今回はSugar Minottのアルバム

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「Wicked Ago Feel It」です。

Sugar Minottはレゲエを代表するシンガー
の一人です。
70年代のルーツ・レゲエの時代にDerek
'Eric Bubbles' HowardとWinston 'Tony
Tuff' MorrisとAfrican Brothersという
3人組コーラス・グループAfrican Brothers
として音楽キャリアをスタートさせた彼は、
グループ解散後もStudio Oneをはじめと
して多くのレーベル、多くのプロデューサー
の元に素晴らしい楽曲を残し活躍した人
です。
そのかたわら「ゲットーの兄貴」として、
多くの若者をシンガーとして育てる事にも
尽力した事でも知られています。

そうした彼ですが2010年に54歳で
亡くなっています。

アーティスト特集 Sugar Minott (シュガー・マイノット)

今回のアルバムは1984年にUSの
Wackie'sレーベルからリリースされた
Sugar Minotのソロ・アルバムです。

Wackiesは主催者のLloyd Barnes(別名
Bullwackie)を中心に70年代からニュー
ヨークの地下室を拠点に活動するレーベル
で、ソウルやファンクといった人気音楽に
押され、なかなかアメリカで定着しなかった
レゲエをひたすら追及し、広めたレーベル
として知られています。
シンプルでソリッドなサウンドが特徴です。

レーベル特集 Wackies (ワッキーズ)

そのWackiesでSugar Minotが作ったのが、
今回のアルバムなんですね。

ちなみにこのアルバムの音源を使ったダブ
「African Roots Act 3」が、Wackiesから
リリースされています。

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Various ‎– African Roots Act 3 (1983)

Wackies「African Roots... ACT.3」 : つれづれげえ日記

Sugar Minotの名前がタイトルに使われて
おらず、その商売っ気の無さがいかにも
Wackiesらしいところ…(笑)。

またネットのDiscogsで調べると、この
アルバムの発売が83年になっていますが、
普通はダブ・アルバムが先に発売されると
いう事はありませんから、どちらかの発売
時期がずれているのか、あるいは何らかの
事情でSugar Minottのアルバムの発売が延び
たのか…理由はちょっと解りません。
ただ同時期に作られたと思われます。

手に入れたのはWackiesからリリースされた
CDでした。

全9曲で収録時間は約34分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。
All Songs Written by Lincoln Sugar Minott
Except "Don't Take Away" by Peter Ashbourne and
"Good Thing Going" (Adopted)

Drums: Fabian Cooke, Annette Brissitt, Owen Stewart
Bass: Tony Allen, O. Stewart, Fabian
Guitar: Jerry Harris, O. Stewart
Piano: Jackie Mittoo, O. Stewart
Organ: O. Stewart
Saxophone: Jerry Johnson, Pee Wee Walters
Trombone: Hansei Smith [Smuge], Derrick Hinds
Synthesizer: O. Stewart
Percussion: Ras Menilik, Bagga
Backup Vocals: Sugar Minott, Ras Menilik

Recorded at: Wackie's Studio
Engineer: Douglas Levy, Junior Delahaye, Bullwackie
Mixing Engineer: Jah Batta, Douglas Levy, Lloyd Barnes
Edited at: A & R Recording, NY, Complements to Major Little
Produced by: Lloyd Barnes, Lincoln Sugar Minott except
"It's You I Love", Complements to Douglas Levy
Executive Producer: Lloyd Barnes & Sonny Sab, A Bullwackie Production
Cover Art: Kazuhide Yamazaki
Art Direction: Mariko Iida
Special Thanks to: Sab's Blackstar Line

となっています。

2曲を除いてすべての作曲はSugar Minott
で、6曲目「Don't Take Away」がPeter
Ashbourne作曲、2曲目「Good Thing Going」
が(Adopted)となっています。
2曲目「Good Thing Going」は、あのポップ・
スターMichael Jacksonの若い頃のヒット曲
「We've Got A Good Thing Going」のよう
です。
またSugar Minottの作曲となっていますが
1曲目「So Much Trouble」は、あのBob
Marley & The Wailersのヒット曲です。
おそらく歌詞か何かを書き替えて、自作と
していると思われます。

ミュージシャンはドラムにFabian Cookeと
Annette Brissitt、Owen Stewart、ベースに
Tony AllenとO. Stewart、Fabian、ギターに
Jerry HarrisとO. Stewart、ピアノにJackie
MittooとO. Stewart、オルガンにO. Stewart、
サックスにJerry JohnsonとPee Wee Walters、
トロンボーンにHansei SmithとDerrick
Hinds、シンセにO. Stewart、パーカッション
にRas MenilikとBagga、バック・ヴォーカル
にSugar MinottとRas Menilikという布陣
です。
ピアノにあのJackie Mittooが参加して
います。
またOwen Stewartがドラムとベース、ギター、
ピアノ、オルガン、シンセと多才なところを
見せています。
Wackiesのような小さなレーベルでは、こう
した小器用な人が必要なんですね。
またバック・ヴォーカルのRas Menilikが、
意外とソウルフルなヴォーカルを聴かせて
います。

