今回はVarious (Wackie's)のアルバム

wackies_11a

「Reggae Goodies Vol.1 & 2」です。

Wackiesは70年代から主催者のLloyd Burns
を中心に、ニューヨークの地下室を拠点に
活動するレゲエ・レーベルです。

UK(イギリス)では早くからレゲエが受け
入れられたのに対して、アメリカではレゲエ
がなかなか浸透しませんでした。
ひとつの理由としては、70年当時にアメリカ
ではファンクやソウルという、黒人層に人気
の別の音楽がすでにあったんですね。
あのBob Marleyですらアメリカで受け入れ
られたのは、彼の生前最後のアルバム
「Uprising」(1980年)の頃だったといい
ます。

それほどの「レゲエ不毛の地」アメリカで
70年代から頑張っていたのが、このWackies
というレーベルだったんですね。
ニューヨークの地下室を拠点に、恵まれない
設備や人員の中、ひたすら純粋に理想のレゲエ
を追及し続けたのがこのレーベルです。
このレーベルにはSugar MinottやHorace Andy
など、成功を求めてアメリカに渡った多くの
レゲエ・ミュージシャンがお世話になって
いて、素晴らしいアルバムを多く残してい
ます。

そのソリッドなサウンドは、後年になっても
あのBasic Replayがリイシューするなど、
支持され続けています。

Wackies (ワッキーズ)

今回のアルバムは1977年に発売された
コンピュレーション・アルバム「Reggae
Goodies Vol.1」と、1981年に発売された
「Reggae Goodies Vol.2」を1枚にまとめた
2in1のアルバムです。
(一応ネットのdisk unionの記述を参考に
して、「Vol.2」を81年としましたが、品番
が39と40と連番になっているなど、イマイチ
腑に落ちない部分があります。参考程度に見て
おいてください。)

この時代に活躍したLove JoysやWayne
Jarrett、John ClarkeなどのWackiesの人気
アーティストの曲が収められた、サンプラー
的なアルバムです。

手に入れたのはWackiesからリリースされた
CDの中古盤でした。

全20曲で収録時間は約70分。
1~10曲目までは「Vol.1」の曲が10曲、
11~20曲目までは「Vol.2」の曲が
10曲収められています。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

●Vol.1

Many Thanks to:
Drums: Jah Scotty
Bass: Roy Reckless
Lead Guitar: Jerry Hitler
Keyboards: Allah
Electric Piano: Linda Pickney
Rhythm Guitar: Brother Donald

Sylvesters Inc., Reckless Breed, Soul Syndicate, Stepping Stones

Arranged by Bala Productions
All Selection: Bala Publishings
Recorded at: Sounds Unlimited Studios, Bronx, New York
Tubby's Studio, Kingston, Jamaica
Recording Engineer: Lloyd Barnes
Mixing Engineer: Douglas Levy & U. Irid
Edited by: Bullwackie
Produced by Bala Productions

Album cover Concept: Tony Hall
Design by: Erwitoba Inc.

●Vol.2

Special Thanks to:
Bass: Roy Reckless, C. Hunt, Bobby
Drums: Jah Scotty, Johnny
Keyboards: Allah, C. Hunt
Guitar: C. Hunt, Donald
Lead Guitar: Jerry
Trombone: Sel Wheeler
Special Guitar: Allah

Special thanks to Jah complete guidance and spirutual help

Produced by: Bala Productions
All Selection: Bala Publishings
Recorded at: Sounds Unlimited Studios, Bronx, New York
Recording Engineer: D. Levy, L. Barnes & U. Irid
Mixing Engineer: Bullwackie
Edited by: Prince Douglas
Love Adviser: P. Gibson and R. Smith
Illustration: Tony Hall
Design: Erwitoba Inc.

となっています。

「Vol.1」はドラムにJah Scotty、ベースに
Roy Reckless、リード・ギターにJerry
Hitler、キーボードにAllah、エレクトリック・
ピアノにLinda Pickney、リズム・ギターに
Brother Donaldという布陣の演奏です。
他にReckless BreedやSoul Syndicate、
Stepping Stonesというグループが演奏に参加
している模様です。

アレンジとプロデュースはBala Productions
となっていて、録音はニューヨークのSounds
Unlimited StudiosとジャマイカのTubby's
Studioで行われ、レコーディング・エンジニア
はLloyd Barnes、ミキシング・エンジニアは
Douglas LevyとU. Iridが担当しています。

