今回はLittle Johnのアルバム

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「Reggae Dance」です。

Little Johnは80年代のダンスホール・
レゲエの時代に活躍したシンガーです。
1970年に生まれた彼は80年代前半の
アーリー・ダンスホールで、10歳に満た
ない年齢からシンガーとして活躍し、独特
のシングジェイ・スタイルで当時の人気
レーベルVolcanoなどに多くの録音を残し
ました。
その後も自身のレーベルRomanticで
プロデューサーとしても活躍するなど、
レゲエの歴史に名を残したのがこの人なん
ですね。

アーティスト特集 Little John (リトル・ジョン)

今回のアルバムは1982年にNkrumah Jah
ThomasのレーベルMidnight Rockからリリース
した彼のファースト・アルバムです。
彼は70年生まれなのでこの時にまだ12歳
の少年だったようです。
ただ少年とは思えないほどの、成熟した歌声
を聴かせているんですね。
表題曲の「Reggae Dance」や「Sweet Reggae
Music」や「Respect Your Lover」など、
このアーリー・ダンスホールの時代のちょっと
湿った空気感を目一杯詰め込んだような曲で
素晴らしい歌声を聴かせています。

プロデュースはNkrumah Jah Thomas、バック
はRoots Radicsで、この組み合わせは他にも
このアーリー・ダンスホールの時代に
Triston Palmaの「Joker Smoker」など、
素晴らしいアルバムを残しています。

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Triston Palma ‎– Joker Smoker (1982)

ちなみに今回のアルバムは品番が「MRLP 001」
となっていて、このMidnight Rockから
リリースした初めてのLPらしいです。

手に入れたのはMidnight Rockからリリース
されたLPの中古盤でした。
残念な事にSide 2の3曲目「Mr Babylon」
に、同じところをグルグル回ってしまう
「音飛び」がありました。

こうした中古レコードにはたまにこうした
トラブルがあります。
おそらく返品も可能だとは思いますが、
今はジャマイカなどでレコードの作られて
いないので、返してしまうともう手に入ら
ない可能性もあります。
そういう事を考えると、返品しない事も多く
なってしまうんですね(苦笑)。
今回もジャケットが気に入っているので、
返品しない事にしました。

Side 1が5曲、Side 2が4曲の全9曲。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Produced and Arranged by The Music Maker from Jamaica Nkrumah Jah Thomas

Little John's real name is John McMorris

Recorded and mixed at Channel One and King Tubby's Studios
Engineer in Chair Soldgie and Professor
Backed by the Gregory Isaacs Outfit "Roots Radics"
Hornes: Dean Frazer, Nambo, David Madden

Photography by George Williams

となっています。


プロデュースとアレンジはNkrumah Jah
Thomas。

Little Johnの本名がJohn McMorrisという事
も書かれています。

レコーディングとミックスはChannel Oneと
King Tubby'sで行われ、エンジニアはSoldgie
とProfessor、バックはRoots Radicsとホーン
でDean FrazerとNambo、David Maddenが参加
しています。
Roots Radicsは「the Gregory Isaacs Outfit」
と書かれているので、Gregory Isaacsの
バック・バンドでもしていた事があるのか?

ジャケット写真はGeorge Williamsという人が
撮影しています。

ちなみに今回のアルバムですが、Clock Tower
系列のレ-ベルAbrahamからリリースされて
いるJah ThomasのCD「Dance On The
Corner」に、何の表示もありませんが
ボーナス・トラックとして全9曲が収められ
ています。

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Jah Thomas ‎– Dance On The Corner

このアルバムの10曲目まではJah Thomasの
オリジナルの曲ですが、11~19曲目まで
はこの「Reggae Dance」の曲が収められて
いるんですね。
ちなみに品番は「AACD 1398」で、CDなのに
音質はパリパリ音が入ってすごく悪く、PC
のiTunesで読み込むとアーティストがすべて
Jah Thomasで表示されます。
ボーナス・トラックとしての表示もなく、
Little Johnという事も解らない不思議な
ボーナス・トラックなんですね(笑)。

このJah Thomasの「Dance On The Corner」
については、一度ブログに書いた事があり
ます。

Jah Thomas, (Little John)「Dance On The Corner / (Reggae Dance)」: つれづれげえ日記

今回取り上げたのは、このアルバムが素晴ら
しいアルバムだったので、一度単独で書いて
おきたいと思っていたからなんですね。

さて今回のアルバムですが、82年というと
この時Little Johnはまだ12歳の少年だった
事になります。
ジャケット写真の赤い車の前でポーズを決める
彼の姿を見ると17~8歳の青年という印象
ですが、実際にはもっと若かったんですね。
彼の履歴を見ると79年頃の9歳の時には
すでにシングル盤をリリースしていて、
10代になる前から人気者だった事が解り
ます。

そんな早熟なLittle Johnのファースト・
アルバムですが、これがこの80年代前半の
アーリー・ダンスホールの湿った空気感を
目一杯吸い込んだようなアルバムでなかなか
魅力的なアルバムなんですね。
何といってもこのアーリー・ダンスホール
を盛り上げたRoots Radicsによるワン・
ドロップの演奏に、Little Johnのちょっと
鼻にかかったようなヴォーカルがとても
魅力的です。

