今回はThe Blackstonesのアルバム

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「Insight」です。

The BlackstonesについてはネットのWikipedia
に次のように書かれています。

The Blackstones are a United Kingdom-based reggae vocal trio formed in 1974,
in the tradition of the Jamaican harmony-trio.

The Blackstones comprised the brothers Leon, Byron, and Neville Leiffer.
One of the group's early singles, "We Nah Go Suffer", was released on
the Daddy Kool and topped the British reggae chart.
This success led to recording sessions with Phil Pratt using rhythm tracks
recorded at Channel One Studios in Kingston, Jamaica, and vocals added at
Chalk Farm studios.
These sessions resulted in the debut album Insight, released in 1979.

これをネットの自動翻訳などを使って、訳して
みるとだいたいこんな感じだと思います。

《The Blackstonesは1974年に誕生した、
イギリスに拠点を置く、ジャマイカ出身の
ハーモニー・トリオです。

The BlackstonesはLeonとByron兄弟とNeville
Leifferから構成されています。
グループの初めのヒット曲はDaddy Koolから
リリースされた「We Nah Go Suffer」で、英国
のレゲエ・チャートのトップになりました。
この成功はジャマイカのキングストンの
Channel One Studiosと、(UKの)Chalk
Farm studiosの、Phil Prattが所有するリズム
によるレコーディング・セッションに繋がり
ました。
これらのセッションはデビュー・アルバム
「Insight」として、1979年にリリース
されました。》

The Blackstones - Wikipedia

その後の記事は続きますが要約すると、
その後もメンバー・チェンジなどをしながら
UKを拠点にして、ラヴァーズ系の楽曲で
人気コーラス・グループとして活躍したのが
このThe Blackstonesのようです。

実際にネットのDiscogsで彼らの履歴を調べ
てみると、「Unknown(制作時期不詳)」の
アルバム2枚を含む8枚のアルバムを発表
していて、そのうち1枚は79年のルーツ期
終わり頃のアルバム「Insight」ですが、残り
のアルバムは制作時期不詳を除くと96年
以降のアルバムなんですね。
むしろ中年を過ぎて人気が出たのか、中年
以降と思われる男性の姿が他のアルバム・
ジャケットには写っています。
ルーツ期にアルバム・デビューしている
けれど、それからずいぶん経ってメンバー・
チェンジなどもして、名前は同じだけれど
別のグループになって人気を博したグループ
なのかもしれません。

今回のアルバムは1979年にUKの
Burning Sounds傘下のレーベルBurning
Rockersからリリースされた彼らの
ファースト・アルバムです。
Wikipediaにあるようにシングル盤がUKの
レゲエ・チャートのトップに輝いた事を
きっかけに、プロデューサーのPhil Pratt
制作したというアルバムで、ジャマイカの
Channel OneとJoe Gibbs、UKのChalk Farm
Studiosで録音され、バックはSly & Robbie
などほぼThe Revolutionariesに近いメンバー
で録音されたというアルバムです。

手に入れたのはBurning Soundsからリイシュー
されたCDでした。

全10曲で収録時間は約34分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Recorded at 'Channel One' & 'Joe Gibbs' studios, Kingston, Jamaica
Crucial Bunny Mixer at 'Channel One'
Vocals & Major Lead Gitars: Laid down at Chalk Farm Studios,
North London, England
Engineers: Earnest Hookim (of Channel One), Errol Thompson (of Joe Gibbs),
Sid Bucknor (of Chalk Farm Studios)
Photography and Design: Karl Finn
Photosetting: The studio

Vocala Arranged by: Phil Pratt & The Blackstones
Produced by: Phil Pratt for Burning Sounds Ltd.

