今回はPrince Jazzboのアルバム

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「Kick Boy Face: Starring DJ Galore.」です。

Prince Jazzboは70年代のルーツ・レゲエ
の時代に人気を博したディージェイです。
1975年に彼とI Royの間で起きた舌戦は
とても有名で、「伝説の舌戦」として当時の
レゲエを盛り上げた事で知られています。
80年代から90年代はプロデューサーと
しても活躍した人です。

アーティスト特集 Prince Jazzbo (プリンス・ジャズボ)

今回のアルバムは1976年にUKのThird
Worldというレーベルからリリースされた
彼のソロ・アルバムです。

76年というと75年にI Royとの間に
「伝説の舌戦」が起きていますから、その後
ぐらいなのでしょうか?
おそらくそれで彼の知名度も上がって、人気
絶頂の頃に発売されたアルバムなんじゃない
かと思います。
日の丸(?)にPrince Jazzboと思われる
男性が人の顔を蹴っている印象的なイラスト
は、Tyrone Whyteという人が描いています。
タイトル曲の「Kick Boy Face」など、
Prince Jazzboらしい軽快なトースティング
が楽しめるアルバムに仕上がっています。

手に入れたのはThird Worldからリリース
されたLPでした。
前からジャケットが気に入っていて欲しい
なぁと思っていたアルバムだったのですが、
レゲエレコード・コムで「名盤セール」を
行っていて、いつもより安い価格で売って
いたのでその機会に購入しました。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

Produced and Arranged by Prince Jazzbo, Bunny Lee
Mixed at King Tubby's Studio Kingston Jamaica

Artwork: Tyrone Whyte; Freelance Graphics

という記述があります。

プロデュースとアレンジはPrince Jazzboと
Bunny Lee、ミックスはKing Tubby'sで行わ
れています。
表記がありませんが、バックはBunny Leeの
ハウス・バンドThe Aggrovatorsという事に
なるのかなと思います。

印象的なジャケットはTyrone Whyteという人
が担当しています。
このアルバムに関しては、完全な「ジャケ
買い」です(笑)。
私はジャケットが気に入ったアルバムはピン
止めして壁に飾っているんですが、この
アルバムも壁に飾りたくなってしまいそうな
1枚です。
ちなみにレゲエのアルバムは新盤でも
ビニール・カヴァーが無かったりして汚い
ものも多いのですが、このアルバムに関して
はビニールでコーティングしてあり、とても
きれいな状態でした。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、ジャケットが
素晴らしいアルバムですが、一番脂が乗り
切った時代のPrince Jazzboのトースティング
が収められていて、内容はとても良いです。

Larry Marshallの「Mean Girl」のリディム
を使った表題曲の1曲目「Kick Boy Face」
や、Carlton & The Shoesのヒット曲「Love
Me Forever」のリディムを使ったSide 1の
5曲目「Virgin」、Studio Oneの名リディム
「College Rock」を使ったSide 2の2曲目
「Church Is A Home」、The Heptonesの「My
Guiding Star」のリディムを使ったSide 2の
3曲目「For Star」と4曲目「Hello」など、
うまくリディムを使いながら同時に彼らしい
ユーモアを交えたトースティングを披露して
います。
このルーツの時代らしいトースティングが
味わえるアルバムだと思います。

Side 1の1曲目は「Kick Boy Face」です。
リディムはLarry Marshallの「Mean Girl」。
華やかなホーンのメロディに、余裕を感じる
Prince Jazzboの滑らかなトースティング。
途中でユーモラスに変化する、自在な
トースティングが面白いところ。

Prince Jazzbo - Kick Boy Face


2曲目は「I And I」です。
緩やかなホーンに乗せたPrince Jazzbo
のちょっとダレたようなユルめのトース
ティング。
うまくダブワイズするホーンを絡めた1曲
です。

3曲目は「Hand Of Babylon」です。
ギターのダブワイズするメロディに、Prince
Jazzboらしいラフな空気感のトースティング
が魅力的な曲です。

Prince Jazzbo - Hand Of Babylon -( Kick Boy Face)


4曲目は「Nigger A Winner」です。
ピアノの陰のあるメロディに、脱力した
Prince Jazzboのルーズなトースティング。
ディープでラフな曲です。

5曲目は「Virgin」です。
リディムはCarlton & The Shoesのロック
ステディのヒット曲「Love Me Forever」
です。
刻むようなギターに乗せた、Prince Jazzbo
らしい滑らかなトースティングが印象的。

Prince Jazzbo-Virgin 1970 (Third World) Prince Jazzbo


リズム特集 Love Me Forever (ラブ・ミー・フォーエバー)

Side 2の1曲目は「Rebel Boy」です。
ダブワイズしたバックに、エコーの
かかったPrince Jazzboのドラッギーな
トースティング。
ちょっとイカレた感じがこの人らしさ(笑)。

2曲目は「Church Is A Rome」です。
リディムはBig Willeの「College Rock」と
して知られている曲で、オリジナルは
Jackie Mittooの「Freak Out」です。
ギターの特徴的なメロディに、Prince Jazzbo
のリズミカルなトースティングがすごく良い
です。

Prince Jazzbo - Church Is A Rome


リズム特集 Ballistic Affair/College Rock (バリスティック・アフェア/カレッジ・ロック)

3曲目は「For Star」です。
リディムはThe Heptonesの「My Guiding
Star」。
ホーンの濃厚なメロディに、Prince Jazzbo
らしい表情豊かなトースティング。

Prince Jazzbo - For Star


4曲目は「Rello」です。
タイトルが「Rello」と印字されていますが、
「Hello」のようです。
リディムはThe Wailersの「Hypocrite」か?
明るいホーンのメロディを中心とした
フライング・シンバルのリズムに、ノリの
良いPrince Jazzboのトースティングが
イイ感じの曲です。

5曲目は「Youth In Service」です。
オートバイのエンジン音から刻むような
ギターのメロディ、Prince Jazzboらしい
男臭いトースティング。
歯切れの良いリズムにPrince Jazzboらしい
魅力的なトースティングが冴えます。

Prince Jazzbo-Youth In Service 1970 (Third World) Prince Jazzbo


ざっと追いかけて来ましたが、いかにも
Prince Jazzboらしいラフで男臭い魅力的な
トースティングが収められたアルバムに
仕上がっています。
やはりこの人も70年代のルーツ期を彩った
名ディージェイのひとりなんですね。

またちょっとダブワイズが入ったKing Tubby's
のミックスも、このアルバムをより魅力的な
ものにしています。
こうしたオーダーさえかければすぐに演奏の
出来るバック陣と、すぐにミックスの出来る
良いスタジオがあったからこそ、この70年
代のルーツ・レゲエの時代には多くの素晴ら
しいアルバムを量産する事が出来たんですね。

ジャケットだけでなく中身の音も素晴らしい
のが、今回のアルバムです。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Prince Jazzbo
○アルバム: Kick Boy Face: Starring DJ Galore.
○レーベル: Third World
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1976

○Prince Jazzbo「Kick Boy Face: Starring DJ Galore.」曲目
Side 1
1. Kick Boy Face
2. I And I
3. Hand Of Babylon
4. Nigger A Winner
5. Virgin
Side 2
1. Rebel Boy
2. Church Is A Rome
3. For Star
4. Rello
5. Youth In Service

●今までアップしたPrince Jazzbo関連の記事
〇Prince Jazzbo「Get Tonight Brother」
〇Prince Jazzbo「Ital Corner」
〇Various「Once Upon A Time At King Tubbys」
〇Prince Jazzbo「Choice Of Version」