今回はAugustus Pabloのアルバム

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「Rebel Rock Reggae: This Is Augustus Pablo」
です。

Augustus Pabloは70年代のルーツ・レゲエの
時代から活躍したメロディカ奏者、キーボード
奏者、プロデューサーとして知られている人
です。
それまで練習用の楽器ぐらいにしか思われて
いなかったメロディカを駆使して、レゲエに
それまでに無い新しい音楽というイメージを
プラスしたのがこの人なんですね。

数々のセッションに参加し、多くのインストや
ダブ・アルバムを残し、Hugh Mundellをはじめ
とする若手のミュージシャンを育てた彼でした
が、1999年に筋無力症のために亡くなって
います。

アーティスト特集 Augustus Pablo (オーガスタス・パブロ)

今回のアルバムは1974年にRandy's系の
レーベルと思われるジャマイカのKaya Records
というレーベルからリリースされた、Augustus
Pabloのファースト・アルバムです。

初期のヒット曲「Pablo In Dub」ほか、この
当時のAugustus Pabloらしいメロディカに
よるインスト・ナンバーが収められたアルバム
です。

手に入れたのはHeartbeat Recordsからリリース
されたCDでした。

全12曲で収録時間は約37分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Drums: Carlton Barrett, Lloyd 'Tinleg' Adams, Carlton 'Santa' Davis
Bass: Aston 'Familyman' Barrett, George 'Fully' Fulwood, Lloyd Parks
Guitar: Earl 'Chinna' Smith, Reggie Lewis, Ranchie McLean, Aston 'Fams' Barrett
Keyboards: Ansel Collins, Augustus Pablo, Glen Adams, Keith Sterling
Melodica: Augustus Pablo
Percussion: Clive Chin, Errol 'ET' Thompson

Recorded at Randy's Recording Studio (17), Kingston, Jamaica
Studio & remix engineer: Errol Thompson

Photography: Balfe Bradley
Art director & design: Rosemarie Crocker-Morellli

Produced by Clive Chin and Pat Chin
All arrangements by H. Swaby & C. Chin

となっています。

ミュージシャンはドラムにCarlton Barrettと
Lloyd 'Tinleg' Adams、Santa Davis、
ベースにAston 'Familyman' BarrettとGeorge
Fulwood、Lloyd Parks、ギターにEarl 'Chinna'
SmithとReggie Lewis、Ranchie McLean, Aston
Barrett、キーボードにAnsel Collinsと
Augustus Pablo、Glen Adams、Keith
Sterling、メロディカにAugustus Pablo、
パーカッションにClive ChinとErrol Thompson
という布陣です。
ミュージシャンの数が多いのは、今回の
アルバムが一度の録音ではなく、シングル盤
の録音を集めたアルバムの為と思われます。

レコーディングはRandy's Recording Studio
で行われ、リミックス・エンジニアはErrol
Thompsonが担当しています。

プロデュースはClive ChinとPat Chin。
すべての曲のアレンジはHorace Swaby
(Augustus Pabloの本名)とC. Chinが担当
しています。

アルバム・デザインはRosemarie Crocker-
Morellliというところで行っています。
1974年にリリースされた時のデザイン
は、モノクロのPabloの写真に緑色の
「This Is Augustus Pablo」の文字、
さらに小さい字で「Also Including In
This Album Pablo In Dub」の文字が入った
デザインでした。
この事からも「Pablo In Dub」が、当時
の彼のヒット曲だった事がうかがえます。
そのモノクロの写真を切り抜いて、
メロディカのふたが空いて中から黄・赤・
緑のラスタ・カラーの不思議な物体が
飛び出しているのが今回のジャケット
です。

さて今回のアルバムですが、この時期の
Augustus Pabloというのはもうすでに
Leonard 'Santic' Chinの元で「Pablo In
Dub」などのヒット曲を出していたり、
Herman Chin-Loyの元でダブ・アルバム
「Aquarius Dub」に参加していたり、
Randy'sのダブ・アルバム「Java Java Java
Java」に参加して名曲「Java」を披露して
いたりと、すでにかなり注目される存在に
なっていたんですね。

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Impact All Stars ‎– Java Java Java Java (1973)

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Herman Chin Loy ‎– Aquarius Dub (1975)

特にLeonard 'Santic' Chinの元での演奏
では、メロディカ以外にクラヴィネットなど
も駆使して、かなりギラギラとしたカラフル
な演奏を聴かせています。
その演奏は後にレゲエ・リイシュー・レーベル
Pressure Soundsからリリースされた、Leonard
'Santic' Chinの仕事をまとめたアルバム
「Down Santic Way」や「Harder Shade Of
Black」というアルバムなどで聴く事が出来
ます。

