今回はJackie Edwardsのアルバム

jackie_edwards_01a

「Mister Peaceful」です。

Jackie Edwards(本名:Wilfred Gerald
Edwards)については、ネットのDiscogsに
次のようなプロフィールが載っています。

Jamaican ska and reggae singer and songwriter (born 1938, died 15 August 1992).
One of the first artists to be signed to Island Records when it was established
in 1962.
Writer of "Keep On Running" and "Somebody Help Me" that became hits for
The Spencer Davis Group.

《ジャマイカのスカとレゲエの歌手であり、
ソング・ライター。(1938年生まれ、
1992年8月15日死去。)
1962年に設立したIsland Recordsの、
初めに契約したアーティストのひとりである。
The Spencer Davis Groupのヒット曲
「Keep On Running」と「Somebody Help Me」
のライターとして知られる。》

62年というまだスカの時代にIsland Records
のChris Blackwellに認められ、ジャマイカ
を離れてUKの音楽シーンでジャマイカ音楽
を広めたシンガーが、このJackie Edwardsの
ようです。
日本ではあまり知名度の高いシンガーでは
ありませんが、Discogsで履歴を見ると
オリジナル・アルバムが31枚、コンピュ
レーション・アルバムが10枚と、かなり
の数のアルバムをリリースしている人気の
高いシンガーだった事が解ります。

Jackie Edwards (musician) - Wikipedia

ちなみにDiscogsに書かれていたThe Spencer
Davis Groupは、Trafficなどで活躍した
Steve Winwoodが在籍した事で知られる、
60年代に活躍したロック・グループです。

スペンサー・デイヴィス・グループ - Wikipedia

このJackie Edwardsがライターとして2曲を
提供したとの事ですが、ネットのYouTubeで
見てみると、どちらもかなりロック色の強い
ナンバーでした。

今回のアルバムはJamaican Recordings傘下の
レゲエ・リイシュー・レーベルKingston Sounds
から2017年にリリースされた、Jackie
Edwardsのアンソロジーです。

今回の表題曲ともいえる「Peaceful Man」や
「Keep On Running」などの彼のオリジナル曲
の他に、Burning Spearの「Invasion」の
リディムの「Wad-Ada」や、The Wailersのスカ
の時代のヒット曲「I'm Still Waiting」、
John Holtの「Ali-Baba」など、ジャマイカ
音楽のカヴァーも収められたアルバムになって
います。

手に入れたのはKingston Soundsからリリース
されたCDでした。

全18曲で収録時間は約62分。
14~18曲目までの5曲は、LPには収め
られていないCDのみのボーナス・トラック
です。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Drums: Bobby Aiken & The Carib Beats, Sly Dunbar
Bass: Robbie Shakespeare
Lead Guitar: Earl 'Chinna' Smith
Rhythm Guitar: Alva 'Reggie' Lewis
Organ: Winston Wright
Keyboards: Robbie Lynn
Tenor Saxophone: Tommy McCook
Trumpet: Bobby Ellis

Studios Include: Dynamic Sounds, Channel 1, Harry J's, Randy's Studio 17 & Chalk Farm
Voiced at: King Tubby's, Channel 1 & Chalk Farm
Produced by: Bunny Lee
Design by: Gary @ Voodoo London
Photography: Courtesy of Bunny Lee
Manufactured Under Licence from: E. Lee

となっています。

ミュージシャンはドラムにBobby Aiken &
The Carib BeatsとSly Dunbar、ベースに
Robbie Shakespeare、リード・ギターに
Earl 'Chinna' Smith、リズム・ギターに
Alva 'Reggie' Lewis、オルガンにWinston
Wright、キーボードにRobbie Lynn、テナー・
サックスにTommy McCook、トランペットに
Bobby Ellisという名前があります。

ただスタジオの多さや時期の長さから見て、
これだけの人ではないような気がします。
この中で異質なのはドラムに名前のある
Bobby Aiken & The Carib Beatsですが、
このバンドはおそらくスカの時代のバンド
なんですね。
おそらくスカからルーツレゲエの時代という
十数年から二十年ぐらいの間の音源と見られ、
相当の数のミュージシャンが関わっていると
思われます。

