今回はRoy Francis (The Revolutionaries)
のアルバム

revolutionaries_10a

「Phase One Dub-Wise Volume 1/2」です。

Roy Francisは70年代後半から80年代に
かけて、自身のレーベルPhase Oneで活躍
したプロデューサーのようです。
ネットのWikipediaではレーベルの立ち上げ
が1977年となっています。
(実際にシングル盤などをDiscogsなどで
見ると75年ぐらいのものもあるので、
それが正しいかはイマイチ不明です。)
さらにWikipediaにはレコーディングした
アーティストとしてThe Chantells、
Lopez Walker and Errol Davis、
Steve Boswell、Jah Berry、The Terrors、
The Heptones、Dean Fraserという名前が
載っていました。
最後のThe HeptonesとDean Fraserは他の
録音も多いのでハズして見てみると、
The Chantellsが制作年不明(おそらく
77年か78年頃)のアルバム「Waiting In
The Park」を出している以外は、ほぼ
シングル・リリースのアーティストでした。

chantells_01a
The Chantells ‎– Waiting In The Park (Unknown 1978?)

Chantells「Waiting In The Park」 : つれづれげえ日記

おそらくこのThe Chantellsの「Waiting In
The Park」をリリースした事が実績としては
光る、ジャマイカの中堅プロデューサーと
いった感じの人のようです。

Roy Francis (musician) - Wikipedia

今回のアルバムはネットのDiscogsではUnknown
(制作年不詳)となっているダブ・アルバム
です。
ただ2002年シンコー・ミュージック刊行
の本「Roots Rock Reggae」にこのアルバムが
紹介されていて、「大場」さんという方の
文章で「80年半ば以降の打ち込みダンス
ホール期でも地味ながら良質な作品を残した
ロイ・フランシスが、たぶん80年前後に
制作したであろうダブ集。」と記しています。
なので「たぶん」80年頃の制作のようです。

ちなみにこのアルバムにはアーティストの
名義がなく、「Roots Rock Reggae」では
「Various Artist」、Discogsでは「Roy
Francis」、ネットのレゲエレコード・コム
では「The Revolutionaries」となっていま
した(笑)。

手に入れたのはレゲエレコード・コムの
販売元、新宿にあるレゲエ・ショップ
Dub Storeで売られていた2枚組のLP
でした。

LPは2枚組でVol.1とVol.2があります。
Vol.1はSide 1が5曲、Side 2が5曲の
全10曲。
Vol.2はSide 1が5曲、Side 2が5曲の
全10曲。
両方合わせて全20曲入りのアルバムです。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

Produced by Roy Francis
Recorded at Channel One and Joe Gibbs Recording Studio, Kingston, Jamaica
All tracks remixed at Channel One Studio by Ernest Hookim

という記述があります。

プロデュースはRoy Francisで、録音はChannel
OneとJoe Gibbsで行われ、リミックスは
Channel OneでエンジニアのErnest Hookim
が行っています。
おそらくそれまでのシングル盤などの音源を
Ernest Hookimがリミックスし直してダブに
したのが、今回のアルバムという事になり
そうです。

おそらく録音がChannel Oneでミックスを担当
したのがErnest Hookimという事で、
The Revolutionariesという扱いになっていた
ものと思います。
ただうるさい事を言うと、当時はバンド名は
プロデューサーによって使い分けられており、
この場合はプロデューサーが違うので純粋に
The Revolutionariesのアルバムとは呼べない
んですね。
正確に言えばPhase One BandとかPhase One
All-Starsといった名前の方が良さそうです。

ちょっと詳細なメンバーが解らないのが、
残念なところです。
ただ今回のアルバムはThe Chantellsの
アルバム「Waiting In The Park」から何曲か
使われているようです。
そのアルバムの参加ミュージシャンは、以下
のようになっています。

