今回はVarious(オムニバス)もののアルバム

revolutionaries_14a

「Well Cha'rged Channel One」です。

Channel Oneは中国系ジャマイカ人のHookim
4兄弟によって70年代に設立されたレーベル
です。
自分たちのスタジオを持ち、ドラマーの
Sly Dunbarをリーダーとするハウス・バンド
The Revolutionariesの叩き出す攻撃的な
ミリタント・ビートを武器に、それまでレゲエ
市場を独占していたStudio Oneレーベルに
代わって、70年代後半のルーツ・レゲエの
中で一番人気があったレーベルがこのChannel
Oneなんですね。
Mighty Diamondsをはじめとする多くの
アーティストが、このレーベルに素晴らしい
アルバムを残しています。

隆盛を誇ったStudio Oneですが、長兄の
Jo Joがニューヨークに移住してしまった事
もあり、80年半ば以降は徐々に音楽制作
から遠ざかり自然消滅のような形で閉鎖され
ています。

関連レーベルとしてHit Bound やWell Charge
などがあります。

レーベル特集 Channel One (チャンネル・ワン)

今回のアルバムは1997年にUKのレゲエ・
リイシュー・レーベルPressure Soundsから
リリースされた、そのChannel Oneの音源
(おそらくWell Charge系列のもの)を集めた
コンピュレーション・アルバムです。
ネットの販売サイトなどの記述を見ると、
74~78年までのシングル曲の音源を
集めたアルバムという事らしいです。

なお今回のアルバムですが全20曲入りの
アルバムですが、裏ジャケの表示を見ると
12曲入りのアルバムに見えます。
これはヴァージョン(ダブ)がまとめて書か
れている為と、18曲目Trinityの「School
Days」と19曲目そのヴァージョン(ダブ)
の記述が抜けている為です。
実際には全20曲収められているんですね。

全20曲で収録時間は約73分。

詳細なミュージシャンの表記はありません。
おそらく録音はChannel One Studioで、多く
の曲はChannel Oneのバック・バンド
The Revolutionariesがバックを務めている
ものと思われます。

カヴァーのアート・ワークはJeb Loy Nichols、
デザインはThomas & Thomasとなっています。

アルバムに収められているアーティストは
Leroy Smart、I-Roy、John Holt、
The Enforcer、Trinity、Earth & Stone、
Creole、Overnight Players、Wailing Souls、
The Revolutionaries、Ernest Wilson、
McWonerといった人達です。

さて今回のアルバムですが、Channel One
らしいThe Revolutionariesの攻撃的な
ミリタント・ビート(別名ロッカーズ・
ビート)が楽しめるアルバムで、内容は
とても良いと思います。

Leroy SmartやI-Roy、John Holtといった
ベテランの曲から、ルーツの時代に活躍した
コーラス・グループEarth & Stoneの曲や、
ルーツからダンスホールの時代まで長く活躍
したWailing Souls、さらにはThe Enforcer
やCreole、Overnight Players、McWonerと
いったあまり知られていないアーティスト
まで、幅広くChannel Oneで活躍した
アーティストが収められているのが今回の
アルバムの魅力です。

特に注目は10曲目に収められている
Overnight Playersの「Shaka The Great
(12" Version)」です。
このOvernight Playersは1980年に
「Babylon Destruction」というアルバムを
1枚だけ残しているグループですが、彼らの
唯一のヒット曲と思われる「Shaka The Great」
の12インチ・ヴァージョンが聴けるのは、
このアルバムのひとつの目玉だと思います。

overnight_players_01a
The Overnight Players ‎– Babylon Destruction (1980)

その独特なムーディーな世界観には、やっぱり
惹かれるものがあります。

こうしたコンピュレーションでは、こういう
レアなアーティストがその出来を左右する
くらい重要なんですね。
今回のアルバムでは他にもThe Enforcerの
ルーツ色の強いナンバー「Pay Them」とその
ヴァージョン、Creoleのちょっとソウル色を
感じる「Beware」とそのヴァージョン、こちら
もルーツ色の濃いErnest Wilsonの「I Know
Myself」、McWonerの「No Fire It」など
ここでしか聴けない面白い曲が揃っています。
そのあたりはPressure Soundsという
リイシュー・レーベルの、丁寧な仕事ぶりが
光るアルバムになっています。

