今回はDerrick HarriottとDennis Brown、
Rudy Millsのアルバム

reggae_golden_classics_01a

「Reggae Golden Classics」です。

Derrick Harriottはジャマイカで歌手と
して、またプロデューサーとして活躍した
人です。
スカの時代から人気シンガーとして活躍した
彼は、自身のレーベルCrystalを作り、
60年後半のロックステディの時代には
Keith & Texの「Stop That Train」など
多くのヒット曲を出し、人気レーベルへ
と成長させるんですね。
その後のルーツ・レゲエの時代でも、当時
流行したラスタファリズムのアフリカ回帰
を目指した音楽とは一線を画し、あくまで
アメリカのソウルやR&Bといった
ブラック・ミュージックに傾倒した音楽を
作り続けたというのがこの人です。

アーティスト特集 Derrick Harriott (デリック・ハリオット)

Dennis Brownは70年代のルーツ・レゲエ
の時代から活躍した名シンガーです。
Studio Oneからアルバム・デビューした彼
はその後も活躍を続け、その後もJoe Gibbs
やWinston 'Niney' Holnessといった
プロデューサーの元に素晴らしいアルバムを
残しています。
彼の最大のヒット曲は「Money In My Pocket」
で、全英チャート14位を記録しています。
そうした活躍をしたDennis Brownですが、
1999年に亡くなっています。

アーティスト特集 Dennis Brown (デニス・ブラウン)

Rudy MillsはWikipediaによると、60年代
後半のロックステディの時代から70年代
前半の初期レゲエの時代に活躍したシンガー
だそうです。
69年にPama Recordsレーベルに「Reggae
Hits」というアルバムを1枚残しています。

ルディ・ミルズ - Wikipedia

今回のアルバムは1982年にジャマイカの
Derrick HarriottのレーベルCrystal Records
からリリースされた、Derrick Harriottと
Dennis Brown、Rudy Millsの前半が歌後半が
ダブのディスコ・ミックス曲を集めた
コンピュレーション・アルバムです。
(ディスコ・ミックスはショーケース・
スタイルとも言います。)

レーベル特集 Crystal (クリスタル)

「Reggae Golden Classics」というタイトル
ですが、収められている曲はロックステディ
から初期レゲエの時代のCrystal Recordsの
ヒット曲で、その楽曲にSly Dunbarのドラム
をオーヴァー・ダビングし、さらに後半に
ダブを付け足ししてディスコ・ミックス・
ヴァージョンに仕上げた曲が収められて
います。

手に入れたのはCrystal Recordsからリリース
された、LPの中古盤でした。

Side 1が3曲、Side 2が3曲の全6曲。
Side 1がトータル・タイムが17分15秒、
Side 2がトータル・タイムが18分29秒と
いう記載があります。
両面にDerrick Harriott→Dennis Brown→
Rudy Millsの順で1曲ずつが収められて
います。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Original Reggae Recordings - Early Sixties to Early Seventies

Drums Over-Dub: Sly Dunbar (on all Tracks except "Place Called Happiness")
Musicians: All Jamaican
Recording Studio: Dynamic Sounds, Kingston, Jamaica

となっています。

オリジナル・レコーディングは60年代初期
から70年代初期という記載があります。
実際に1曲1曲を調べてみると、Side 1の
1曲目Derrick Harriottの「Do I Worry」が
68年、2曲目Dennis Brownの「Lips Of
Wine」が70年、3曲目Rudy Millsの
「A Long Story」が67年、Side 2の1曲目
Derrick Harriottの「Been So Long」が
68年、2曲目Dennis Brownの「Silhouettes」
が72年、3曲目Rudy Millsの「Place
Called Happiness」が68年のシングル・
リリースとなっています。
Derrick HarriottとRudy Millsの楽曲が
ロックステディの時代、Dennis Brownの
楽曲が初期レゲエの時代である事が解り
ます。

その10年以上前の楽曲に、最後のRudy Mills
の「Place Called Happiness」を除いて、
Sly Dunbarのドラムがオーヴァー・ダビング
されているようです。
こうしたオーヴァー・ダブをしている理由と
して考えられるのは、このロックステディ
から初期レゲエの頃の音源がまだトラック数
が少なかった為に音が平板に聴こえてしまう
という事があると思います。
この80年代ぐらいまでに録音技術が飛躍的
に進歩したんですね。
最後のオーヴァー・ダブしていない曲と較べる
と、ドラミングをプラスした事で音がすごく
立体的に聴こえるんですね。
またロックステディの頃の音源が多いので、
ドラムをプラスする事でレゲエ色を強めたと
いう事もあると思います。
オーヴァー・ダブと後半のダブは、おそらく
このアルバムを作る時に制作されたものと
推測されます。

ミュージシャンは「All Jamaican」となって
います。
おそらくドラム以外は60年だ後半から
70年代前半の音源なので、省略して
「全てのジャマイカ人」と書いたのか…?

