今回はThe Travellersのアルバム

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「King Jammy's Presents: Black Black Minds」
です。

The Travellersは70年代中頃から後半に
かけてジャマイカで活躍した、Nevilleと
Lerch、Hoffman、Frayからなる4人組の
コーラス・グループのようです。

今回のアルバムは1977年にUKのParadise
というレーベルから「Black Black Minds」
というタイトルでリリースされた、彼ら
The Travellersの唯一のアルバムです。

プロデュースはKing Tubby'sに在籍していた
頃のPrince Jammyで、当時のコーラス・
グループのアルバムとしては非常にポップな
色彩の強いアルバムになっています。

手に入れたのは2005年にUKのレゲエ・
リイシュー・レーベルPressure Soundsから
リイシューされたCDでした。
オリジナルの10曲に加えて、U Blackの
ディージェイ・ヴァージョンの2曲や
Prince Jammy's名義のダブ3曲、さらに
The Travellersの「We Got To Leave」と
いう1曲が追加された全16曲入りの
アルバムになっています。

全16曲で収録時間は約57分。
オリジナルは10曲で残りの6曲はCD
ボーナス・トラックです。
曲順もかなり変更されています。
(オリジナル・アルバムの曲順などは最後に
表示しています。)

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

The Travellers
Neville, 'Lerch', 'Hoffman' & 'Fray'

Musicians:

The Aggrovators:
Bass: Robbie Shakespeare
Drums: Lowell 'Sly' Dunbar
Rhythm Guitar: Tony Chin
Organ: Bernard 'Touter' Harvey
Piano: Ansel Collins
Tenor Sax: Tommy McCook
Alto Sax: Lennox Brown
Trumpet: Bobby Ellis

The High Times Band:
Bass: Chris Meredith
Drums: Basil 'Benbow' Creary
Rhythm Guitar: Fazal Prendergrass
Lead Guitar: Earl 'Chinna' Smith
Keyboards: Tony Asher
Organ: Errol 'Tarzan' Nelson
Percussion: Noel 'Skully' Simms

Rhythms laid at:
Channel One Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Maxie
Joe Gibbs Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Errol 'Errol T' Thompson
Harry J Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Sylvan Morris
Voiced and Mixed at:
King Tubby's Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Prince Jammy

Mastered by: Dave Blackman @ Hiltongrove Multimedia, London, England
Photograohy: Paul Coote & Noel Hawks
Artwork & Design: Ben & Rachael @ Bubble
Project Co-ordination: Pete Holdswoth
Produced and Arranged by: King Jammy's

となっています。

バック・バンドとしてThe Aggrovatorsと
The High Times Bandの名前があります。
ただネットのDiscogsの元の77年の
アルバムの記述を見るとバック・バンドは
The Aggrovatorsとなっているので、もしか
したらオリジナルはThe Aggrovatorsで、
残りの追加された曲のいくつかがThe High
Times Bandなのかもしれません。
ちなみにThe High Times Bandはギターの
Earl 'Chinna' Smithを中心としたバンドで、
80年代以降の活躍が目立つバンドなん
ですね。

という事でThe Aggrovatorsのメンバーを
紹介しておくと、ベースにRobbie
Shakespeare、ドラムにLowell 'Sly' Dunbar、
リズム・ギターにTony Chin、オルガンに
Bernard 'Touter' Harvey、ピアノにAnsel
Collins、テナー・サックスにTommy McCook、
アルト・サックスにLennox Brown、トラン
ペットにBobby Ellisというメンバーが書かれ
ています。

バックの録音はChannel OneとJoe Gibbs、
Harry Jで行われ、エンジニアはMaxie
(Channel One)とErrol 'Errol T' Thompson
(Joe Gibbs)、Sylvan Morris(Harry J)が
担当し、ヴォーカルの録音とミックスはKing
Tubby'sで行われ、エンジニアはPrince Jammy
が担当しています。
今回のアルバムで「King Jammy's Presents:」
となっているのは、曲のミックスをKing Jammy
を名乗る前のPrince Jammyが行っている為と
思われます。

アートワークとデザインはBen & Rachael @
Bubbleとなっていますが、これはオリジナル・
ジャケットのカラーのメンバーの写真を、
モノクロにして切り抜いたデザインです。

さて今回のアルバムですが、ルーツ・レゲエ
後期の77年頃のアルバムですが、サウンド
は比較的ポップな印象で、この時代の
コーラス・グループThe Mighty Diamondsを
もう少しポップにしたコーラス・グループと
いう感じなんですね。
曲のタイトルを見ると「Jah」や「Natty
Dread」というラスタファリズムのキーワード
があるものの、メンバーのジャケットの写真
などを見ても、当時流行ったドレッドロックス・
ヘアーではなく、短髪やアフロ・ヘアーと
いったアメリカ・ナイズされた衣装なんです
ね。

当時はアフリカ回帰思想などがあり、音楽の
志向もアフリカに向かっていた時代ですが、
このグループからはアメリカ音楽の影響を
強く感じます。
ただ今回のミキサーがPrince Jammyという、
やはりアメリカ音楽が大好きな人が担当して
いて、このグループの個性とうまく一致して
いる印象です。
バックのレゲエの音楽とこのアメリカ音楽
の志向が良い化学反応を起こして、とても
面白いアルバムになっているんですね。

