今回はSoul Syndicateのアルバム

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「Was, Is & Always」です。

Soul Syndicateはジャマイカの伝説的な
ギタリストEarl 'China' Smithをリーダーと
するグループです。
グループとしてアルバム「Harvest Uptown」
など数枚のアルバムを出している他、Niney
The ObserverやKeith Hudson、Earl Zero
などのバック・バンドを務めるなどの活躍を
しています。

Soul Syndicate - Wikipedia

High Times (ハイ・タイムズ)

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Soul Syndicate ‎– Harvest Uptown / Famine Downtown (1977)

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Earl Zero With The Soul Syndicate ‎– Visions Of Love (1980)

今回のアルバムは1980年にUSの
Epiphany Recordsというレーベルからリリース
された、Soul Syndicateのセカンド・アルバム
です。
Keith & Texのロックステディのヒット曲
「Tonight」や、映画「ナバロンの要塞」の
主題歌「Guns Of Navarone」、ジャズの
Dave Brubeckの名曲「Take Five」のメロディ
を使った「The Soviets Are Coming」など、
多くのカヴァー曲が収められたアルバムに
なっています。

手に入れたのはEpiphany Recordsからリリース
されたCDでした。

全11曲で収録時間は約49分。
オリジナルは9曲で、最後の2曲はCD
ボーナス・トラックとして彼らの演奏した
曲のメドレーとダブが1曲ずつ収められて
います。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Soul Syndicate:
Yamaha Guitar: Earl 'Chinna' Smith
Guitar: Tony 'Valentine' Chin
Bass: George 'Fully' Fullwood
Drums: Carlton 'Santa' Davis
Sax: Enroy 'Tenor' Grant
Keyboards: Leslie 'The Scientist' Butler, R.A. 'Jamaka' Johnson, Keith Sterling
Trombone: Derrick 'Trommy' Hinds

Friends Of The Syndicate:
Percussion: Larry McDonald
Harmonica: Jimmy Becker
Alto Sax: Tucky Baily
Piano: Ron Rhoades

Produced by Warren Smith & Soul Syndicate

Recorded at: Channel One, Channel "Tew" (Tewksbury), Tuff Gong
All tracks mixed at Tuff Gong by Karl Pitterson
Recording Engineers: Karl Pitterson, Lancelot 'Maxie' McKenzie, John Cuniberti
Production Coordination: Michael Stagg & Martin Pezzaglia
Photogrphy: Eugenia H. Polos / Eye and I Photography
Art Direction & Design: Hugh Grew
Graphic Engineers: Hugh Grew & J.P. Harroun

となっています。

Soul Syndicateのメンバーとして、ヤマハ・
ギターのEarl 'Chinna' Smith、ギターに
Tony 'Valentine' Chin、ベースにGeorge
'Fully' Fullwood、ドラムにCarlton 'Santa'
Davis、テナー・サックスにEnroy 'Tenor'
Grant、キーボードにLeslie 'The Scientist'
ButlerとR.A. 'Jamaka' Johnson、Keith
Sterling、トロンボーンにDerrick 'Trommy'
Hindsという布陣です。

さらに「Friends Of The Syndicate」として
サポート・メンバーが、パーカッションに
Larry McDonald、ハーモニカにJimmy Becker、
アルト・サックスにTucky Baily、ピアノに
Ron Rhoadesという人達が参加しています。

プロデュースはWarren Smith & Soul
Syndicate。
レコーディングはChannel OneとChannel
"Tew" (Tewksbury)、Tuff Gongで行われ、
すべての曲のミックスはTuff GongのKarl
Pitterson、レコーディング・エンジニアは
Karl PittersonとLancelot 'Maxie' McKenzie、
John Cunibertiです。

写真はEugenia H. Polos、アート・デザイン
はHugh Grewが担当しています。

さて今回のアルバムですが、このSoul
SyndicateはギターのEarl 'Chinna' Smithを
中心としたスタジオ・ミュージシャンの
集まりだけに、肩ひじを張らないリラックス
したソウルフルな演奏が持ち味なんですね。
そのリラックスした心地よいグルーヴ感が
よく出ているのが今回のアルバムで、内容は
悪くないと思います。

特に3曲目「There's A Fire」は、元々は
初期レゲエの時代のFreedom Singersの
ヒット曲ですが、このバンドの代表曲と
言っても良いほどの曲で、そのリラックス
した空気感がとても魅力的な曲です。
また7曲目「I Can't Get Over Losing You」
は、The Heptonesのロックステディの時代
の曲のようです。

今回のアルバムではKeith & Texのロック
ステディのヒット曲「Tonight」や、映画
「ナバロンの要塞」の主題歌「Guns Of
Navarone」、ジャズのDave Brubeckの名曲
「Take Five」のメロディを使った
「The Soviets Are Coming」など有名曲を
使ったカヴァーの他に、こうした地味ながら
埋もれた名曲をうまくカヴァーしています。
このあたりは彼らがセッション・ミュージ
シャンとして、働いた経験が、生きている
のかもしれません。

とても選曲が良いのでオリジナルで無くて
も、充分な満足度のあるアルバムに仕上がって
いるんですね。

1曲目は「Tonight」です。
60年代後半のロックステディの時代の
Keith & Texの大ヒット曲です。
ホーン・セクションの奏でる哀愁のある
メロディに、リラックスしたヴォーカルが
とても心地良いグルーヴ感が満点の曲です。
リード・ヴォーカルはギターのTony Chin
か?

