今回はThe Wailersのアルバム
「The Best Of The Wailers」です。
The Wailersは60年代のスカの時代に
Bob MarleyとPeter Tosh、Bunny Wailer
の3人組コーラス・グループとして結成
されたグループです。
名門レーベルStudio OneからThe Skatalites
をバックにした「Simmer Down」など多く
のヒット曲を飛ばし、スカの時代に
ジャマイカで人気グループになった彼ら
は、その後ロックステディ→ルーツ・レゲエ
と時代が進むうちに、リズム隊のBarrett
兄弟なども加えたバンド形式の5人組
グループThe Wailersへと変化して行き
ます。
そしてメジャー・レーベルIslandと契約し、
1973年に「Catch A Fire」で念願の
世界デビューを果たすんですね。
The Wailers - Catch A Fire (1973)
ところが世界デビュー2枚目のアルバム
「Burnin'」をリリースしたところで、
Bunny WailerとPeter Toshがグループを
脱退してしまうんですね。
The Wailers – Burnin' (1973)
その理由は世界を回るツアーの辛さの為
だとも、Islandが「白人にも解る音楽を」
という要求をし、二人がそれに反発した
為だとも言われています。
残されたBob Marleyはその後Bob Marley &
The Wailersと名乗ってバンド活動を続け、
レゲエを世界に広め、自身も世界的なスター
へとなって行くんですね。
そうした活躍をしたBob Marleyでしたが、
1981年にガンの為に亡くなっています。
アーティスト特集 Bob Marley (ボブ・マーリー)
今回のアルバムは1970年にジャマイカ
のBeverley's Recordsからリリースされた
アルバムです。
この70年はまだ彼らがメジャー・デビュー
する以前で、ジャマイカ国内で新しい音楽
レゲエを作ろうと模索していた時代なんです
ね。
ネットのDiscogs似は今回のアルバムに
ついて、次のような文章が書かれています。
Originally released in August 1971, this record, despite its title,
is not a compilation but an album that was recorded in 1969-1970
with Leslie Kong.
Since its original release, it was also released by various labels
from all over the world with various titles.
(オリジナル・リリースは1971年8月で、
コンピュレーション・アルバムのようなタイトル
ですがそうではなく、Leslie Kongとともに
1969年から70年の間に録音されたアルバム
です。オリジナル・リリースされて以来、様々
なレーベルから様々なタイトルで世界中で
リリースされているアルバムです。)
タイトルは「The Best Of The Wailers」と
なっていますが実際には新録音で、69年
から70年にかけてLeslie Kongとともに制作
したアルバムらしいです。
全世界でタイトルもいろいろで発売されている
との事ですが、調べてみると多くはBob Marley
& The Wailers名義で、このタイトルの他に
そのままの「Bob Marley And The Wailers」
から、「Shakedown」(あるいは「Shake
Down」)、「Reggae!」、「Soul Shakedown」、
「The Best Of Bob Marley And Peter Tosh
With The Waylers」、「Cheer Up」、
「Reggae Revolution Vol. 1」、「Soul
Captives」、「Best Sellers」、「Blackout」、
「In The Beginning...」というタイトルの
アルバムがDiscogsに載っていました。
それだけ多くの国で多くの人々に聴かれている
アルバムのようです。
まだメジャー・デビュー前のアルバムですが、
メジャー・デビューの「Catch A Fire」で
Peter Toshが歌っていた「Stop The Train」
や、Peter Toshのソロ・アルバムでも歌って
いる「Soon Come」など、代表曲も収められて
いて、なかなか面白いアルバムです。
手に入れたのはBeverley's Recordsから
リリースされたCDの中古盤でした。
CDケースが壊れていたせいか、わずか
200円という廉価で売られていたCD
でした。
全12曲で収録時間は約32分。
オリジナルは10曲で、残りの2曲はCD
ボーナス・トラックです。
詳細なミュージシャンの表記はありません。
ただ英語のWikipediaのこのアルバムの紹介
ページには、このアルバムの詳細なミュージ
シャンが書かれていました。
The Best of The Wailers - Wikipedia
それによるとThe Wailersのメンバーは
