今回はVarious(オムニバス)もののアルバム

clancy_eccles_01a

「Clancy Eccles Presents His Reggae Revue:
Rock Steady Intensified!」です。

Clancy Ecclesはロックステディから初期
レゲエの時代に活躍した、シンガーであり
プロデューサーである人です。
60年だ後半のロックステディの時代に
シンガーとして活躍したほか、自身のレーベル
Clandiscで多くのアーティストをプロデュース
した事で知られています。

クランシー・エクルズ - Wikipedia

レーベル特集 Clandisc (クランディスク)

今回のアルバムは1990年にHeartbeat
RecordsからリリースされたClancy Ecclesの
プロデュースした楽曲を集めたコンピュレー
ション・アルバムです。
1967年から72年という、ジャマイカ
ではロックステディから初期レゲエの時代に
あたる音源で、バックは当時人気のバック・
バンドThe Dynamitesが担当した音源です。

手に入れたのはHeartbeatからリリースされた
CDの中古盤でした。

全16曲で収録時間は約43分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

All tracks produced by Clancy Eccles
Most tracks recorded at West Indies Records, Kingston, Jamaica 1967-1972
Engineer: Lynford Anderson

Musicians: The Dynamites
Bass: Jackie Jackson
Guitar: Huks Brown, Ronny 'Bops' Williams, Ernest Ranglin
Piano: Gladstone Anderson
Organ: Winston Wright, Aubrey Adams
Drums: Hugh Malcolm, Joe Issacs, Paul Douglas, Winston Grennan
Hornes: Johnny Moore, Val Bennett, Bobby Ellis

Digital transfers from original master tapes: Chris Wilson
Digital remix at Lanes studio, Boston, Massachusetts by Chris Wilson
Engineers: K. Simon, C. Janssen
Photography coutesy of Clancy Eccles
Design by Nancy Given

となっています。

プロデュースはClancy Ecclesで、録音は
West Indies Recordsで1967年から72年
の間に行われ、エンジニアはLynford Anderson
が担当しています。
タイトルは「His Reggae Revue」となって
いますが、正確に言えば多くはレゲエの前身
の音楽ロックステディの時代の音源が中心の
アルバムです。

ロックステディ - Wikipedia

バックのミュージシャンはThe Dynamitesで、
ベースにJackie Jackson、ギターにHuks Brown
とRonny 'Bops' Williams、Ernest Ranglin、
ピアノにGladstone Anderson、オルガンに
Winston WrightとAubrey Adams、ドラムに
Hugh MalcolmとJoe Issacs、Paul Douglas、
Winston Grennan、ホーンにJohnny Mooreと
Val Bennett、Bobby Ellisが担当しています。

ジャケット・デザインはNancy Givenが担当
しています。

アルバムに収められているアーティストは、
Clancy EcclesをはじめHemsley Morris、
Barry Wilson、Alton Ellis、Higgs And
Wilson、Val Bennett、King Stitt、Hugh
Malcolm、Larry Marshall、Beres Hammond、
Velma And Clancy、Monty Morris、The
Coolersといった人達です。

さて今回のアルバムですが、このロック
ステディから初期レゲエにかけてのClancy
Ecclesの果たした仕事が記録されたアルバム
で、内容は悪くないと思います。

やはり魅力はこのロックステディという時代
の持つ「熱気」が詰め込まれているという
ことです。
このロックステディはレゲエの前身となった
音楽で、スローなリズムと甘いメロディを
特徴とする音楽ですが、すでにこの時代に
爆発寸前のエネルギーが、このジャマイカの
音楽界にタップリと貯めこまれていたんです
ね。
この後70年代のルーツ・レゲエの時代に
レゲエは大ブレイクする訳ですが、それもう
必然だったのかもしれません。
そうした熱い熱気が感じられるのが、今回の
アルバムの最大の魅力です。

このアルバムでもっとも注目される楽曲が
7曲目のKing Stittの「Dance Beat II」
です。
King StittはU Royがトースング・スタイル
を発表する前に活躍していたディージェイ
で、曲の頭や間奏に掛け声をかける、
「掛け声係」的なディージェイ・スタイル
で知られています。
ところがこの曲ではトースティングを披露
しているんですね。
残念ながらこの曲は「Previously Unreleased
Version」となっていて、発表されていなかった
曲なんですね。

上に挙げたレゲエレコード・コムの「レーベル
特集 Clandisc」のページには、Keith Hudson
の言葉としてKing Stittが録音をした時に
まだU RoyやI Royといったディージェイは
録音していなかった、というような事が書か
れています。
つまり初めてトースティング・スタイルを
披露したのは、King Stittだったのかもと
いう事が書かれているんですね。

それがこの曲の事を指すのか、あるいは
「Dance Beat II」となっているので、「Ⅰ」
があるのかは解りませんが、「それ以前の
ディージェイ」と思われていたKing Stitt
の興味深い音源といえると思います。

またWikipediaやレゲエレコード・コムの
記述を見ると、彼は人民国家党 (PNP) の
支持者で非常に政治性の音楽を作った事でも
知られる人のようです。
その為レゲエが人気になってきた時代にラジオ
で放送してもらえず、成功から遠ざかって
しまったんだとか。
ただルーツの時代の非常に政治性の強い楽曲
が流行しますが、それは彼のような人の影響
もあるんじゃないかと思います。
音楽というものはいろいろな人の影響から、
ひとつの形になって行くものなんですね。

そうした先見性や政治性を持った、この
ジャマイカの音楽界で活躍したClancy Eccles
は、やはりこの時代のアーティストとして
覚えておきたい人のひとりなんだと思います。