Organ: Ansel Collins, Winston Wright
Piano: Franklin 'Bubbler' Waul
Drums: Sly Dunbar, Devon Richardson
Percussion: Sticky Thompson
Guitars: Ranchie McLean, Winston 'Bo Peep' Bowen
Bass: Lloyd Parks
Synthesizer: Franklin 'Bubbler' Waul
Trumpet: Junior 'Chico' Chin
Trombone: Vincent 'Trommie' Gordon
Sax: 'Deadly' Headley Bennett

こちらは録音がJoe GibbsとChannel Oneで、
リミックスがJoe GibbsのErrol Thompsonが
行っています。
スタジオは同じでもミックスなどが多少違う
ので、あくまで参考程度に見ておいてくだ
さい。

さて今回のアルバムですが、ジャケットに
描かれているのがスピーカーに踊る人達と
いうところからも解るように、80年前後
に作られたアルバムという事もあって、
ラスタファリズムのズッシリと重いレゲエ
からライトなダンスホール・レゲエへという
空気感が感じられる、音楽的にはまだルーツ
の香りを残しながら比較的軽めのダブに
仕上がっています。
そのライトな仕上がりが面白いダブなん
ですね。

そのあたりは「Roots Rock Reggae」の
「大場」さんという方の文章でも「この当時
といえば、チャンネル・ワンの音に代表される
ようなヘヴィで硬質なサウンドが多いが、
フェイズ1の場合、キーボードやホーン等の
やわらかな音を生かす為に、低音部は出しゃ
ばり過ぎないのが特徴。どこか初期レゲエに
通じるユルさ加減が気持ちいい。」という
評価をしています。

まだビートはミリタントな心地良いビート
ですが、ホーンやストリングスなどを駆使
した華やかな音作りは、それまでとの違い
を感じさせます。
そうした聴く音楽から踊る音楽へという
変わり目が感じられるアルバムです。

2枚組のLPですが1枚目が「Vol.1」、
2枚目が「Vol.2」と分けられています。
この「Vol.1」の何曲かはThe Chantellsの
アルバム「Waiting In The Park」から
曲が使われています。

Vol.1のSide 1の1曲目は「Phase 1」です。
The Chantellsの曲「Waiting In The Park」
のダブです。
ミリタントなビートからホーン・セクション
の気持ち良い響き、ダブワイズへと変化して
行く曲です。

Phase 1 Dub-Wise - Phase 1


2曲目は「Darkness」です。
The Chantellsの曲「Loving Stranger」の
ダブです。
こちらはシンセのメロディから心地良いビート
とピアノのメロディを中心としたダブ。
ストリングスがうまく使われています。

3曲目は「12 Rose Lane」です。
揺らぐようなピアノのメロディやホーンなど、
音の出し入れが巧みなダブです。

4曲目は「Young Deceiver」です。
華やかなホーンのメロディとベースを中心
としたダブです。
時々かを出す浮遊感のあるシンセもグッド。

PHASE 1 DUBWISE Young deceiver Phase 1


5曲目は「Kingston」です。
陰のあるピアノのメロディからベースを軸
としたシブい演奏のダブです。

Side 2の1曲目は「Leaving Babylon」です。
The Chantellsの曲「Eva」のダブです。
こちらは心地よいピアノのメロディから、
ベースを軸としたダブワイズの効いた演奏
へと移行する曲です。

PHASE 1 DUBWISE - Leaving Babylon (Phase 1)


2曲目は「Sufferers Heights」です。
甲高いシンセ音のメロディから、こちらも
ベースやピアノを軸とした演奏のダブ。
愛嬌のあるシンセ音が良いアクセントに
なっています。

3曲目は「Hard Labour」です。
The Chantellsの「Rub Me Down」という曲の
ダブのようです。
華やかなホーン・セクションを軸としたダブ
です。

4曲目は「Trip Wire」です。
The Chantellsの「Stumbling Block」という
曲のダブのようです。
ホーン・セクションのメロディを中心とした
ダブワイズです。