Bob MarleyとPeter Tosh、Bunny Livingstone
(Bunny Wailer)の3人で、この時代はまだ
Peter Toshがメロディカを演奏していますが、
コーラス・グループとして活動していた模様
です。
バックはBeverley's All Starsで、ピアノに
Gladstone Anderson、オルガンにWinston
Wright、ドラムにPaul DouglasとCarlton
Barrett、ベースにJackie JacksonとLloyd
Parks、Aston Barrett、ギターにLynford
'Hux' BrownとRadcliffe 'Rad' Bryan、
Lynn Taittが参加していた模様です。
まだこの頃はコーラス・グループThe Wailers
のバック・バンドBeverley's All Starsが
付くという形だったようです。
このアルバムの後ぐらいにThe Wailersは
あのプロデューサーのLee Perryとアルバム
「Soul Rebels」や「Soul Revolution Part 2」
などを作るんですね。
Bob Marley & The Wailers – Soul Rebels (1970)
Bob Marley & The Wailers – Soul Revolution Part 2 (1971)
そこでThe Upsettersなどで演奏していた
Aston BarrettとCarlton Barrettのリズム隊
が加わり、The Wailersはコーラスが主体
ながら楽器も演奏出来るバンド形式のグループ
へと変貌して行くんですね。
さて今回のアルバムですが、安いから買った
ようなものであまり期待しないで買った
アルバムなんですが、これがなかなか良い
内容のアルバムでした。
ロックステディの時代に活躍したギターの
Lynn Taittが参加しているように、バックの
サウンドはまだロックステディの香りを
残した初期レゲエの、ガシッと硬い弾き返す
ようなサウンドで、それにソウルやファンク
といったアメリカ音楽の影響を感じさせる
The Wailersのソウルフルでファンキーな
コーラス・ワークが心地良い、彼らの作ろう
とした理想のレゲエの形がハッキリと見える
ようなアルバムだと思いました。
この形がもしかしたら彼らThe Wailersの
求めた、最も理想的なレゲエの形だったの
ではないか?そんな事を感じさせるアルバム
です。
その後のLee Perryのプロデュースのアルバム
だとこのコーラス・ワークはもう少し後退
して、Bob Marleyのヴォーカルを前面に押し
立てた印象です。
その辺はプロデューサーのLeslie Kongと
Lee Perryとの思想の違いが現れているような
気がします。
ただこちらのThe Wailersというコーラス・
グループの一体感を生かしたプロデュースの
方が、魅力的に感じます。
すでにメジャー・デビュー前に、こうした
一体感のあるコーラス・ワークとBob Marley
を中心としたコーラス(Lee Perry)の両方
が、すでに試されていたというのは興味深い
ところです。
このあたりの音源からPeter ToshとBunny
LivingstoneがThe Wailersを離脱するまでが、
The Wailersの音源の中で一番面白い音源
だったような気もします。
何よりも3人のコーラス・ワークは、何もの
にも代えがたい魅力があります。
1曲目は「Soul Shakedown Party」です。
浮遊感のあるオルガンのメロディから
Bob Marleyのヴォーカルにファンキーな
コーラス・ワーク。
この時代のThe Wailersの勢いを感じる1曲
です。
The Wailers - Soul Shakedown Party
2曲目は「Stop The Train」です。
Keith & Texのロックステディのヒット曲
として知られている曲です。
The Wailersのメジャー・デビュー・アルバム
「Catch A Fire」にも収められた曲で、リード・
ヴォーカルはPeter Toshがとっています。
ガシッと硬い初期レゲエらしいバックに、
Bob Marleyとは一味違うPeter Toshのキレの
あるヴォーカルが魅力的。
リズム特集 Stop That Train (ストップ・ザット・トレイン)
3曲目は「Caution」です。
キレのあるギターのメロディに乗せた、
Bob Marleyの感情を乗せたヴォーカルが
魅力的。
初期レゲエらしい性急なリズムに乗せた、
若々しいエネルギーを感じる曲です。
Bob Marley and The Wailers - Caution (Trojan)
4曲目は「Soul Captives」です。
力強いギターを中心としたリズムに、表情
豊かなヴォーカルとコーラス・ワーク。
シンプルで勢いのある演奏が魅力的。
The wailers - Soul Captive
5曲目は「Go Tell It On The Mountain」
です。
心地良いギターのメロディにコーラス、
リードはPeter Toshで伸びのある歌声が
魅力的。
この時代はBobとPeterという2人のリード・
ヴォーカルを持っていた事が、このグループ
の強みだった事がよく解る曲です。
