今回はTrinityのアルバム

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「Dreadlocks Satisfaction」です。

Trinity(本名Wade Brammer)は、70年代の
ルーツ・レゲエの時代に活躍したディージェイ
です。
Joe Gibbsの元で制作した「Three Piece Suit」
のほか、数多くの作品をこの70年代に残して
います。

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Trinity ‎– Three Piece Suit (1977)

また80年代には歌手Junior Brammerとしても
活動していたことある、とても器用な人なん
ですね。
また彼の弟もディージェイのClint Eastwood
で、Gneral Saintのコンビなどで活躍した
名ディージェイなんですね。

アーティスト特集 Trinity (トリニティー)

今回のアルバムは1979年にBunny Leeの
レーベルJackpotからリリースされたアルバム
です。
The Sensationsのロックステディの時代の
ヒット曲「Every Day Is Just A Holiday」や
Delroy Wilsonのヒット曲「Riding For A Fall」
など、ヒット・リディムをうまく活用した
アルバムになっています。

手に入れたのはJackpotから出ているLPの
中古盤でした。

Side 1が5曲、Side 2が4曲の全9曲。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

ジャケット裏面にはPete Wilsonという人の
英文のライナー・ノーツと曲目以外の表記が
まったく無いんですね。

ただこのアルバムがBunny Leeのレーベル
Jackpotからリリースされているので、
プロデュースはBunny Leeで、バックは彼の
ハウス・バンドThe Aggrovatorsであると
思われます。
実際に今回のアルバムは、彼の元で活躍した
Johnny ClarkeやCornell Campbellといった
シンガーの楽曲が使われています。

また今回のアルバム・ジャケットですが、
作者は誰か解りませんが、Trinityの名前と
アルバム・タイトル、ラスタ・カラーの
3本線のラインの他に、左下に詰襟の長髪の
男性のモノクロのイラストがあります。
このイラストは76年のThe Aggrovators
のアルバム「Rasta Dub '76」のジャケット
に使われていたイラストと同じなんですね。

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The Aggrovators ‎– Rasta Dub '76 (1976)

これは誰?という感じのイラストですが、
前に「Rasta Dub '76」について書いた時
にも書きましたが、想像ですが、おそらく
エチオピア皇帝ハイレ・セラシエを長髪に
した時のイメージ画なのかもしれません。

Aggrovators「Rasta Dub '76」 : つれづれげえ日記

ちょっとイミフのイラストなんですね(笑)。

さて今回のアルバムですが、このルーツ・
レゲエの時代らしい心地良いトースティング
が収められたアルバムで、内容は悪くないと
思います。

2002年シンコー・ミュージック刊行の本
「Roots Rock Reggae」にはこのアルバムに
ついて、「武田」さんという方の文章で
「70年代のDee Jayものの大きな魅力は、
名曲をそのまま残しながら、そこにルーツ・
メッセージを乗せるトークオーヴァー・
スタイルにあるだろう。とすればこのアルバム
こそ好サンプル。」という評価が書かれて
います。
The Aggrovatorsの心地良いルーツ・レゲエの
サウンドに乗せてのトースティングはなかなか
魅力的です。

ちなみにこの本「Roots Rock Reggae」では、
Trinityのアルバムとしてはこの1枚のみが
選ばれています。
他にもJoe Gibbsの元で作られた「Three Piece
Suit」や、後にBlood & Fireからリイシュー
されたVivian Jackson(Yabby You)がプロ
デュースした「Shanty Town Determination」
などのアルバムがあるのに、このアルバムが
選ばれているのはちょっと興味深いところ
です。

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Trinity ‎– Shanty Town Determination (1977)

このTrinityという人は、後にシンガーにも
転向しているように、良くも悪くもすごく器用
な人ですが、今回のアルバムではその彼らしい
曲の「乗りこなし」が魅力的です。

Side 1の1曲目は「This Old Heart Of Mine」
です。
リディムはJohnny Clarkeの歌う同名曲です。
心地良いオルガンのメロディにJohnny Clarke
のダブワイズした歌声、陽気なTrinityの
トースティングという曲です。

This Old Heart Of Mine


2曲目は「Everyday Is Just A Holiday」
です。
リディムはThe Sensationsのロックステディ
の時代の同名ヒット曲です。
こちらはCornell Campbellの歌うヴァージョン
にトースティングを乗せています。
オルガンとベースを軸としたメロディに、
Trinityのノリノリのトースティングが冴え
ます。

TRINITY - Everyday is just a holiday


3曲目は「Why Did You Leave」です。
リディムはThe Heptonesのロックステディの
時代のヒット曲「Why Did You Leave Me」。
曲はJohnny Clarkeのヴァージョン。
浮遊感のあるオルガンとベースのズンと響く
リズムを生かしたトースティングです。

4曲目は「Do It Right」です。
リディムはロックステディの時代のThe Three
Topsのヒット曲「Do It Right」。
ダブワイズの入った優しいメロディに、
ちょっと武骨な印象のTrinityのトース
ティングが冴えます。

Do it Right


5曲目は表題曲の「Dreadlocks Satisfaction」
です。
Johnny Clarkeが歌っていますが、リディムは
特定出来ませんでした。
ユッタリとしたギターとオルガンのメロディ
に乗せたトースティングです。

Dreadlocks Satisfaction


Side 2の1曲目は「Midnight Cowboy」です。
タイトルから解るように、リディムは映画
「真夜中のカウボーイ」のテーマ・ソング
Nilssonの「Everybody's Talkin' (邦題:
噂の男)」です。
Johnny Clarkeの歌っているヴァージョン
では原曲がよく解るんですが、こちらは
メロディを歌っていないので、あまりそれ
らしくありません(笑)。
楽しい空気感を感じるトースティングです。

2曲目は「Riding For A Fall」です。
リディムはDelroy Wilsonのロックステディ
の時代の同名ヒット曲です。
歌っているのはJohnny Clarkeで、ダブワイズ
の効いた曲に乗せたトースティングです。

Trinity - Riding For A Fall


3曲目は「Linger Awhile」です。
こちらもリディムが誰かイマイチ解りません
でした。
最初からTrinityのトースティング全開の曲
です。
ピアノのメロディに乗せた楽しいトース
ティングです。

Linger awhile


4曲目は「Seeing Is Believing」です。
こちらもリディムが誰か解りませんでした。
歌声はCornell Campbellか?
ミリタントな歯切れの良いリズムに乗せた
トースティングが気持ちの良い曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、この時代らしい
歯切れの良いリズムに乗せた、Trinityの
トースティングはなかなか魅力的です。
気持ちよく聴けるアルバムだと思いました。

機会があれば聴いてみてください。


○アーティスト: Trinity
○アルバム: Dreadlocks Satisfaction
○レーベル: Jackpot
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1979

○Trinity「Dreadlocks Satisfaction」曲目
Side 1
1. This Old Heart Of Mine
2. Everyday Is Just A Holiday
3. Why Did You Leave
4. Do It Right
5. Dreadlocks Satisfaction
Side 2
1. Midnight Cowboy
2. Riding For A Fall
3. Linger Awhile
4. Seeing Is Believing

●今までアップしたTrinity関連の記事
〇Trinity「Big Big Man」
〇Trinity「Shanty Town Determination」
〇Trinity「Three Piece Suit」
〇Ranking Trevor, Trinity「Three Piece Chicken & Chips: One For One」