今回はScottyのアルバム

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「Unbelievable Sounds」です。

ScottyについてはDiscogsのプロフィール欄
に、次のような記述があります。

Scotty (born 1951, Westmoreland, Jamaica - died 27 February 2003, Kingston, Jamaica) was a Jamaican reggae singer and DJ/toaster.
Prolific in the early 1970's. Perhaps best known for his album "Draw Your Brakes".

(Scottyは、ジャマイカのレゲエ・シンガー
であり、ディージェイ・トースター。
1951年ジャマイカのWestmoreland
生まれ。2003年2月27日にKingston
にて死去。
70年代初期にもっとも活躍したディージェイ
で、アルバム「Draw Your Brakes」は彼の作品
としてもっともよく知られている。)

レゲエレコード・コムの彼のプロフィールの
記述を読むと、おもにDerrick Harriottの
レーベルCrystalで活躍したシンガー、ディー
ジェイで、一時期Chosen Fewにもシンガーと
して在籍した事があるんだとか。
トースティングを初めて行ったディージェイ
としてはU-Royがよく知られていますが、
それとほぼ同じ時期に録音を行っていた
最初期のディージェイとして知られている人
のようです。
2003年2月に前立腺がんで死去。

アーティスト特集 Scotty (スコッティ)

今回のアルバムは1971年にUKの
Trojan Recordsからは「Schooldays」、
ジャマイカのCrystal Recordsからは
「School-Days」というタイトルで発売
されたアルバムです。

あのU Royの初のディージェイ・アルバム
「Version Galore」のリリースが同じ71年
という事を考えれば、このアルバムのリリース
はかなり早いディージェイ・アルバムの
リリースだと言えます。

u_roy_05a
U Roy ‎– Version Galore ‎– Version Galore (1971)

このU RoyやScotty、さらにはDennis Alcapone
などのディージェイ・アルバムのリリースで、
ジャマイカの音楽界は一気にディージェイの
ブームが起きるんですね。

ちなみにこのアルバムは1988年に今回の
タイトル「Unbelievable Sounds」でTrojan
Recordsレーベルより発売されており、さら
には92年にはCrystal Recordsから
「The Best Of Scotty: Draw Your Brakes」
というタイトルで厚倍されているアルバム
です。
DiscogsのScottyのプロフィールに記述の
あった「Draw Your Brakes」というアルバム
は、このアルバムを指しているんですね。

手に入れたのはTrojan Recordsからリリース
されたLPの中古盤でした。

実はこのアルバム、なんと100円!で、
disk unionで売られていたアルバムでした。
中身が大丈夫かな?と心配でしたが、
2002年刊行の本「Roots Rock Reggae」で
紹介されていたアルバムだという事を覚えて
いたので、遊び半分で購入してみました。
実際に帰ってアルバムを見ると、盤面に
ベッタリと糊の跡か大きな傷のようなものが
付いていたのですが、実際に聴いてみると
多少パリパリ音があるものの問題なく聴け
ました。

Side 1が8曲、Side 2が8曲の全16曲。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

All Tracks Produced by Derrick Harriott
except Track 5, Side 2, which was Produced by David 'Scotty' Scott,
Track 8, Side 2, Produced by G. Chung and Harvey
and Track 9, Side 2, Produced by S. Pottinger

Album Compiled by Steve Barrow
Thanks to: Dave Home, Bob Brooks
Design: Simon Peekantoro

という記述があります。

プロデュースはほとんどがDerrick Harriott
ですが、Side 2の5曲目「I Count The Skank」
のプロデュースはDavid 'Scotty' Scott本人、
Side 2の8曲目「Unbelievable Sounds」の
プロデュースはG. ChungとHarveyとなって
います。
さらにSide 2の9曲目はS. Pottingerとなって
いるんですが、Side 2は8曲目までで9曲目が
無いんですね(笑)。
もう1曲入れるつもりでいたけれど、入り切ら
なかったのか…??理由は解りません。
レゲエのアルバムでは、こうした意味不明の
記述がたまにあります。

ジャケット裏面にはレゲエ博士として知られる
Steve Barrow氏の88年に書かれたライナー・
ノーツが載っています。

ジャケット・デザインはSimon Peekantoroと
なっています。

さて今回のアルバムですが、あまり期待しない
で買ったアルバムだったのですが、これが
思いのほか良いアルバムでした。
この71年というと時代はまだ初期レゲエの
頃で、U Royの「Version Galore」も同じ年に
発売されていますが、U Royのバックの
サウンドがまだロックステディを使ったもの
でしたが、今回のアルバムもやはり同じように
ロックステディ、しかもDerrick Harriottの
Crystalレーベルの音源を使ったものなので、
Derrick Harriott本人やKeith & Tex、Rudy
Millsといったかなり濃いロックステディの
音源が使われています。
これがかなり素晴らしいんですね。

Keith & Texの「Stop That Train」や
「Tonight」、さらにDerrick Harriottの
「Do I Worry」や「Solomon」、やRudy Mills
の「Long Story」を使った、初期のディー
ジェイらしいちょっとファンキーなトース
ティングは、ただただ素晴らしい!という
しかありません。
このScottyは次から次へと登場した他の
ディージェイに押されその後はあまり活躍
出来なかった人のようですが、初期レゲエの
時代に残したこのアルバムは、やはりレゲエ
好きとしては聴いておきたいアルバムの
ひとつだと思います。

