今回はYabby You & Brethrenのアルバム

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「Deeper Roots: Dub Plates And Rarities
1976-1978」です。

Yabby You(本名Vivian Jackson)はルーツ・
レゲエの時代から活躍したシンガーであり、
プロデューサーでもある人です。
このルーツの時代はラスタファリズムが信仰
として流行っていた時代ですが、体に障害を
持っていた彼は他のラスタファリアンが神と
するエチオピア皇帝ハイレ・セラシエを神と
せず、イエス・キリストを神とする独特の
信仰の姿勢をとっていました。
そのため彼は「ジーザス・ドレッド」と呼ば
れています。

ルーツの時代にプロデューサーやシンガー
として活躍したYabby Youですが、2010年
に動脈瘤が原因で亡くなっています。

Yabby You - Wikipedia

レーベル特集 Vivian Jackson (ヴィヴィアン・ジャクソン)

今回のアルバムは2012年にUKのレゲエ・
リイシュー・レーベルPressure Soundsから
リリースされたYabby Youがプロデュースした
アーティストの45回転ダブ・プレートなど
を集めたコンピュレーション・アルバムです。
副題に「Dub Plates And Rarities 1976-
1978」とあるように、1976年から78年
というYabby Youの全盛期だったルーツ後期
の音源が集められたアルバムです。
付いていた帯には次のような言葉が書かれて
います。

「Pressure Sounds77作目はジーザス・
ドレッド!
ルーツの偉人Yabby YouとKing Tubbyの最強
タッグ!!
76~78年録音のダブ・プレート+レアリ
ティ―ズ!!」

ミックスはこのルーツの時代に多量のミックス
を行っているKing Tubbyで、このKing Tubby
はYabby Youの音楽がすごく気に入っていた
ようで、この2人のタッグはまさに最強なん
ですね。
そうした素晴らしい音源が今回のアルバム
です。

手に入れたのはPressure Soundsの日本盤の
CDでした。

全19曲で収録時間は約60分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Musician include:
Bass: Aston 'Familyman' Barrett, Robbie Shakespeare
Congo Drums: Yabby You
Drums: Leroy 'Horsemouth' Wallace, Carlton Santa Davis, Benbow Creary, Sly Dunbar
Flute: Tommy McCook
Guitar: Earl 'Chinna' Smith, Albert Griffiths, Alrick Forbes, Ranchie McClean
Organ: Ansel Collins, Pablo Black, Earl 'Wire' Lindo, Aston 'Familyman' Barrett
Percussion: Uziah 'Sticky' Thompson
Piano: Pablo Black
Saxophone: Tommy McCook
Trombone: Don D Junior a.k.a. Vin Gordon
Trumpet: Bobby Ellis

Studios:
Yabby You used Dynamics, Randy's, Harry J's and The Black Ark
for cutting rhythms and King Tubby's Studio for voiceing and (re)mixing

Produced by Vivian Jackson

Design by Ollystudio.co.uk
Photographs by courtesy of the estate of Vivian Jackson

Project Co-ordination Pete Holdsworth

となっています。

バックのミュージシャンはYabby Youのバンド
The Prophets(あるいはThe Prophets All
Stars)で、ベースにAston 'Familyman'
BarrettとRobbie Shakespeare、コンゴに
Yabby You、ドラムにLeroy 'Horsemouth'
WallaceとCarlton Santa Davis、Benbow
Creary、Sly Dunbar、フルートにTommy McCook、
ギターにEarl 'Chinna' SmithとAlbert
Griffiths、Alrick Forbes、Ranchie McClean、
オルガンにAnsel CollinsとPablo Black、
Earl 'Wire' Lindo、Aston 'Familyman'
Barrett、パーカッションにUziah 'Sticky'
Thompson、ピアノにPablo Black、サックスに
Tommy McCook、トロンボーンにDon D Junior
ことVin Gordon、Bobby Ellisという布陣です。
メンバーが多いのは録音が一度ではなく、
何回か行われたためと思われます。
ギターのAlbert Griffithsは、The Gladiators
のリード・ヴォーカル&ギタリスト。

スタジオはDynamicsとRandy's、Harry J's、
The Black Arkでバックの録音がされ、声入れ
とミックスはKing Tubby's Studioで行われて
います。
プロデュースはVivian Jackson(Yabby Youの
本名)。

収められているアーティストはSmith & The
Prophets、King Tubby、Barrington Spence、
Tommy McCook、Yabby You、Don D Junior、
Prince Pampidoo、King Miguel、Hot City All
Starsといった人達で、The Prophetsあるいは
The Prophets All Starsの演奏をバックにした
歌やダブを披露しています。

