今回はVarious(オムニバス)もののアルバム

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「Derrick Harriott Rock Steady 1966-1969」です。

Derrick Harriottはジャマイカで歌手と
して、またプロデューサーとして活躍した
人です。
スカの時代から人気シンガーとして活躍した
彼は、自身のレーベルCrystalを作り、
60年後半のロックステディの時代には
Keith & Texの「Stop That Train」など
多くのヒット曲を出し、人気レーベルへ
と成長させるんですね。
その後のルーツ・レゲエの時代でも、当時
流行したラスタファリズムのアフリカ回帰
を目指した音楽とは一線を画し、あくまで
アメリカのソウルやR&Bといった
ブラック・ミュージックに傾倒した音楽を
作り続けたというのがこの人です。

アーティスト特集 Derrick Harriott (デリック・ハリオット)

レーベル特集 Crystal (クリスタル)

今回のアルバムは20016年に日本の
Dub Store Recordsがリリースした、60年代
後半のロックステディの時代にDerrick
Harriottがプロデュースした楽曲を集めた
コンピュレーション・アルバムです。
タイトルにある「1966-1969」という時代は、
ジャマイカの音楽界ではそれまで流行して
いたスカの時代が終わり、スローなリズムと
甘いメロディを特徴とするロックステディが
大流行していた時代だったんですね。

ロックステディ - Wikipedia

このロックステディの流行はその中心人物
だったJackie MittooやLyn Taittがカナダに
移住してしまった事で、わずか3年ぐらいで
終わってしまいます。
そして次に来るのがレゲエという音楽の時代
なんですね。

今回のアルバムではDerrick Harriott本人
のほかKeith & Texなど、このロックステディ
の時代に活躍した人達の楽曲が収められて
います。

手に入れたのはDub Store Recordsから
リリースされたCDの中古盤でした。
ただ中古盤とはいえまだ未開封のCDで、
実質的には新盤というアルバムでした。

アルバムに付いていた帯には、
「ロックステディの巨匠による夢のような
セレクション。ジャマイカ音楽の夜明けより
先駆者として活躍してきたデリック・
ハリオットと花形アーティストによる極上の
ロックステディ。」
という文章が書かれていました。

全20曲で収録時間は約62分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Musicians include:
Bass: Bobby Aitken, Bryan Alkinson, Boris Gardiner, Clifton 'Jackie' Jackson,
Desmond Miles, Voncent White
Drums: Tony Bennett, Robert Ferguson, Winston Grennan, Joe Isaacs, Esmond Jarrett
Guitar: Bobby Aitken, Lynford 'Hux' Brown, Boris Gardiner, Ken Lazarus,
Ernie Smith, Nearlin 'Lyn' Taitt, Lloyd 'Gitsy' Willis
Piano: Gladstone 'Gladdy' Anderson, Theophilus 'Easy Snapping' Beckford,
Lloyd DelPratt, Bobby Kalphat
Organ: Ike Bennett, Ansel Collins, Lloyd DelPratt, Neville Hinds, Winston Wright
Alto Saxophone: Karl 'Cannonball' Bryan, Alphonso Henry, Anthony Wilson
Tenor Saxophone: Felix 'Deadly Headley' Bennett, Val Bennett, Sammy Ismay,
Lester Sterling, Tony Wilson
Trumpet: Benji Bennett, Bobby Ellis, Samuel Francis, Mark Lewis, Peter Miles,
Lester Steerling
Trombone: Vincent 'Don D Junior' Gordon, Sammy Johnson, Dave Parks, Hansel Smith
Percussion: Herman 'Bongo Herman' Davis, Les Davis, Steve Hamilton, Trevor Miles

Recorded at:
Federal Recording Studios Limited, Kingston, Jamaica
Engineers: Louis 'Buddy' Davidson, Al Iton, Graeme Goodall
W.I.R.L. (West Indies Recording Limited), Kingston, Jamaica
Engineers: Lynford 'Andy Capp' Anderson, Sid Bucknor, Graeme Goodall

Produced by Derrick Harriott
Licensed from: Derrick Harriott
Degital Transfer from original master tape by Derrick Harriott

Liner Notes by: Noel Hawks
Design by Maya Saito
Photo Courtesy of: Derrick Harriott