Soul Syndicate - Tonight


リズム特集 Tonight/Lots Of Sign (トゥナイト/ロッツ・オブ・サイン)

2曲目は「Guns Of Navarone」です。
映画「ナバロンの要塞」の主題歌です。
スカの時代にSkatalites(名義はRoland
Alphonso & Studio One Orch.となって
います。)がStudio Oneで演奏しており、
後のネオ・スカでもThe Specialsなどに
たびたび再演されている人気曲です。
オルガンの浮遊感のあるイントロから、
ホーン・セクションのメロディが心地良い
インスト曲です。

3曲目は「There's A Fire」です。
初期レゲエの頃(70年頃)のFreedom
SingersのStudio Oneのヒット曲のようです。
実質Soul Syndicateのヒット曲のように
なっている曲で、ハーモニカのメロディに
乗せた心地良いヴォーカルとコーラスが
とても印象的な曲です。

4曲目は「That's Life」です。
ピアノのメロディにファルセットなコーラス
とヴォーカル。
その高音を生かしたファルセットが耳に残る
1曲。

The Soul Syndicate - That's Life


5曲目は「The Soviets Are Coming」です。
リディムはDave Brubeckのジャズのヒット曲
「Take Five」です。
こちらはJazzyなサックスが活躍する
インスト・ナンバーです。
タイトルは「ソヴィエトが攻めてくる」と
いったものでしょうか?
当時はアメリカとソ連(今のロシア)の冷戦
の時代だったんですね。

Soul Syndicate--The Soviets Are Coming


6曲目は「Just Another Girl」です。
リディムはKen Bootheの同名ヒット曲。
というかSound Dimensionの「Bitter Blood」
のメロディを使った曲です。
ロックステディらしいスウィートなメロディ
とコーラスが魅力的な1曲。

Soul Syndicate band - Just Another Girl


7曲目は「I Can't Get Over Losing You」
です。
The Heptonesのロックステディの時代の
同名曲です。
派手さはありませんが、聴けば聴くほど
ジワッと来る佳曲です。
呟くように語るように歌うソフトなヴォーカル
にコーラスが、すごく魅力的。

Soul Syndicate - I Can't Get Over Losing You


8曲目は「Gloria」です。
シン・ドラムのトビ音からギターのメロディ
に乗せた語りかけるようなヴォーカルが魅力
的な曲です。

9曲目は「Knotty Dread She Want」です。
こちらは楽しい空気感が満載のコーラスに、
ソフトなファルセット・ヴォーカルの曲です。
ちょっとオシャレ感がある1曲。

Soul Syndicate-Knotty Dread She Want


10~11曲目はCDボーナス・トラックが
収められています。
10曲目「Hook, Line & Sinker」は今回の
アルバムにも収められた「There's A Fire」
や「Tonight」など、多くの曲を使ったダブ
ワイズしたメドレー・ナンバー。
このアルバムで一番長い12分33秒の曲
です。
11曲目は「Soul Dub」はギターとベースの
メロディを中心としたダブ・ナンバーです。

ざっと追いかけて来ましたが、やはりこの
グループらしい気張らないグルーヴ感が
魅力的なアルバムです。
リーダーのEarl 'Chinna' Smithをはじめと
する、多くのセッションを積み重ねて来た
彼らだからこそできるサウンドが、ここには
あるんですね。

一見スゴいアルバムではないんですが、
例えば同じ曲を何回もリピートしてみても
なぜか飽きが来ない不思議な魅力がこの
アルバムにはあります。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Soul Syndicate
○アルバム: Was, Is & Always
○レーベル: Epiphany Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1980

○Soul Syndicate「Was, Is & Always」曲目
1. Tonight
2. Guns Of Navarone
3. There's A Fire
4. That's Life
5. The Soviets Are Coming
6. Just Another Girl
7. I Can't Get Over Losing You
8. Gloria
9. Knotty Dread She Want
(CD Bonus Tracks)
10. Hook, Line & Sinker
11. Soul Dub

●今までアップしたThe Soul Syndicate関連の記事
〇Earl Zero With The Soul Syndicate「Visions Of Love」
〇Soul Syndicate (Black Roots Players)「Ghetto-Ology Dubwise」
〇Soul Syndicate「Friends & Family」
〇Soul Syndicate「Harvest Uptown / Famine Downtown」
〇King Tubby & Soul Syndicate「Freedom Sounds In Dub」
〇Keith Hudson & The Soul Syndicate「Nuh Skin Up」
〇Black Slate Meets Soul Syndicate「Moodie In Dub Vol.1」
〇Earl Zero「Only Jah Can Ease The Pressure」
〇Niney The Observer Presents「Soul Syndicate Dub Classics」