ちなみにこのアルバムは2002年刊行の本
「Roots Rock Reggae」でも智」さんという
方の文章で、Steve Barrow氏がTrojan
Recordsで監修したコンピュレーションの中
でも「白眉の1枚」と絶賛しているアルバム
です。

Side 1の1曲目は「Draw Your Brakes」
です。
リディムはKeith & Texの「Stop That
Train」です。
ロックスエディの哀愁漂う名リディムに、
ちょっと子供のようなかすれたScottyの
ファンキーなトースティング。
本物のロックステディを使った見事な
トースティングが光ります。

Scotty - Draw Your Brakes (Reggae)


リズム特集 Stop That Train (ストップ・ザット・トレイン)

2曲目は「Children Children」です。
リディムは同じくKeith & Texの「Tonight」
です。
こちらはロックステディらしいド・渋な
名リディムに、ちょっとかすれたトボケた
味わいのトースティング。

Scotty - Children Children.


リズム特集 Tonight/Lots Of Sign (トゥナイト/ロッツ・オブ・サイン)

3曲目は「Penny For Your Song」です。
リディムはThe Federalsの「Penny For Your
Song」。
こちらはソフトなロックステディのメロディ
を、心地良さそうに歌っているナンバー。
歌も歌えるのがこの人の強みのようです。

4曲目は「Jam Rock Style」です。
リディムはThe Gayladsの「Love Me With All
Your Heart」。
明るいScottyのトースティングが冴える1曲。

5曲目は「I Worry」です。
リディムはDerrick Harriottの「Do I
Worry」。
シリアスなDerrick Harriottの名曲に、
明るいScottyのトースティングを盛り込んだ
彼らしい曲です。

6曲目は「Musical Chariot」です。
オルガンの明るいメロディにファンキーな
Scottyのトースティングが魅力的な曲です。
ちょっとイカレた空気感が面白い曲です。

SCOTTY - MUSICAL CHARIOT.wmv


7曲目は「Sing Along」です。
リディムはRudy Millsの「Long Story」。
明るいホーンのメロディに乗せた名曲に、
かすれたScottyのトースティングがうまく
マッチした曲です。

8曲目は「Rosemarie」です。
こちらもScottyが歌っている曲です。
オルガンのイントロからギターに乗せた
ソフトなヴォーカル、時折入る「Hey!」
という掛け声がディージェイの面影を
残します。

Side 2の1曲目は「Sesame Street」です。
リディムはDerrick Harriottの隠れ名曲
「The Loser」です。
ピアノのメロディに乗せたソフトなコーラス
に、「セサミ・ストリート」というタイトル
のようにちょっとオチャラケた「A,B,C...」
といったトースティング。
そのギャップが面白い曲です。

Sesame Street - Scotty


2曲目は「Lonely Man」です。
こちらはScottyのソフトなヴォーカルが
冴える1曲。

3曲目は「Riddle I This」です。
リディムはDerrick Harriottの代表曲として
知られる「Solomon」。
ロックステディらしいギターのリズムから
Scottyの楽しいトースティングが冴える曲
です。

4曲目は「Monkey Drop」です。
刻むようなギターとピアノのリズムに、
ユッタリとしたScottyのトースティング。

5曲目は「I Count The Skank」です。
リディムはThe Driftersの「I Count The
Tears」。
60年代のソウル・グループのヒット曲を、
ちょっとコミカルにトースティングして
います。

Scotty - I Count The Skank


6曲目は「Clean Race」です。
リディムはDerrick Harriottの「Psychedelic
Train 」。
ファンキーでソウルフルなナンバーを、
ユーモアを交えたトースティング。

7曲目は「Skank In Bed」です。
リディムはLorna Bennettの「Breakfast In
Bed」。
スウィートな女性ヴォーカルと、Scottyの
ユーモラスなトースティングという組み合わせ
が面白い曲です。

Scotty - Skank In Bed


8曲目は表題曲の「Unbelievable Sounds」
です。
ホーンのメロディに乗せたソフトなヴォーカル
に、ちょとユーモラスなScottyのトース
ティングが魅力的な曲です。

Scotty - Unbelievable Sound


ざっと追いかけて来ましたが、このScotty
やU-Roy、Dennis Alcaponeなどのトース
ティングが、その後も長く愛されるディー
ジェイの基本形を作った事は間違いがあり
ません。
特にこのアルバムやU-Royの「Version Galore」
などはまだ時代が終わったばかりの本物の
ロックステディの音源が使われており、その
点でもとても魅力的です。

いや~、レゲエは奥が深いです。
それほど期待しないで買ったアルバムでも、
こういう凄いアルバムがあるとは…。
あらためてレゲエの奥深さを感じた1枚
でした。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Scotty
○アルバム: Unbelievable Sounds
○レーベル: Trojan Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1971

○Scotty「Unbelievable Sounds」曲目
Side 1
1. Draw Your Brakes
2. Children Children
3. Penny For Your Song
4. Jam Rock Style
5. I Worry
6. Musical Chariot
7. Sing Along
8. Rosemarie
Side 2
1. Sesame Street
2. Lonely Man
3. Riddle I This
4. Monkey Drop
5. I Count The Skank
6. Clean Race
7. Skank In Bed
8. Unbelievable Sounds