今回はBilly Boyoのアルバム

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「The Very Best Of Me」です。

Billy Boyoは子供ディージェイとして活躍
した事で知られるレゲエ・アーティストです。
英語のWikipediaの彼のページには、次のよう
な事が書かれています。

Billy Boyo (born Billy Theophilus Rowe, 21 September, Kingston,
Jamaica 1969 – 29 October 2000) was a reggae artist, was probably
the most prolific of the early-1980s child MC’s. He is famous
for his song "One Spliff a Day".

(Billy Boyo(本名:Billy Theophilus Rowe、
1969年9月21日~2000年10月
29日)はレゲエ・アーティストで、おそらく
子供MCとしての活躍がもっとも有名です。
「One Spliff A Day」が彼のヒット曲として
有名です。)

Billy Boyo - Wikipedia

今回のアルバムはどのレーベルからリリース
されたのか記載がありません。
ただネットのDiscogsの記載などを見ると、
2006年にL & R Recordsでリリースと
なっていました。
(他にKATOやJah Guidanceとなっているサイト
もあり。)

ネットのdisk unionのアルバム評を見ると、
「子供Deejay、Billy Boyoの1980〜1982年の
ベストアルバム!!」と書かれているので、
80~82年のアーリー・ダンスホールの
頃の音源で、そのBilly Boyoの音源を
まとめたコンピュレーション・アルバム
と思われます。

その頃だとするとこのBilly Boyoは10~
13歳ぐらいだと思われます。
まさに子供ディージェイとして活躍していた
んですね。
ただ他の販売サイトなどを見ると、UKツアー
終了後に「謎の失踪」を起こし、これからと
いう時に突然消えてしまった、というような
事も書かれていました。
詳しい事は解りませんが、おそらくこの
一時期だけ活躍した人らしいです。

プロデュースはVolcanoレーベルのHenry
'Junjo' Lowesで、バックの演奏はRoots
Radics、ミックスはScientistという、この
アーリー・ダンスホールで活躍した布陣が
揃ったアルバムです。
全14曲入りのアルバムですが、歌(ディー
ジェイ)とダブが交互に収められた、ショー
ケース・スタイルのアルバムになってい
ます。

手に入れたのは中古で売られていたLP
でした。

Side 1は6曲、Side 2は8曲の全14曲。
歌とダブが交互に収められたショーケース・
スタイルのアルバムになっています。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Produced by Henry 'Junjo' Lowes
All Tracks Written by Billy Boyo
Backed by Roots Radics Band
Recorded at King Tubbys Studio & Channel One Studios
All Tracks Mixed by Scientist at King Tubbys Studio

となっています。

プロデュースはVolcanoレーベルのHenry
'Junjo' Lowesで、作曲はBilly Boyo本人、
バックはRoots Radics Band、録音はKing
TubbysとChannel Oneで行われ、ミックスは
King TubbysのScientistが行っています。

さて今回のアルバムですが、子供ディージェイ
Billy Boyoのアルバムという事でかなり
ゲテモノの匂いのするアルバムですが、
これがけっこう面白いアルバムなんですね。

やはり今回のアルバムの注目点はプロデュース
がVolcanoレーベルのHenry 'Junjo' Lowesで
あり、演奏がRoots Radics、ミックスが
Scientistであるという点です。
この布陣はこの時代のアーリー・ダンスホール
を、けん引した人達なんですね。
やはりBilly Boyoの声は幼さがあり、その
トースティングは好き嫌いが分かれるところ
があると思いますが、今回のアルバムは
ショーケース・スタイルになっているので、
意外なほどBilly Boyoの歌声は気にならない
印象です。
それよりもこの時代の少し湿り気を帯びた
ダンスホールの空気感がとても魅力的に
感じました。
このアーリー・ダンスホールやScientistの
ミックスが好きな人は、押さえておいて損の
ないアルバムだと思います。

特にSide 1のの5曲目「Janet Sinclair」は
「feat. Little John」となっているように、
前半はLittle Johnの歌、後半はBilly Boyo
の歌というディスコ・ミックスの曲で、
さらに6曲目にそのダブ「Janet Dub」と
なっていて、歌→ディージェイ→ダブと続く
圧巻の構成です。
この時代らしいRoots Radicsの独特のワン・
ドロップに乗せたサウンドは、やはりとても
魅力的です。

Side 1の1曲目は「Wicked She Wicked」
です。
子供声ですがリズミカルにトースティング
しています。

Billy Boyo - Wicked She Wicked


2曲目は「Wicked Dub」です。
1曲目は「Wicked She Wicked」のダブ
です。
ベースを中心としたシブいダブです。

3曲目は「One Spliff A Day」です。
Riddimguideによると、ルーツ期にMystic Eyes
というグループで活躍した事でも知られる、
シンガーのAnthony Johnsonの「Let Go This
One」という曲と同じリディムのようです。
ネットの自動翻訳によると、「1日につき1つ
のマリファナタバコ」というタイトルのよう
です。
いわゆる「ガンジャ・チューン」のようです。
幼い声のトースティングとのギャップが人気
だったのか?彼の代表曲のようです。
ユッタリしたワン・ドロップに乗せたトース
ティングです。

