今回はDerrick Harriottのアルバム

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「Riding The Musical Chariot」です。

Derrick Harriottはジャマイカで歌手と
して、またプロデューサーとして活躍した
人です。
スカの時代から人気シンガーとして活躍した
彼は、自身のレーベルCrystalを作り、
60年後半のロックステディの時代には
Keith & Texの「Stop That Train」など
多くのヒット曲を出し、人気レーベルへ
と成長させるんですね。
その後のルーツ・レゲエの時代でも、当時
流行したラスタファリズムのアフリカ回帰
を目指した音楽とは一線を画し、あくまで
アメリカのソウルやR&Bといった
ブラック・ミュージックに傾倒した音楽を
作り続けたというのがこの人です。

アーティスト特集 Derrick Harriott (デリック・ハリオット)

レーベル特集 Crystal (クリスタル)

今回のアルバムは1990年にUSの
Heartbeat Records‎レーベルからリリース
されたDerrick Harriottのプロデュース
した楽曲を集めたコンピュレーション・
アルバムです。
おもに60年代後半のロックステディの
時代の楽曲が収められていますが、その
時代に活躍したDerrick Harriott本人や
Keith And Tex、The Crystalites、
Ethiopians、Kingstoniansといった人達
の曲が集められています。

手に入れたのは日本のTeichiku Records
からリリースされたCDの中古盤でした。

なおこのアルバムはHeartbeat Records‎
から「Reggae's Greatest Hits Volume 5」
という名前度も販売されているようです。
ちょっと装丁を変えて、「Reggae's Greatest
Hits」シリーズの第5集として販売されて
いるんですね。

全17曲で収録時間は約55分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Drums: Ferguson Joe Issacs, Esmond Jarrett
Bass: Desmond Mills, Jackie Jackson
Guitar: Lynn Taitt, Hux Brown
Keyboards: Ike Bennett, Gladstone Anderson, Winston Wright
Hornes: Sammy Ismay, Sammy Davis, Bobby Ellis, Val Bennett
Recorded at King Tubby's, Randy's, Federal, Dynamics and West Indies Studio
Produced by Derrick Harriott
Compilation: Chris Wilson and Derrick Harriott
Cover Illustration: Yuta Hino
Art Work: Cracker Design

となっています。

参加しているミュージシャンは、ドラムに
Joe IssacsとEsmond Jarrett、ベースに
Desmond MillsとJackie Jackson、ギターに
Lynn TaittとHux Brown、キーボードに
Ike BennettとGladstone Anderson、Winston
Wright、ホーンにSammy IsmayとSammy Davis、
Bobby Ellis、Val Bennettという布陣です。
ギターのLynn Taittという名前などから見て、
おそらく66~68年まで続いたロック
ステディの時代の音源と思われます。

ロックステディ - Wikipedia

ロックステディはレゲエの前身の音楽として
よく知られていますが、スローなリズムに
甘いメロディという特徴を持ち、多くの名曲
が作られた時代だったんですね。

ただほとんどの楽曲はロックステディの時代
のものと思われますが、ScottyやBig Youth
といったディージェイの楽曲は70年代以降
のものと思われます。
まだこのロックステディの時代には、曲の中
でディージェイがトースティングするという
スタイルは確立していないんですね。

録音はKing Tubby'sとRandy's、Federal、
Dynamics、West Indies Studioで行われて
います。
おそらくKing Tubby'sは後の70年代に、
ScottyやBig Youthのディージェイ・ヴァー
ジョンを作る時に声入れとミックスに使わ
れたんじゃないかと思います。
(60年代後半にはスタジオ自体がなかった
んじゃないかと思います。)

プロデュースはDerrick Harriott。

カヴァー・イラストレーションはYuta Hino、
アート・ワークはCracker Designとなって
います。

収められているアーティストはDerrick
Harriottをはじめ、Keith And Tex、Scotty、
Bobby Ellis、Ethiopians、Kingstonians、
Rudy Mills、Ike Bennett、Big Youth、
Lloyd And Glenといった人達です。
書いたようにScottyとBig Youthは70年代
のルーツ・レゲエ以降の人ですが、他は
60年代後半のロックステディの時代に活躍
した人達が集められてアルバムになってい
ます。

