今回はTristan Palmerのアルバム

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「Stop Spreading Rumours: 18 killer Cuts
From Jamaica's Legendary Label」です。

Tristan Palmer(Triston Palma)は80年
代のダンスホール・レゲエの時代に活躍した
シンガーです。
特に80年代前半の活躍はすさまじく、
Henry 'Junjo' LawesやJah Thomasといった
大物プロデューサーの元で、「Joker Smoker」
をはじめとする多くのヒット曲を出して
います。

アーティスト特集 Triston Palmer (トリスタン・パーマー)

今回のアルバムは2017年にTristan
Palmer自身のレーベルであるBlack Solidarity
からリリースされた、80年代にTristan
PalmerがBlack Solidarityからリリースした
シングル盤をまとめたコンピュレーション・
アルバムです。
バックはThe Soul SyndicateやRoots Radics
といったアーリー・ダンスホールで活躍した
バック・バンドが務めていて、「Collie Man」
や表題曲の「Stop Spreading Rumours」など、
当時の彼のヒット曲が収められたアルバムに
なっています。

ちなみにBlack Solidarityというレーベルは、
今はレゲエ・リイシュー・レーベルJamaican
Recordings傘下のレーベルになっているよう
です。

手に入れたのはBlack Solidarityからリリース
されたCDでした。

全18曲で収録時間は約62分。
同時に発売されたLPは全14曲で、CD
のみボーナス・トラック4曲がプラスされた
全18曲の仕様になっています。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Musicians Include:

The Soul Syndicate:
Drums: Carlton 'Santa' Davis
Bass: George 'Fully' Fullwood
Rhythm Guitar: Albert Valentine 'Tony' Chin
Lead Guitar: Albert Valentine 'Tony' Chin, Earl 'Chinna' Smith
Keyboards: George 'Fully' Fullwood, Bernard 'Touter' Harvey, Keith Sterling

The Roots Radics:
Drums: Carlton 'Santa' Davis, Lincoln 'Style' Scott
Bass: Erroll 'Flabba' Holt
Rhythm Guitar: Winston'Bo Peep' Bowen, Eric 'Bingy Bunny' Lamont
Lead Guitar: Noel 'Swell' Bailey, Roy Hamilton, Dwight Pinkney, Earl 'Chinna' Smith
Keyboards: Gladsone 'Gladdy' Anderson, Ansel Collins, Wycliff 'Steely' Johnson, Errol 'Tarzan' Nelson
Percussion: Christpher 'Sky Juice' Blake

Drums: Wilburn 'Squidley' Cole
Bass: Christpher Meredith, Errol 'Bagga' Walker
Piano: Robert 'Robbie' Lyn
Keyboards: Herbie Harris
Synthesizer: Anthony 'Tony Asher' Brissett
Percussion: Christpher 'Sky Juice' Blake, Noel 'Scully' Simms
Hornes: Junior 'Chico' Chin, Dean 'Youth Sax' Fraser, Tony Green, Ronald 'Nambo' Robinson
Harmony: Tony Chin, Karian Dixon, George Fullwood, Marie 'Twiggi' Gittens, Brian and Tony Gold, Jennifer Lara

Produced & Arranged by: Ossie Thomas, Triston Palma, Howie Thomas, Philip Mogan, Chris Thomas
Executive Producer: Joe D Boss
Recorded at: Tuff Gong, King Tubby's, Music Works, Music Mountain
Mixed by: Scientist, Sylvan Morris, Dr. Marshall, Tony & Dave Kelly
Design by: Gary@Voodoo London
Photography by: Beth Lesser

となっています。

ミュージシャンはThe Soul Syndicateと
The Roots Radicsに分かれて書かれています。

まずはThe Soul Syndicateのメンバーについて
書いてみると、ドラムにCarlton 'Santa'
Davis、ベースにGeorge 'Fully' Fullwood、
リズム・ギターにAlbert Valentine 'Tony'
Chin、リード・ギターにAlbert Valentine
'Tony' ChinとEarl 'Chinna' Smith、
キーボードにGeorge 'Fully' Fullwoodと
Bernard 'Touter' Harvey、Keith Sterling
という布陣です。

The Soul Syndicate?High Times Bandじゃ
ないの?と初めは思ったんですが、彼の
シングルを調べてみると、1曲目「Collie
Man」(81年)や2曲目「Bad Minded」
(80年)3曲目「Stop Spreading
Rumours」(80年)などは、確かに
The Soul Syndicateがバックの演奏をして
いて、B面にそのヴァージョンがThe Soul
Syndicate名義で収められているんですね。

The Roots Radicsのメンバーは、ドラムに
Carlton 'Santa' DavisとLincoln 'Style'
Scott、ベースにErroll 'Flabba' Holt、
リズム・ギターにWinston'Bo Peep' Bowenと
Eric 'Bingy Bunny' Lamont、リード・ギター
にNoel 'Swell' BaileyとRoy Hamilton、
Dwight Pinkney、Earl 'Chinna' Smith、
キーボードにGladsone 'Gladdy' Andersonと
Ansel Collins、Wycliff 'Steely' Johnson、
Errol 'Tarzan' Nelson、パーカッションに
Christpher 'Sky Juice' Blakeという布陣
です。

