今回はSandra Crossのアルバム

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「This Is Sandra Cross」です。

Sandra CrossはUKのMad Professorが主催
するレーベルAriwaの「歌姫」として、よく
知られているシンガーです。
3人組グループWild Bunchの女性ヴォーカル
としてキャリアをスタートさせた彼女は、
プロデュースしたMad Professorに認められて
Ariwaのラヴァーズロック・レゲエの人気
シンガーへとなって行くんですね。

このラヴァーズロック・レゲエという形式は
70年代の半ばぐらいにイギリスで誕生した
レゲエの1ジャンルです。
70年代当時のジャマイカのレゲエという
音楽は、ラスタファリズムの思想に影響を
受けたプロテストソングが中心でラヴ・
ソングはあまり歌われていなかったんです
ね。
それに対してイギリス(UK)では、思想的
な歌よりもラヴ・ソングに対するニーズが
高かったようです。
そしてそのイギリスで誕生したのはルーツ・
レゲエと真逆のスウィートなラヴ・ソングを
中心としたレゲエ、ラヴァーズロック・レゲエ
だったんですね。
その中心人物として最も有名なのが、あの
Matumbiのリーダー的な存在だったDennis
Bovellです。
こうしてUKは徐々にジャマイカのレゲエ
とは徐々に違う道を歩むようになって行くん
ですね。

ラヴァーズ・ロック - Wikipedia

そうしてUKで始まったラヴァーズロック・
レゲエですが、80年代にはUKにアフリカ
のガイアナ出身のプロデューサーがMad
Professor登場し、自身のレーベルAriwaを
ラヴァーズロックのレーベルとして育て、
UKレゲエの中で地位を確立して行くんです
ね。
そのAriwaのスターのひとりがこのSandra
Crossだったんですね。

レーベル特集 Ariwa (アリワ)

今回のアルバムは1991年にUKのAriwa
からリリースされた彼女のソロ・アルバム
です。
彼女のソロ・アルバムとしては85年の
ファースト「Country Life」、88年の
セカンド「Country Life」に続く3枚目の
アルバムで、タイトルから見ても彼女の
決定盤!という意気込みが感じられるアルバム
になっています。

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Sandra Cross ‎– Country Life (1985)

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Sandra Cross ‎– Comet In The Sky (1988)

手に入れたのはAriwaからリリースされた
CDの中古盤でした。
どうも処分品だったようで、200円と
いう非常に廉価で売られていたアルバム
でした(笑)。

全9曲で収録時間は約49分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Produced by Mad Professor
Recorded & Mixed at Ariwa Sounds
Keyboards: Victor, Steel, Errol Reid
Drums: Robotiks
Guitar: Steel
Bass: Steel, Preacher, Bernard
Hornes: Tantan, Bammie, Mad Man Horns
Vocal Harmonies: Sandra, Steel, Victor

となっています。

プロデュースはMad Professorで、レコーディ
ングとミックスはで行われ、キーボードに
VictorとSteel、Errol Reid、ドラムに
Robotiks、ギターにSteel、ベースにSteelと
Preacher、Bernard、ホーンにTantanとBammie、
Mad Man Horns、ハーモニーにSandraとSteel、
Victorが参加しています。
だいたいはAriwaで活躍するミュージシャンの
人達ですが、ホーンに名前のあるTantanは
ジャマイカのトランぺッターEddie 'Tantan'
Thorntonではないかと思います。

さて今回のアルバムですが、いかにもSandra
Crossらしいラヴァーズロックの甘い歌声の
1枚で、ラヴァーズ好きにはツボのアルバム
ではないかと思います。
Sandra Crossの高音を生かしたスウィートな
ヴォーカルが全開というアルバムで、おそらく
このスウィートな上にさらに砂糖を大量に
ぶっかけてさらにスウィートにしたような
過剰な世界がラヴァーズロックの真骨頂なん
だと思います。

正直こうしたラヴァーズはそれほど得意分野
ではないのですが(苦笑)、なぜかMad
Professorのダブは大好きで、こうした彼の
作るラヴァーズを聴いても、彼の過剰なほど
にぶち込んでくる甘いテイストがちょっと
面白くはあります。
彼の作るこうしたラヴァーズはジャマイカの
作るレゲエとはまったく違うテイストで、
それがレゲエという音楽の幅を広げた功績は
否定できません。

1曲目は「Holding On」です。
スウィートなメロディに、Sandra Crossの
伸びのあるヴォーカルが魅力的な曲です。
後半はダブのこのアルバムで2番目に長い
7分41秒の、エクステンデッド・ミックス
になっています。

Sandra Cross - Holding on (Extended Version)


2曲目は「Stop, Look, Listen」です。
シンセの陰のあるメロディに男性コーラス
などが、Sandra Crossの伸びのある心地良い
ヴォーカルをうまくフォローしています。
後半に彼女の美しい高音が聴ける曲です。

STOP, LOOK, LISTEN SANDRA CROSS


3曲目は「Can't Let You Go」です。
こちらの高音のシンセの美しいメロディに、
Sandra Crossの透き通るようなヴォーカルが
爽やかな曲です。
こちらも後半はダブワイズが入ったエクス
テンデッド・ミックス。

Sandra Cross Can't Let You Go


4曲目は「Bear With Me」です。
ホーンのメロディに男性コーラス、シッカリ
した歌いぶりのSandra Crossのヴォーカル。
スウィートなストリングスも効果的な曲です。

5曲目は「Hard Up Bachelor」です。
こちらはSandra Crossらしい高音を生かした、
ちょっと可愛らしい曲です。
合間良く入るトランペット(Tantanか?)も
グッド。

6曲目は「Put It On」です。
ストリングのメロディにユッタリと歌う
Sandra Crossのヴォーカル。
ファルセットなコーラスに、刻むような
ギターも良い味を出している曲です。

Sandra Cross - Put It On


7曲目は「Just Don't Care」です。
ベースを中心とした演奏に、心地良い高音を
生かしたSandra Crossのヴォーカルが冴える
曲です。

8曲目は「My Guy」です。
こちらはホーンのイントロからストリングス
とギターのメロディに乗せた、伸びのある
ヴォーカルの曲です。
このアルバムで一番長い8分47秒にも及ぶ、
後半はダブのエクステンデッド・ミックスの
曲です。

9曲目は「Take Your Time」です。
こちらもシンセのメロディをバックに、
ノビのある高音を生かしたSandra Crossの
ヴォーカルが魅力的な曲です。

Take Your Time - Sandra Cross


ざっと追いかけて来ましたが、ラヴァーズと
いうと同じ曲調の曲が揃いがちですが、曲の
後半にダブを付けたエクステンデッド・
ミックスの曲を混ぜるなど、飽きない工夫が
されています。
そのあたりはこうしたラヴァーズに精通した
Mad Professorらしい心配りが感じられる
ところです。

ラヴァーズ好きには悪くないアルバムだと
思います。

機会があれば聴いてみてください。


○アーティスト: Sandra Cross
○アルバム: This Is Sandra Cross
○レーベル: Ariwa
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1991

○Sandra Cross「This Is Sandra Cross」曲目
1. Holding On
2. Stop, Look, Listen
3. Can't Let You Go
4. Bear With Me
5. Hard Up Bachelor
6. Put It On
7. Just Don't Care
8. My Guy
9. Take Your Time