今回はLittle Johnのアルバム

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「True Confession」です。

Little Johnは80年代のダンスホール・
レゲエの時代に活躍したシンガーです。
1970年に生まれた彼は80年代前半の
アーリー・ダンスホールで、10歳に満た
ない年齢からシンガーとして活躍し、独特
のシングジェイ・スタイルで当時の人気
レーベルVolcanoなどに多くの録音を残し
ました。
その後も自身のレーベルRomanticで
プロデューサーとしても活躍するなど、
レゲエの歴史に名を残したのがこの人なん
ですね。

アーティスト特集 Little John (リトル・ジョン)

今回のアルバムは1984年にGeorge Phang
のレーベルPower Houseからリリースされた
彼のソロ・アルバムです。
「Heavenless」リディムを使ったタイトル曲
の「True Confession」をはじめ、「Bobby
Babylon」リディムの「I Don't Care」、
「Death In The Arena」リディムの
「Sing On」など、このアーリー・ダンス
ホールの時代らしい空気感が詰め込まれた
アルバムに仕上がっています。

手に入れたのはPower Houseからリリース
されたLPの中古盤でした。

Side 1が4曲、Side 2が4曲の全8曲。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Musicians:
Bass: Lloyd Parkes, Robbie Shakespear
Drums: Sly Dunbar, Barnabas
Percussion: Skully
Lead & Rhythm Guitar: Willie Lindo
Keyboards: Robbie Lyn

Recorded at Channel 1
Mixed at Dynamic Sounds
Mastered at Dynamic Sounds Studios by Paul Nesbeth
Engineers: Peter Chemist, Michael Riley
Produced & Arranged by George Phang

Album Design: Wilfred Limonious

となっています。

バックのミュージシャンはベースにLloyd
ParkesとRobbie Shakespear、ドラムにSly
DunbarとBarnabas、パーカッションにSkully、
リード・ギターとリズム・ギターにWillie
Lindo、キーボードにRobbie Lynという布陣
です。

レコーディングはChannel 1、ミックスは
Dynamic Soundsで行われ、エンジニアは
Peter ChemistとMichael Riley、プロデュース
とアレンジはPower Houseレーベルの主催者
George Phangとなっています。

アルバム・デザインはWilfred Limoniousと
いう人が担当しています。
表ジャケはハンチングを被ったLittle John
と若い女性が軽く抱き合っている写真、裏
ジャケは失恋か何かして泣いている女性を
慰めようとしているLittle Johnと思われる
男性とそれを見て怒っている別の女性という
イラストと、コントロール・ルームのGeorge
Phangの写真が使われています。

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裏ジャケ

ダンスホールらしいなかなかナイスなジャケ
ですが、中古盤なので表ジャケの写真が色焼け
して黄色が退色してしまっているのが残念な
ところです。

さて今回のアルバムですが、デジタルに
なる以前の80年代前半のアーリー・ダンス
ホールの空気感が詰め込まれたアルバムで、
内容はなかなか良いと思います。

84年のアルバムという事は、Little John
はまだ14歳の少年だったという事になり
ます。
ネットのDiscogsで彼のアルバムの履歴を
調べると、彼は82年のアルバム「Reggae
Dance」から始まり、共演盤を含めて23枚
のアルバムをリリースしているんですね。

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Little John ‎– Reggae Dance (1982)

しかもそのうちの20枚は80年代の
82~86年までの5年間に発売された
アルバムで、それ以降は90年、93年、
2005年とポツポツとアルバムを出して
いるだけなんですね。
(聴いていないので解りませんが、この
中には80年代の曲を集めたアルバムも
あるかもしれません。)
つまりこのLittle Johnは12~16歳
ぐらいまでは、ダンスホールのシンガーと
してすごく人気があり、その後は
プロデューサーの方を本業にしたのか、
あまりアルバムを出していない人なんです
ね。
やはりこの人はアーリー・ダンスホールを
彩った、早熟なシンガーと言えそうです。

その独特のちょっと鼻が詰まったような歌い
方は、好き嫌いが分かれそうなところもあり
ますが、アーリー・ダンスホールのちょっと
湿った空気感が似合う魅力的なシンガーと
言えると思います。
まるで女性のような自身のコーラスも入った
Side 1の1曲目「Better You Gwan」や、
「Heavenless」リディムの表題曲「True
Confession」、「Bobby Babylon」リディム
の「I Don't Care」、「Arena」リディムの
「Sing On」など、アーリー・ダンスホール
らしい空気感満点のLittle Johnのヴォーカル
が楽しめるアルバムに仕上がっています。