ちなみにここで「ダブ・プレート」と言われ
ているのは、ダブのスタイルの音楽という訳
ではなく、「直径12インチ、または10インチ、
7インチのアセテート盤にダイレクトカッティ
ング方式で録音したレコードのこと」を指し
ます。

ダブ・プレート - Wikipedia

この場合はアセテート盤かどうか解りません
が、あまり流通していない珍しいレコード盤
ぐらいの意味だと思います。
Yabby Youの所有する珍しいダブ・プレート
の音源を集めたのが、今回のアルバムなん
ですね。

さて今回のアルバムですが、正直寄せ集め
のコンピュレーション・アルバムなので、
音楽的には多少まとまりに欠ける印象が
あります。
ただそれでも今回のアルバムはPressure
Soundsらしい丁寧な「発掘仕事」が光る
アルバムで、なかなか貴重な音源が集められ
ており、内容は悪くないと思います。

例えば7曲目Yabby Youの「Deliver Me
(Exclusive dub plate mix)」と8曲目
のそのダブKing Tubby & Yabby Youの
「Deliver Dub (Exclusive dub plate mix)」
は、Yabby Youの77年のアルバム「Deliver
Me From My Enemies」のタイトル曲とその
ダブの(Exclusive dub plate mix)なん
ですね。
(このアルバムは2006年にBlood & Fire
からリイシューされています。)

yabby_you_04a
Yabby You ‎– Deliver Me From My Enemies (Blood & Fire盤)

そうしたダブ・プレート・ミックスをうまく
発掘して来ているのが今回のアルバムで、
いかにもPressure Soundsらしい丁寧な仕事
に好感が持てます。

他にも4曲目Barrington Spenceの「Don't
Touch I Dread」とそのダブ5曲目The Prophet
All Starsの「Tutch Dub」、トロンボーン奏者
Don D Junior(Vin Gordon)の名演が光る
9曲目「Milk River Rock (Exclusive dub
plate mix)」、Prince PampidooやKing Miguel
といった無名に近い人の楽曲とダブなど、
ルーツの時代の最深部の音楽を発掘した仕事
が多く、ルーツ好きには聴き逃せないアルバム
になっています。

1曲目はSmith & The Prophetsの「Valley
Of Joeasaphat」です。
心地良いリズムに乗せた、ヴォーカルと
男性コーラスが魅力的な曲です。
パーカッションが効いた、いかにもルーツ
という味わいがタマりません。

Smith and The Prophets - Valley Of Jehosaphat b/w Jehosaphat Rock (Prophets)


2曲目はSmith & The Prophetsの
「Joeasaphat Rock」です。
1曲目「Valley Of Joeasaphat」のダブ
です。
King Tubbyらしいベースを生かした、程よい
ミックスの1曲。

3曲目はKing Tubbyの「Thanks And Praise
(Exclusive dub plate mix)」です。
こちらはKing Tubbyらしいミックスのホーン・
ダブです。
華やかなホーンと、それを支えるドスの効いた
ベースの使い方が絶妙のダブ。

King Tubby - Thanks And Praise (Exclusive Dub Plate Mix)


4曲目はBarrington Spenceの「Don't Touch
I Dread」です。
今回のアルバムの中でも特におススメの
ルーツ・ナンバーです。
哀愁のあるギターのメロディに、Barrington
Spenceの感情の入ったヴォーカルがグッと
来る1曲。

Barrington Spence-Don't Touch I Locks


5曲目はThe Prophet All Starsの「Tutch
Dub」です。
こちらは4曲目「Don't Touch I Dread」の
ダブです。
こちらはベースで聴かせるダブです。

6曲目はTommy McCook & King Tubbyの
「Fighting Dub (Exclusive dub plate mix)」
です。
Tommy McCookの泣きのテナー・サックスが
冴えるダブです。
心地良いパーカッションが、このルーツの
時代らしさをうまく演出しています。

7曲目はYabby Youの「Deliver Me (Exclusive
dub plate mix)」です。
書いたようにYabby Youの「Deliver Me From
My Enemies」の(Exclusive dub plate mix)
で、レアな別ヴァージョンです。
後半に言葉が入ります。
おそらく出だしとそのあたりの違いかと思う
のですが…。

Yabby You Deliver Me & Deliver Dub


8曲目はKing Tubby & Yabby Youの「Deliver
Dub (Exclusive dub plate mix)」です。
7曲目「Deliver Me (Exclusive dub plate
mix)」のダブです。
こちらもKing Tubbyのミックスが冴えるダブ
です。

9曲目はDon D Junior & The Prophetsの
「Milk River Rock (Exclusive dub plate
mix)」です。
こちらは名トロンボーン奏者のDon D Junior
(Vin Gordon)の熱演が光るインスト・
ナンバーです。

