今回はAugustus Pabloのアルバム

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「Rockers Meets King Tubbys In A Fire
House」です。

Augustus Pabloは70年代のルーツ・レゲエの
時代から活躍したメロディカ奏者、キーボード
奏者、プロデューサーとして知られている人
です。
それまで練習用の楽器ぐらいにしか思われて
いなかったメロディカを駆使して、レゲエに
それまでに無い新しい音楽というイメージを
プラスしたのがこの人なんですね。

数々のセッションに参加し、多くのインスト
やダブ・アルバムを残し、Hugh Mundellを
はじめとする若手のミュージシャンを育てた
彼でしたが、1999年に筋無力症のために
亡くなっています。

アーティスト特集 Augustus Pablo (オーガスタス・パブロ)

今回のアルバムは1980年にClocktower
系列のレーベルShanachieからリリースされた
Augustus Pabloを中心としたRockersレーベル
のミューシャンによるダブ・アルバムです。
76年に発表したダブ・アルバム「King
Tubbys Meets Rockers Uptown」の続編として
作られたアルバムで、ミックスはKing Tubby's
StudioのKing TubbyとPrince Jammyが行って
います。

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Agustus Pablo ‎– King Tubbys Meets Rockers Uptown (1976)

比較的Agustus Pabloのメロディカの演奏は
控えめですが、King Tubby'sの攻撃的な
ミックスが光るアルバムに仕上がっています。

手に入れたのはShanachieからリリースされた
CDの中古盤でした。
オリジナル9曲に加えて、CDボーナス・
トラック4曲がプラスされた全13曲入りの
アルバムです。

ちなみにこのアルバムは私がまだ若かった
80年代に、Shanachieからリリースされた
LPも購入していました。

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Augustus Pablo ‎– Rockers Meets King Tubbys In A Fire House (LP)

Augustus Pabloは78年のアルバム「East
Of The River Nile」を聴いて以来大好きで、
当時からよく聴いていたんですね。

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Augustus Pablo ‎– East Of The River Nile (1978)

全13曲で収録時間は約48分。
オリジナルは9曲で、残りの4曲はCD
ボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Produced and arranged by Augustus Pablo (H. Swaby) and Michael McGeachy
Mixed by Prince Jammy, King Tubby and Augustus Pablo
Photography by Rockers Crew

All songs played by: Rockers All Stars

Players Of Instruments:
Bass: Junior Dan, Michael Taylor, Bugsy from Jah Malla, Robbie Shakespeare
Drums: Albert Malawi, Leroy Wallace, Mikey Boo
Lead Guitar: Earl 'Chinna' Smith, Dalton Brownie
Rhythm Guitar: Fazal Predergast, Cleon from Jah Malla
Hornes: Deadley Headley
Organ, Piano, Strings Ensemble, Melodica: Augustus Pablo
Percussion: Jah Teo, Sticky, Jah Levi

となっています。

プロデュースとアレンジはAugustus Pablo
(本名Horace Swaby)とMichael McGeachyで、
ミックスはPrince JammyとKing Tubby、
Augustus Pabloが担当しています。
ジャケット写真は「Rockers Crew」となって
いるので、Rockersのメンバーが撮影している
ようです。

すべての曲の演奏はPabloのレーベルRockers
のバンドRockers All Starsです。
メンバーはベースにJunior DanとMichael
Taylor、Jah Mallaというグループに所属する
Bugsy、Robbie Shakespeare、ドラムにAlbert
MalawiとLeroy Wallace、Mikey Boo、リード・
ギターにEarl 'Chinna' SmithとDalton
Brownie、リズム・ギターにFazal Predergast
とJah MallaのCleon、ホーンにDeadley
Headley、オルガンとピアノ、ストリング・
アンサンブル、メロディカにAugustus Pablo、
パーカッションにJah TeoとSticky、Jah Levi
という布陣です。

Jah Mallaは80年代前半に2枚のアルバムを
リリースしている4人組グループのようです。
パーカッションに名前のあるJah Leviは、
Hugh Mundellのディージェイ名です。

さて今回のアルバムですが、やはりAugustus
Pabloを中心としたエモーショナルで個性的
な演奏と、King Tubby'sの切れ味鋭い攻撃的
なミックスの組み合わせはとても魅力があり
ます。
こうした音楽はこのルーツ・レゲエという
時代、Augustus Pabloというメロディカを
繰る個性的なアーティスト、King Tubby'sと
いうダブという特別な音楽を作るスタジオが
あって出来た、唯一無二の音楽なんですね。
そのサウンドは今の時代に聴いても、充分に
魅力的だと思います。

