今回はCarlton Livingstonのアルバム

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「Trodding Through The Jungle」です。

Carlton Livingstonは80年代に活躍した、
レゲエ・シンガーです。

ネットのDiscogsにはこのアーティストに
ついて、次のような説明があります。

Reggae artist who started recording in the early 1980's,
teamed up with producer Clive Jarrett, and cut some lovers
reggae tunes at Channel One.
Later moved to the USA.

(レゲエ・アーティストとして80年代初期
よりレコーディングをはじめ、プロデューサー
のClive Jarrettとチームを組んで、Channel
Oneより多くのラヴァーズ・チューンを発表
した。その後はアメリカに移住。)

Discogsの彼のアルバムの履歴を見ると、
77年にシングル盤でデビューし、その後
80年代前半のアーリー・ダンスホールで
人気を博したシンガーのようです。

今回のアルバムはDiscogsではUnknown(制作年
不詳)となっているアルバムですが、いくつか
の販売サイトで1983年作と書かれている、
ジャマイカのSonic Soundsというレーベルから
リリースされた彼のソロ・アルバムです。
このアルバムが83年のアルバムだとすると、
81年のファースト・アルバム「Soweto」に
続く、セカンド・アルバムという事になりそう
です。

バックはSly & Robbie、ミックスはScientist
などが参加、彼の代表曲「Don't Follow
Rumours」や「Marie」が収められたアルバム
となっています。

手に入れたのはSonic Soundsからリリース
されたLPの中古盤でした。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Arranged and Produced by: Clive Jarrett, C. Livingston A dynamic C.C. Prod.
Recorded at Channel One
Engineers: Bunny Tom Tom, Soldgie
Mixed by: Soldgie, Scientist, Barnabas
Special Thanks to Sly & Robbie
Special Thanks to Lone Ranger on Background Vocals

Drums, Syndrums: Sly
Piano: Willie Lindo
Rhythm Guitar: Willie Lindo, Micheal Taxter
Bass: Robbie
Percussion: Sticky, Sky Juice
Sax: Dean Fraser
Trumpet: Chico, D. Madden
Trombone: Nambo

Mastered by Spider Man
Distributed by Sonic Sounds Rec. Mfg. Co. Ltd.
Art Concept by Clive Campbell
Art Work by Jamaal J.M.X. Pete

となっています。

アレンジとプロデュースはClive Jarrettと
C. Livingstonで、録音はChannel Oneで行わ
れ、レコーディング・エンジニアはBunny Tom
TomとSoldgie、ミックスはSoldgieとScientist、
Barnabasが行っています。

「Special Thanks」としてSly & Robbieと
ディージェイのLone Ranger(バック・ヴォー
カルに参加)の名前があります。

バックのミュージシャンはドラムとシン・
ドラムにSly Dunbar、ピアノにWillie Lindo、
リズム・ギターにWillie LindoとMicheal
Taxter、ベースにRobbie Shakespeare、
パーカッションにStickyとSky Juice、サックス
にDean Fraser、トランペットにChico Chinと
David Madden、トロンボーンにNambo Robinson
といった布陣です。
録音はChannel Oneという事を考えれば、バック
はThe Revolutionariesと言えない事もありま
せんが、この時代になると演奏は完全にワン・
ドロップで、そう呼ぶのが正しいかはちょっと
微妙です。

アート・コンセプトはClive Campbellで、
アート・ワークはJamaal J.M.X. Peteと
なっています。
このJamaal Peteはこの時代のレゲエの
ジャケットに、素晴らしい作品を多く残して
いるアーティストです。
今回のアルバムではジャングルの滝のある前
でたたずむCarlton Livingstonが、恋人の
「Marie」を思い出しているシーンが描かれて
います。
なかなか魅力的なジャケットで、今回アルバム
を購入したのも、このジャケットが気に入った
からという事もあります(笑)。

さて今回のアルバムですが、このアーリー・
ダンスホールで活躍したCarlton Livingston
はなかなか魅力的なシンガーで、今回の
アルバムにはその彼の代表曲も収められて
おり、なかなか内容の良いアルバムだと思い
ます。

このCarlton Livingstonは、2002年
シンコー・ミュージック刊行の本「Roots Rock
Reggae」にもアーティスト紹介やこのアルバム
を含めて3枚のアルバムが紹介されている
アーティストなんですが、その割にはこの
時代のアルバムが手に入りにくくなっている
アーティストです。
その歌声を聴くとなかなか魅力的なシンガー
なんですが、なぜアルバムがあまり売られて
いないのか?ちょっともったいない気がする
人なんですね。

今回のアルバムでもThe Heptonesのロック
ステディの時代のヒット曲「Pretty Looks」
のリディムを使った代表曲「Marie」を
はじめ、「Solomon」リディムの「Don't
Follow Rumours」など、魅力的な曲が数多く
収められています。
このアーリー・ダンスホールという時代が、
ルーツ・レゲエとデジタルのダンスホール・
レゲエの間に挟まれて注目されづらい時代と
いう事もあると思いますが、ある意味レゲエ
という音楽がもっとも爛熟したのがこの時代
であり、聴いてみるとすごく魅力的な音楽が
作られた時代なんですね。
そのアーリー・ダンスホールのアルバムの
中でも、このアルバムは特に聴いておくべき
アルバムのひとつだと思います。

