今回はBig Youthのアルバム

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「Dreadlocks Dread」です。

Big Youthは70年代のルーツ・レゲエの
時代から活躍するルーツ・ディージェイ
です。
その息遣いまで曲にしてしまうような自由
なディージェイ・スタイルで70年代に
人気を博し、「Hit The Road Jack」や
「Every Nigger Is A Star」などのヒット
曲があります。

アーティスト特集 Big Youth (ビッグ・ユース)

今回のアルバムは1975年にUKのKlik
というレーベルからリリースされた彼の
ソロ・アルバムです。
プロデュースはTony Robinsonで、バックは
Skin, Flesh And Bonesというアルバムで、
当時はLPで発売されていましたがSide 1
の5曲はBig Youthのトースティング、Side 2
は1曲目(CDでは6曲目)「Marcus
Garvey」はBig Youthのトースティングです
が、残りの5曲はダブという仕様のアルバム
です。
ちょっと変わったアルバムなんですね(笑)。

アーティスト特集 Tony 'Prince Tony' Robinson (トニー’プリンス・トニー’ロビンソン)

なお発売された時のタイトルは、微妙な違い
ですが「Dread Locks Dread」だった模様
です。

手に入れたのはVirgin傘下のFront Line
というレーベルからリリースされたCDの
中古盤でした。

全11曲で収録時間は約34分。
書いたように初めの6曲はBig Youthの
トースティング、残りの5曲はダブで
6曲目以降の曲はまったくトースティング
が入っていません。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

All tracks written by T.robinson, Big Youth

Produced and arranged by Tony Robinson
Engineered by Errol Thompson
Studios: Randy's Recording Studio, Harry J Studio
Mixed at: Joe Gibbs' Studio
Backed by Skin, Flesh And Bones Band

となっています。

すべての作曲はT.robinsonとBig Youthで、
プロデュースとアレンジはTony Robinson、
エンジニアはErrol Thompsonで、録音はRandy's
とHarry Jで行われ、ミックスはJoe Gibbs'
Studio、バックの演奏はSkin, Flesh And
Bones Bandが担当しています。

さて今回のアルバムですが、書いたように
LPで発売された当時は片面がBig Youthの
トースティング、片面が1曲を除いてダブと
いうちょっと変わった仕様のアルバムなん
ですね。
しかもダブの方はBig Youthのトースティング
が入っていない曲が多くて「Big Youth感」
がゼロ…(笑)。
おそらくBig Youthの曲が足りなくてそう
なったのかなと思いますが、ちょっと中途
半端感があるアルバムなんですね。

ただそうしたところもこれだけ時間が経って
しまうと、かえってこの時代のジャマイカ
らしくて面白く感じてしまうんですね(笑)。
Big Youthだけを期待して聴くとちょっと
肩透かしですが、こうした「雑さ」も今と
なっては魅力です。
なによりこの一番良い時期のBig Youthの
トースティングが聴ける、それだけで充分に
素晴らしいアルバムだと思います。

このルーツの時代のBig Youthのトースティング
というのは、誰とも違う特別な位置にあるん
ですね。
彼の出発点はこの時代に一世を風靡したU-Roy
のフォロワー(追随者)であった訳ですが、
この70年代半ばにはすでに独特のシング・
ジェイ・スタイルを確立しています。
彼のディージェイにはその息遣いまでトース
ティングにしてしまうような、独特の「間」
のようなものがあるんですね。
これは考えて出来る事ではなく、彼の感覚が
生みだしている独特の世界なんですね。
そうした彼らしいトースティングが堪能出来
るのが、この70年代のルーツの時代なん
ですね。

そうしたトースティングは特に陰のある曲で
特徴がより発揮されていて、魅力がよく解り
ます。
今回のアルバムで言うと3曲目「Lightning
Flash (Weak Heart Drop)」はYabby Uの名曲
「Conquering Lion」が使われていて、その
ちょっと陰影のあるメロディにBig Youth
のトースティングがよく映えている印象が
あり出色の出来です。
また6曲目「Marcus Garvey」はあのBurning
Spearの名曲「Marcus Garvey」が使われて
いますが、陰影のあるメロディにBig Youth
のトースティングが入り、さらにダブワイズ
しているのでとても強烈な1曲です。
こうした充実した曲を聴くだけでも、充分に
価値のあるアルバムだと思います。