特におススメは3曲目「Zion Is A Home」で、
この曲はAugustus Pabloの「House Is Not
Home」という曲のダブなんですが、この
Augustus Pabloという人の作る曲は起承転結
のある曲が多いのですが、この曲に関しては
あまり転結がなくフワフワと漂うような
浮遊感のある曲で、そのメロディカの
ドラッギーで漂うようなとりとめの無さが
かえって魅力です。
またCDボーナス・トラックとして入って
いる13曲目「House Of Dub Version」は
この曲の別ヴァージョンなので、そのあたり
も聴き較べてみると面白いところ。

また2曲目「Short Man Dub」は、あの名
サックス・プレイヤーDeadley Headleyの
泣きのアルト・サックスがシビレる魅力的
な曲です。
彼のサックスは4曲目「Dub In A Matthews
Lane Arena」でも活躍しています。
他にもAugustus Pabloのメロディカが強烈な
8曲目「Selassie I Dub」、ベースが良い味
を出している5曲目「Jah Say Dub」など、
魅力的な曲が多く収められたアルバムです。

1曲目は表題曲の「Rockers Meet King
Tubbys In A Fire House」です。
心地良い硬いドラミングから、これから何か
始まると予感させるような曲です。

Augustus Pablo - Rockers meets King Tubby's In A Fire House - 01 - In A Fire House


2曲目は「Short Man Dub」です。
頭からDeadley Headleyの強烈なサックスが
入って来る曲です。
それだけでどんどんディープな世界に引き
ずり込まれて行くような…。

augustus pablo - short man dub


3曲目は「Zion Is A Home」です。
書いたようにPabloの「House Is Not Home」
という曲のダブです。
メロディカの茫洋とした浮遊感に、ヤラレ
ちゃうダブ。

augustus pablo - Zion Is A Home


4曲目は「Dub In A Matthews Lane Arena」
です。
ホーンのメロディにパーカッション、ピアノ
と、様々な音が溶け合った魅力的なダブです。

Augustus Pablo - Dub In A Matthews Lane Arena


5曲目は「Jah Say Dub」です。
ピアノのエモーショナルで緊迫感のある
演奏が印象的。
その後のドスの効いたベースもイイ味を
出しています。

6曲目は「Son Of Jah Dub」です。
表情豊かなギターとズシッとしたベース…。
ひとつひとつの音が立ったダブです。

7曲目は「Simeon Tradition」です。
ズシッと重いベースを軸としたダブです。
ダブの基本はベースだという事を、思い
知らされるようなダブ。

8曲目は「Selassie I Dub」です。
こちらはAugustus Pabloのメロディカ全開
のダブです。
Pabloのメロディカのユラユラ感と、それを
支えるベースのズッシリしたサウンドが
面白いダブ。

Augustus Pablo - Selassie I Dub


9曲目は「Jah Moulty Ital Sip」です。
浮遊感のあるオルガンに、ドスの効いた
ベースを中心としたシブいダブです。

10曲目~13曲目はオリジナルにない
CDボーナス・トラックのダブが収められ
ています。
ここでは省略しますが、書いたように13曲
目「House Of Dub Version」は、3曲目の
「Zion Is A Home」の別ヴァージョンなので
注目です。

Augustus Pablo House Of Dub Version


ざっと追いかけて来ましたが、この80年は
ルーツ・レゲエの時代がそろそろ終わりを
迎え新しいダンスホール・レゲエへと変わ
ろうとしていた時代ですが、そうした時代の
流れに左右されずにAugustus PabloとKing
Tubby'sはルーツ・レゲエの集大成のような
素晴らしいダブの世界を作り上げています。

Augustus Pabloの作品にはインストの作品と
こうしたダブの作品の2種類がありますが、
今回のアルバムは彼のダブのアルバムの中
でも特に完成度の高い作品のひとつと言える
でしょう。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Augustus Pablo
○アルバム: Rockers Meets King Tubbys In A Fire House
○レーベル: Shanachie
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1980

○Augustus Pablo「Rockers Meets King Tubbys In A Fire House」曲目
1. Rockers Meet King Tubbys In A Fire House
2. Short Man Dub
3. Zion Is A Home
4. Dub In A Matthews Lane Arena
5. Jah Say Dub
6. Son Of Jah Dub
7. Simeon Tradition
8. Selassie I Dub
9. Jah Moulty Ital Sip
(CD Bonus Tracks)
10. Son Of Man Dub
11. Rasta To The Hills
12. Twin Seal Dub
13. House Of Dub Version