さらにこの後にThe Roots Radicsのメンバー
がドラムやベースと続くのですが、ちょっと
おかしい…。
おそらくゲスト・メンバーか別のセッション・
バンドの名前と思われます。
とりあえずのそのメンバーを書き出してみる
と、ドラムにWilburn 'Squidley' Cole、
ベースにChristpher MeredithとErrol 'Bagga'
Walker、ピアノにRobert 'Robbie' Lyn、
キーボードにHerbie Harris、シンセサイザー
にAnthony 'Tony Asher' Brissett、
パーカッションにChristpher 'Sky Juice'
BlakeとNoel 'Scully' Simms、ホーンに
Junior 'Chico' ChinとDean 'Youth Sax'
Fraser、Tony Green、Ronald 'Nambo'
Robinson、ハーモニーにTony ChinとKarian
Dixon、George Fullwood、Marie 'Twiggi'
Gittens、Brian and Tony Gold、Jennifer Lara
という名前があります。

ミュージシャンの数がやたらと多いのは、
この時代のバック・バンドが固定ではなく、
集まれるメンバーで録音する「プラス
ティック・バンド」の形式がジャマイカ
では一般的だったからなんですね。

プロデュースとアレンジはOssie Thomasと
Triston Palma、Howie Thomas、Philip Mogan、
Chris Thomas。
エグゼクティヴ・プロデューサーはJoe D
Boss。
録音はTuff GongとKing Tubby's、Music
Works、Music Mountainで行われ、ミックス
はScientistとSylvan Morris、Dr. Marshall、
Tony & Dave Kellyが行っています。
プロデューサーやミキサー、スタジオが多い
のは、今回のアルバムが一度の録音ではなく、
シングル盤用に録音した音源をまとめた
アルバムだからなんですね。

さて今回のアルバムですが、Tristan Palmer
といえば80年代前半のアーリー・ダンス
ホールの活躍が印象に残る人で、この時代の
レゲエが好きな人なら聴き逃せないアルバム
だと思います。

このTristan Palmerといえば、彼の評判を
聞きつけたJah Thomasに夜中にたたき起こ
されて録音したという「Joker Smoker」が
とても有名なアーティストです。

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Triston Palma ‎– Joker Smoker (1982)

彼はこの時期にはバックをRoots Radicsが
務めたショーケース・スタイルのアルバム
「Show Case: In A Roots Radics Drum And
Bass」など、素晴らしいアルバムを数多く
残しているんですね。

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Triston Palma ‎– Show Case: In A Roots Radics Drum And Bass (1982)

そんな彼の自身のレーベルBlack Solidarity
の音源となると、これはとても興味深いもの
があります。

実際に聴いてみた印象を言うと、これが
なかなか良いんですね。
今回のアルバムではThe Soul Syndicateと
The Roots Radicsの演奏の両方があります
が、どちらもズシッとしたベースを中心と
したヘヴィーな演奏で、こうしたヘヴィーな
身の詰まった重い演奏が、彼Tristan Palmer
の好みだった事がよく解ります。
またこうした重い曲にはScientistの重い
ミックスが合うんですね。
彼がミックスに参加しているのも魅力の
ひとつです。

ズシッとしたベースが魅力の「Collie Man」
や表題曲「Stop Spreading Rumours」の他、
やはりこの時代に活躍した名シンガーSammy
Dreadとの共演の「Natural Lady」、ロック
ステディの時代のThe Heptonesの名リディム
「Pretty Looks」を使用した「Disappointed
Lover」など、魅力的な曲が多く収められた
アルバムに仕上がっています。

特にSammy Dreadと共演の5曲目「Natural
Lady」は、ズシッとした演奏にTristan Palmer
の「ナッチュ~、レイディ~♪」という
ヴォーカルに、「オ、ォ、ヨ~~♪」と入る
Sammy Dreadの合いの手のヴォーカルが完全に
ハマっていて、ヤラレちゃう1曲です(笑)。
このアーリー・ダンスホールならではの
芳香が漂うようなラバ・ダブ・スタイルの
ヴォーカルの魅力が、タマラない1曲なん
ですね。

ちなみにSammy Dreadという表記はジャケ
ににまったく無いのですが、「オ、ォ、
ヨ~~♪」と入る声を聴いただけで「これっ
てSammy Dreadだよな!?」と一発で解り
ました(笑)。
調べてみたらやっぱり!でしたが、その個性
の強さはやはりとても魅力的です。
このTristan PalmerやSammy Dreadのような、
アーリー・ダンスホールの素晴らしい
アーティストのアルバムが手に入りにくく
なっている現状は、やはりとても残念です。

その共演が聴けるだけでも、とても価値の
あるアルバムだと思います。

1曲目は「Collie Man」です。
バックはThe Soul Syndicateで、81年に
リリースされた曲です。
ズシッとドスの効いたベースを中心とした
ワン・ドロップに、シン・ドラムのトビ音
もキマった1曲です。
若いのに老成した感じのシッカリ歌い込む
Tristan Palmerのヴォーカルが魅力です。

