今回はMighty Maytonesのアルバム

mighty_maytones_01a

「Madness / Boat To Zion」です。

Mighty Maytones(Maytones)は60年代
後半のロックステディの時代から70年代
のルーツ・レゲエの時代に活躍した、
Gladstone GrantとVernon Buckleyから
なるヴォーカル・デュオ・グループです。

ネットのWikipediaには彼らについて次の
ように書かれています。

The Maytones (sometimes known as The Mighty Maytones) are a Jamaican reggae vocal duo
who were active between the late 1960s and until 1980.

《Maytones(時にMighty Maytonesとして
知られる)は、1960年代後半から
1980年まで活躍したジャマイカのレゲエ・
ヴォーカル・デュオです。》

The Maytones - Wikipedia

おもにAlvin Ranglinが主催するGG's Records
の看板スターとして、活躍したのがこの
Mighty Maytones(Maytones)のようです。
ネットのDiscogsで見ると76年から87年
ぐらいまでの間に合計9枚のアルバムを出し
ているのがこのグループなんですね。
(80年以降のアルバムは編集盤の可能性も
あります。)

今回のアルバムはUKのBurning Soundsから
76年にリリースされたMighty Maytonesの
ファースト・アルバム「Madness」と、78年
に同じくBurning Soundsからリリースされた
セカンド・アルバム「Boat To Zion」を
1枚のCDにまとめた2in1のアルバムです。
この2枚はLPでのみのリリースでしたが、
2017年にBurning Soundsから、約40年
ぐらいの月日を経て初CD化されたんです
ね。

プロデュースはどちらもGG's Recordsの
Alvin Ranglinで、バックのミュージシャン
は不明です。
特に「Madness」は彼らの代表作として知ら
れるアルバムのようで、ユッタリとした
レゲエのリズムに淡々としたファルセット
気味のヴォーカルが良い味を出している
アルバムです。
どちらもジャケットにちょっと「毒」がある
のが魅力で、おそらくユッタリしたリズムと
裏腹に歌詞にも毒がありそうです。

ちなみに「Madness」の方はかなり人気のある
アルバムだったのか、さらに「Madness 2」
(制作年不詳)というアルバムも作られて
います。

さらに「Boat To Zion」というこのアルバム
とは別の同タイトルの16曲入りのベスト盤
も、リリースされているようです。

手に入れたのはBurning Soundsからリリース
された2in1のCDでした。

全20曲で収録時間は67分。
1~10曲目までは76年のアルバム
「Madness」の10曲が収まられています。
11~20曲目までは78年のアルバム
「Boat To Zion」の10曲が収められて
います。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

「Madness」の方には次のような記載があり
ます。

Published by G.G. Music
Produced by A. Raglin
Arranged by A. Raglin

Sleeve: Tyrone Whyte

「Boat To Zion」の方には次のような記載が
あります。

Produced by A. Ranglin
Recorded at Channel One Studio, Kingston, Jamaica
Arranged & Written by V. Buckley

Mastered by Kevin Metcalf, Music Center, London
Pablished and Marketed by Burning Sounds Ltd.

Sleeve: Tyrone Whyte

となっています。

プロデュースはどちらもGG's Recordsの
Alvin Ranglinで、バックのミュージシャン
は不明、「Boat To Zion」の方は録音が
Channel One Studioで、アレンジと作曲が
Mighty MaytonesのVernon Buckleyとなって
います。

ジャケット・デザインはどちらもTyrone Whyte
という人が担当しています。
表ジャケの小冊子にジャケット写真があった
ので、疑似的に作ってみるとこんな感じです。

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Madness 表ジャケ

mighty_maytones_03a
Boat To Zion 表ジャケ

「Madness」の方は頭を抱えている白衣を
まとった女性と砲弾、後ろで核爆発という
絵柄。
「Boat To Zion」の方は「Zion Boat」と書か
れた遠くに浮かぶ客船に、提督姿の男が貧し
そうな人々から物資や金銭を受け取っている
という絵柄です。
どちらもかなり毒のありそうな絵柄です。

さて今回のアルバムですが、ここのところ
意欲的にルーツ・レゲエの時代のアルバムを
リリースしているBurning Soundsですが、
その中でも今回は特に内容の良い1枚だと
思います。

書いたように「Madness」はMighty Maytones
(Maytones)の代表作ともいえる1枚のよう
で、ユッタリとしたレゲエのリズムに
ファルセット気味のヴォーカルとコーラス・
ワークという一見ソフトな印象のアルバム
ですが、どこか毒の匂いのするアルバムなん
ですね。
そのサジ加減がいかにもレゲエ流で、絶妙な
魅力があります。

またMighty Maytonesというヴォーカル・
デュオは、なかなか魅力的。
ちょっと甘えたようなユルいリード・
ヴォーカルに、隙間をうまく埋めるように
入って来るコーラス、息の合い方が絶妙なん
ですね。

名前が無いのが惜しまれますが、バックが
またすごくイイんですね。
ゴロッゴロッと心に引っかかるドラミングと
ズシッと重いベースを中心に、合間良く入る
ホーンやオルガン、ギター、このルーツ期の
録音としてはかなり完成度の高い、あえて
垢抜けていない演奏なんですね。
このバックの演奏はぜひルーツ好きに聴いて
もらいたい、質の高い演奏だと思います。

1~10曲目までは76年のアルバム
「Madness」の10曲が収まられています。

1曲目は表題曲の「Madness」です。
ギターのメロディに伸びのあるヴォーカルと
コーラス・ワーク、このMighty Maytonesの
個性がよく出た曲です。
ズシッと重いベースが効いた1曲。

Mighty Maytones - Madness (1976)