となっています。

コンピュレーションという事もあって、多く
のミュージシャンが記載されています。
プロデュースはDerrick Harriottで、録音は
Federal Recording StudioとWest Indiesで
行われ、レコーディング・エンジニアは
FederalがLouis 'Buddy' DavidsonとAl Iton、
Graeme Goodall、West IndiesがLynford 'Andy
Capp' Anderson、Sid Bucknor、Graeme Goodall
となっています。

ジャケット・デザインはMaya Saitoという人
が行っています。

アルバムに収められているアーティストは、
Derrick Harriott本人をはじめとして
Bobby Ellis & The Desmond Miles Seven、
Keith & Tex、Junior Soul、Bobby Ellis &
The Jets、Noel Brown、David Anthony、
Bobby Ellis & The Crystalites、Ike Bennett
& The Crystalites、Noel Browneといった
人達です。

さて今回のアルバムですが、ロックステディ
の時代のDerrick Harriottの果たした役割が
よく解るアルバムで、内容は悪くないと思い
ます。

この時代のDerrick Harriottの歌手としての
活躍も聴きどころとなっていますが、やはり
この中ではKeith & Texが際立った存在感が
あります。
ヒット曲の「Stop That Train」と「Tonight」
が聴けるのも嬉しいですが、あまり知られて
いない「Hypnotizing Eyes」や「Run To The
Rocks」という曲が収められているのも嬉しい
ところ。
やはりこのロックステディの時代らしい哀愁
を秘めたメロディは、とても魅力的です。

他にもDerrick Harriottの名曲「Do I Worry」
をはじめとして、すべての曲が心にグッと
来る名曲と言いたくなるようなアルバムなん
ですね。
合間にあるインストも含めて、このロック
ステディの時代の魅力がギュッと凝縮された
ようなアルバムだと思います。

1曲目はBobby Ellis & The Desmond Miles
Sevenの「Step Softly」です。
トランペット奏者Bobby EllisとThe Desmond
Miles Sevenによるインスト・ナンバーです。
ピアノのイントロから哀愁のあるホーン・
セクションのメロディが魅力の曲です。

2曲目はDerrick Harriottの「Reach Out
I'll Be There」です。
こちらはソウル・グループFour Topsの
66年の同名ヒット曲のカヴァーです。
Derrick Harriottらしいソウルフルな歌唱
が魅力的。

DERRICK HARRIOTT "Reach out i'll be there"


3曲目はKeith & Texの「Stop That Train」
です。
彼らの代表曲で、この曲は70年代にThe
Wailersのメジャー・デビュー・アルバム
「Catch A Fire」でPeter Toshが歌っていた
り、80年代にはClint Eastwood & General
Saintがカヴァーしたりと、時代ごとに
たびたびヒットを繰り返した名曲です。
哀愁のあるメロディが何とも言えません。

リズム特集 Stop That Train (ストップ・ザット・トレイン)

ケイス&テックス(Keith & Tex) - Stop That Train - リリック

4曲目はJunior Soulの「Glendevon Special」
です。
こちらはパーカッションが効いた、レゲエを
感じさせる1曲。
Junior Soulのファルセット・ヴォーカルが
魅力的。

Junior Soul - Glendevon Special


5曲目はBobby Ellis & The Desmond Miles
Sevenの「Now We Know」です。
トランペットとピアノを中心としたインスト・
ナンバーです。

6曲目はDerrick Harriottの「Do I Worry」
です。
Derrick Harriottの曲の中でも、特に名曲度
の高い1曲。

7曲目はKeith & Texの「Tonight」です。
Keith & Texの代表曲のひとつで、最初から
最後までケチの付けようのない名曲中の名曲
です。
シビレます(笑)。

Keith & Tex - Tonight


リズム特集 Tonight/Lots Of Sign (トゥナイト/ロッツ・オブ・サイン)

キース・アンド・テックス(Keith & Tex) - Tonight - 1967 - リリック

8曲目はBobby Ellis & The Jetsの「Feeling
Peckish」です。
The Jetsはこのロックステディの時代に
Lyn Taitt & The Jetsなどという名前で
活躍したバック・バンドです。
Bobby Ellisのトランペットも入った
心地良いインスト・ナンバー。

9曲目はNoel Brownの「Heartbreak Girl」
です。
ピアノとホーンを中心としたバックに、
ファルセットなヴォーカルが心地良い曲
です。

Noel Brown - Heartbreak Girl (Crystal blank)