Billy Boyo - One Spliff A Day


4曲目は「One Spliff Dub」です。
3曲目「One Spliff A Day」のダブという
よりは、Anthony Johnsonの「Let Go This
One」のダブという方が正しいのかもしれ
ません。
というのもBilly Boyoの声は入っていなくて、
代わりによく通る男性のヴォーカルが入って
いるダブなんですね。
そしてこれが思いのほか良いダブなんです
ね。
このアーリー・ダンスホールの時代らしい
ユッタリしたワン・ドロップのリズムが、
グッと来るダブです。

Billy Boyo - roots radicals - one spliff dub


5曲目はLittle Johnと共演の「Janet
Sinclair」です。
書いたように前半はLittle Johnの歌、後半は
Billy Boyoのトースティングというディスコ・
ミックス・スタイルの曲です。
おそらく12インチ・シングルか何か用に、
作られた曲では無いかと思います。
ホーンのイントロからLittle Johnのちょっと
鼻にかかったようなヴォーカル、後半は被さる
ように入って来るBilly Boyoのトースティング。
さらにLittle Johnはトースティングっぽい
歌い方で、うまく合いの手を入れています。
このアルバムの中でもっとも長く、ダンス
ホールらしい湿った空気感が魅力的な、白眉
の1曲です。

BILLY BOYO & LITTLE JOHN - Janet Sinclair + dub (1982)


6曲目は「Janet Dub」です。
5曲目「Janet Sinclair」のダブ。
効果音などもうまく使った、すごく感覚的な
ダブです。
5曲目と続けて聴くと、より魅力的。
いかにもミックスのScientistらしい世界観
を感じる曲です。

Side 2の1曲目は「Dreadlocks Party」です。
RiddimguideではDennis Brownの「Sitting And
Watching」となっていましたが、歌い出しの
「スキャンガ…スキャンガ…」と歌う出だし
はRupie Edwardsの「Ire Feelings (Skanga)」
ではないかと思います。
ベースとピアノを中心としたバックに、
ちょっと幼さの残るトースティングが魅力の
曲です。
程よく入ったダブワイズもグッド。

Billy Boyo- Dreadlocks Party


2曲目は「Dreadlocks Dub」です。
1曲目「Dreadlocks Party」のダブ。

3曲目は「Wrong Time To Say It」です。
ユッタリしたワン・ドロップに乗せたトース
ティング。

4曲目は「Wrong Time Dub」です。
3曲目「Wrong Time To Say It」のダブ。
ビタビタっとしたStyle Scottのシン・ドラム
が、印象に残るダブです。

5曲目は「Christian Me A Christian」です。
こちらもRoots Radicsらしい特徴的な、ワン・
ドロップに乗せたトースティングです。
出だしのBilly Boyoの、ちょっとセクシィな
歌唱が面白いところ。

Billy Boyo - Christian Me A Christian + Dub (ft. The Roots Radics)


6曲目は「Christian Dub」です。
5曲目「Christian Me A Christian」の
ダブです。

7曲目は「Who Me Yes You」です。
ベースを軸としたバックに、感情を抑えた
Billy Boyoのトースティングという組み
合わせです。
程よくダブワイズしています。

8曲目は「Who Me Dub」です。
7曲目「Who Me Yes You」のダブです。

ざっと追いかけて来ましたが、Billy Boyoと
いう子供ディージェイのアルバムという事で
「企画ものタレント」のアルバムという感じ
がしてしまいますが、実はScientistの
ミックスが魅力的な、なかなか良いアルバム
なんですね。
Scientistはこの時代に魅力的なダブを多く
残していますが、こうした歌ものでも才能を
発揮していた事がよく解る内容で、それを
こうしたショーケース・スタイルにまとめた
今回のアルバムは、なかなか面白い構成の
アルバムだと思います。

こうしたBilly Boyoの登場などからも解る
ように、70年代に思想的なプロテスト・
ソングとして始まったレゲエは、80年代
になるとエンターテイメント性の強い音楽
へと大きく舵を切る事になります。
そしてプロテスト・ソングからスラックネス
(下ネタ)中心の世界へと変貌して行くんです
ね。

そうした変化を推進した立役者のひとりが
このHenry 'Junjo' Lowesであり、その
エンターテイメント性の強い音楽をアーリー・
ダンスホールで実現したのがRoots Radics
とScientistだった事は間違いありません。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Billy Boyo
○アルバム: The Very Best Of Me
○レーベル: (L & R Records)
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: (2006)

○Billy Boyo「The Very Best Of Me」曲目
Side 1
1. Wicked She Wicked
2. Wicked Dub
3. One Spliff A Day
4. One Spliff Dub
5. Janet Sinclair - feat. Little John
6. Janet Dub
Side 2
1. Dreadlocks Party
2. Dreadlocks Dub
3. Wrong Time To Say It
4. Wrong Time Dub
5. Christian Me A Christian
6. Christian Dub
7. Who Me Yes You
8. Who Me Dub