Triston Palmer - Collie man


2曲目は「Bad Minded」です。
こちらも81年のバックがThe Soul Syndicate
の曲です。
ズシッと重いベースを中心とした演奏に、
Tristan Palmerのちょっと甲高いヴォーカル
が、いかにもダンスホールという湿った
空気感を演出しています。

Bad minded Triston Palma


3曲目は表題曲の「Stop Spreading Rumours」
です。
80年のバックはThe Soul Syndicateの曲
です。
重いベースとギターのメロディに、漂うような
ソフトなTristan Palmerのヴォーカル。

Triston Palmer - Stop Spreading Rumours / version
↓ヴァージョンは入っていません。


4曲目は「Jailhouse Foreigners」です。
重いベースを軸にギターのメロディに乗せた
曲です。
こちらはバックが解りませんが、ドスンと
落とすワン・ドロップはThe Roots Radics
か?
こちらもエグいほど低音のベースが効いて
います。

5曲目は「Natural Lady」です。
書いたようにSammy Dreadとのラバ・ダブ・
スタイルの共演曲です。
こちらもズシッとしたベース、シン・ドラム
のトビ音が効いた曲です。
Sammy Dreadの「オ、ォ、ヨ~~♪」という
合いの手が絶妙で、ハマる1曲。

Tristan Palmer & Sammy Dread - Natural Lady [1981]


6曲目は「'Pon The Corner」です。
ピアノのリリカルなメロディに思いベース、
Tristan Palmerの心地良さそうなヴォーカル
がグッと来る曲です。

7曲目は「Trash And Ready」です。
84年のシングルです。
こちらは華やかなホーン・セクションに、
楽しそうなTristan Palmerのヴォーカルが
イイ感じの1曲。

Triston Palma - Trash And Ready


8曲目は「Hard Times」です。
こちらはベースを中心とした、ユッタリした
ワン・ドロップに乗せた曲です。

9曲目は「Good Looking」です。
明るいピアノのメロディに乗せた曲です。

10曲目は「Born Naked」です。
こちらは95年ぐらいのシングルのようです。
女性コーラスにパーカッション、ギターの
メロディに、Tristan Palmerのヴォーカル
という組み合わせ。

11曲目は「Reggae Party」です。
ベースとギターのメロディに乗せた、優しい
ヴォーカルの曲です。

12曲目は「Settle Down」です。
こちらはリリカルなピアノのメロディに
乗せたワン・ドロップの曲です。

13曲目は「Cutie」です。
こちらは82年の曲らしいです。
リリカルなピアノのイントロから、ズシッと
したベースを中心としたワン・ドロップの
リズムに乗せた、Tristan Palmerのジックリ
と歌い込むようなヴォーカルが魅力的な曲
です。

Triston Palmer - Cutie 1982


14曲目は「Mother Rosie」です。
明るいピアノのメロディに、感情を込めた
Tristan Palmerのヴォーカルが魅力的な曲
です。

15~18曲目まではLPには収められて
いない、ボーナス・トラックのようです。

15曲目は「Goodbye My Baby」です。
こちらも82年ぐらいの曲か?
ズシッとしたベースとシンセのリリカルな
メロディが魅力的な曲です。

Triston Palmer - Good Bye Baby


16曲目は「Disappointed Lover」です。
リディムはロックステディの時代の
The Heptonesの名リディム「Pretty Looks」
です。
後半は誰かは不明ですがディージェイの
トースティングが入っている12インチ・
ディスコ・ミックス・ヴァージョンの曲で、
このアルバムで一番長い5分29秒の曲
です。
アーリー・ダンスホールらしさがタマラない
1曲。

17曲目は「Gangster Children」です。
こちらは時代が進んでからの曲のようで、
ダンサブルな曲です。

18曲目は「My Baby’s Gone」です。
ピアノとギターのメロディに乗せたラヴ・
ソングです。

ざっと追いかけて来ましたが、やはり
The Soul SyndicateやThe Roots Radicsと
いった当時最高のバック・バンドの演奏に
乗せた、Tristan Palmerのヴォーカルは聴き
逃せないものがあります。
今回のアルバムはそのTristan Palmerの
ヴォーカルが堪能できるアルバムで、特に
アーリー・ダンスホール好きにおススメ
出来るアルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Tristan Palmer
○アルバム: Stop Spreading Rumours: 18 killer Cuts From Jamaica's Legendary Label
○レーベル: Black Solidarity
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2017

○Tristan Palmer「Stop Spreading Rumours: 18 killer
Cuts From Jamaica's Legendary Label」曲目
1. Collie Man
2. Bad Minded
3. Stop Spreading Rumours
4. Jailhouse Foreigners
5. Natural Lady
6. 'Pon The Corner
7. Trash And Ready
8. Hard Times
9. Good Looking
10. Born Naked
11. Reggae Party
12. Settle Down
13. Cutie
14. Mother Rosie
(CD Bonus Tracks)
15. Goodbye My Baby
16. Disappointed Lover
17. Gangster Children
18. My Baby’s Gone