6曲目は「Can't See You」です。
コーラス・ワークからオルガンのメロディ。
こちらもリードはPeter Toshで、ファンキー
に絡み合うコーラス・ワークが魅力。
高度な事をサラッとやっている、この時代の
彼らの質の高さが解る1曲。
Peter Tosh & The Wailers - Can't You See [Stereo]
7曲目は「Soon Come」です。
のちにPeter Toshがソロ・アルバム「Bush
Doctor」で再演している曲です。
彼らしいノビのあるヴォーカルが魅力。
Peter Tosh – Bush Doctor (1978)
8曲目は「Cheer Up」です。
弾けるようなギターのイントロから、ソフト
なコーラスとBobのちょっと甘いヴォーカル。
こちらも勢いを感じる曲です。
Bob Marley & The Wailers - Cheer Up
9曲目は「Back Out」です。
リリカルなピアノのメロディに、Bob Marley
のヴォーカルとコーラス・ワーク。
浮遊感のあるオルガンの間奏もグッド。
10曲目は「Do It Twice」です。
こちらもオルガンのメロディに乗せた、
Bob Marleyの歌声が冴える1曲。
11~12曲目まではCDボーナス・トラック
として、「Soon Come」と「Soul Shakedown
Party」のヴァージョン(ダブ)が収められて
います。
このヴァージョン(ダブ)はおそらくは70年
より後に作られたのではないかと思われます。
70年当時はまだヴァージョンはあまり
作られていなかったんですね。
ダブが本格的に作られるようになるのは、
73年以降です。
エコーはエフェクトはあまり使用されて
いない、比較的シンプルなインストに近い
ヴァージョン(ダブ)が収められています。
ざっと追いかけて来ましたが、この時代の
The Wailersのバックの演奏はドラムとベース
のリズム隊にギターとキーボードのメロディ
という、比較的シンプルな構成なんですね。
それに彼ら3人の濃厚なコーラス・ワーク
が乗ると、過不足のない素晴らしい唯一無二
のサウンドが出来上がります。
今回のアルバムなどを聴くと、そのコーラス・
ワークはかなり黒人色の強いファンキーな
サウンドを彼らは目指していたようです。
そしてそのサウンドはかなり完成度が高く、
とても魅力的なんですね。
このThe Wailersに関してはメジャー・デビュー
に際して、IslandレーベルのChris Blackwell
に「白人にも解る音楽を」と求められた事が
2人の離脱のきっかけになったとも言われて
います。
もしもそれで彼らしか生みだせないこうした
濃厚なサウンドが失われてしまったとしたら、
とても残念な事だったと思います。
ただそういう事があったとしても彼ら
The Wailersがジャマイカの音楽レゲエを
世界の音楽へと発展させる大きな力となった
事は事実で、彼らの功績がけっして色褪せる
事ではありません。
このアルバムはその発売された70年より、
時間が経った今だからこそ解る面白さが
あります。
機会があればぜひ聴いてみてください。
○アーティスト: The Wailers
○アルバム: The Best Of The Wailers
○レーベル: Beverley's Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1970
○The Wailers「The Best Of The Wailers」曲目
1. Soul Shakedown Party
2. Stop The Train
3. Caution
4. Soul Captives
5. Go Tell It On The Mountain
6. Can't See You
7. Soon Come
8. Cheer Up
9. Back Out
10. Do It Twice
(Bonus Tracks)
11. Soon Come Version
12. Soul Shakedown Party Version
●今までアップしたBob Marley & The Wailers関連の記事
〇Bob Marley & The Wailers「Babylon By Bus」
〇Bob Marley & The Wailers「Natty Dread」
〇Bob Marley & The Wailers「Rastaman Vibration」
〇Bob Marley & The Wailers「Survival」
〇Bob Marley & The Wailers「Wail'n Soul'm Singles Selecta」
〇Bob Marley & The Wailers「Exodus」
〇Bob Marley & The Wailers「Kaya」
〇Bob Marley And The Wailers「Live!」
〇Bob Marley And The Wailers「Soul Rebels」
〇Wailers「Burnin'」
〇Wailers「Catch A Fire (Deluxe Edition)」
〇Glen Dacosta & The Wailers「Serenade Of Love」
「The Best Of The Wailers」です。
