今回はNicodimusのアルバム

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「She Love It In The Morning」です。

Nicodimus(Nicodemus)は80年代のから
90年代にかけてダンスホール・レゲエの
ディージェイとして活躍した人です。
レゲエレコード・コムの彼のアーティスト
紹介によると、「チャカ・デマスやジュニア・
デマス等を率いたデマス一門のボス」として
活躍した人なんだそうです。
96年に糖尿病で亡くなっています。

アーティスト特集 Nicodemus (ニコデマス)

今回のアルバムは1982年にChannel One
傘下のレーベルHit Boundからリリースされた
Nicodimusのソロ・アルバムです。
バックはRoots Radicsで、ミックスは
Scientistという、この80年代前半のダンス
ホール・レゲエで活躍していた布陣が揃った
アルバムです。

手に入れたのはHit BoundのLPでした。
中古で手に入れたのですが、帰って調べて
みると未開封でした。
ジャケが好きで買ったのですが、ほぼ新盤と
言える内容でラッキーでした(笑)。

ちなみにネットのDiscogsなどで調べると、
LPしか出て来なかったので、CDでは
発売されていないかもしれません。

Side 1は4曲、Side 2は4曲の全8曲。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Players: Radics
Drums: Style
Bass: Flabba
Guitar: Bingy Bunny, Dwight Pickney
Piano: G. Anderson
Organ: Steele
Percussion: Sky Juice

All tracks written by Nicodimus

Produced and Arranged by M. Wellington and E. Lamont
Tracks laid by Sojie
Mixed by Scientist

Rhythm Track Recorded at Channel 1 Studio
Mixed at Channel 1

となっています。

バックはRoots Radicsで、ドラムにStyle
Scott、ベースにFlabba Holt、ギターに
Bingy BunnyとDwight Pickney、ピアノに
Gladstone Anderson、オルガンに後にSteely
& Clevieとして活躍するWycliffe 'Steely'
Johnson、パーカッションにSky Juiceという
布陣です。

プロデュースはM. WellingtonとE. Lamontと
なっています。
M. WellingtonはNicodimus(本名Cecil
Wellington)の兄弟のMaurice Wellington
(別名Blacka Morwell)のようです。
E. LamontはギターのEric 'Bingy Bunny'
Lamontと思われます。
このBlacka MorwellとBingy Bunnyは、ルーツ・
レゲエの時代に3人組コーラス・グループ
The Morwellsを組んでいた事があったんです
ね。
その2人が彼をプロデュースしています。

そしてミックスはScientistが担当してい
ます。
Scientistはこの82年にKing Tubby'sから
Channel Oneに移籍しているんですね。
全6作ある「漫画ジャケ」シリーズ最後の
アルバム「Scientist Encounters Pac-Man」
は、このChannel Oneで作っているんですね。

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Scientist ‎– Scientist Encounters Pac-Man (1982)

今回のアルバムはジャケットが気に入って
買ったほど素晴らしいジャケットなんですが、
ハッキリした記載はありません。
ただよくジャケットを見るとNicodimusの方の
アタリにサインがあり「JAMAAL P●…」みたい
な名前の人のようです。
試しにDiscogsに名前を打ち込んでみたところ、
Jamaal Peteという人が出て来ました。
このアルバムもリストにあったので大正解!
Bunny LeeプロデュースのKing Tubbyのダブ
「King Of Dub」やBarry Brownの「Far East」、
Yellowmanの「Just Cool」や「Live At Aces」
などのイラストを書いている人です。

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Bunny Lee ‎– King Of Dub (1978)

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Barry Brown ‎– Far East (1981)

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Yellowman ‎– Just Cool (1982)

ちょっとヘタウマっぽいイラストの人で、今回
のアルバムもパースが合っていそうでいなそう
なビミョ~なヘタウマ感がイイです(笑)。
壁に貼って飾りたくなるイラストですよね。

さて今回のアルバムですが、ジャケットも
素晴らしいですが、このアーリー・ダンス
ホールで活躍したRoots RadicsとScientistが
絡んだアルバムという事で、その内容もとても
良いです。