10曲目はPrince Pampidooの「Dip Them
Bedward」です。
凝りらはレアなシンガーPrince Pampidooの
ルーツ・ナンバーです。
ギターのメロディに乗せた明るい歌ぶりが
印象的。

DIP THEM BEDWARD + VERSION ⬥Prince Pompadoe⬥


11曲目はThe Prophets All Starsの
「Dub Them Bedward」です。
10曲目「Dip Them Bedward」のダブです。

12曲目はKing Tubby & The Prophetsの
「Dub Vengeance (Exclusive dub plate
mix)」です。
こちらはVivian Jackson & The Sons Of Jah
の「Jah Vengence」という曲のダブのよう
です。
おそらくYabby Youと思われるパーカッション
(コンゴ?)が最高に心地良いダブ。

King Tubby & The Prophets - "Dub Vengence"


13曲目はKing Miguelの「Forward On The
Track」です。
こちらもちょっとレアなディージェイの
1曲。
ギターの刻むようなメロディに、ちょっと
フラつくような明るいトースティングが
印象的。

Forward On The Track - The Original Stepping King Miguel


14曲目はKing Miguel & The Prophetsの
「Caymanas Rock」です。
13曲目「Forward On The Track」のダブ。
ベースが効いたダブです。

15曲目はKing Tubby & The Prophets All
Starsの「Love Sweet Love Drums (Exclusive
dub plate mix)」です。
ベースを軸に心地良いパーカッションが効いた
ダブ。

16曲目はThe Prophets All Starsの
「Lazy Mood」です。
独特の揺れるようなオルガンの音色が面白い
インスト・ナンバーです。

The Prophets All Stars - Lazy Mood


17曲目はKing Tubby & The Prophetsの
「Open Your Hearts (Exclusive dub plate
mix)」です。
こちらは16曲目「Lazy Mood」にさらに
ホーンを加えたダブ・ナンバーです。
King Tubbyのミックスが冴える1曲。

18曲目はKing Tubby & The Prophets All
Starsの「Poor And Needy Dubwise
(Exclusive dub plate mix)」です。
こちらはベースの効いたダブです。

19曲目はHot City All Starsの「Cleo's
Dub」です。
オルガンのイントロからベースの効いたダブ。

ざっと追いかけて来ましたが、やはり曲の
多さもあってちょっと散漫な印象も残ります
が、1曲1曲を丁寧に見て行くと面白い曲が
多く収められたアルバムなんですね。

このYabby Youという人はKing Tubbyも惚れ
込んだ独特なエモーショナルな感性の持ち主
ですが、彼の作る曲にはルーツならではの
独特の味わいがあるんですね。
その彼の感性はあのBlood & Fireのレゲエ
博士Steve Barrow氏などからも評価され、
Blood & Fireから多くのリイシュー・
アルバムが出され、ルーツ期以上に評価が
上がった人なんですね。
今回のアルバムもそうした彼の一端が解る
ところが、面白いところなのではないかと
思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Yabby You & Brethren
○アルバム: Deeper Roots: Dub Plates And Rarities 1976-1978
○レーベル: Pressure Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2012

○Yabby You & Brethren「Deeper Roots: Dub Plates And Rarities 1976-1978」曲目
1. Valley Of Joeasaphat - Smith & The Prophets
2. Joeasaphat Rock - Smith & The Prophets
3. Thanks And Praise (Exclusive dub plate mix) - King Tubby
4. Don't Touch I Dread - Barrington Spence
5. Tutch Dub - The Prophet All Stars
6. Fighting Dub (Exclusive dub plate mix) - Tommy McCook & King Tubby
7. Deliver Me (Exclusive dub plate mix) - Yabby You
8. Deliver Dub (Exclusive dub plate mix) - King Tubby & Yabby You
9. Milk River Rock (Exclusive dub plate mix) - Don D Junior & The Prophets
10. Dip Them Bedward - Prince Pampidoo
11. Dub Them Bedward - The Prophets All Stars
12. Dub Vengeance (Exclusive dub plate mix) - King Tubby & The Prophets
13. Forward On The Track - King Miguel
14. Caymanas Rock - King Miguel & The Prophets
15. Love Sweet Love Drums (Exclusive dub plate mix) - King Tubby & The Prophets All Stars
16. Lazy Mood - The Prophets All Stars
17. Open Your Hearts (Exclusive dub plate mix) - King Tubby & The Prophets
18. Poor And Needy Dubwise (Exclusive dub plate mix) - King Tubby & The Prophets All Stars
19. Cleo's Dub - Hot City All Stars