The Wailersは60年代のスカの時代に
Bob MarleyとPeter Tosh、Bunny Wailer
の3人組コーラス・グループとして結成
されたグループです。
名門レーベルStudio OneからThe Skatalites
をバックにした「Simmer Down」など多く
のヒット曲を飛ばし、スカの時代に
ジャマイカで人気グループになった彼ら
は、その後ロックステディ→ルーツ・レゲエ
と時代が進むうちに、リズム隊のBarrett
兄弟なども加えたバンド形式の5人組
グループThe Wailersへと変化して行き
ます。
そしてメジャー・レーベルIslandと契約し、
1973年に「Catch A Fire」で念願の
世界デビューを果たすんですね。
The Wailers - Catch A Fire (1973)
ところが世界デビュー2枚目のアルバム
「Burnin'」をリリースしたところで、
Bunny WailerとPeter Toshがグループを
脱退してしまうんですね。
The Wailers – Burnin' (1973)
その理由は世界を回るツアーの辛さの為
だとも、Islandが「白人にも解る音楽を」
という要求をし、二人がそれに反発した
為だとも言われています。
残されたBob Marleyはその後Bob Marley &
The Wailersと名乗ってバンド活動を続け、
レゲエを世界に広め、自身も世界的なスター
へとなって行くんですね。
そうした活躍をしたBob Marleyでしたが、
1981年にガンの為に亡くなっています。
アーティスト特集 Bob Marley (ボブ・マーリー)
今回のアルバムは1970年にジャマイカ
のBeverley's Recordsからリリースされた
アルバムです。
この70年はまだ彼らがメジャー・デビュー
する以前で、ジャマイカ国内で新しい音楽
レゲエを作ろうと模索していた時代なんです
ね。
ネットのDiscogs似は今回のアルバムに
ついて、次のような文章が書かれています。
Originally released in August 1971, this record, despite its title,
is not a compilation but an album that was recorded in 1969-1970
with Leslie Kong.
Since its original release, it was also released by various labels
from all over the world with various titles.
(オリジナル・リリースは1971年8月で、
コンピュレーション・アルバムのようなタイトル
ですがそうではなく、Leslie Kongとともに
1969年から70年の間に録音されたアルバム
です。オリジナル・リリースされて以来、様々
なレーベルから様々なタイトルで世界中で
リリースされているアルバムです。)
タイトルは「The Best Of The Wailers」と
なっていますが実際には新録音で、69年
から70年にかけてLeslie Kongとともに制作
したアルバムらしいです。
全世界でタイトルもいろいろで発売されている
との事ですが、調べてみると多くはBob Marley
& The Wailers名義で、このタイトルの他に
そのままの「Bob Marley And The Wailers」
から、「Shakedown」(あるいは「Shake
Down」)、「Reggae!」、「Soul Shakedown」、
「The Best Of Bob Marley And Peter Tosh
With The Waylers」、「Cheer Up」、
「Reggae Revolution Vol. 1」、「Soul
Captives」、「Best Sellers」、「Blackout」、
「In The Beginning...」というタイトルの
アルバムがDiscogsに載っていました。
それだけ多くの国で多くの人々に聴かれている
アルバムのようです。
まだメジャー・デビュー前のアルバムですが、
メジャー・デビューの「Catch A Fire」で
Peter Toshが歌っていた「Stop The Train」
や、Peter Toshのソロ・アルバムでも歌って
いる「Soon Come」など、代表曲も収められて
いて、なかなか面白いアルバムです。
手に入れたのはBeverley's Recordsから
リリースされたCDの中古盤でした。
CDケースが壊れていたせいか、わずか
200円という廉価で売られていたCD
でした。
全12曲で収録時間は約32分。
オリジナルは10曲で、残りの2曲はCD
ボーナス・トラックです。
詳細なミュージシャンの表記はありません。
ただ英語のWikipediaのこのアルバムの紹介
ページには、このアルバムの詳細なミュージ
シャンが書かれていました。
The Best of The Wailers - Wikipedia
それによるとThe Wailersのメンバーは
Bob MarleyとPeter Tosh、Bunny Livingstone
(Bunny Wailer)の3人で、この時代はまだ