Roots Radicsはよく「隙間だらけのスカスカ
の演奏」といわれますが(笑)、あえて
そうした「間」を意識した演奏をしている
節があり、その「間」はヴォーカルが入った
時にそのヴォーカリストがうまく埋めるよう
に計算された演奏なんですね。
彼らRoots Radics単独のダブ・アルバムなど
でイマイチ面白いアルバムが少ないのはその
為で、ヴォーカルが入って一番引き立つ演奏
をしているのがこのバンドです。
この80年代前半のアーリー・ダンスホール
で流行ったスローなワン・ドロップのリズム
に欠かせないのがこのRoots Radicsという
バンドなんですね。

特に今回のアルバムはそのRoots Radicsと
Roots Radicsの相性が抜群で、この時代の
アルバムとしてはTriston Palmaの「Joker
Smoker」やなどと並ぶ名演奏・名唱のアルバム
と言えるかもしれません。

その香り立つような魅力は、アーリー・ダンス
ホールのアルバムの中でも群を抜いているん
ですね。
彼らの魅力を惹き立てたSoldgieやProfessor
のミックスの力も大きいと思います。
表題曲の「Reggae Dance」をはじめ、スロー
なワンドロップが心地良い「Sweet Reggae
Music」や、ムーディーな「Respect Your
Lover」、「Heavenless」のリディムを使った
「If You Only」など、どの曲も聴けば聴く
ほど魅力的に思えて来る佳曲が揃ったアルバム
に仕上がっています。

Side 1の1曲目は表題曲の「Reggae Dance」
です。
Little Johnの「Reggae Dance~♪」という
歌い出しから始まる曲で、彼のヴォーカル
と合わせるようなホーン・セクションの
メロディがとても魅力的。
バックとヴォーカルが一体となった、心地
良さがある曲です。

Little John - Reggae Dance


2曲目は「Unwilling Baby Mother」です。
こちらはズシッと重いベースに、陰影のある
ピアノのメロディが効いた曲です。
ちょっとエコーの効いたLittle Johnの
ヴォーカルが、ダンスホールの湿った空気感
をうまく演出しています。

3曲目は「Sweet Reggae Music」です。
リリカルなピアノのイントロから、ドスの
効いたシン・ドラムのワン・ドロップの演奏
に、スウィートなLittle Johnのヴォーカル。
ハード目のミックスがバッチリとキマった曲
です。

Little John-Sweet Reggae Music


4曲目は「This Kind Of Way」です。
シリアスなピアノのメロディに、感情を込めた
Little Johnのヴォーカルが魅力的な曲です。
Roots Radicsらしいドスンと落とす、特徴的
なワン・ドロップも効いています。

Little John - This Kind of Way


5曲目は「Respect Your Lover」です。
Roots Radicsらしいスローなワン・ドロップ
のリズムに、感情を込めたLittle Johnの
ヴォーカル、ダンスホール・レゲエの芳香が
立ち上るような1曲。

Little John - Respect Your Lover


Side 2の1曲目は「If You Only」です。
リディムはDon Drummond & Skatalitesの
「Heavenless」です。
ホーンの明るいメロディに乗せたエンター
テイメントな1曲です。

リズム特集 Heavenless (ヘブンレス)

2曲目は「Sweet Dreams」です。
リリカルなピアノとギターのメロディの心地
良いワン・ドロップに、Little Johnの
じっくり歌い込むようなヴォーカル。
ドスの効いたベースが良い味を出している曲
です。

3曲目は「Mr. Babylon」です。
こちらはズシッと心に響くベースのメロディ
に乗せた曲です。
ユッタリ淡々と歌うLittle Johnのヴォーカル
もなかなか良い味を出している曲です。

Little John - Mr. Babylon


4曲目は「All Who Gone」です。
リディムはロックステディ期に活躍したJackie
Mittooが率いるStudio Oneのハウス・バンド
Sound Dimensionの「Full Up」。
ロックステディの時代のユッタリとしたピアノ
を中心としたメロディに、Little Johnの
感情を込めたヴォーカルが魅力的な曲です。

Little John - All Who Gone (Full Up Riddim)


リズム特集 Full Up (フル・アップ)

ざっと追いかけて来ましたが、まさにこの
アーリー・ダンスホールの時代らしさが
目一杯詰め込まれたアルバムで、アーリー・
ダンスホール好きだったらシビレること
間違いなしのアルバムです。
この時代のLittle Johnというヴォーカリスト
の素晴らしさ、Roots Radicsという独特の
ワン・ドロップのサウンドを持ったバンドの
素晴らしさが、よく解るアルバムだと思い
ます。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Little John
○アルバム: Reggae Dance
○レーベル: Midnight Rock
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○Little John「Reggae Dance」曲目
Side 1
1. Reggae Dance
2. Unwilling Baby Mother
3. Sweet Reggae Music
4. This Kind Of Way
5. Respect Your Lover
Side 2
1. If You Only
2. Sweet Dreams
3. Mr Babylon
4. All Who Gone