ちなみに本「Roots Rock Reggae」には、この
アルバムについて「孝」さんという方の文章
で、「全編ロック・ステディ・ライクな歌の
スムースさと、スライ&ロビーのキリリと
締まったビートのコントラストが気持ちいい
ナイスなチューンばかり。」という高評価が
書かれています。

スローなワン・ドロップのリズムに、60年代
後期のロックステディのリディムが多く使わ
れているのがこの時代の特徴で、その独特な
魅力はハマると抜け出せなくなるほどです。

ジャマイカの音楽はスカ→ロックステディ→
ルーツ・レゲエ→アーリー・ダンスホール→
デジタル・ダンスホールと変化していますが、
時代の合間に短期間ながらロックステディや
アーリー・ダンスホールといった、スローで
メロディアスな時代が挟まっているのが面白い
ところです。
またその時代に、多くの名曲が誕生している
んですね。

Side 1の1曲目は「Confusion」です。
ホーンのイントロからユッタリしたワン・
ドロップに乗せたCarlton Livingstonの
歌声が魅力的な曲です。
Sly & Robbieを中心としたワン・ドロップは、
この時代に活躍したRoots Radicsと較べると、
もう少し音が詰まっている印象です。
Roots Radicsの極端すぎるほどのワン・
ドロップはそれはそれで魅力なんですが、
こちらはまた違った味わいがあります。

Carlton Livingston - Confusion


2曲目は「Leave It Behind」です。
こちらもホーンのイントロから、女性コーラス
も入った曲です。

3曲目は「Lonely Man」です。
リディムはThe Heptonesのロックステディの
ヒット曲「Heptones Gonna Fight」。
Michel Prophetの「Fight It To The Top」
などでも知られるポジティヴなメロディを、
ホーンのメロディをバックに心地良さそうに
歌っています。

Carlton Livingston - Lonely Man


リズム特集 Heptones Gonna Fight (ヘップトーンズ・ゴナ・ファイト)

4曲目は表題曲の「Trodding Throught The
Jungle」です。
リディムはJoe Rileyの「You Should Have
Known」。
ロックステディの時代のStudio Oneの
名リディムのようです。
こちらもホーンのイントロから、高音を
生かしたCarlton Livingstonのヴォーカル
が浮遊感のある面白い空気感を醸し出して
いる曲です。

Carlton Livingston ‎– Trodding Through The Jungle


5曲目は「Walk With Love」です。
リディムはSly & Robbieの「Taxi」リディム
として知られる曲で、そのオリジナルは
Little Royの「Prophecy」。
この曲はディージェイLone Rangerのトース
ティングが入っています。
どちらかといえば主役はLone Rangerで、2人
の掛け合いが楽しい曲です。

Carlton Livingston & Lone Ranger - Walk With Love (Taxi Riddim)


リズム特集 Taxi (タクシー)

Side 2の1曲目は「Don't Follow Rumours」
です。
リディムは「Solomon」です。
この曲は後にShabba Ranksとの共演で
リヴァイバル・ヒットしている曲なんだそう
です。
ユッタリしたワン・ドロップのリズムに、
Carlton Livingstonのノビのある歌声が
とても心地良い曲です。

Carlton Livingston - Rumours


2曲目は「Marie」です。
リディムはThe Heptonesの「Pretty Looks
Isn't All」。
今回のジャケットにもタイトルが入って
いるほどの、Carlton Livingstonの代表曲
のひとつです。
ホーンの奏でるロックステディの甘いメロディ
と、ワン・ドロップの心地良いドラミングに
乗せた曲です。

Carlton Livingston - Marie 7'' (Pretty Looks Riddim Version) Inch Dynamite Records (1984)

(後半のダブはありません)

3曲目は「Don't You Remember」です。
リディムはBob Andyの「My Time」。
こちらもユッタリしたホーンのメロディに、
丁寧に歌い込むようなCarlton Livingston
のヴォーカルが魅力的な曲です。

4曲目は「Feel Like Dancing」です。
リディムはSuper Catの「Boops」として知ら
れる、Marcia Griffithsの「Feel Like
Jumping」です。
こちらはかなりグルーヴィーなヴォーカルを
披露しています。

リズム特集 Feel Like Jumping/Boops (フィール・ライク・ジャンピング/ブープス)

5曲目は「Baby Girl」です。
こちらはベースとピアノを中心とした、
リリカルなメロディのナンバーです。

ざっと追いかけて来ましたが、Carlton
Livingstonのヴォーカルには艶があり、
なかなか魅力的です。
80年代前半のアーリー・ダンスホールの
魅力が詰め込まれたアルバムで、こうした
素晴らしいシンガーの曲がなかなか聴けなく
なっている現状は、とても残念に思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Carlton Livingston
○アルバム: Trodding Through The Jungle
○レーベル: Sonic Sounds
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: (1983)

○Carlton Livingston「Trodding Through The Jungle」曲目
Side 1
1. Confusion
2. Leave It Behind
3. Lonely Man
4. Trodding Throught The Jungle
5. Walk With Love
Side 2
1. Don't Follow Rumours
2. Marie
3. Don't You Remember
4. Feel Like Dancing
5. Baby Girl