに女性コーラスと
徐々に盛り上がって行く曲です。
原曲を感じさせない編曲のウマさが魅力。
それでも流れるグルーヴはBob Marleyのそれ
なんですね。

Tony Rebel - Celebrate life


4曲目は「Jah Will Never Let Us Down」
です。
リディムはJo Jo Bennettの「Lecturer」。
ホーンの特徴的なメロディに、Tony Rebelの
男臭いトースティング。

5曲目は「Africa」です。
ギターとパーカッションの作り出すメロディ
に、ユッタリしたTony Rebelののシング・
ジェイが良い空気感を作っています。

Tony Rebel - Africa


リズム特集 Lecture (レクチャー)

6曲目は「Warning」です。
リディムはJoe Rileyの「You Should Have
Known」。
鳴くギター・ワークにTony Rebelのハード
で男臭いトースティング。
パーカッションも心地良いリズムを作り
出しています。

7曲目は「Ready To Go」です。
リディムはThe Heptonesのロックステディ
の時代のヒット曲「Land Of Love」。
「featuring Marcia Griffiths」となって
いるように、ソロ・シンガーやBob Andy &
Marcia Griffiths、Bob Marley & Wailers
のバック・コーラスI Threeのメンバーと
しても活躍した女性シンガー
Marcia Griffithsとの共演作です。
シンセの力強いイントロからMarciaの
ヴォーカル、Tony Rebelのトースティング
と、息の合ったデュエットが楽しめる曲
です。
ちなみにMarcia Griffithsも、「Land Of
Love」のタイトルでこの曲を歌っている
模様。
それがあってのこの曲か?

Tony Rebel & Marcia Griffiths - Ready To Go (Dub Mix) - Penthouse


8曲目は「Know Jah」です。
リディムはSoul Vendorsの「Swing Easy」。
ホーンのイントロから、ベース音を模した
シンセの重いサウンドに乗せたTony Rebel
のトースティングが冴える曲です。

tony rebel - know jah (swing easy riddim)


リズム特集 Swing Easy (スウィング・イージー)

9曲目は「Mama Land」です。
「featuring Mutabaruka」となっているよう
に、ダブ・ポエットの詩人Mutabarukaとの
共演作です。
Mutabarukaの詩の朗読から始まり、シンセ
のメロディに乗せたTony Rebelのトース
ティングが冴える曲です。

10曲目は「Human Blood」です。
ちょっと楽し気なシンセのメロディに
乗せた、明るい空気感のTony Rebelの
トースティングといった曲です。

11曲目は「Keep Your Joy」です。
こちらはシンセとギターのメロディに、
何かを訴えかけるようなTony Rebelの
トースティング。
合いの手を入れている別のトースターが
居るんですが、誰なのか?

Tony Rebel - Keep Your Joy(Addisa Baba Riddim)


12曲目は「Revolution」です。
激しいドラミングから滑らかなTony Rebel
のトースティング。

ここまでがLPにも収められている曲です。
残りの4曲はCDボーナス・トラックのよう
です。

13曲目は「Who You Are」です。
まるで鼻歌を歌うような、ホーンとギターの
メロディに乗せた明るい曲です。

14曲目は「Bible Chant」です。
8曲目「Know Jah」の別ヴァージョンのよう
です。
こちらも女性コーラスにズシッとしたシンセ
のベース音、ホーンが効いた曲です。

15曲目は「Jah Is By My Side (Acoustic
Mix)」です。
1曲目「Jah Is By My Side」のアコース
ティック・ヴァージョンです。
実は1曲目にもアコースティック・ギター
が入っているんですが、他にシンセなども
入っているので際立った印象が無いんです
ね。
このPenthouseの分厚い音作りの秘密が解る
1曲。

16曲目は「Think On These Things」
です。
こちらも耀シンセとギターのメロディに
乗せたトースティングです。

ざっと追いかけて来ましたが、Tony Rebel
の放つコンシャスで力強いメッセージは、
やはり人の心を打つものがあります。

今回この人を調べていて彼のライヴ映像や
プロモーション・ヴィデオなども見ました
が、そのブレない姿勢はやっぱりカッコいい
んですね。
またヴィデオなどの女性とのデュエット曲の
ウマさなども、違う魅力を感じました。
やはりレゲエが好きな人は、ぜひ聴いておく
べきアーティストのひとりだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Tony Rebel - My Dread (Official Video)



○アーティスト: Tony Rebel
○アルバム: If Jah
○レーベル: VP Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1997

○Tony Rebel「If Jah」曲目
1. Jah Is By My Side
2. Love Fountain
3. Celebrate Life
4. Jah Will Never Let Us Down
5. Africa
6. Warning
7. Ready To Go (featuring Marcia Griffiths)
8. Know Jah
9. Mama Land (featuring Mutabaruka)
10. Human Blood
11. Keep Your Joy
12. Revolution
(CD Bonus Tracks)
13. Who You Are
14. Bible Chant
15. Jah Is By My Side (Acoustic Mix)
16. Think On These Things

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〇Tony Rebel「Vibes Of The Time」