また後半はErrol Thompsonのミックスにも
注目です。
Joe Gibbsの元で長く活躍したErrol Thompson
ですが、この人は人を楽しませる音楽を作る
のが非常にウマい人なんですね。
今回のアルバムでもそうした彼らしいミックス
が楽しめるので、ダブ好きにとっては後半の
ダブも注目だと思います。

あとはアルバムとしてのまとまりという事に
なるのでしょうが、そこはご愛敬という事に
しておきます(笑)。

1曲目は「Train To Rhodesia」です。
ブギーのリズムに乗せたBig Youthの歌う
ようなトースティングが魅力的な曲です。

2曲目は「House Of Dreadlocks」です。
リディムはJunior Bylesの「Curly Locks」。
こちらもブギーっぽいホーンのメロディに、
反笑いのようなリラックスしたトースティング
が、いかにもこの人らしいところ。
作りだすグルーヴ感は一級品。

Big Youth - House Of Dreadlocks - (Dread Locks Dread)


3曲目は「Lightning Flash (Weak Heart
Drop)」です。
書いたようにリディムはYabby U & Ralph
Brothersの「Conquering Lion」。
陰のあるメロディにBig Youthのユラユラと
したトースティングが、独特の世界を作り
上げている曲です。
このアルバムの中でも白眉の1曲です。

Big Youth Dread Locks Dread 1975 03 Lightning Flash Weak Heart Drop


4曲目は「Natty Dread She Want」です。
こちらは初期レゲエの頃の「Cherry Oh Baby」
にちょっと似た曲です。
心地良いギターのリズムに、Big Youthの
ノリノリのトースティング。

5曲目は「Some Like It Dread」です。
こちらはフライング・シンバルのビートに、
ハーモニカのメロディが独特の空気感を作り
上げている曲です。
Big Youthの黒い魂を感じるトースティング
が魅力的です。

Big Youth- Some Like it Dread


ここから元のアルバム(LP)ではSide 2で、
すべての曲がダブになっています。

6曲目は「Marcus Garvey」です。
ご存じBurning Spearの名曲「Marcus Garvey」
です。
明らかにBurning Spearと思われるヴォーカル
も入っています。
それに乗るBig Youthのトースティングも強烈
で、独特の世界を作り上げています。

Big Youth - Dreadlocks Dread - 06 - Marcus Garvey Dread


7曲目は「Big Youth Special」です。
タイトルは「Big Youth Special」ですが、
Big Youthのトースティングは入っていま
せん。
ハーモニカを中心としたダブ。
Errol Thompsonらしい楽しませる事を考えた
ダブになっています。

Big Youth - Dreadlocks Dread - 07 - Big Youth Special


8曲目は「Dread Organ」です。
こちらもユラユラ感が満点のハーモニカの
入ったダブ。

Big Youth Dread Locks Dread 1975 08 Dread Organ


9曲目は「Black Man Message」です。
こちらもブルース・ハーモニカが冴えるダブ
です。
今回のダブではこのハーモニカ使いで、うまく
ダブの色を出しています。

10曲目は「You Don't Care」です。
リディムはロックステディの時代のTechniques
のヒット曲「Techniques」です。
ロックステディらしいギターとピアノが
印象的。
ダブワイズもキマっています。

リズム特集 You Don't Care (ユー・ドント・ケア)

11曲目は「Moving Away」です。
こちらもリディムはロックステディの時代の
Ken Bootheのヒット曲「Moving Away」です。
ギターの奏でる名メロディに、ダブワイズの
効いたダブ。

リズム特集 Moving Away (ムービング・アウェイ)

ざっと追いかけて来ましたが、やはり
まとまりには多少難のあるものの、
「Lightning Flash (Weak Heart Drop)」や
「Marcus Garvey」といったなかなかの佳曲
が入っているアルバムで、このルーツ・
レゲエの時代のアルバムとしては悪くない
と思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Big Youth
○アルバム: Dreadlocks Dread
○レーベル: Front Line
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1975

○Big Youth「Dreadlocks Dread」曲目
1. Train To Rhodesia
2. House Of Dreadlocks
3. Lightning Flash (Weak Heart Drop)
4. Natty Dread She Want
5. Some Like It Dread
6. Marcus Garvey
7. Big Youth Special
8. Dread Organ
9. Black Man Message
10. You Don't Care
11. Moving Away