今回はDennis Brownのアルバム

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「Just Dennis」です。

Dennis Brownは70年代のルーツ・レゲエ
の時代から活躍した名シンガーです。
Studio Oneからアルバム・デビューした彼
はその後も活躍を続け、Joe GibbsやWinston
'Niney' Holnessといったプロデューサーの
元に素晴らしいアルバムを残しています。
彼の最大のヒット曲は「Money In My Pocket」
で、全英チャート14位を記録しています。

そうした活躍をしたDennis Brownですが、
1999年に亡くなっています。

アーティスト特集 Dennis Brown (デニス・ブラウン)

デニス・ブラウン - Wikipedia

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Dennis Brown ‎– Wolf & Leopards (1977)

今回のアルバムはルーツ期ど真ん中の
1975年にWinston 'Niney' Holnesの
レーベルObserverからリリースされた彼の
ソロ・アルバムです。

その生涯で75枚以上のソロ・アルバムを
リリースしていると言われるDennis Brown
ですが、その中でも今回のアルバムはNiney
と作った彼の代表作のひとつと言われる
アルバムで、この時代の代表曲とも言える
「Westbound Train」や、Ras Michael &
The Sons Of Negusの名曲「Zion Land」の
リディムの「Africa」、ラスタの神ジャー
への愛を歌った「Love Jah」、The Paragons
のロックステディの名曲のカヴァー「Only
A Smile」、Jackie Mittoo & Soul Vendors
の「Darker Shade Of Black」のリディムを
使った「Yagga, Yagga (You'll Suffer)」
など、素晴らしい曲が山盛りに収められた
Dennis Brownのヴォーカルが堪能できる
アルバムに仕上がっています。

手に入れたのはObserverからリリースされた
LPの中古盤でした。

Side 1は6曲、Side 2は6曲の全12曲。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

All Tracks Written by D. Brown
All Tracks Produced by Winston 'Niney' Holnes
Except Track 2 Side 2: F. Dunn / D. Brown

となっています。

すべての曲の作曲はD. Brown。
プロデュースはSide 2の2曲目「Some Like
It Hot」のみF. DunnとD. Brownで、残りは
Winston 'Niney' Holnesがプロデュースして
います。

バックの演奏は記載がありませんが、販売
サイトの記述などを見るとこの時代に活躍
した、ギターのChinna Smithをリーダとする
バック・バンドSoul Syndicateが務めている
ようです。

さて今回のアルバムですが、ジャケットの
ライトな印象とは裏腹にこのルーツ・レゲエ
の時代のNiney The Observerらしいディープ
なサウンドとDennis Brownの明るい個性が
うまくコラボしたアルバムで、内容はとても
良いと思います。

このDennis Brownはさすが名シンガーと言わ
れるだけあって、その時代やプロデューサー
によって自分の新しい魅力を次々と生み出せ
る人なんですね。
このNiney The Observerの元には今回の
アルバムや「Deep Down」を残しているほか、
Joe Gibbsの元には「Visions Of Dennis
Brown」などや、80年代に入ってもTaxi
レーベルに「Brown Sugar」を残していたり
と、エポック・メイキングなアルバムを数
多く残している人なんですね。

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Dennis Brown ‎– Deep Down (1976)

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Dennis Brown ‎– Visions Of Dennis Brown (1978)

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Dennis Brown ‎– Brown Sugar (1986)

それはこの人が時代やプロデューサーの要求
に敏感で、常に自分の能力を引き出せる高い
能力の持ち主だったからなんですね。
一見親しみ易くあまり歌がウマい事を意識
させないこのDennis Brownですが、実は
ウマいというレベルを超えた天性のシンガー
なんですね。

それだけの人だから生涯で75枚以上と言わ
れるアルバムを残す事が出来たんですね。
その中でも今回のアルバムは、特に聴いて
おくべき1枚なんじゃないかと思います。

この時代のかれの代表曲とも言えるSide 1の
4曲目「Westbound Train」や、「Westbound
Train」と似たブギーのリズムのを持った曲
2曲目「Cassandra」、Ras Michael & The
Sons Of Negusの名曲「Zion Land」の
リディムの5曲目「Africa」、ラスタの神
ジャーへの愛を歌った6曲目「Love Jah」、
The Paragonsのロックステディの名曲の
カヴァーSide 2の4曲目「Only A Smile」、
Ken Bootheのロックステディの名曲の
カヴァー5曲目「Silver Words」、Jackie
Mittoo & Soul Vendorsのロックステディの
名曲「Darker Shade Of Black」のリディムを
使った「Yagga, Yagga (You'll Suffer)」
など、素晴らしい曲が山盛りに収められた
Dennis Brownのヴォーカルが堪能できる
アルバムに仕上がっています。

一度針を落とせばもうあなたはDennis Brown
の虜になる。
そんな魅力的な楽曲が収められたアルバム
だと思います。

Side 1の1曲目は「Show Us The Way」です。
アルバム全体を通してですが、独特の
ディープなブギーのリズムの楽曲が収められ
ています。
そのノリの良いリズムにDennis Brownの
ヴォーカルがマッチして、非常に濃い世界を
作り上げています。