ガチガチなルーツ・レゲエ好きには少し抵抗
があるかもしれませんが、アメリカ・ナイズ
されたソフトな曲が多く、なかなか面白い
アルバムだと思います。

1曲目はThe Travellersの表題曲「Black
Black Minds」です。
明るいホーンのメロディに乗せた曲です。
交互にリードを取るコーラス・ワークは
なかなか魅力的。

The Travellers Black Black Mind


2曲目はThe Travellersの「Know Yourself」
です。
心地良いミリタント・ビートにピアノの
メロディ、よく通るヴォーカルにコーラス・
ワーク。
このグループの個性がよく出た曲です。

3曲目はThe Travellersの「Jah Gave Us
This World」です。
こちらも心地良いビートにギタ-とピアノ
のメロディ、伸びのあるヴォーカルに
コーラス・ワークが気持ちの良い曲です。

The Travellers - Jah Gave Us This World


4曲目はU Blackの「Natty Dread At The
Controls」です。
3曲目「Jah Gave Us This World」のU Black
によるディージェイ・ヴァージョンです。
滑らかなトースティングで、また違う曲に
作り変えています。

U. BLACK "NATTY DREAD AT THE CONTROL"


5曲目はThe Travellersの「False Leaders」
です。
こちらも軽快なミリタント・ビートに乗せた
ヴォーカルが冴える曲です。

6曲目はThe Travellersの「Peace And Rest」
です。
こちらも軽快なビートに伸びのあるヴォーカル
にコーラス・ワークという、このグループの
魅力がよく出た曲です。

The Travellers - Peace And Rest


7曲目はPrince Jammy'sの「Peace And Rest
Version」です。
6曲目「Peace And Rest」のヴァージョン
(ダブ)です。
頭からエコーのかかったダブワイズの効いた
1曲です。

8曲目はThe Travellersの「The Girl I Left
Behind」です。
こちらは軽快なビートにファルセットな
コーラス、泣きのヴォーカルという、ちょっと
面白い曲です。

The Travellers - Girl I Left Behind


9曲目はThe Travellersの「Tell Me Why」
です。
キレの良いビートと美しいコーラス・ワーク、
伸びのあるヴォーカルが素晴らしい曲です。
この曲は女性コーラスも入っています。

10曲目はThe Travellersの「How Long」
です。
軽快なビートからオルガンとピアノのメロディ、
コーラス・ワークに伸びのあるヴォーカル。

The Travellers & Prince Jammy - How Long + Version


11曲目はPrince Jammy'sの「How Long
Version」です。
10曲目「How Long」のヴァージョン(ダブ)
です。
こちらはベースを軸とした、ちょっと面白い
ダブです。

12曲目はThe Travellersの「Poor Man Cry」
です。
こちらはピアノメロディを中心とした陰影の
ある1曲。

The Travellers - Poor Man Cry


13曲目はU Blackの「Jammy's A Do It」
です。
12曲目「Poor Man Cry」のU Blackによる
ディージェイ・ヴァージョンです。
こちらはベースが強調された、男らしい
トースティング。

14曲目はThe Travellersの「Keep On
Trying」です。
軽快なメロディに乗せた優しいヴォーカルが
魅力的な曲です。

15曲目はPrince Jammy'sの「Keep On
Trying Version」です。
14曲目「Keep On Trying」のヴァージョン
(ダブ)です。

16曲目はThe Travellersの「We Got To
Leave」です。
この曲はオリジナル・アルバムにない曲
です。
ベースを軸としたユッタリとしたメロディに
乗せた1曲。
後半はダブのディスコ・ミックスになって
いて、このアルバムで一番長い7分14秒に
及ぶ曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、この時代の
Prince Jammyの仕事としてはかなり良い内容
のアルバムだと思います。
おそらく彼のアメリカ・ナイズされた思考と
このグループの個性が、すごく相性が良かった
んじゃないかと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: The Travellers
○アルバム: King Jammy's Presents: Black Black Minds
○レーベル: Pressure Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1977 (2005)

○The Travellers「King Jammy's Presents: Black Black Minds」曲目
1. Black Black Minds - The Travellers *
2. Know Yourself - The Travellers *
3. Jah Gave Us This World - The Travellers *
4. Natty Dread At The Controls - U Black
5. False Leaders - The Travellers *
6. Peace And Rest - The Travellers *
7. Peace And Rest Version - Prince Jammy's
8. The Girl I Left Behind - The Travellers *
9. Tell Me Why - The Travellers *
10. How Long - The Travellers *
11. How Long Version - Prince Jammy's
12. Poor Man Cry - The Travellers *
13. Jammy's A Do It - U Black
14. Keep On Trying - The Travellers *
15. Keep On Trying Version - Prince Jammy's
16. We Got To Leave - The Travellers
* オリジナル・アルバム収録曲

(オリジナル・アルバム収録曲、曲順)
Side 1
1. Jah Gave Us This World
2. Poor Man Cry
3. Girl I Left Behind
4. Keep On Trying
5. Peace And Rest
Side 2
1. False Leaders
2. Tell Me Why
3. Know Yourself
4. How Long
5. Black Black Mind