今回はMad Professorのアルバム

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「A Caribbean Taste Of Technology」です。

Mad Professorは80年代からイギリスの
自分のスタジオAriwaを拠点に活動を続ける
プロデューサーであり、ダブのクリエイター
である人です。
プロデューサーとしてはSandra Crossなど
多くのラヴァーズロック・レゲエのアーティ
ストのプロデュースや、Massive Attackや
Jamiroquaiなど他ジャンルのアーティスト
のプロデュースまで幅広いジャンルのアー
ティストをプロデュースしています。
また「Dub Me Crazy」シリーズや「Black
Liberation Dub」シリーズなどの数多くの
ダブを作った事でもよく知られています。

レーベル特集 Ariwa (アリワ)

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Mad Professor - Dub Me Crazy (1982)

今回のアルバムは1985年に自身の
レーベルAriwaからリリースされたダブ・
アルバムです。
表ジャケットのMad Professorの名前の上に
「Technology Gone Crazy」と記されている
ように、「Dub Me Crazy」シリーズの
サイド・ストーリー的なアルバムのようで、
スティールパン奏者Patrick Augustus(別名
Panafricanist)のスティールパンが全面的に
フィーチャーされた曲が3曲入っているなど、
Mad Professorの遊び心がより強く出たダブ・
アルバムになっています。

手に入れたのはAriwaレーベルからリリース
された、CDの中古盤でした。

全10曲で収録時間は約40分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Drums: Drumtan Ward, Robotiks
Bass: Black Steel, Preacher, Bernard Cumberbatch, Kirk Service
Guitars: Black Steel, Jeffrey Beckford
Synth: Cleveland Neunie, Black Steel, Sergeant Pepper
Hornes: Roger & Patrick, Vin Gordon, Michael Rose
Steel Pan: Patrick Augustus
Percussion: Drumtan Ward, Black Steel
Vocals: Pato Banton, Ranking Ann, Sandra Cross, Mad Professor, F.M. Band, Glen Brown
Flute: Kate Holmes, Roger Thomas
Violin: Bobby Beckingham

Produced by Mad Professor

となっています。

バックのミュージシャンは、ドラムにDrumtan
WardとRobotiks、ベースにBlack Steelと
Preacher、Bernard Cumberbatch、Kirk
Service、ギターにBlack SteelとJeffrey
Beckford、シンセにCleveland NeunieとBlack
Steel、Sergeant Pepper、ホーンにRoger &
PatrickとVin Gordon、Michael Rose、
スティールパンにPatrick Augustus、パーカッ
ションにDrumtan WardとBlack Steel、ヴォー
カルにPato BantonとRanking Ann、Sandra
Cross、Mad Professor、F.M. Band、Glen
Brown、フルートにKate HolmesとRoger Thomas、
バイオリンにBobby Beckinghamという布陣
です。
この中で注目はやはりスティールパン奏者の
Patrick Augustusで、彼は2002年にこの
AriwaからPanafricanist名義で「Pan In Dub」
というソロ・アルバムも出してるスティール
パン奏者です。

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Panafricanist ‎– Pan In Dub (2002)

プロデュースはMad Professorです。

イラスト・デザインは表記がありませんが、
Dub Me Crazy」シリーズなどのデザインを
手掛けている、Tony McDermottの作品と思わ
れます。

さて今回のアルバムですが、初めの頃は
ルーツ系のサウンドを模索したりレーベルの
運営に苦労していた気配のあるMad Professor
ですが、この頃になるとSandra Crossなどの
ラヴァーズロック・レゲエ路線と、そうした
プロデュースした音源を元にした「Dub Me
Crazy」シリーズのダブなど、自身の方向性
がハッキリし、充実した音楽作りを始めたの
がこの時期なんですね。
そうした自信を持った音楽作りが、今回の
アルバムからも感じられます。

ちなみにこの85年にMad Professorは「Dub
Me Crazy」シリーズの5作目「Who Knows The
Secret Of The Master Tape?」というアルバム
をリリースしています。

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Mad Professor ‎– Dub Me Crazy Part Five: Who Knows The Secret Of The Master Tape? (1985)