2曲目は「Loving Reggae」です。
心地良いドラミングからホーン・セクション、
ちょっと甘いヴォーカルと、彼らの魅力を
感じる曲です。
ゴロッゴロッとしたドラミングと、包み込む
ようなホーンが心に残ります。

Mighty Maytones - Loving Reggae (1976)


3曲目は「Contiquros」です。
ギターとオルガンのメロディから、ソフトで
甘いヴォーカル、コーラス・ワーク。
ユッタリしたリズムが心地良い曲です。

4曲目は「Serious」です。
浮遊感のあるオルガンのメロディから、独特
のヴォーカルと刻むようなリズム、コーラス。
このルーツ期らしいメローでビターな香りが
独特の曲です。

5曲目は「Father And Mother」です。
オルガンの心地良いメロディから、刻むよう
なギターに乗せた、癖のあるヴォーカルに
コーラス・ワーク。
Mighty Maytonesらしい個性の出た曲です。

6曲目は「Music Is A Part Of Life」です。
浮遊かのあるオルガンのメロディから、
ギターを中心とした刻むようなリズムに、
個性的な甘いヴォーカルとコーラス・ワーク。

7曲目は「Ital Queen」です。
ホーン・セクションの温かいメロディに、
ソフトで個性的なヴォーカルにコーラス・
ワーク、リリカルなピアノも味わい深い1曲
です。

The Maytones Funny Man 73 76 07 Ital queen


8曲目は「God Bless The Day」です。
ちょっと懐かしいようなホーン・セクション
のメロディに、心地良いドラミング、表情の
ある優しいヴォーカルと魅力てな要素が
揃った曲です。

The Maytones Funny Man 73 76 08 God bless the day i found fou


9曲目は「Judgement A Come」です。
ギターのメロディからソフトで個性的な
ヴォーカル、リズミカルなピアノとちょっと
楽し気な曲です。

10曲目は「Zion Land」です。
心地良いレゲエらしいドラミングにギターと
オルガンのメロディ、歯切れ良いヴォーカル
が心地良い曲です。

11~20曲目までは78年のアルバム
「Boat To Zion」の10曲が収められて
います。

11曲目は「Don't Show Off」です。
温かいホーン・セクションのメロディから、
「Johnny To Bad」と思わせる「Johnny,
Johnny~♪」の出だしのヴォーカル。
リラックスした良い空気感の曲です。

The Maytones - Don't Show Off


12曲目は「Do Good」です。
こちらもホーンのメロディに語り、ソフトな
ヴォーカルに、合いの手のように入るホーン、
リラックスした空気が心地良い曲です。

The Maytones - Do Good


13曲目は「When Will Peace Be」です。
心地良いギターとオルガンのメロディに、
よく通るソフトなヴォーカルが魅力的。
ギター・ワークが冴える曲です。

14曲目は「Take Your Time」です。
ギターとホーン・セクションのイントロから、
ジックリと歌う甘いヴォーカル。
アクセントのように入って来るギターとホーン
が、良い味を出している曲です。

15曲目は「Be Careful」です。
高音を生かした美しいコーラスに、表情の
あるヴォーカル、ストリングスも使った1曲
です。

16曲目は「Speak The Truth」です。
華やかなホーンにソフトなヴォーカル、
コーラス・ワーク。
ちょっと漂うような空気感が魅力。

17曲目は「Who Feel It」です。
漂うようなオルガンのメロディに、甘く癖の
あるヴォーカルにコーラス。
ズシッとしたベースがうまく全体を引き締め
ています。

Maytones - Who Feel It 1978


18曲目は「People Are Changing」です。
華やかなホーンのメロディに、優しく力の
抜けたヴォーカルと低音のコーラス。
力みが無い表情豊かな曲です。

19曲目は「Serious World」です。
フラフラと脱力したようなヴォーカルに、
オルガンのメロディ。

20曲目は表題曲の「Boat To Zion」です。
ギターのメロディからリラックスした会話、
脱力したようなヴォーカルにパーカッション、
力の抜けたソフトな空気が魅力。

Maytones - Boat To Zion 1978


ざっと追いかけて来ましたが、ちょっと
ザラッと引っかかるドラミングは、あの
Justin Hindsのアルバムなどで聴かれた
Horsemouse Wallaceのドラミングを思い出さ
せるものがありますが…どうなんでしょう?
そうしたドラミングを含めたバックの演奏は、
いかにもこのルーツの時代の空気感が充満
していて、すごく魅力的なんですね。
特にファーストの「Madness」は、必聴とも
いえる内容です。

個性的なヴォーカル・デュオMighty Maytones
も素晴らしいですが、それを支えるバック
のサウンドがこのアルバムをさらに素晴らしい
ものにしているんですね。
ルーツ期の特に聴いておくべきアルバムの
ひとつではないかと思います。

一見スウィート・ワインに見えて、実は
フル・ボディのズシッとした手ごたえ、
スウィート&ビターなヴィンテージ・ワイン
が今回のアルバムです。
40年もののそのサウンドは、時代に聴いて
もその甘さと渋みで、時空を超えて聴く者
を魅了します。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Mighty Maytones
○アルバム: Madness / Boat To Zion
○レーベル: Burning Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1976, 1978

○Mighty Maytones「Madness / Boat To Zion」曲目
●Madness
1. Madness
2. Loving Reggae
3. Contiquros
4. Serious
5. Father And Mother
6. Music Is A Part Of Life
7. Ital Queen
8. God Bless The Day
9. Judgement A Come
10. Zion Land
●Boat To Zion
11. Don't Show Off
12. Do Good
13. When Will Peace Be
14. Take Your Time
15. Be Careful
16. Speak The Truth
17. Who Feel It
18. People Are Changing
19. Serious World
20. Boat To Zion