ScientistのヘヴィーなミックスにNicodimus
のエコーの効いたディープなトースティング
は、重量感がありとても魅力的な仕上がりに
なっています。
この時代のScientistはミディアム・テンポの
リズムの中に、ヘヴィーなサウンドを実現する
事に成功しています。
その重いリズムをバックにしたNicodimusの
ちょっとモッタリとしたトースティングは
他にない独特の味わいがあってとても魅力的
です。
このアーリー・ダンスホールにあっても、
かなり魅力的な組み合わせと言えるでしょう。
彼Nicodimusのアルバムの中でも、聴いておく
べきアルバムのひとつではないかと思います。

Side 1の1曲目は表題曲の「She Love It In
The Morning」です。
リディムはLittle Royの「Prophecy」が
オリジナルの「Taxi」リディムです。
Sly & Robbieのリディムとして知られるこの
リディムに乗せた、Nicodimusの余裕のある
トースティングが光ります。

Nicodemus-She Love It In The Morning (She Love It In The Morning 1982)


リズム特集 Taxi (タクシー)

2曲目は「Willie Red」です。
Discogsにも載っていませんでしたが、
リディムはSound Dimensionの「Real Rock」
のようです。
Nicodimusの個性前回のちょっとお経のような
長回しのトースティングです。
こうしてリズムに乗れているか微妙なトース
ティング(笑)が、彼の特徴でもあります。
好き嫌いの分かれるところですが、他にない
独特の個性が彼の魅力でもあります。

Nicodemus-Willie Red (She Love It In The Morning 1982)


リズム特集 Real Rock (リアル・ロック)

3曲目は「Scorpion Sting Me Granny」です。
こちらもDiscogsにも載っていませんが、
リディムはSound Dimensionの「Rockfort Rock」
のようです。
彼の代表曲のひとつともいえる曲です。
独特のしゃがれ語で語られるトースティング
には、この人ならではの不思議な魅力があり
ます。

Nicodemus - Scorpion Sting Me Granny - Hit Bound Lp


4曲目は「Outside Girl」です。
リディムはSugar Minottの「Vanity」リディム
と知られる、Alton Ellisの「I'm Just A Guy」
です。
ピアノのリリカルなメロディから、Nicodimus
独特のちょっとモッサリとしたトースティング
が面白い曲です。

リズム特集 I'm Just A Guy (アイム・ジャスト・ア・ガイ)

Side 2の1曲目は「Get Up And Rock」です。
こちらはリディムが特定出来ませんでした。
ギターの軽快なメロディにNicodimus独特の
トースティングが冴える曲です。

2曲目は「Keep It In Your Family」です。
こちらもリディムは不明。
浮遊感のあるシンセからヴォーカル、Nicodimus
の個性的なトースティングという曲です。

3曲目は「Mother-In-Law」です。
リディムはDennis Walksの「Heart Don't
Leap」。
ユッタリした刻むようなリズムに、Nicodimus
らしい個性的なトースティングが冴えます。

Nicodemus-Mother In Law (She Love It In The Morning 1982)


4曲目は「Gunman Connection」です。
リディムは特定出来ませんでした。
こちらも陰影のあるメロディにNicodimusの
個性的なトースティングがさく裂している曲
です。
入っているヴォーカルはEEk-A-Mouseか?
こちらもNicodimusの代表曲のようです。

Nicodemus-Gunman Conection (She Love It In The Morning 1982)


ざっと追いかけて来ましたが、このNicodimus
のしゃがれた個性的なトースティングは、
ちょっと好き嫌いが分かれるところかもしれ
ません。
ただこうした独特の音楽は、レゲエという
音楽だからこそ作り得たものなんですね。
その独特の感性は、やはり一聴の価値があり
ます。

また全盛期のRoots RadicsとScientistの
アルバムとしても、なかなか面白いアルバム
だと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Nicodimus
○アルバム: She Love It In The Morning
○レーベル: Hit Bound
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○Nicodimus「She Love It In The Morning」曲目
Side 1
1. She Love It In The Morning
2. Willie Red
3. Scorpion Sting Me Granny
4. Outside Girl
Side 2
1. Get Up And Rock
2. Keep It In Your Family
3. Mother-In-Law
4. Gunman Connection