「Vol.2」はベースにRoy RecklessとC. Hunt、
Bobby、ドラムにJah ScottyとJohnny、キー
ボードにAllahとC. Hunt、(リズム・)ギター
にC. HuntとDonald、リード・ギターにJerry、
トロンボーンにSel Wheeler、スペシャル・
ギターにAllahという布陣です。

プロデュースはBala Productions、録音は
ニューヨークのブルンクスにあるSounds
Unlimited Studiosで行われ、レコーディング・
エンジニアはD. LevyとL. Barnes、U. Irid、
ミキシング・エンジニアはBullwackie(Lloyd
Burns)が担当しています。

2枚ともイラストレーションはTony Hall、
ジャケット・デザインはErwitoba Inc.と
なっています。

収められているアーティストはLove Joys、
Joe Morgan、Wayne Jarrett、John Clarke、
Jah Carlos、African Jamaicans、Stranger
Cole、Jerry Hitler、K.C. White、Sel
Wheeler & Azul、Chosen Brothers、Roots
Hangover、Wanachi、Jah Juniorという人達
です。

さて今回のアルバムですが、いかにもWackies
らしいシンプルで硬質なレゲエ・サウンドに
乗せた、それぞれのシンガーの魅力がうまく
引き出されたアルバムで、ただのサンプラー
とは思えないほど、内容はとても良いです。

今回のアルバムで比較的名前の知られている
のは、女性ヴォーカル・デュオでこのWackis
から2枚のアルバムを出しているLove Joys、
ジャマイカでも活躍しこのWackisからも
アルバムを出しているWayne Jarrett、この
Wackisから2枚のアルバムを出しているJohn
Clarke(Johnny Clarkeではありません)など
で、他は無名に近い人も多いですが、その
内容はどのアーティストもとても素晴らしい
ものがあります。

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Love Joys ‎– Reggae Vibes (1981)

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Wayne Jarrett ‎– Showcase Vol 1 (1982)

john_clarke_01a
John Clarke ‎– Rootsy Reggae / Visions Of John Clarke (1978, 1979)

このWackisのサウンドというのは、名前の
知らないアーティストのアルバムを買って
も、ほとんどハズレというハズレが無いん
ですね。
まだ70年代のなかなかレゲエという音楽
が認められないアメリカのニューヨークで、
充分でない設備と人員の中、ただ自分たち
の愛する音楽を信じてひたすら音楽を作り
続けた、彼らの魂がこれらのアルバムには
込められています。
その純粋でシンプルで硬質なサウンドは、
今の時代に聴いてもけっして色褪せる事は
無いんですね。

1~10曲目までは「Reggae Goodies
Vol.1」の曲が収められています。

1曲目はLove Joysの「I Belong To You」
です。
Wackisらしいギターを中心とした硬質な
バックに、ちょっとメローなLove Joysの
ヴォーカルがとても心地良い1曲です。

2曲目はJoe Morganの「Basement Session」
です。
リリカルなピアノの悲し気なイントロから、
感情を込めたヴォーカルにホーンのメロディ
が絡む曲です。
ルーツの時代らしいディープ感がグッと来る
1曲です。

Joe Morgan - Basement Session


3曲目はWayne Jarrettの「African Woman」
です。
こちらもエコーのかかったWayne Jarrettの、
ちょっとHorace Anndyに似た、ディープな
ファルセット気味のヴォーカルが魅力的な曲
です。

Wayne Jarrett - African Woman


4曲目はJohn Clarkeの「John Brown」です。
Bob Marleyの歌「I Shott The Sheriff」で、
歌の主人公に嫌がらせをするシェリフ「John
Brown」の事を歌った歌なのか?
曲のメロディも何となく、Bob Marleyの歌
「No Woman, No Cry」に似ています。

5曲目はJah Carlosの「Black Harmony」
です。
華やかなルーツらしいホーンのメロディ、
シッカリと歌い込むヴォーカルが印象的。

6曲目はAfrican Jamaicansの「Loving Man」
です。
こちらはファルセット気味の高音を生かした
ヴォーカルの曲です。
硬質な刻むようなリズムに、時折入るギター
のフレーズが魅力的。

ReGGae Music 364 - African Jamaicans - Loving Man [Rawse]


7曲目はStranger Coleの「Capture Land」
です。
Stranger Coleのルーツらしいディープな
ヴォーカルに、表情を抑えた女性コーラスが
魅力的。
重いベースに時折入るギターが良い味を出して
います。