他にもLeroy Smartの12インチ・ヴァージョン
の「The Meaning Of Life」、Mighty Diamonds
の「Right Time」のリディムを使ったI-Roy
の「I Man Time」、ベテランJohn Holtの定番
曲「Up Park Camp」とそのヴァージョン、
Wailing Soulsのコーラス・ワークが光る
「Lawless Society」とそのヴァージョン
など、聴きどころ満点のアルバムに仕上がって
います。

1曲目はLeroy Smartの「The Meaning Of Life
(12" Version)」です。
リディムはBarry Brownの「Far East」。
前半は歌後半はダブの12インチ・ディスコ・
ミックスになっています。
このアルバムの中で一番長い6分2秒に及ぶ
曲です。
ベテランLeroy Smartの伸びのある歌声が
魅力的。

Leroy Smart-the meaning of life "12"


リズム特集 Far East/Jah Sharkey (ファー・イースト/ジャー・シャーキー)

2曲目はI-Royの「I Man Time」です。
リディムはMighty Diamondsの「Right
Time」。
Channel Oneを代表するMighty Diamondsの
ミリタント・ビートの楽曲に、人気ディー
ジェイの切れ味鋭いトースティングが冴える
曲です。

I Roy - I Man Time (Well Charge 1975).


3曲目はJohn Holtの「Tribal War」です。
リディムはLittle Royの同名曲です。
ロックステディの時代から活躍する名シンガー
John Holtの、オルガンとギターのメロディに
乗せたヴォーカルが光る曲です。

4曲目はThe Enforcerの「Pay Them」です。
いかにもルーツらしいピアノのメロディに
乗せたシリアスなナンバーです。
コーラス・グループと思われるThe Enforcer
の、ちょっと武骨なヴォーカルとコーラス・
ワークがとても魅力的な曲です。

THE ENFORCER - Pay Them [1978]


5曲目はThe Enforcerの「Pay Them Version」
です。
4曲目「Pay Them」のヴァージョン(ダブ)
です。
おそらくErnest Hookimのミックスと思われます
が、ハードなミックスがThe Revolutionaries
の演奏の魅力を際立たせています。

6曲目はTrinityの「All Gone」です。
リディムはロックステディの時代のCablesの
ヒット曲「Baby Why」です。
ダブワイズの効いたユラユラしたメロディに、
エコーの効いたTrinityのトースティングが
冴える曲です。

Trinity - All Gone


7曲目はEarth & Stoneの「Give Me」です。
Channel Oneに「Kool Roots」という素晴ら
しいアルバムを残している名コーラス・
グループの、リリカルなピアノに乗せた歌声
が冴える1曲です。

earth_and_stone_01a
Earth & Stone ‎– Kool Roots (1979)

8曲目はCreoleの「Beware」です。
ファンキーなギターに乗せたCreoleのソウル
フルなコーラスが魅力的な曲です。
この曲からはかなりソウルやファンクの影響
を感じます。
ダンサブルな1曲。

Creole - Beware + Dub


9曲目はCreoleの「Beware Version」です。
8曲目「Beware」のヴァージョン(ダブ)
です。

10曲目はOvernight Playersの「Shaka The
Great (12" Version)」です。
メロディアスなオルガンのメロディから、
ホーンやアコースティック・ギターなどで
徐々に盛り上がって行く曲です。
1枚しかアルバムを残していないOvernight
Playersですが、そのサウンドは退廃的な空気
を感じる独特の魅力があります。
12インチ・ミック・ヴァージョンで、この
アルバムの中で2番目に長い5分2秒の曲
です。

The Overnight Players - Shaka The Great - Babylon Destruction


11曲目はWailing Soulsの「Lawless
Society」です。
ルーツ期からダンスホール期まで長く活躍
した名コーラス・グループの、グルーヴ感
満点の曲です。

