今回はSugar Minottのアルバム

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「Black Roots」です。

Sugar Minottはレゲエを代表するシンガー
の一人です。
70年代のルーツ・レゲエの時代にDerek
'Eric Bubbles' HowardとWinston 'Tony
Tuff' MorrisとAfrican Brothersという
3人組コーラス・グループAfrican Brothers
として音楽キャリアをスタートさせた彼は、
グループ解散後もStudio Oneをはじめと
して多くのレーベル、多くのプロデューサー
の元に素晴らしい楽曲を残し活躍した人
です。
そのかたわら「ゲットーの兄貴」として、
多くの若者をシンガーとして育てる事にも
尽力した事でも知られています。

そうした彼ですが2010年に54歳で
亡くなっています。

アーティスト特集 Sugar Minott (シュガー・マイノット)

今回のアルバムは1978年にジャマイカの
Sugar Minott自身のレーベルBlack Rootsから
リリースされた彼のソロ・アルバムです。
ネットのDiscogsでは77年のStudio Oneから
のアルバム「Live Loving」に続く2枚目の
ソロ・アルバムとなっていますが、2002年
シンコー・ミュージック刊行の本「Roots
Rock Reggae」ではこのアルバムについて
「通算3枚目にあたるアルバム」と書かれて
います。
もしかしたら履歴で抜けているアルバムが、
あるのかもしれません。
あるいはDiscogsでは79年になっている
Studio One録音の「Showcase」が、ファースト
と同じStudio One録音なので、このアルバム
より前に来るのか?

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Sugar Minott ‎– Showcase (1979)

とにかくこのSugar MinottはDiscogsの履歴
を見ても、78年のソロ・デビュー以来
80年代いっぱいまでかなり大量のアルバム
を発表し続けているんですね。
その精力的な活動には目を見張るばかりです。

販売サイトなどの情報を見ると「Hard Time
Pressure」や「River Jordan」といった
ヒット曲の入ったアルバムで、彼の代表作
と言えるアルバムのひとつのようです。

手に入れたのはIsland Records系列の
Hip-O Selectというレーベルからリリース
されたCDでした。

全10曲で収録時間は約30分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

All tracks written & arranged by Lincoln Sugar Minott
except "Mr Babylon Man" written by W. Morris & L. Minott

Harmony: Don Carlos, Lacksley Castell, Ashanti Waugh, Jah Lee, Sugar Minott
Drums: Albert Malawie, Leroy 'Horsemouth' Wallace, Fish Clark
Bass: Michael Ras Star, Junior Dan
Lead Guitar: Noel Bailey, Bingy Bunny
Rhythm Guitar: Tony Chin, Michael Ras Star, Junior Dan
Piano: Gladstone Anderson
Organ: Steelie, Ansel Collins
Percussion: Zoot 'Skully' Simms, Everton from Generation Gap Band

Produced by Lincoln Sugar Minott

Recorded at Channel One Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Barnabas, Bunny

Tracks 1, 2, 6, 9 & 10
Voiced & Mixed at King Tubbys Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Prince Jammy

Tracks 3, 4, 5, 7 & 8
Voiced & Mixed at Channel One Studio
Engineer: Barnabas

Sleeve Design: Narcissus Studios
Photo credit: Williams
Produced by J.K.S.

となっています。

参加したミュージシャンはハーモニーに
Don CarlosとLacksley Castell、Ashanti
Waugh、Jah Lee、Sugar Minott、ドラムに
Albert MalawieとLeroy 'Horsemouth' Wallace、
Fish Clark、ベースにMichael Ras Starと
Junior Dan、リード・ギターにNoel Baileyと
Bingy Bunny、リズム・ギターにTony Chinと
Michael Ras Star、Junior Dan、ピアノに
Gladstone Anderson、オルガンにSteelieと
Ansel Collins、パーカッションにZoot
'Skully' SimmsとGeneration Gap Bandの
Evertonという布陣です。

さて今回のアルバムですがSugar Minottの
初期の音源として、Studio Oneのアルバム
とともにぜひ押さえておきたいアルバムの
ひとつだと思います。

彼の特徴は何といってもその歌声で、その
甘い歌声から付いたあだ名がSugarという事
からも解るように、何とも言えない甘い歌声
が特徴なんですね。
今回のアルバムなどを聴いてもバックはまだ
ルーツのサウンドにもかかわらず、聴いた
印象はダンスホールの匂いがプンプンとする
んですね。
彼がこの後のダンスホールやラヴァーズで
活躍出来たのは、けっして偶然ではありま
せん。
甘く力強い歌声は、やはりとても魅力的
です。
彼が歌うと一味足されて曲がさらに魅力的
になる、そういう特別な力を持ったシンガー
なんですね。
特にこのルーツ後半から80年代前半の
アーリー・ダンスホールでの活躍は顕著で、
聴き逃せない音源が数多くあります。
ただそうした音源が手に入りづらくなって
いる現状は、とても残念でなりません…。