レコーディングはWackie's Studio、レコー
ディング・エンジニアはDouglas LevyとJunior
Delahaye、Bullwackie(Lloyd Barnes)、
ミキシング・エンジニアはJah Battaと
Douglas Levy、Lloyd Barnes、プロデュース
はLloyd Barnes, Lincoln Sugar Minottで、
4曲目「It's You I Love」のみDouglas Levy
がプロデュースをしています。
エグゼクティヴ。プロデューサーはLloyd
BarnesとSonny Sab。

カヴァー・デザインはKazuhide Yamazaki、
アート・ディレクションはMariko Iidaという
2人の日本人と思われる方がしています。

さて今回のアルバムですが、Sugar Minottの
数あるアルバムの中でも、特に聴いてもらい
たいアルバムのひとつだと思います。

やはり今回のアルバムの注目点は、Sugar
Minottの甘いヴォーカルとWackiesの
シンプルでソリッドなサウンドがどんな
化学反応を起こしているのか?その一点に
尽きると思います。
これがMinottの甘いヴォーカルが素晴らしく、
メローでありながらソリッドな独特の世界観
を作り上げているんですね。

多くのネットの販売サイトではこれを
「ラヴァーズ」と表現していたけど…
う~ん…どうなんですかねぇ…。
今は女性なら「ラヴァーズ」、甘い歌声なら
「ラヴァーズ」と広義に使われるけど、本来
はUKで誕生したレゲエでDennis Bovellや
Ariwaなどに「ラヴァーズ」を限定した方が
正しい気がするんですけど…。

ラヴァーズ・ロック - Wikipedia

話を戻しますが、甘いメローな歌声にソリッド
でビターな味わいのバックというのが今回の
アルバムで、そのさじ加減が心地良く濃厚な
音楽を作り上げています。
1曲1曲がメローでありながら、なかなか
ヘヴィーなんですね。

Bob Marley & The Wailersの名曲「So Much
Trouble」から始まり、Michael Jacksonの
ヒット曲「Good Thing Going」、タイトル曲
のSound Dimensionの「Real Rock」のリディム
の「Wicked Ago Feel It」、濃厚なラヴ・
ソング「It's You I Love」、陰影の濃い
ナンバー「She Stays On My Mind」、ジックリ
と聴かせる「Don't Take Away」、ホーンに
乗せたスウィートなヴォーカルが光る
「Freedom Train」、シリアスなヴォーカル
が魅力の「Think It Over」、明るくリラックス
した空気感が楽しい「Coming Back To Mother
Land」まで、駄曲ナシで一気に聴かせる
アルバムです。

このSugar Minottという傑出したヴォーカ
リストの魅力が、目一杯詰まったアルバム
だと思います。

1曲目は「So Much Trouble」です。
ご存じBob Marley & The Wailersの名曲
です。
浮遊感のあるオルガンと、ド・渋なベースの
演奏に乗せた、Sugar Minottのスウィートな
ヴォーカルが魅力的な曲です。

2曲目は「Good Thing Going」です。
ポップ・スターMichael Jacksonのヒット曲
「We've Got A Good Thing Going」です。
明るいホーンに乗せた楽し気なヴォーカルが
魅力的。

3曲目はタイトル曲の「Wicked Ago Feel It」
です。
リディムはSound Dimensionのロックステディ
のヒット曲「Real Rock」です。
こちらはギターとベース、オルガンのビター
なバックに、ゆとりのあるSugar Minottの
ヴォーカルが良い味を出している曲です。

Sugar Minott - Wicked Ago Feel It


リズム特集 Real Rock (リアル・ロック)

4曲目は「It's You I Love」です。
オルガンの浮遊感のあるメロディに、ソウル
フルなヴォーカルとコーラス。
まるでソウルのような濃厚な空気感のある
ラヴ・ソングです。

Sugar Minott - Its You I Love


5曲目は「She Stays On My Mind」です。
ちょっと悲し気なメロディに、Sugar Minott
の感情の入ったシリアスなヴォーカル。
ズシッとした聴きごたえのある曲です。

Sugar Minott : She Stay On My Mind CD -Wicked Ago Feel It WACKIES


6曲目は「Don't Take Away」です。
明るいホーンのイントロから、ジックリと
聴かせるSugar Minottの丁寧なヴォーカルが
グッと来る曲です。

Sugar Minott - Don't Take Away


7曲目は「Freedom Train」です。
明るいホーンのイントロから、刻むような
ギターに乗せたSugar Minottのソフトな
ヴォーカルが心地良い曲です。

Sugar Minott - Freedom Train


8曲目は「Think It Over」です。
ギターとベースのちょっと悲し気なメロディ
に乗せた、Sugar Minottのソフトな歌声が
良い味を出している曲です。

9曲目は「Coming Back To Mother Land」
です。
こちらは心地良いパーカッションのリズムに
乗せた、Sugar Minottのリラックスした
ヴォーカルが良い空気感の1曲。

ざっと追いかけて来ましたが、この時代の
Sugar Minottの充実ぶりが感じられるアルバム
で、Wackiesと彼のコラボはとても魅力的
です。
内容はとても良いと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Sugar Minott
○アルバム: Wicked Ago Feel It
○レーベル: Wackie's
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1984

○Sugar Minott「Wicked Ago Feel It」曲目
1. So Much Trouble
2. Good Thing Going
3. Wicked Ago Feel It
4. It's You I Love
5. She Stays On My Mind
6. Don't Take Away
7. Freedom Train
8. Think It Over
9. Coming Back To Mother Land