1曲目はHemsley Morrisの「Stay Loose」
です。
曲が作られたのが、ロックステディ期の
67年。
刻むようなリズムにピアノのメロディ、
ソフトなヴォーカルが心地良い曲です。

"Hemsley Morris - Stay Loose" (1967)


2曲目はClancy Ecclesの「The Revenge」
です。
こちらも同じく67年の曲です。
こちらもカラっとしたバックの演奏に、
スウィートなヴォーカルと「チュ~チュ~」
という甘い女性コーラスという曲です。

3曲目はBarry Wilsonの「Live And Learn」
です。
こちらも同じく67年の曲です。
ギターのフレーズにオルガンのメロディ、
スウィートなヴォーカルが心揺さぶる曲
です。

Barry Wilson - Live And Learn


4曲目はAlton Ellisの「Bye Bye Love」
です。
この曲はロックステディからレゲエへと
切り替わり時期の、69年に作られた曲
です。
オリジナルはEverly Brothersの同名曲で、
この時代にポップ・ヴォーカル・デュオ
Simon & Garfunkelがヒットさせた事で知ら
れる曲です。
ポピュラー曲をうまく歌いこなしています。

5曲目はHiggs And Wilsonの「Don't Mind
Me」です。
この曲は「Previously Unreleased Version」
となっているので、リリースされなかった
ヴァージョンのようです。
Higgs And WilsonはJoe HiggsとDelroy Wilson
のヴォーカル・デュオ。
どちらも名シンガーですが、Joe Higgsはあの
The Wailersのメンバーを育てた事でも有名
です。
軽快なギターに乗せたナンバー。

Higgs & Wilson "Don't mind me" Clandisc 207 B (1970)


6曲目はVal Bennettの「City Demonstration」
です。
この曲も「Previously Unreleased」となって
いるので、リリースされなかった68年の作品
のようです。
Val Bennettのテナー・サックスによる軽快な
インスト・ナンバーです。

7曲目はKing Stittの「Dance Beat II」
です。
こちらもリリースされなかったヴァージョン
のようです。
書いたようにもしリリースされていれば、
トースティングを始めたのはU Royではなく
King Stittという事になっていたのかも…?
あくまで「もしも話」という事になってしまい
ますが、この曲でKing StittはClancy Eccles
らしい人と掛け合いのトースティングを披露
しています。

KING STITT & CLANCY - DANCE BEAT


8曲目はHugh Malcolmの「Love Brother
Love」です。
こちらは69年の曲です。
軽快なオルガンのリズムに乗せた曲です。

9曲目はLarry Marshallの「Please Stay」
です。
こちらも「Previously Unreleased Version」
です。
心地良いドラムとオルガンのメロディに
乗せた曲です。

10曲目はClancy Ecclesの「Don't Brag,
Don't Boast」です。
こちらは68年の「Previously Unreleased」。
ドライブ感のあるホーンのメロディに乗せた、
Clancy Ecclesのファンキーなヴォーカルが
魅力的な曲です。

Clancy Eccles - Don't Brag, Don't Boast [LuZoo]


11曲目はBeres Hammondの「The Wanderer」
です。
こちらは初期レゲエの時代の72年の曲です。
刻むようなリズムにBeres Hammondの説得力
のあるソフトなヴォーカルが魅力。

12曲目はAlton Ellisの「Feeling Inside」
です。
こちらはレゲエとの変わり目の69年の曲
です。
名ヴォーカリストのヴォーカルに、美しい
コーラス・ワーク。
言う事なしの1曲です。

Alton Ellis - Feeling Inside aka True Loving


13曲目はVelma And Clancyの「Let Us Be
Lovers」です。
こちらはロックステディ期の67年の曲です。
高音の女性ヴォーカルに合間良く入る男性の
デュオが魅力。

Let Us Be Lovers - Clancy Eccles & Velma Jones


14曲目はMonty Morrisの「My Lonely Days」
です。
ロックステディ期の68年の曲です。
ロックステディの時代らしいカラッとした
リズムに、ユーモアもある泣きのヴォーカル
が魅力。

15曲目はHemsley Morrisの「You Think I'm
A Fool」です。
ロックステディ期の68年の曲です。
リディムはJackie Mittooの「Hot Milk」。
ちょっとモダンな忙しないギターのメロディ
に、語るように歌うヴォーカルが面白い曲
です。

リズム特集 Hot Milk/Murderer (ホット・ミルク/マーダラー)

16曲目はThe Coolersの「Witch Doctor」
です。
こちらは67年の曲です。
ロックステディらしい刻むようなリズムが
印象的。

ざっと追いかけて来ましたが、バックの
The Dynamitesのホットな演奏も素晴らしく、
なかなか魅力的なアルバムに仕上がっている
と思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Various
○アルバム: Clancy Eccles Presents His Reggae Revue: Rock Steady Intensified!
○レーベル: Heartbeat Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1990

○Various「Clancy Eccles Presents His Reggae Revue:
Rock Steady Intensified!」曲目
1. Stay Loose - Hemsley Morris
2. The Revenge - Clancy Eccles
3. Live And Learn - Barry Wilson
4. Bye Bye Love - Alton Ellis
5. Don't Mind Me - Higgs And Wilson
6. City Demonstration - Val Bennett
7. Dance Beat II - King Stitt
8. Love Brother Love - Hugh Malcolm
9. Please Stay - Larry Marshall
10. Don't Brag, Don't Boast - Clancy Eccles
11. The Wanderer - Beres Hammond
12. Feeling Inside - Alton Ellis
13. Let Us Be Lovers - Velma And Clancy
14. My Lonely Days - Monty Morris
15. You Think I'm A Fool - Hemsley Morris
16. Witch Doctor - The Coolers