Peter Toshがメロディカを演奏していますが、
コーラス・グループとして活動していた模様
です。
バックはBeverley's All Starsで、ピアノに
Gladstone Anderson、オルガンにWinston
Wright、ドラムにPaul DouglasとCarlton
Barrett、ベースにJackie JacksonとLloyd
Parks、Aston Barrett、ギターにLynford
'Hux' BrownとRadcliffe 'Rad' Bryan、
Lynn Taittが参加していた模様です。
まだこの頃はコーラス・グループThe Wailers
のバック・バンドBeverley's All Starsが
付くという形だったようです。
このアルバムの後ぐらいにThe Wailersは
あのプロデューサーのLee Perryとアルバム
「Soul Rebels」や「Soul Revolution Part 2」
などを作るんですね。
Bob Marley & The Wailers – Soul Rebels (1970)
Bob Marley & The Wailers – Soul Revolution Part 2 (1971)
そこでThe Upsettersなどで演奏していた
Aston BarrettとCarlton Barrettのリズム隊
が加わり、The Wailersはコーラスが主体
ながら楽器も演奏出来るバンド形式のグループ
へと変貌して行くんですね。
さて今回のアルバムですが、安いから買った
ようなものであまり期待しないで買った
アルバムなんですが、これがなかなか良い
内容のアルバムでした。
ロックステディの時代に活躍したギターの
Lynn Taittが参加しているように、バックの
サウンドはまだロックステディの香りを
残した初期レゲエの、ガシッと硬い弾き返す
ようなサウンドで、それにソウルやファンク
といったアメリカ音楽の影響を感じさせる
The Wailersのソウルフルでファンキーな
コーラス・ワークが心地良い、彼らの作ろう
とした理想のレゲエの形がハッキリと見える
ようなアルバムだと思いました。
この形がもしかしたら彼らThe Wailersの
求めた、最も理想的なレゲエの形だったの
ではないか?そんな事を感じさせるアルバム
です。
その後のLee Perryのプロデュースのアルバム
だとこのコーラス・ワークはもう少し後退
して、Bob Marleyのヴォーカルを前面に押し
立てた印象です。
その辺はプロデューサーのLeslie Kongと
Lee Perryとの思想の違いが現れているような
気がします。
ただこちらのThe Wailersというコーラス・
グループの一体感を生かしたプロデュースの
方が、魅力的に感じます。
すでにメジャー・デビュー前に、こうした
一体感のあるコーラス・ワークとBob Marley
を中心としたコーラス(Lee Perry)の両方
が、すでに試されていたというのは興味深い
ところです。
このあたりの音源からPeter ToshとBunny
LivingstoneがThe Wailersを離脱するまでが、
The Wailersの音源の中で一番面白い音源
だったような気もします。
何よりも3人のコーラス・ワークは、何もの
にも代えがたい魅力があります。
1曲目は「Soul Shakedown Party」です。
浮遊感のあるオルガンのメロディから
Bob Marleyのヴォーカルにファンキーな
コーラス・ワーク。
この時代のThe Wailersの勢いを感じる1曲
です。
The Wailers - Soul Shakedown Party
2曲目は「Stop The Train」です。
Keith & Texのロックステディのヒット曲
として知られている曲です。
The Wailersのメジャー・デビュー・アルバム
「Catch A Fire」にも収められた曲で、リード・
ヴォーカルはPeter Toshがとっています。
ガシッと硬い初期レゲエらしいバックに、
Bob Marleyとは一味違うPeter Toshのキレの
あるヴォーカルが魅力的。
リズム特集 Stop That Train (ストップ・ザット・トレイン)
3曲目は「Caution」です。
キレのあるギターのメロディに乗せた、
Bob Marleyの感情を乗せたヴォーカルが
魅力的。
初期レゲエらしい性急なリズムに乗せた、
若々しいエネルギーを感じる曲です。
Bob Marley and The Wailers - Caution (Trojan)
4曲目は「Soul Captives」です。
力強いギターを中心としたリズムに、表情
豊かなヴォーカルとコーラス・ワーク。
シンプルで勢いのある演奏が魅力的。
The wailers - Soul Captive
5曲目は「Go Tell It On The Mountain」
です。
心地良いギターのメロディにコーラス、
リードはPeter Toshで伸びのある歌声が
魅力的。
この時代はBobとPeterという2人のリード・
ヴォーカルを持っていた事が、このグループ
の強みだった事がよく解る曲です。
6曲目は「Can't See You」です。