10曲目はDavid Anthonyの「All Night」
です。
ロックステディらしいギターのリズムに、
ソフトで心地良いヴォーカルが魅力的。

11曲目はKeith & Texの「Hypnotizing Eyes」
です。
こちらもロックステディらしい、哀愁タップリ
のナンバーです。

Keith & Tex - Hypnotizing Eyes


12曲目はBobby Ellis & The Crystalites
の「Shuntin」です。
The Crystalitesもこのロックステディの
時代に活躍したバック・バンドです。
Bobby Ellisのトランペットを中心とした、
歯切れの良いインスト・ナンバーです。

13曲目はDerrick Harriottの「The Loser」
です。
ピアノのリリカルなメロディに乗せたDerrick
Harriottのファルセットも駆使したヴォーカル
が最高に魅力的な曲です。
今回のアルバムは名曲が多いですが、その中
にあっても特に光る1曲です。

Derrick Harriott "The Loser'


14曲目はJunior Soulの「Magic Touch」
です。
元気のあるオルガンとピアノのメロディに、
ハリのあるJunior Soulのヴォーカルが
魅力的。

15曲目はBobby Ellis & The Jetsの
「The Emperor」です。
こちらはロックステディらしいギターの刻む
ようなリズムに、ホーンの明るいメロディが
心地良いインスト・ナンバーです。

BOBBY ELLIS & THE JETS - The Emperor [1967]


16曲目はJunior Soulの「The Hustler」
です。
こちらは明るいオルガンのメロディに乗せた
曲です。
ちょっとユーモラスさを感じる歌い方が、
印象的な曲です。

17曲目はIke Bennett & The Crystalitesの
「Illya Kuryankin」です。
ギターとピアノのメロディからホーン、
オルガンと主役が変わって行くインスト・
ナンバーです。

18曲目はNoel Browneの「Man's Temptation」
です。
ムーディーなオルガンのメロディに、丁寧に
歌うソフトなヴォーカルが心地良い曲です。

NOEL BROWN "MAN'S TEMPTATION" (Rocksteady Hits)


19曲目はKeith & Texの「Run To The Rocks」
です。
こちらも哀愁のあるギターに乗せた、男性
デュオの魅力がよく出た曲です。

20曲目はDerrick Harriottの「It's All
Right」です。
こちらもソウルフルでモダンな香りのする
ナンバーです。
Derrick Harriottという歌手の、スキルの
高さが垣間見える曲です。

Derrick Harriott - It's Alright (You're Just In Love) (Crystal blank)


ざっと追いかけて来ましたが、今回アルバム
はとても選曲が良く、どの曲も名曲と呼びたく
なるような魅力的な曲が選ばれています。
また合間にほど良くインスト・ナンバーを
挿入した構成も見事です。
内容は悪くないと思います。

このDub Store Recordsからはここのところ
このDerrick Harriott関連のアルバムが多く
リリースされていますが、彼のロックステディ
の時代の活躍をうまく写し取ったリリースは、
やはり褒めない訳にはいきません。

derrick_harriott_01a
Various ‎– Derrick Harriott Reggae Funk & Soul 1969-1975 (2016)

こういう質の高いリリースは、ジャマイカの
音楽への興味をより強くさせるんですね。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Various
○アルバム: Derrick Harriott Rock Steady 1966-1969
○レーベル: Dub Store Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2016

○Various「Derrick Harriott Rock Steady 1966-1969」曲目
1. Step Softly - Bobby Ellis & The Desmond Miles Seven
2. Reach Out I'll Be There - Derrick Harriott
3. Stop That Train - Keith & Tex
4. Glendevon Special - Junior Soul
5. Now We Know - Bobby Ellis & The Desmond Miles Seven
6. Do I Worry - Derrick Harriott
7. Tonight - Keith & Tex
8. Feeling Peckish - Bobby Ellis & The Jets
9. Heartbreak Girl - Noel Brown
10. All Night - David Anthony
11. Hypnotizing Eyes - Keith & Tex
12. Shuntin - Bobby Ellis & The Crystalites
13. The Loser - Derrick Harriott
14. Magic Touch - Junior Soul
15. The Emperor - Bobby Ellis & The Jets
16. The Hustler - Junior Soul
17. Illya Kuryankin - Ike Bennett & The Crystalites
18. Man's Temptation - Noel Browne
19. Run To The Rocks - Keith & Tex
20. It's All Right - Derrick Harriott