Phase 1 Dub-Wise Trip Wire


5曲目は「Peace Treaty Time」です。
明るいホーン・セクションのメロディから
刻むようなギターのメロディのダブ。

Vol.2のSide 1の1曲目は「Dawn Creation」
です。
トビ音も入ったシンセのメロディを中心と
したダブです。
モダンな雰囲気が漂うダブ。

REVOLUTIONARIES - DAWN CREATION (PHASE ONE) DUB


2曲目は「Rockers Hop」です。
こちらも明るいシンセのメロディが心地良い
ダブです。

3曲目は「Leggo Dread」です。
明かるいギターのイントロから、ベースを軸
としたシブいダブです。

4曲目は「Wailing Heart」です。
浮遊感のあるシンセと心地良いドラミングを
中心としたダブです。

REVOLUTIONARIES - WAILING HEART (PHASE ONE) DUB


5曲目は「Iniquity Workers」です。
シンセの漂うようなメロディから、歯切れ
の良いドラミングが心地良いダブへとなり
ます。

Side 2の1曲目は「Star Wars」です。
リディムはCornell Campbellが在籍した事で
知られるThe Eternalsのロックステディの
時代のヒット曲「Stars」です。
ホーンなどがうまく使われたダブ。

REVOLUTIONARIES - STAR WARS (PHASE ONE) DUB


リズム特集 Stars (スターズ)

2曲目は「Only Jah Jah」です。
陰影のあるメロディにちょっと入る男性
ヴォーカル…。
ルーツの香りのする楽曲を、うまくダブ
ワイズした曲です。

REVOLUTIONARIES - ONLY JAH JAH (PHASE ONE) DUB


3曲目は「Run Red」です。
刻むようなギターとベースを中心としたダブ。
歯切れの良いリズムが心地良いです。

4曲目は「Break Out」です。
心地良いドラミングとベース、ギターなどが
程よい空気感を作っているダブです。

5曲目は「Lambs Bread」です。
ピアノとシンセのメロディからベースを軸と
した演奏に移行するダブです。
シブ目の演奏が心地良いダブ。

DUB LP- PHASE ONE DUBWISE VOLUME 2 - Lambs Bread


ざっと追いかけて来ましたが、70年代後半
のダブ・アルバムとしては、次のダンス
ホール・レゲエに繋がる空気感も持った
ちょっと面白いアルバムなんですね。
その割にはちょっとアーティスト名が曖昧な
せいか、ちょっともったいない事になって
いるアルバムだと思います。
またThe Chantellsの「Waiting In The Park」
のダブが入っているアルバムという意味でも、
ちょっと貴重なアルバムです。

この80年代後半ぐらいからジャマイカの
音楽は、サウンドも志向もライトな方向に
向かい、それまでのルーツ・レゲエから
ダンスをメインとしたダンスホール・レゲエ
へと向かう事になるんですね。
このアルバムのサウンドはまだかなりルーツ
寄りですが、それでもその兆候が微妙に感じ
られるんですね。
そのあたりもこのアルバムの面白さです。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Roy Francis (The Revolutionaries)
○アルバム: Phase One Dub-Wise Volume 1/2
○レーベル: Phase One Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: (1980)

○Roy Francis (The Revolutionaries)「Phase One Dub-Wise Volume 1/2」曲目
(Vol.1)
Side 1
1. Phase 1
2. Darkness
3. 12 Rose Lane
4. Young Deceiver
5. Kingston
Side 2
1. Leaving Babylon
2. Sufferers Heights
3. Hard Labour
4. Trip Wire
5. Peace Treaty Time
(Vol.2)
Side 1
1. Dawn Creation
2. Rockers Hop
3. Leggo Dread
4. Wailing Heart
5. Iniquity Workers
Side 2
1. Star Wars
2. Only Jah Jah
3. Run Red
4. Break Out
5. Lambs Bread