さて今回のアルバムですが、Derrick Harriott
の「Do I Worry」や「Solomon」、Keith And
Texの「Don't Look Back」や「Stop That
Train」、Rudy Millsの「Long Story」など、
このロックステディの時代の超名曲が数多く
収められたアルバムで、内容はとても良い
です。

特におススメはKeith And Texの「Stop That
Train」です。
この曲はあのThe Wailersのオリジナル・
メンバーPeter Toshがソロになってから
出したアルバム「Bush Doctor」の中で、
あのロック・グループThe Rolling Stones
のヴォーカリストMick Jaggarと共演して
いる事で知られている曲です。

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Peter Tosh ‎– Bush Doctor (1978)

そのオリジナルがこのKeith And Texの曲
なんですね。
しかもこのオリジナル曲が絶品の出来なん
ですね。
このロックステディの時代の魅力が、全て
詰まったような1曲です。

他にもRudy Millsの「Long Story」など、
ロックステディの魅力がこれでもか!と
いうほど味わえるのが今回のアルバムです。

1曲目はKeith And Texの「Don't Look Back」
です。
「悲しみに別れを」という邦題がつけられて
います。
ロックステディらしいスローなオルガンの
メロディから始まる曲です。
Keith And Texのよく通るヴォーカルに
コーラスも心地良い、まさに名曲です。
意外とオリジナルが手に入れづらいので、
とても貴重。

DON'T LOOK BACK - KEITH & TEX


2曲目はDerrick Harriottの「Do I Worry」
です。
「あの娘にヤキモキ」という邦題がつけられ
ています(笑)。
こちらもDerrick Harriottの名曲度の高い
1曲。
ユッタリとしたロックステディらしい
メロディに、一言一言丁寧に歌い込むような
Derrick Harriottのヴォーカルがとても
魅力的な曲です。

Derrick Harriott - Do I Worry


3曲目はScottyの「I Worry」です。
邦題は「僕はヤキモキ」(笑)。
2曲目Derrick Harriottの「Do I Worry」の
ディージェイ・ヴァージョンです。
おそらく70年代に作られたんじゃないかと
思われます。
ロックステディの曲という事もありますが、
U-Royに近いオールド・スタイルのトース
ティングです。

4曲目はBobby Ellis And The Crystalites
の「Alfred Hitchcock」です。
日本語のタイトルもそのまま「アルフレッド・
ヒッチコック」です。
キレの良いロックステディのリズムに、心地
良いトランペットのインスト・ナンバーです。

5曲目はDerrick Harriottの「Solomon」
です。
後々まで愛された彼の代表曲です。
ユッタリしたギターの刻むようなリズムに、
ソフトなDerrick Harriottのヴォーカルが
とても心地良い曲です。

Derrick Harriott - Solomon (Crystal blank)


6曲目はKeith And Texの「Lonely Man」
です。
こちらも彼らの「隠れ名曲」と言えるような
曲です。
刻むようなギターのフレーズに、丁寧に歌う
ヴォーカルにコーラス。
心が満たされて行くような1曲。

KEITH & TEX - Lonely Man [1968]


7曲目はEthiopiansの「Throne Of Justice」
です。
邦題は「神に願いを」。
ユッタリしたホーンのメロディに、通る
ヴォーカルとコーラス・ワーク。
グルーヴ感満点の曲です。

8曲目はEthiopiansの「No Baptism」です。
邦題は「ノー・バプティズム」でそのまま
ですが、ネットの自動翻訳で翻訳すると
「洗礼なし」というタイトルのようです。
この曲はネットのDiscogsで検索すると、
1970年の曲で初期レゲエの頃ぐらいか?
ロックステディというよりはレゲエ(ルーツ)
の匂いのする曲です。

THE ETHIOPIANS - NO BAPTISM


9曲目はKingstoniansの「Medley」です。
文字通り彼らの代表曲のメドレーのよう
で、代表曲を切り張りしたミックスです。

10曲目はRudy Millsの「Long Story」
です。
ロックステディから初期レゲエにかけて
活躍したシンガーの代表曲です。
華やかなホーンから「ロング・ストーリー」
が始まります。

