今回はLuie Lepki(Louie Lepkie)のアルバム

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「Willie Red」です。

Luie Lepki(Louie Lepkie))は80年代の
ダンスホール・レゲエで活躍したディージェイ
です。
彼についてはネット上にあまり記述があり
ません。
ただネットのDiscogsには、彼について次の
ような説明文がありました。

Deejay Louie Lepkie (August 12 1957, Jamaica, died ± 1986) was a popular DJ
on the Jamaican soundsystem circuit.

《ディージェイLouie Lepkie(1957年
8月ジャマイカ生まれ、1986年没)は、
ジャマイカのサウンドシステム・サーキット
の人気ディージェイでした。》

若くして亡くなったディージェイのようで、
80~84年ぐらいまでの間に多数の
シングルと、81年にJoe GibbsからLui Lepki
という名前でファースト・アルバム「Late
Night Movie」と、82年に今回のアルバム
「Willie Red」の2枚のアルバムを残して
います。

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Lui Lepki ‎– Late Night Movie (1981)

80年代前半のアーリーダンスホール期に、
短いながら輝いたのがこのディージェイ
Luie Lepki(Louie Lepkie)という人なん
ですね。

今回のアルバムは1982年にChannel One
傘下のレーベルHit Boundからリリースされた
彼のセカンド・アルバムです。

プロデュースはWinston 'Niney' Holnesで、
バックはこの時代に活躍したRoots Radicsで、
ミックスはScientistが担当したアルバムで、
このアーリー・ダンスホールらしいサウンド
が楽しめるアルバムに仕上がっています。

手に入れたのはHit Boundからリリースされた
LPの中古盤でした。

Side 1が5曲、Side 2が4曲の全9曲。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Players: Radics
Drums: Style
Bass: Flabba
Guitar: Bingy Bunny, Dwight Pickney
Keyboards: Steele
Percussion: Sky Juice
Hornes: Eradication Squad

Produced by Niney Holmes
Executive Producer: Joseph Hoo Kim
Track Laid by Soljie
Mixed by Scientist
Rhythm Track Recorded at Channel One Recording Studio
Mixed at Channel One Recording Studio

となっています。

バックはRoots RadicsでドラムにStyle Scott、
ベースにFlabba Holt、ギターにBingy Bunny、
Dwight Pickney、キーボードにSteele
(Steelie Johnson)、パーカッションにSky
Juice、ホーンにEradication Squadという布陣
です。

プロデュースはWinston 'Niney' Holnesで、
エグゼクティヴ・プロデューサーとして
Channel OneのJoseph Hoo Kimの名前があり
ます。
レコーディング・エンジニアはSoljie、
ミックスはScientist、レコーディングと
ミックスはChannel One Recording Studio
で行われています。

さて今回のアルバムですが、このアーリー・
ダンスホールの時代のRoots Radicsらしい
スローなワン・ドロップに乗せたLuie Lepki
のトースティングが楽しめるアルバムで、
内容は悪くないと思います。

Luie Lepkiというとおそらくファーストの
Joe Gibbsの元で作った「Late Night Movie」
の方がまだ知られていると思いますが、
Joe GibbsのThe Professionals(ドラムが
Sly Dunbarで、ベースがLloyd Parkes)の
演奏と、今回のRoots Radicsの演奏では
同じワン・ドロップでもリズムが微妙に違う
んですね。

Roots Radicsのワン・ドロップはかなり
スローなワン・ドロップで、人によっては
音がスカスカなんていう言い方をされる事が
あります(笑)。
それに対してSly Dunbarが参加した
The Professionalsや、Sly & Robbieが参加
したPower Houseレーベルのワン・ドロップ
は、もう少しテンポが速いルーツ・レゲエ
などと同様のミディアム・テンポのワン・
ドロップなんですね。

Sly & Robbieはルーツの時代には
The Revolutionariesなどで活躍しました
が、The Revolutionariesのタイトで隙の
無いミディアム・テンポの演奏はSly Dunbar
のドラムから生まれており、彼らはそうした
タイトな演奏を好む傾向があるんですね。
実際に今回のアルバムと「Late Night Movie」
を聴き較べてみると解りますが、そちらは
ワン・ドロップのリズムでもかなり身の
詰まった演奏で、ちょっとルーツのアルバム
を思わせる部分もあります。

それに較べると今回のアルバムはRoots Radics
らしいスローなワン・ドロップで、曲の一部
だけを聴くとベースとドラムだけといった
シンプルなバックだったりするんですね。
ただそれがこのRoots Radics独特のワン・
ドロップの美学で、スカスカといわれる演奏
も、ヴォーカルやトースティングが入ると
かなり収まりの良い、聴き心地の良い曲に
なるように計算された演奏なんですね。
一度その良さが解るとかなりハマる演奏なん
ですね。

さらにScientistのハードなミックスが、
うまく曲を引き締めています。
この時代のScientist+Roots Radicsと
いう組み合わせは、レゲエという音楽が生み
出したひとつの完成形なんですね。

そうした素晴らしいバックに支えられて、
Louie Lepkieも素晴らしいトースティングを
聴かせています。

このLouie Lepkieといえば80年代前半の
アーリー・ダンスホールで活躍したHenry
'Junjo' LawesのVolcanoレーベルの音源を
集めたアルバム「Volcano Eruption」を思い
出します。
この2枚組のアルバムに彼の曲は入って
いないのですが、オマケに付いたDVDに
ジャマイカのスケート・ランドでのディー
ジェイによるライヴの模様が収められている
んですが、その中で当時「キング」と呼ばれ
ていたYellowmanとこのLouie Lepkieが
ケンカに近いようなかなり殺気だった激しい
マイクの引ったくり合いをしているんですね。