バックの録音で使用されたスタジオはDynamic
SoundsとChannel 1、Harry J's、Randy's
Studio 17、Chalk Farmで、声入れはKing
Tubby'sとChannel 1、Chalk Farmで行われ、
プロデュースはBunny Lee。

アルバムのデザインはGary @ Voodoo London
というところで行っています。

さて今回のアルバムですが、世界的に活躍
したジャマイカのシンガーJackie Edwardsの
アンソロジーとしてはなかなか良い内容の
アルバムだと思います。

このJackie Edwardsはジャマイカがまだスカ
の時代からIsland Recordsに認められ、早く
からジャマイカを離れ国際的な歌手として
UKで活躍した人なんですね。
そのせいかネットの販売サイトには、彼が
ソウルやR&Bの影響を受けたソウルフルな
シンガーというような評価を書いている
ところがありました。

このあたりは同じように早くからUKに渡った
Jimmy Cliffなどと似たところで、ジャマイカ
のディープな楽曲というよりは、国際的に
活躍する為にはソフトなポピュラー寄りの
楽曲にならざるを得なかった側面があると
思います。
当時は国際的に活躍するアーティストと国内
で活躍するアーティストでは、作る楽曲が
違うダブル・スタンダードがあたり前だった
んですね。
あのThe WailersですらIsland Recordsと契約
する際には「白人に解る音楽を」という要求を
Island RecordsのChris Blackwellにされたと
いうエピソードが残っているほどなのです
から…。
おそらくJimmy Cliffと同様に早くからUK
に渡った彼Jackie Edwardsには、それなり
の先駆者の苦悩があったものと推測されます。

実際に聴いた印象としては、初めの3曲目
ぐらいまではどちらかというとソフトな楽曲
が並びます。
特に表題曲ともいえる3曲目「Peaceful Man」
は、彼が「平和な男」という事をアピールして
いるような曲で、UKで地位を確立しようと
しているのがうかがえる1曲。
ただ4曲目「Wad-Ada」はあのBurning Spearの
名曲「Invasion」のカヴァーで、いきなり
ルーツの中でももっともディープなド・ルーツ
とも言える楽曲が収められています。
おそらくこの2曲の間には時間的な間隔が
あり、時代が進んでディープな楽曲もUK
で受け入れられるようになったのだと思い
ます。
そうなってからはこのJackie Edwardsは、
ジャマイカの多くの名曲を紹介する役割を
果たしているんですね。
The Wailersのスカの時代の名曲5曲目「I'm
Still Waiting」や、John Holtの名曲9曲目
「Ali-Baba」、Larry Marshallのロックステ
ディの名曲10曲目「Mean Girl」、Bob
Marley & The Wailersの代表曲のひとつ
12曲目「So Jah Say」など、多くの名曲が
歌われているんですね。
6曲目「Johnny Your A Gun Man」や7曲目
「Keep On Running」など彼のオリジナル曲も
魅力ですが、そうしたカヴァーも今回の聴き
どころとなっています。

1曲目は「Who Told You So」です。
ピアノのメロディに乗せた、ちょっとかすれた
ソフトな歌声が魅力的な曲です。

2曲目は「I'm In The Mood」です。
フルートとサックスのイントロから、
フルートのメロディとちょっとかすれた
Jackie Edwardsの優しいヴォーカルが
とても魅力的。

Jackie Edwards - I'm In The Mood


3曲目は「Peaceful Man」です。
オルガンとギターのメロディに乗せた、
ソフトなヴォーカルが強く印象に残る曲
です。
この時代の彼はジャマイカのシンボルとして、
「平和な男」でいなければいけなかったの
でしょうか?
そのあたりも気になるところです。

Jackie Edwards - I'm A Peaceful Man


4曲目は「Wad-Ada」です。
Burning Spearの曲「Invasion(別名Black
Wa-Da-Da)」のカヴァーです。
世界に衝撃を与えたBurning Spearのアルバム
「Marcus Garvey」からの曲です。
このJackie Edwards自身も衝撃を受けたので
しょうか?
重いホーンのメロディに乗せたヴォーカルが、
ディープでカッコいい曲です。