11曲目はKeith And Texの「Stop That
Train」です。
こちらもThe Wailersのメジャー・デビュー
盤「Catch A Fire」でPeter Toshが歌い、
アーリー・ダンスホールの時代にはClint
Eastwood & General Saintがカヴァーした、
彼らの超名曲です。
ゆったりしたロックステディのメロディに
乗せた、ヴォーカルとコーラスが最高に
魅力的。

Keith & Tex- Stop That Train


12曲目はIke Bennett & The Crystalites
の「Easy Ride」です。
11曲目Keith And Texの「Stop That Train」
のオルガンを中心としたインスト・ナンバー
です。

13曲目はBig Youthの「Cool Breeze」です。
11曲目Keith And Texの「Stop That Train」
のBig Youthによるディージェイ・ナンバー。
ネットのDiscogsによると1972年の作品の
ようです。

14曲目はKingstoniansの「Winey, Winey」
です。
ロックステディのリズムに乗せた、コーラス・
ワークが素晴らしい曲です。

15曲目はCrystalitesの「The Bad」です。
14曲目Kingstoniansの「Winey, Winey」の
インスト・ナンバーです。
頭のディージェイによる口上が面白いところ。

16曲目はLloyd And Glenの「That Girl」
です。
邦題は「いかしたあの娘」(笑)。
こちらはこのロックステディの時代らしい
テイストの曲です。
ちなみにLloyd And Glenは、Glen Brownと
Lloyd Robinsonのデュオのようです。


LLOYD & GLEN - THAT GIRL.wmv


17曲目はKeith And Texの「Keith And Tex
Medley」です。
文字通り彼らのヒット曲のメドレーで、
「Tonight」から「Stop That Train」、
「Don't Look Back」という、彼らの代表曲
のメドレーでシメています。

ざっと追いかけて来ましたが、やはりこの
ロックステディの時代は名曲が多く、スロー
なメロディに乗せたそれらの曲はとても
グルーヴ感があり魅力的です。
心が疲れた時もこれらの曲を聴けばとても
癒される、そんな印象のアルバムです。
コンピュレーション・アルバムとして見て
も、とても内容の良いアルバムだと思い
ます。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Derrick Harriott
○アルバム: Riding The Musical Chariot
○レーベル: Teichiku Records (Heartbeat Records‎)
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1990

○Derrick Harriott「Riding The Musical Chariot」曲目
1. Don't Look Back - Keith And Tex
悲しみに別れを/キース・アンド・テックス
2. Do I Worry - Derrick Harriott
あの娘にヤキモキ/デリック・ハリオット
3. I Worry - Scotty
僕はヤキモキ/スコッティ
4. Alfred Hitchcock - Bobby Ellis And The Crystalites
アルフレッド・ヒッチコック/ボビー・エリス&ザ・クリスタライツ
5. Solomon - Derrick Harriott
ソロモン/デリック・ハリオット
6. Lonely Man - Keith And Tex
ロンリー・マン/キース・アンド・テックス
7. Throne Of Justice - Ethiopians
神に願いを/エチオピアンズ
8. No Baptism - Ethiopians
ノー・バプティズム/エチオピアンズ
9. Medley - Kingstonians
メドレー/キングストニアンズ
10. Long Story - Rudy Mills
ロング・ストーリー/ルディ・ミルズ
11. Stop That Train - Keith And Tex
ストップ・ザット・トレイン/キース・アンド・テックス
12. Easy Ride - Ike Bennett & The Crystalites
イージー・ライド/アイク・ベネット&ザ・クリスタライツ
13. Cool Breeze - Big Youth
クール・ブリーズ/ビッグ・ユース
14. Winey, Winey - Kingstonians
ワイニー・ワイニー/キングストニアンズ
15. The Bad - Crystalites
ザ・バッド/クリスタライツ
16. That Girl - Lloyd And Glen
いかしたあの娘/ロイド・アンド・グレン
17. Keith And Tex Medley - Keith And Tex
キース・アンド・テックス・メドレー/キース・アンド・テックス