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Henry 'Junjo' Lawes ‎– Volcano Eruption (2010)

それだけこのアーリー・ダンスホールの時代
は、ディージェイ間の競争が激しい時代
だった事をうかがわせるシーンで、強く印象
に残っています。

そうした現場で叩き上げたディージェイだけ
あって、Louie LepkieはRoots Radicsの演奏
に乗せて素晴らしいトースティングを聴かせ
ています。
スローなワン・ドロップにピアノのメロディ
が美しい表題曲の「Willie Red」をはじめ、
ベースとダブワイズが効いた「Bank Clerk」、
Lloyd Robinsonの「Cuss Cuss」リディムの
ベースが効いた「Sharron」、The Heptonesの
「Party Time」リディムのギターが印象的な
「Lorna」、「Taxi」リディムを使った
ユッタリしたベースのリズムに乗せた
「Brooklyn Jogging」、Techniquesの
「Stalag」リディムのリラックス空気感が
魅力の「42nd Street」、ロックステディの
「Heavenless」リディムのピアノのメロディ
に乗せた「Jamaica A Fi Mi Country」、
「Vanity」リディムのギターが印象的な
「Chicken Farm」、明かるギターのメロディ
の「Proud A Me」など、Louie Lepkieの
ちょっとしゃがれたトースティングが冴える
アルバムに仕上がっています。

Side 1の1曲目は表題曲の「Willie Red」
です。
スローなワン・ドロップのギターとピアノの
メロディに、Louie Lepkieの滑らかなトース
ティング。
ドスンドスンと切るようなシン・ドラムが、
いかにもRoots Radicsらしい世界を作り上げ
ています。

Louie Lepkie - Willie Red!


2曲目は「Sharron」です。
リディムはLloyd Robinsonの「Cuss Cuss」。
ズシッとしたベースのリズムにピアノの
リリカルなメロディ、Louie Lepkieのエコー
の効いたヴォーカルがヘヴィーなダブワイズ
の効いた世界を作り上げています。
Scientistらしいヘヴィーなミックスが効いた
曲です。

リズム特集 Cuss Cuss (カス・カス)

3曲目は「Bank Clerk」です。
リディムはJohn Holtの「Sweetie Come
Brush Me」です。
こちらもズッシリしたベースにピアノの
メロディ、Louie Lepkieのエコーのかかった
流れるようなトースティングが、ディープで
独特の世界を作り上げています。

Lui Lepkie - Bank Clerk


4曲目は「Lorna」です。
リディムはThe Heptonesの「Party Time」。
ギターの印象的なフレーズに乗せて、Louie
Lepkieの滑らかなトースティングが冴える
曲です。

リズム特集 Party Time (パーティー・タイム)

5曲目は「Brooklyn Jogging」です。
リディムはSly & Robbieの「Taxi」リディム
として知られる曲で、オリジナルはLittle
Royの「Prophecy」。
ギターのユッタリしたメロディにリリカルな
ピアノ、Louie Lepkieのアーリー・ダンス
ホールらしい楽しいヴォーカルが良い味を
出している曲です。

Louie Lepkie - Brooklyn Juggling


リズム特集 Taxi (タクシー)

Side 2の1曲目は「42nd Street」です。
リディムはTechniquesレーベルとして知ら
れる「Stalag」です。
オリジナルはキーボード奏者として知られる
Ansel Collinsのインスト・ナンバー
「Stalag 17」。
ズシッとしたベースとピアノのメロディに、
滑らかなLouie Lepkieのトースティングが
良い空気感を作っています。

リズム特集 Stalag (スタラグ)

2曲目は「Jamaica A Fi Mi Country」です。
リディムはDon Drummond & Skatalitesの
「Heavenless」。
リリカルなピアノのメロディに、Louie Lepkie
の明るい遊びの入ったトースティング。

リズム特集 Heavenless (ヘブンレス)

3曲目は「Chicken Farm」です。
リディムはSugar Minottの「Vanity」リディム
として知られている曲で、オリジナルは
Alton Ellisの「I'm Just A Guy」。
ギターの奏でるリズムにディープ感のある
ドラム、Louie Lepkieの流れるようなトース
ティングという組み合わせがなかなか良い
です。

Luie Lepki - Chicken farm


リズム特集 I'm Just A Guy (アイム・ジャスト・ア・ガイ)

4曲目は「Proud A Me」です。
ピアノとギターのメロディに乗せた、Louie
Lepkieのゆとりのあるトースティング。
心地良いノリがあります。

Louie Lepkie - Proud A We!


ざっと追いかけて来ましたがこのアーリー・
ダンスホールならではのスローなワン・
ドロップが楽しめるアルバムで、アーリー・
ダンスホール好きにはたまらない内容の
アルバムだと思います。
特にRoots Radics+Scientistという組み
合わせが好きな人には、彼ららしい演奏、
彼らしいミックスが楽しめるアルバムで
ほぼ「鉄板」と言っていい内容です。

またアルバムのリリース自体は少ないです
がこのLouie Lepkieという人も、アーリー・
ダンスホールの好きな人は押さえておいた
方が良いアーティストだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Luie Lepki(Louie Lepkie)
○アルバム: Willie Red
○レーベル: Hit Bound
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○Luie Lepki(Louie Lepkie)「Willie Red」曲目
Side 1
1. Willie Red
2. Sharron
3. Bank Clerk
4. Lorna
5. Brooklyn Jogging
Side 2
1. 42nd Street
2. Jamaica A Fi Mi Country
3. Chicken Farm
4. Proud A We