レコーディングはDynamic Soundsとなって
います。
ドラムのオーヴァー・ダブが行われたのが、
Dynamic Soundsだったのか?
ミックスを行ったのが誰か記載されていない
のは、残念なところです。
おそらくDynamic Soundsの誰かという事に
なるのでしょう。

なかなかナイスなジャケット・デザインです
が、作者の記載はありません。
この時代のジャケットを多く作っている
Jamaal Peteあたりのイラストだと思うのです
が…どうなんでしょう?
実はこのアルバムは、ほとんどこのジャケット
が気に入ったので購入しました。
いわゆる「ジャケ買い」ですね(笑)。

ジャケット真ん中に描かれているDennis Brown
は、かなり若い少年の顔をしています。
彼は57年生まれなので、この2曲を歌った
時は13~15歳ぐらいの時なんですね。
そのせいか後の声とは、多少違う印象があり
ます。

さて今回のアルバムですが、いわば10年
以上前の音源を使い回ししているアルバム
なんですが、これが意外と内容の良いアルバム
なんですね。
10年以上前の音源をレゲエ・テイストに
作り直し、さらにこの時代に流行った
ディスコ・ミックス曲に作り直している
という高度な技を使って、うまく時代に
対応しているんですね。
おそらくそうした使い回しのウマさが、
このジャマイカの音楽界で生き残って行く
為に、必要な事だったんじゃないかと思い
ます。
そうした事をこのCrystal Recordsのオーナー
のDerrick Harriottは、うまく行っているん
ですね。

結果としてオールド・スタイルだけれど、
すごく聴き心地の良いアルバムに仕上がって
います。

Been So Long ‎(7", Single) Crystal Records (3), Crystal Records (3) A-1047, B-1047 Jamaica 1968
Silhouettes / Silhouettes (Version) ‎(7") Song Bird4 UK 1972
John Jones / Place Called Happiness Move & Groove 1968


Side 1の1曲目はDerrick Harriottの「Do I
Worry」です。
ロックステディの時代の68年のヒット曲
です。
歌手としての評価も高いDerrick Harriott
ですが、陰影のあるメロディを心のこもった
歌声で聴かせる魅力的な曲です。

2曲目はDennis Brownの「Lips Of Wine」
です。
初期レゲエの時代の70年の曲です。
この時にDennis Brownはまだ13歳ですが、
声に多少幼さは残るものの抜群の歌唱力を
披露しています。
ワインのような彼女の唇にキスしたいという、
切ない恋心を歌った曲です。

デニス・ブラウン(Dennis Brown) - Lips Of Wine - 1970 - リリック

3曲目はRudy Mills「A Long Story」です。
こちらも67年のヒット曲です。
ロックステディらしいコーラス・ワークの
入った曲ですが、オーヴァー・ダブでドラム
を強調する事で、うまくレゲエ・テイストに
仕上げています。

Side 2の1曲目はDerrick Harriottの「Been
So Long」です。
こちらは68年のヒット曲。
こちらもドラムを強調する事で、うまく
爽やかなレゲエの曲に仕上げています。
後半のホーンとドラムが効いたダブも魅力的。

Derrick Harriott -Been So Long


2曲目はDennis Brownの「Silhouettes」
です。
こちらは72年のヒット曲です。
Dennis Brownの15歳の時の歌声です。
もうこの時点で完成度の高いヴォーカリスト
に成長しています。
やはりスゴイ人なんだなぁと実感させられる
1曲。

DENNIS BROWN - Silhouettes [1972]


3曲目はRudy Millsの「Place Called
Happiness」です。
こちらは68年のヒット曲です。
オーヴァー・ダブが無い分、やはりロック
ステディ色が強い印象です。
後半はダブというよりはほぼインストに近い
曲になっています。

ざっと追いかけて来ましたが、やはりこの
ダンスホールの時代に合わせた「作り直し」
をしているところがこのアルバムのキモで、
その試みはかなり成功していると思います。
こうした面白いものを作ろうという情熱が、
レゲエという音楽を下支えをしてきたという
事実は否定できません。

ジャケットも魅力的な、なかなか面白い
アルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Derrick Harriott, Dennis Brown, Rudy Mills
○アルバム: Reggae Golden Classics
○レーベル: Crystal Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○Derrick Harriott, Dennis Brown, Rudy Mills
「Reggae Golden Classics」曲目
Side 1
1. Do I Worry - Derrick Harriott
2. Lips Of Wine - Dennis Brown
3. A Long Story - Rudy Mills
Side 2
1. Been So Long - Derrick Harriott
2. Silhouettes - Dennis Brown
3. Place Called Happiness - Rudy Mills