Stranger Cole - Capture Land


8曲目はJohn Clarkeの「Recession」です。
こちらもディープ感のあるバックに、John
Clarkeのよく通るヴォーカルが魅力的な曲
です。

9曲目はJerry Hitlerの「What's Wrong With
You?」です。
こちらはピアノメロディを中心に、シッカリ
としたJerry Hitlerのヴォーカルが良い味を
出している曲です。

ReGGae Music 351 - Jerry Hitler - What's Wrong With You [Bullwackie]


10曲目はK.C. Whiteの「Selassie」です。
ドラムとベースのしっかりとしたリズムに、
ピアノや時にメロディカメロディも入って
来る曲です。
K.C. Whiteのシッカリと歌うヴォーカルと
ヘヴィーでいながら明るい空気感が魅力。

11~20曲目までは「Reggae Goodies
Vol.2」の曲が収められています。

11曲目はLove Joysの「Sweet Feelings」
です。
硬質でリズムカルなバックの演奏に、タイトル
通りのスウィートなヴォーカルとコーラス。
ヘヴィーでメロウというWackiesらしい世界を
作り上げています。

Love Joys - Sweet Feelings


12曲目はAfrican Jamaicansの「Girl Of My
Dreams」です。
こちらもWackieらしい硬質なバックに、ソフト
なコーラス・ワークの効いたヴォーカルが
魅力の曲です。

13曲目はK.C. Whiteの「Lets Love」です。
ギターとピアノのメロディに、ノビのある
K.C. Whiteのヴォーカルという曲です。

14曲目はSel Wheeler & Azulの「Love
Dream」です。
ホーンとピアノを中心としたインスト・
ナンバーです。

15曲目はChosen Brothersの「Love Me To
The End」です。
ギターのメロディを中心とした演奏に、
ちょっとソウルフルなヴォーカルが印象的
な曲です。

Chosen Brothers - Love Me To The End


16曲目はRoots Hangoverの「Soon Sunday」
です。
ピアノとギターのメロディを中心とした、
切れ味の良いインスト・ナンバーです。

Roots Hangover - Soon Sunday


17曲目はWanachiの「African Rose」です。
こちらはホーンとシンセを中心とした
インスト・ナンバーです。

18曲目はJah Juniorの「Yes I'm Gone」
です。
ホーンのイントロからピアノのメロディに
乗せた、よく通るヴォーカルが魅力的な曲
です。
合間良く入るホーンとギターが良い感じ。

Jah Junior - Yes I Am Gone


19曲目はChosen Brothersの「So Much
Loving」です。
ベースを中心としたメロディに乗せた、明るく
弾むようなヴォーカルとコーラスが心地良い
曲です。

20曲目はWanachiの「Black Root」です。
浮遊感のあるシンセのイントロから、刻む
ようなギターのメロディのインスト・
ナンバー。

ざっと追いかけて来ましたが、やはりこの
Wackiesの硬質でシンプルなサウンドは
とても魅力的です。
ある意味シンプルにせざるを得なかったと
いう事なんですが、全てを削ぎ落したこの
サウンドは、今の時代に聴いても充分に
魅力的なんですね。

今回のアルバムはそうしたWackiesの良質
なサウンドが、楽しめるアルバムだと思い
ます。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Various (Wackies)
○アルバム: Reggae Goodies Vol.1 & 2
○レーベル: Wackies
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1977, (1981)

○Various (Wackies)「Reggae Goodies Vol.1 & 2」曲目
● Reggae Goodies Vol.1
1. I Belong To You - Love Joys
2. Basement Session - Joe Morgan
3. African Woman - Wayne Jarrett
4. John Brown - John Clarke
5. Black Harmony - Jah Carlos
6. Loving Man - African Jamaicans
7. Capture Land - Stranger Cole
8. Recession - John Clarke
9. What's Wrong With You? - Jerry Hitler
10. Selassie - K.C. White
● Reggae Goodies Vol.2
11. Sweet Feelings - Love Joys
12. Girl Of My Dreams - African Jamaicans
13. Lets Love - K.C. White
14. Love Dream - Sel Wheeler & Azul
15. Love Me To The End - Chosen Brothers
16. Soon Sunday - Roots Hangover
17. African Rose - Wanachi
18. Yes I'm Gone - Jah Junior
19. So Much Loving - Chosen Brothers
20. Black Root - Wanachi