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Various ‎– Down Santic Way (2005)

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Various ‎– Harder Shade Of Black (2010)

メロディカという特殊な楽器を駆使して、
人とは違う音楽を作り、この時代の注目
されるアーティストとして出したのが今回の
ファースト・アルバムだったんですね。

今回のアルバムの演奏は、そのSantic時代の
ギラギラと輝くような演奏と較べると、比較
的地味な印象を受けます。
ハッタリのない自然体の演奏に徹しているん
ですね。
驚くべきはその完成度で、すでにAugustus
Pabloの「ファー・イースト・サウンド」と
呼ばれたスタイルは、すでにこの時点で出来
上がっているんですね。

一見地味だけれど聴けば聴くほどジワジワと
味が出て来る、それが今回のアルバムです。
多くの人を惹きつけた、イマジネーションの
豊かさがこのアルバムにはあります。

1曲目は「Dub Organizer」です。
刻むようなギターに乗せた、メロディカの
郷愁を誘うメロディ。
Augustus Pabloらしい個性の出た曲です。

Augustus Pablo - Organizer Dub


2曲目は「Please Sunrise」です。
ちょっと硬いドラミングから、漂うような
メロディカとリリカルなピアノのメロディ。
ひとつひとつの音が見事に立った演奏です。

3曲目は「Point Blank」です。
哀愁を感じるメロディカに、レゲエらしい
硬質な演奏。
ただただユルくしないところに、レゲエ
らしい美学があります。

4曲目は「Arabian Rock」です。
バックの硬い演奏に、漂うような高音の
のメロディカ。
音色の豊かさに魅了される曲です。

Augustus Pablo - Arabian Rock


5曲目は「Pretty Baby」です。
こちらもミディアム・テンポのユッタリした
リズムに、漂うような豊かなメロディカの
音色が心地良い曲です。
ありそうでない唯一無二の音楽、それが
Pabloが作り上げたメロディカの世界なん
ですね。

6曲目は「Pablo In Dub」です。
この時代の彼の代表曲です。
オリジナルはSanticレーベルの録音なので、
その再演か?
踊るようなメロディカのメロディが面白い
曲です。

Augustus Pablo - Pablo In Dub


7曲目は「Skateland Rock」です。
こちらはリリカルなピアノのメロディから
Pabloのメロディカの哀愁漂うメロディカ
へと移行する曲です。

8曲目は「Dread Eye」です。
こちらも胸を締め付けるような美しい
メロディカのメロディが心に残る曲です。
このルーツ・レゲエの時代に、西洋音楽に
ないエモーショナルな要素をレゲエに持ち
込んだのもAugustus Pabloの功績のひとつ
です。

Augustus Pablo - Dread Eye


9曲目は「Too Late」です。
こちらもPabloのメロディカが心地良く、心に
届く曲です。

10曲目は「Assignment No. 1」です。
こちらはクラヴィネットの演奏か?ちょっと
硬質な音色の印象です。

11曲目は「Jah Rock」です。
楽し気なギターから伸びのあるメロディカの
心地良いメロディ。
リラックスしたグルーヴ感が気持ちの良い
曲です。

Augustus Pablo - Jah Rock


12曲目は「Lover's Mood」です。
こちらはその後の彼の演奏にも通じる完成度
の非常に高い1曲。
寂寥感がありながら、どことなくヘヴィーな
香りがする曲です。

Augustus Pablo - Lover's Mood


ざっと追いかけて来ましたが、一見優しい音色
でありながら、今回のアルバムに「Rebel Rock
Reggae」と謳われているように、実は硬質で
人を弾き返すような音楽を作っているのが
このAugustus Pabloという人です。

そのメロディカを使ったサウンドは唯一無二
で、けっして人が真似の出来ない独特の
オリジナリティがあります。
そのAugustus Pabloのメロディカが、この時代
のルーツ・レゲエをある意味「特別な音楽」に
変えた事は間違いありません。
一見メロディカという特殊な楽器を使った事で
「異端の人」と見られがちなAugustus Pablo
ですが、実はレゲエという音楽の王道を歩んだ
人なんですね。

今回のアルバムはその彼の出発点ともいえる
アルバムです。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Augustus Pablo
○アルバム: Rebel Rock Reggae: This Is Augustus Pablo
○レーベル: Heartbeat Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1974

○Augustus Pablo「Rebel Rock Reggae: This Is Augustus Pablo」曲目
1. Dub Organizer
2. Please Sunrise
3. Point Blank
4. Arabian Rock
5. Pretty Baby
6. Pablo In Dub
7. Skateland Rock
8. Dread Eye
9. Too Late
10. Assignment No. 1
11. Jah Rock
12. Lover's Mood