12曲目はWailing Soulsの「Lawless
Society Version」です。
11曲目「Lawless Society」のヴァージョン
(ダブ)です。
ユッタリしたワン・ドロップに乗せたホーン
が、魅力的なダブ。

13曲目はJohn Holtの「Up Park Camp」
です。
John Holtの代表曲のひとつともいえる曲
です。

リズム特集 Get In The Groove/Up Park Camp (ゲット・イン・ザ・グルーヴ/アップ・パーク・キャンプ)

14曲目はJohn Holtの「Up Park Camp
Version」です。
13曲目「Up Park Camp」のヴァージョン
(ダブ)です。

15曲目はThe Revolutionariesの「Leftist」
です。
リディムはHeptonesの「Love Won't Come
Easy」。
リリカルなピアノとズシッとしたベースの
オープニングから、ホーン・セクションの
メロディが素晴らしいインスト・ナンバー
です。

16曲目はThe Revolutionariesの「Leftist
Version」です。
15曲目「Leftist」のヴァージョン(ダブ)
です。

17曲目はErnest Wilsonの「I Know Myself」
です。
ルーツのシリアスな香りとソウルのクールな
匂いの両方がする曲です。
浮遊感のあるオルガンのメロディに、ソウル
フルなErnest Wilsonの歌声が魅力的。

Ernest Wilson I Know Myself


18曲目はTrinityの「School Days」です。
リディムはRoy Richardsの「Freedom Blues」。
ホーンとズシッとしたベースを中心とした
演奏に、Trinityのトースティングが冴える
曲です。
頭の方にもう一人のディージェイの声も
入っていますが、おそらく彼と仲の良かった
Dillingerか?

リズム特集 Freedom Blues (フリーダム・ブルース)

19曲目はTrinityの「School Days Version」
です。
18曲目「School Days」のヴァージョン
(ダブ)です。
こちらはドスの効いたベースが冴える曲です。

20曲目はMcWonerの「No Fire It」です。
こちらはリリカルなピアノとドスの効いた
ベースが魅力的な、ルーツ色の強い曲です。
抑揚をあまり付けずに歌うMcWonerの
ヴォーカルも魅力的。

Mc Woner - No Fires It


ざっと追いかけて来ましたが、1曲1曲が
素晴らしく、この時代のChannel Oneという
レーベルの充実ぶりがうかがえるアルバムに
仕上がっています。

このレーベルというとバック・バンドの
The Revolutionariesの活躍が見逃せません
が、彼らを陰で引き立てていたErnest Hookim
という禁欲的なミックスをするミキサーの
存在も見逃せません。
このErnest Hookimという人のソリッドな
ミックスの感性があったからこそ、あの
The Revolutionariesも他とは違う先鋭的な
バンドのイメージが出来上がったんですね。

このErnest HookimとThe Revolutionaries
という最強の布陣が揃っていたからこそ、
あのMighty Diamondsもハードとメローと
いう相反する要素を合わせ持つ独特の世界を
作り上げる事が出来たんですね。
70年代後半にこのChannel Oneという
レーベルが活躍した事は、レゲエという音楽
の忘れられない記憶です。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Various
○アルバム: Well Cha'rged Channel One
○レーベル: Pressure Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1997

○Various「Well Cha'rged Channel One」曲目
1. The Meaning Of Life (12" Version) - Leroy Smart
2. I Man Time - I-Roy
3. Tribal War - John Holt
4. Pay Them - The Enforcer
5. Pay Them Version - The Enforcer
6. All Gone - Trinity
7. Give Me - Earth & Stone
8. Beware - Creole
9. Beware Version - Creole
10. Shaka The Great (12" Version) - Overnight Players
11. Lawless Society - Wailing Souls
12. Lawless Society Version - Wailing Souls
13. Up Park Camp - John Holt
14. Up Park Camp Version - John Holt
15. Leftist - The Revolutionaries
16. Leftist Version - The Revolutionaries
17. I Know Myself - Ernest Wilson
18. School Days - Trinity *
19. School Days Version - Trinity *
20. No Fire It - McWoner
* 裏ジャケに曲の表記がありません