Jackie Edwards - Wadada


5曲目は「I'm Still Waiting」です。
こちらはThe Wailersのスカの時代の名曲の
カヴァーです。
ホーンのメロディに乗せた説得力のある
優しいヴォーカルが、この曲の良さをうまく
引き出しています。

Jackie Edwards - I'm Still Waiting


6曲目は「Johnny Your A Gun Man」です。
こちらはおそらく彼Jackie Edwardsの曲だと
思うのですが、個人的にタイトルに興味の
ある曲です。
というのもこのタイトルからBob Marleyの曲
「Johnny Was」を思い出すんですね。
警官に撃ち殺された「Johnny」を見て、頭を
抱えて泣き叫んでいる母親を歌ったこの曲は、
Bob Marleyの名曲のひとつなんですね。
これはそのアンサー・ソングなのか?
銃声にサイレンから始まるこの曲は、軽快な
メロディで明るく歌われています。

7曲目は「Keep On Running」です。
Discogsに書かれていたThe Spencer Davis
Groupのヒット曲のようです。
明るいホーンのメロディから、希望を感じる
力強いヴォーカル。
Jackie Edwardsの歌声が冴える曲です。

Jackie Edwards - Keep On Running


8曲目は「Get Up」です。
こちらもオリジナル曲か?
力強いピアノのメロディに乗せた、軽妙な
ヴォーカルが魅力的。

9曲目は「Ali-Baba」です。
John Holtのヒット曲「Ali Baba」の
カヴァーです。
印書的なホーンのイントロから、物語を語る
ようなシッカリとしたヴォーカルの曲です。

10曲目は「Mean Girl」です。
こちらはLarry Marshallのロックステディの
ヒット曲のカヴァー。
こちらもホーンのメロディからソフトな
Jackie Edwardsのヴォーカルが魅力的な曲
です。

Jackie Edwards - Mean Girl


11曲目は「Julie On My Mind」です。
こちらもオリジナル曲か?
ストリングスに乗せたソフトなヴォーカルの
曲です。

12曲目は「So Jah Say」です。
Bob Marley & The Wailersの同名曲の
カヴァーです。
ディープなホーンに乗せた、柔らかい
ヴォーカルが魅力的。

13曲目は「It's All In The Game」です。
こちらもホーンのメロディに、ソフトで
力強いJackie Edwardsのヴォーカルが印象
に残るバラード調の曲です。

14~18曲目まではCDのみのボーナス・
トラックが収められています。

14曲目は「Sad News」です。
こちらはJohn Holtの同名曲のカヴァー。
ベースを中心としてメロディに、丁寧に歌う
ヴォーカルが魅力的。

15曲目は「I Do Love You」です。
こちらはピアノのメロディに乗せたラヴ・
バラードです。

Jackie Edwards - I Do Love You


16曲目は「Carry On Henry」です。
こちらはベースとピアノのユッタリとした
メロディに乗せた曲です。

17曲目は「Before The Next Teardrop」
です。
ホーンのメロディに乗せた、優しい
ヴォーカルの曲です。

18曲目は「Anymore」です。
こちらはホーンのスウィートなメロディが
印象的。
優しいヴォーカルを聴かせています。

Jackie Edwards - Anymore


ざっと追いかけて来ましたが、やはり早く
から認められたそのヴォーカル力は本物なん
ですね。
今の時代になるとジャマイカ国内のディープ
な人の方が注目を集めがちですが、こうした
早くから国外に出て頑張った人が居たから
こそ、今日のレゲエの隆盛があるんですね。
そういう意味では彼やJimmy Cliffといった
人の、ジャマイカ音楽への貢献は見逃せま
せん。

機会があれば聴いてみてください。


○アーティスト: Jackie Edwards
○アルバム: Mister Peaceful
○レーベル: Kingston Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2017

○Jackie Edwards「Mister Peaceful」曲目
1. Who Told You So
2. I'm In The Mood
3. Peaceful Man
4. Wad-Ada
5. I'm Still Waiting
6. Johnny Your A Gun Man
7. Keep On Running
8. Get Up
9. Ali-Baba
10. Mean Girl
11. Julie On My Mind
12. So Jah Say
13. It's All In The Game
(CD Bonus Tracks)
14. Sad News
15. I Do Love You
16. Carry On Henry
17. Before The Next Teardrop
18. Anymore