今回のアルバムも代表曲の「Hard Time
Pressure」や「River Jordan」をはじめ、
彼のヴォーカルが放つ甘い香りが充満した
ような曲が並ぶアルバムで、聴き心地が最高
に良いアルバムに仕上がっています。

ちなみにレゲエ本「Roots Rock Reggae」
には「長井」さんという方の文章で、「歌詞
は、弾圧を受けるゲットー、アフリカ回帰、
監獄などのテーマを扱った、ルーツ色を強調
したものがメイン。そのかわり緊張感のある
張り詰めたサウンドは少なめで、全体的に
ポップな仕上がり。」というアルバム評が
書かれています。

まだこの時代はルーツ色の強い歌詞が歌われ
ているようです。
それでいてポップというところが、いかにも
レゲエらしいヤリ口なんですね(笑)。

1曲目は「Mankind」です。
ソフトなオルガンのメロディに、Sugar Minott
の柔らかいヴォーカルがとても心地良い曲
です。
ただ「人類」というタイトルから見て、歌詞は
ハードなものなのかも…。

Sugar Minott - Mankind


2曲目は「Hard Time Pressure」です。
リディムはDiscogsによると、Gregory Isaacs
の「Night Nurse」のようです。
彼のこの時代のヒット曲のようです。
オルガンのメロディにちょっとアンニュイな
Sugar Minottのヴォーカル。
ダンスホールに通じるような空気感のある曲
です。

Sugar Minott - Hard Time Pressure


3曲目は「River Jordan」です。
こちらは彼自身のヒット曲「Vanity」と同じ
リディムを使った曲のようです。
オリジナルのリディムはAlton EllisのStudio
Oneのヒット曲「I'm Just A Guy」。
「Sugar節」ともいえる彼のエモーショナル
なヴォーカルが冴える曲です。

Sugar Minott - Jordan River


リズム特集 I'm Just A Guy (アイム・ジャスト・ア・ガイ)

4曲目は「Jail House」です。
「監獄」というタイトルの曲です。
ただメロディはあくまでメローで、Sugar
Minottのソフトなヴォーカルが際立つ曲
です。

5曲目は「I'm Gonna Hold On」です。
メロディアスなギターにドスの効いたベース、
Sugar Minottのソフトなヴォーカルが良い味
を出している曲です。

6曲目は「Oppressors Oppression」です。
リディムはBarry BrownのStudio Oneの
ヒット曲「Far East」です。
男性コーラスの入ったヒット・リディムを
バックに、Sugar Minottらしいスウィートで
伸びのある歌声が魅力的な曲です。

Sugar Minott Black Roots - 'Oppressors Oppression' Reggae Jamaica


リズム特集 Far East/Jah Sharkey (ファー・イースト/ジャー・シャーキー)

7曲目は「Two Time Loser」です。
こちらは陰影のあるオルガンのメロディに、
コーラスをバックにしたSugar Minottの歌声
が冴える1曲。

8曲目は表題曲の「Black Roots」です。
心地良いパーカッションに浮遊感のある
オルガンのメロディ、ノビのあるSugar Minott
のヴォーカルが魅力的な曲です。

Sugar Minott - Black Roots


9曲目は「Clean Runnings」です。
こちらもオルガンとパーカッションをバック
に、張りのあるSugar Minottのヴォーカルが
魅力的な曲です。

Sugar Minott Black Roots - 'Clean Runnings'


10曲目は「Mr Babylon Man」です。
ギターとオルガンのメロディに、伸びのある
Sugar Minottのヴォーカル。

ざっと追いかけて来ましたが、やはりこの
時代のSugar Minottにはノビノビとした勢い
があり、とても魅力的です。
やっぱり本当に良いシンガーだなぁ~!と、
思わせてくれるアルバムなんですね。
レゲエは本当に良いシンガーが多い世界です
が、彼Sugar Minottはその中でも別格の魅力
を持ったシンガーのひとりなんですね。

特にこのルーツ後期からアーリー・ダンス
ホールの時代の音源は、レゲエ好きとしては
聴いておきたい音源だと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Sugar Minott
○アルバム: Black Roots
○レーベル: Hip-O Select
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1978

○Sugar Minott「Black Roots」曲目
1. Mankind
2. Hard Time Pressure
3. River Jordan
4. Jail House
5. I'm Gonna Hold On
6. Oppressors Oppression
7. Two Time Loser
8. Black Roots
9. Clean Runnings
10. Mr Babylon Man