Dennis Brown - Show Us The Way


2曲目は「Cassandra」です。
ほとんど「Westbound Train」のメロディに
聴こえるような曲です。
独特の刻むようなギターのブギーのリズム
に合間良く入るホーン、心地良いDennis
Brownのヴォーカルと、言う事なしの
ディープで魅力的な曲です。

Dennis Brown - Cassandra


3曲目は「Run Too Tuff」です。
グイグイ前に押し出して来るような演奏
と、Dennis Brownの心地良いノビのある
ヴォーカル、ラフ&タフな1曲。

4曲目は「Westbound Train」です。
Dennis Brown好きだったらこの曲は欠かせ
ないという彼の代表曲です。
ブギーのリズムに合間良く入るホーン、それ
に乗せたDennis Brownのヴォーカルもシビレ
ます。

Dennis Brown - Westbound Train


5曲目は「Africa」です。
リディムはRas Michael & The Sons Of Negus
の名曲「Zion Land」。
頭で入るセルフ・コーラスにヴォーカル、
刻むようなギターにオルガンと、ディープな
世界観が魅力的。

Dennis Brown - Africa


6曲目は「Love Jah」です。
ギターとオルガンのメロディに、Dennis Brown
の伸びのあるヴォーカルがとても心地良い
ジャー(神)への愛を歌った曲です。

Dennis Brown - Love Jah


Side 2の1曲目は「No More WIll I Roam」
です。
印象的なギターにピアノのメロディ、伸びの
あるDennis Brownのヴォーカルと、聴き心地
の良い曲です。

2曲目は「Some Like It Hot」です。
こちらはこのアルバムの中でもちょっと印象
の違う1曲。
プロデュースの違いも関係しているのか?
ギターとピアノ、オルガンのメロディに、
急き立てられるようなDennis Brownの
ヴォーカルが印象的。

3曲目は「Conqueror」です。
刻むようなギターにホーンのブギーの
メロディ、語るように丁寧なDennis Brown
のヴォーカル。
うーつの空気感がうまく盛り込まれた曲
です。

Dennis Brown-Conqueror


4曲目は「Only A Smile」です。
The Paragonsのロックステディの名曲
「Only A Smile」のカヴァーです。
懐かしいようなホーンのメロディに乗せた、
Dennis Brownの張りのあるヴォーカルが
すごく魅力的。

5曲目は「Silver Words」です。
Ken Bootheのロックステディの名曲「Silver
Words」のカヴァーです。
ギターのメロディに乗せてスッと入って来る
Dennis Brownのヴォーカルが良いです。

6曲目は「Yagga, Yagga (You'll Suffer)」
です。
リディムはJackie Mittoo & Soul Vendors
の「Darker Shade Of Black」。
ロックステディの名リディムをDennis Brown
らしいソフトで暖かいヴォーカルでうまく
歌いこなしています。

Dennis Brown - Yagga Yagga (You'll Suffer)


リズム特集 Darker Shade Of Black (ダーカー・シェイド・オブ・ブラック)

ざっと追いかけて来ましたが、やはりDennis
Brownのヴォーカルはとても魅力的。
彼が稀代の名シンガーだった事がよく解り
ます。
その彼のディープな魅力をうまく引き出した、
プロデューサーのWinston 'Niney' Holnesの
優れた実力も評価しない訳にはいきません。

針を落とした瞬間にレゲエという音楽の芳香
が漂うようなアルバム、それが今回のアルバム
です。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Dennis Brown
○アルバム: Just Dennis
○レーベル: Observer
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1975

○Dennis Brown「Just Dennis」曲目
Side 1
1. Show Us The Way
2. Cassandra
3. Run Too Tuff
4. Westbound Train
5. Africa
6. Love Jah
Side 2
1. No More WIll I Roam
2. Some Like It Hot
3. Conqueror
4. Only A Smile
5. Silver Words
6. Yagga, Yagga (You'll Suffer)

●今までアップしたDennis Brown関連の記事
〇Dennis Brown「Brown Sugar」
〇Dennis Brown「If I Follow My Heart」
〇Dennis Brown「Joseph's Coat Of Many Colours」
〇Dennis Brown「Love & Hate: The Best Of Dennis Brown」
〇Dennis Brown「Super Reggae & Soul Hits」
〇Dennis Brown「The General」
〇Dennis Brown「Tribulation Times」
〇Dennis Brown「Wolf & Leopards」
〇Dennis Brown「A Little Bit More: Joe Gibbs 12" Selection 1978-83」
〇Derrick Harriott, Dennis Brown, Rudy Mills「Reggae Golden Classics」
〇King Jammy, Dennis Brown, Various「King Jammy Presents Dennis Brown: Tracks Of Life」
〇Dennis Brown「Words Of Wisdom」
〇Niney The Observer「Deep Roots Observer Style」
〇Ranking Joe With Black Uhuru, Dennis Brown「Zion High」