コーラス・ワークからオルガンのメロディ。
こちらもリードはPeter Toshで、ファンキー
に絡み合うコーラス・ワークが魅力。
高度な事をサラッとやっている、この時代の
彼らの質の高さが解る1曲。
Peter Tosh & The Wailers - Can't You See [Stereo]
7曲目は「Soon Come」です。
のちにPeter Toshがソロ・アルバム「Bush
Doctor」で再演している曲です。
彼らしいノビのあるヴォーカルが魅力。
Peter Tosh – Bush Doctor (1978)
8曲目は「Cheer Up」です。
弾けるようなギターのイントロから、ソフト
なコーラスとBobのちょっと甘いヴォーカル。
こちらも勢いを感じる曲です。
Bob Marley & The Wailers - Cheer Up
9曲目は「Back Out」です。
リリカルなピアノのメロディに、Bob Marley
のヴォーカルとコーラス・ワーク。
浮遊感のあるオルガンの間奏もグッド。
10曲目は「Do It Twice」です。
こちらもオルガンのメロディに乗せた、
Bob Marleyの歌声が冴える1曲。
11~12曲目まではCDボーナス・トラック
として、「Soon Come」と「Soul Shakedown
Party」のヴァージョン(ダブ)が収められて
います。
このヴァージョン(ダブ)はおそらくは70年
より後に作られたのではないかと思われます。
70年当時はまだヴァージョンはあまり
作られていなかったんですね。
ダブが本格的に作られるようになるのは、
73年以降です。
エコーはエフェクトはあまり使用されて
いない、比較的シンプルなインストに近い
ヴァージョン(ダブ)が収められています。
ざっと追いかけて来ましたが、この時代の
The Wailersのバックの演奏はドラムとベース
のリズム隊にギターとキーボードのメロディ
という、比較的シンプルな構成なんですね。
それに彼ら3人の濃厚なコーラス・ワーク
が乗ると、過不足のない素晴らしい唯一無二
のサウンドが出来上がります。
今回のアルバムなどを聴くと、そのコーラス・
ワークはかなり黒人色の強いファンキーな
サウンドを彼らは目指していたようです。
そしてそのサウンドはかなり完成度が高く、
とても魅力的なんですね。
このThe Wailersに関してはメジャー・デビュー
に際して、IslandレーベルのChris Blackwell
に「白人にも解る音楽を」と求められた事が
2人の離脱のきっかけになったとも言われて
います。
もしもそれで彼らしか生みだせないこうした
濃厚なサウンドが失われてしまったとしたら、
とても残念な事だったと思います。
ただそういう事があったとしても彼ら
The Wailersがジャマイカの音楽レゲエを
世界の音楽へと発展させる大きな力となった
事は事実で、彼らの功績がけっして色褪せる
事ではありません。
このアルバムはその発売された70年より、
時間が経った今だからこそ解る面白さが
あります。
機会があればぜひ聴いてみてください。
○アーティスト: The Wailers
○アルバム: The Best Of The Wailers
○レーベル: Beverley's Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1970
○The Wailers「The Best Of The Wailers」曲目
1. Soul Shakedown Party
2. Stop The Train
3. Caution
4. Soul Captives
5. Go Tell It On The Mountain
6. Can't See You
7. Soon Come
8. Cheer Up
9. Back Out
10. Do It Twice
(Bonus Tracks)
11. Soon Come Version
12. Soul Shakedown Party Version
●今までアップしたBob Marley & The Wailers関連の記事
〇Bob Marley & The Wailers「Babylon By Bus」
〇Bob Marley & The Wailers「Natty Dread」
〇Bob Marley & The Wailers「Rastaman Vibration」
〇Bob Marley & The Wailers「Survival」
〇Bob Marley & The Wailers「Wail'n Soul'm Singles Selecta」
〇Bob Marley & The Wailers「Exodus」
〇Bob Marley & The Wailers「Kaya」
〇Bob Marley And The Wailers「Live!」
〇Bob Marley And The Wailers「Soul Rebels」
〇Wailers「Burnin'」
〇Wailers「Catch A Fire (Deluxe Edition)」
〇Glen Dacosta & The Wailers「Serenade Of Love」
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