Special thanks to the following musicians
Bass: Robbie Shakespeare, Ranchie Mclean, Family Man Barrett
Keyboards: Ansel Collins, Bobby Kalphat
Lead Guitar: Armstrong, Radcliff 'Dougie' Byran, Bo-Pe
Rhythm Guitar: Radcliff 'Dougie' Byran, Bingey Bunny
Drums: Sly 'Noel' Dunbar, Barnabas Coliins
Alto Sax: Herman Marques, Deadly Hedley
Tenor Sax: Tommy McCook
Trombone: Vin 'Don Drummond' Jnr
Percussion: Sticky, Scully

となっています。

レコーディングはジャマイカのキングストン
にあるChannel OneとJoe Gibbsで行われ、
ミックスはChannel OneのCrucial Bunnyが
担当しています。
その音源にUKの北ロンドンにあるChalk Farm
Studiosで声入れとリード・ギターを乗せて
出来上がったのが今回のアルバムなんですね。
エンジニアはChannel One)がEarnest Hookim、
Joe GibbsがErrol Thompson、Chalk Farm
StudiosがSid Bucknorが担当しています。

ヴォーカル・アレンジはPhil Prattと
The Blackstones。
プロデュースはBurning SoundsのPhil Pratt
が担当しています。

おそらくですがプロデューサーのPhil Pratt
の持っていたジャマイカの音源に、
The Blackstonesのヴォーカルとリード・
ギターをレコーディングして、アルバムに
したのではないかと思います。
Phil Prattは60年代後半のロックステディ
の時代に歌手として活躍し、その後70年代
にはジャマイカでプロデューサーとして活躍、
さらには70年代後半にはイギリスに渡り、
ジャマイカ料理店をオープンして成功すると
いうちょっと変わった経歴の人なんですね。
ちょっと想像も入りますが、The Blackstones
のUKレゲエ・チャートのヒットを知った
Phil Prattが、自分が持っていたバックの
音源にオーヴァー・ダブして出来上がった
のが、今回のアルバムなんじゃないかと思い
ます。

バックのミュージシャンはベースにRobbie
ShakespeareとRanchie Mclean、Family Man
Barrett、キーボードにAnsel CollinsとBobby
Kalphat、リード・ギターにArmstrongと
Radcliff 'Dougie' Byran、Bo-Pe、リズム・
ギターにRadcliff 'Dougie' ByranとBingey
Bunny、ドラムにSly 'Noel' Dunbarと
Barnabas Coliins、アルト・サックスに
Herman MarquesとDeadly Hedley、テナー・
サックスにTommy McCook、トロンボーンに
Vin 'Don Drummond' Jnr、パーカッションに
StickyとScullyという布陣です。
トロンボーンでVin 'Don Drummond' Jnrと
なっているのは、Vin 'Don Drummond Junior'
Gordonの事です。

レコーディングでChannel Oneが使われて
いて、Sly & Robbieも参加していて、しかも
エンジニアがEarnest Hookimとなると、
やっぱりThe Revolutionariesという事になり
ます。
すべての曲では無いかもしれませんが、
多くの曲でほぼThe Revolutionariesと思わ
れるメンバーが演奏しているのは間違いあり
ません。

リード・ギターにあるArmstrongという人が、
どうやら後からレコーディングをプラスした
人らしいです。
ジャマイカのミュージシャンで聴かない名前
なんですね。
いくつかの曲でレゲエでは珍しい派手な
ギター・プレイを聴かせているのは、この人
なのかも…。

写真とジャケット・デザインはKarl Finnと
いう人が担当しています。

さて今回のアルバムですが、この79年頃
というとThe Revolutionariesの攻撃的な
ミリタント・ビートに乗せたメローな
ヴォーカルものが人気を博していた時代で、
今回のアルバムはThe Blackstonesの
メローなコーラス・ワークに、ほぼ
The Revolutionariesといえる叩き込むよう
なミリタント・ビートの演奏という、この
ルーツ後期のアルバムらしいアルバムなん
ですね。
そのサウンドはやっぱりとても魅力的です。