またThe Wild Bunchというグループに居た
Sandra Crossのソロ・アルバム「Country
Life」をプロデュースしたのもこの年で、
このアルバムからソウル・グループ
The Stylisticsの72年の名曲「Country
Living」のカヴァー曲がヒットしています。

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Sandra Cross ‎– Country Life (1985)

今回のアルバムの1曲目「Fresh And Clean」
はこの「Country Living」のダブ・
ヴァージョンで、Patrick Augustus
(Panafricanist)のスティールパンが
とても印象的な仕上がりになっています。

ちなみにSandra Crossのアルバム「Country
Life」は、後の87年にSandra Cross & The
Wild Bunch名義で「Stepping In Dubwise
Country」というダブ・アルバムも制作されて
いますが、タイトル曲にもなっている
「Country Living」のダブは、今回の曲とは
別ヴァージョンのダブになっています。

このあたりからMad Professorは、より遊び心
の強いダブを作り始めるようになるんですね。
Patrick Augustusのスティールパンなどに
その傾向が如実に現れていて、とても楽しい
アルバムに仕上がっています。

1曲目は「Fresh And Clean」です。
書いたようにソウル・グループ
The Stylisticsの72年の名曲「Country
Living」のリディムです。
この曲は77年にThe Mighty Diamondsも
アルバム「Ice On Fire」でカヴァーして
います。
やはりレゲエにはあまりない、Patrick
Augustusのスティールパンが魅力的な曲
です。

2曲目は「Hurricane Gloria」です。
こちらはホーンのメロディを中心とした
ダブ。
今回のアルバムではジャマイカのトロンボーン
奏者Vin Gordonも参加しているので、彼が
参加した曲か?

Mad Professor - Hurricane Gloria


3曲目は「Obeah Power」です。
テープの逆再生のエフェクトから、ベースと
ギターのメロディを中心としたダブです。

4曲目は「Buccaneer's Cove」です。
ベースを中心とした演奏にホーン・セクション
がうまく絡んだダブです。
男性のファルセット・ヴォイスなどMad教授の
エフェクト使いのウマさが光ります。

Mad Professor-Buccaneer's Cove


5曲目は「The Heart Of The Jungle」です。
こちらはルーツを思わせる、パーカッション
が前面に出た、ジャングル感タップリのダブ
です。
雄叫びなどエフェクトも光ります。

6曲目は「Civil Unrest」です。
ホーンのメロディとエフェクト使いが光る
ダブです。

Mad Professor - Civil Unrest


7曲目は「Capadulla」です。
こちらはピアノやギターのメロディをうまく
使った、疾走感のあるダブです。

Mad Professor: Capadulla


8曲目は「1011 Digital」です。
ベースのメロディを中心にパーカッションや
ギターがうまく絡んだダブです。

9曲目は「Berbice Madhouse」です。
こちらもスティールパンのメロディを中心
としたダブ。
このスティールパンという楽器には、何故か
ホッとさせるような力があります。

10曲目は「Uncle Sam's Backyard」です。
ギターのイントロからこちらも、スティール
パンの楽しいメロディが入ったダブです。

Mad Professor Uncle Sam's Backyard


ざっと追いかけて来ましたが、この時代の
Mad Professorの好調さがうかがえるアルバム
で、内容はなかなか良いと思います。

ガイアナ人である彼がレゲエにそれまでに
無い感性を持ち込んで、レゲエという音楽を
変えて行ったのは、間違いない事実だと思い
ます。
また本場ジャマイカでは徐々に廃れて行った
ダブという音楽を粘り強く作り続けたのも、
彼Mad Professorだったんですね。
そうしたレゲエという音楽の貢献度が、
非常に高い人物がこのMad Professorという
人です。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Mad Professor
○アルバム: A Caribbean Taste Of Technology
○レーベル: Ariwa
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1985

○Mad Professor「A Caribbean Taste Of Technology」曲目
1. Fresh And Clean
2. Hurricane Gloria
3. Obeah Power
4. Buccaneer's Cove
5. The Heart Of The Jungle
6. Civil Unrest
7. Capadulla
8. 1011 Digital
9. Berbice Madhouse
10. Uncle Sam's Backyard