また今回ネットのGeorge Phangの記事を調べ
ていて解ったんですが、George Phangは
Sly & Robbieと交流の深い人で、このPower
Houseレーベルの音源の多くはSly & Robbie
がバックを担当していて、当時人気だった
VolcanoレーベルのRoots Radicsのスローな
ワン・ドロップよりはもう少しテンポの速い
ワン・ドロップが特徴のレーベルのなんだ
そうです。
この80年代前半はHenry 'Junjo' Lawesの
率いるVolcanoレーベルのスローなワン・
ドロップが人気でしたが、このPower House
のワン・ドロップはルーツの時代の頃の
ミディアム・テンポに近いワン・ドロップ
なんだとか。

初めの頃はVolcanoレーベルのRoots Radics
の叩き出すスローなワン・ドロップの方が
人気で圧倒していましたが、徐々にPower
HouseのSly & Robbieのミディアム・テンポ
のワン・ドロップも人気になって行ったんだ
とか。
そのあたりもPower Houseが、Volcanoと並ぶ
アーリー・ダンスホールの二大レーベルと
言われる理由のようです。
そして80年代の半ばに、アップ・テンポな
デジタルのダンスホール・レゲエが誕生する
事になるんですね。

言われてみると今回のアルバムは、Roots
Radicsのスローなワン・ドロップよりは速い
ミディアムぐらいのワン・ドロップで、その
あたりも注意して聴いてみると面白いかも
しれません。

Side 1の1曲目は「Better You Gwan」です。
リディムはロックステディの時代のDelroy
Wilsonのヒット曲「Won't You Come Home」
です。
冒頭から甲高い女性のようなコーラスが入り
ます。
初めはこのコーラス誰?と思ったんですが、
よく聴くとどうやらLittle John自身の
裏声でのコーラスのようです。
リリカルなピアノに乗せた、そのコーラスと
Little Johnの歌声がとても魅力的な曲です。

Little John - Better You Gwaan (Come Home Riddim)


リズム特集 Come Home (カム・ホーム)

2曲目は「Rock N' Roll」です。
リディムはThe Royalsの「Pick Up The
Pieces」。
こちらもピアノに乗せたワン・ドロップが
心地良い曲です。
明るく丁寧に歌うLittle Johnのヴォーカル
もとても良いです。

リズム特集 Pick Up The Pieces (ピック・アップ・ザ・ピーシズ)

3曲目は表題曲の「True Confession」
です。
リディムはDon Drummond & Skatalitesの
「Heavenless」です。
ワン・ドロップのリズムに乗せたLittle John
の軽快なヴォーカルが心地良い1曲。

Little John - True Confessions


リズム特集 Heavenless (ヘブンレス)

4曲目は「Thanks & Praise」です。
軽快なギターを中心としたワン・ドロップ
にLittle Johnのヴォーカルが冴える、
いかにもアーリー・ダンスホールらしい
湿った空気感が魅力的な曲です。

Little John - Give Thanks & Praise


Side 2の1曲目は「I Don't Care」です。
リディムはFreddie McGregorのヒット曲と
して知られる「Bobby Babylon」。
耳馴染みの良いリズムに、Little Johnらしい
ちょっと鼻にかかったヴォーカルが印象的。

リズム特集 Bobby Babylon/Hi Fashion (ボビー・バビロン/ハイファッション)

2曲目は「What A Bubbling」です。
軽快なリズムに乗せたLittle Johnの滑らか
なヴォーカルが冴える曲です。

Little John - What A Bubbling


3曲目は「Sing On」です。
リディムはRoland Alphonso & Soul Vendors
の「Death In The Arena」、通称「Arena」の
リディムです。
ユッタリしたピアノを中心としたワン・
ドロップに、こちらもLittle John本人と
思われるファルセットのコーラスが入って
います。
女性と聴きまごうほどのファルセットで、
こうしたところにもLittle Johnの
ヴォーカリストとしてのスキルの高さが
うかがえます。

little john sing on


リズム特集 Arena (アリーナ)

4曲目は「Roots Girl」です。
リディムはCornell Campbellの「Boxing」。
心地良いギターを中心としたワン・ドロップ
のリズムに、Little Johnの表情豊かな
ヴォーカルが良い味を出している曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、私のように
この80年代前半のアーリー・ダンスホール
が好きな人間には、このLittle Johnは
やっぱりハズせない大きなアイコンひとつ
なんですね。
このアーリー・ダンスホールの時代のみ活躍
したこの人ですが、今になると逆にその時代
のみに活躍したからこそ、より魅力的に感じ
てしまう部分もあるんですね。

この時代はもう二度と戻って来ませんが、彼
の歌声を聴くと今でも胸躍る思いがします。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Little John
○アルバム: True Confession
○レーベル: Power House
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1984

○Little John「True Confession」曲目
Side 1
1. Better You Gwan
2. Rock N' Roll
3. True Confession
4. Thanks & Praise
Side 2
1. I Don't Care
2. What A Bubbling
3. Sing On
4. Roots Girl