頭の叩き込むようなミリタント・ビートが
印象的な「Come On And Dance」や、いかにも
ルーツ・レゲエといった匂いの「Open The
Gates」、ソウルのような高音を生かした
コーラス・ワークの「True, True, True」、
感情を込めた歌声が心地良い「Spreading
Rumours」、Bob Marleyのヒット曲「Soul
Shake Down Party」、こちらもソウルフルな
ファルセット・ヴォイスが光る「Love Me
Girl」など、どの曲もこの時代らしさが
溢れた良曲が並びます。

The Blackstonesのコーラス・ワークも、
主役のリード・ヴォーカルを立てたコーラス
で文句なしに良いです。
ただあえて言えばその洗練されたアクの無さ
が、このファート・アルバムの後長くアルバム
をリリースできなかった要因か?
個性の強いヴォーカリストの方が、強く印象
に残る面があるんですね。

その後このグループはUKという土地柄も
あり、メンバー・チェンジなどをしながら、
長い年月の後にラヴァーズの人気コーラス・
グループになるようです。

1曲目は「Hey, Hey, Hey」です。
心地良いビートと浮遊感のあるオルガンの
メロディ、コーラス・ワークに明快な
ヴォーカル。
このThe Blackstonesの良さが出た曲です。

2曲目は「Come On And Dance」です。
たたみかけるようなドラミングに鳴く様な
ギター・ワーク、ホーンのメロディ、語り
かけるようなヴォーカルに包みこむような
コーラス・ワーク。
聴きどころ満点の1曲です。

The Blackstones - Come And Dance


3曲目は「Open The Gates」です。
印象的なシンセのメロディに、語るような
ヴォーカルにコーラス・ワーク、このグループ
の魅力がよく出た1曲です。

The Blackstones Open The Gates


4曲目は「True, True, True」です。
シンセの明るいメロディに、ソウルの
コーラス・グループかと思うような高音を
生かしたファルセット・ヴォイスのコーラス
が、オシャレでカッコいい曲です。

The Blackstones - True True True


5曲目は「Peace And Love」です。
ギュンギュン鳴くギターにシン・ドラムの
ピュンピュン音という派手なイントロから、
シッカリと歌い込むようなヴォーカルと、
これまたギュンギュン鳴くギターが印象に
残る曲です。

6曲目は「Kalwazians」です。
こちらも表情豊かなギターの演奏に、心地
良いヴォーカルとコーラス・ワークが冴える
曲です。

7曲目は「Spreading Rumours」です。
心地良いギターのメロディに、伸びやかな
ヴォーカルとコーラス・ワークが魅力的。

Blackstones - Spreading Rumours - 1977


8曲目は「Soul Shake Down Party」です。
リディムはBob Marleyの同名曲「Soul Shake
Down Party」です。
ギターとホーンのメロディに乗せて、原曲を
生かしたソウルフルなコーラス・ワークが
とても魅力的な曲です。

The Blackstones - Soul Shake Down Party


9曲目は「Love Me Girl」です。
ミリタント・ビートにファルセットな
ヴォーカルとコーラス、魅力的な高音の
ヴォーカルがタマラない曲です。

The Blackstones - Love Me Girl


10曲目は「Revolution Time」です。
ホーンの華々しいメロディに乗せた、
ヴォーカルとコーラス・ワークが冴える曲
です。

ざっと追いかけて来ましたが、1曲1曲は
素晴らしい曲でケチのつけようがありません。
ただ全体を通した印象が微妙に弱いのが、
ちょっと残念に感じます。
それでもこの時代のミリタント・ビート+
メローなコーラスという組み合わせはこの
ルーツ・レゲエの時代ならではのものが
あり、今の時代に聴いても充分に魅力的です。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: The Blackstones
○アルバム: Insight
○レーベル: Burning Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1979

○The Blackstones「Insight」曲目
1. Hey, Hey, Hey
2. Come On And Dance
3. Open The Gates
4. True, True, True
5. Peace And Love
6. Kalwazians
7. Spreading Rumours
8. Soul Shake Down Party
9. Love Me Girl
10. Revolution Time