今回はLloyd Parksのアルバム

lloyd_parks_01a

「Time A Go Dread」です。

Lloyd Parksは72年の「Slaving」のヒット
で知られるシンガーです。

60年代後半のロックステディの時代に
Studio OneからWentworth Vernalとの
ヴォーカル・デュオThe Termitesでデビュー
した彼は、The TechniquesのSlim Smithが
唯一のライヴァルと認めるほどの歌唱力で
注目を集めます。
そしてソロとなり72年に「Slaving」を
ジャマイカで大ヒットさせ、シンガーとして
認められるんですね。

またベーシストとしても優れていた彼は、
スタジオ・ミュージシャンとしてBunny Lee
のハウス・バンドThe AggrovatorsやChannel
OneのバックバンドThe Revolutionaries、
Lloyd CampbellのバンドSkin,Fresh & Bones、
Randy'sのバック・バンドThe Impact All
Stars、Joe Gibbsのバック・バンド、
The Proffesionalsそして自身のバンド
We The People Bandなどで、70~80年
代にベーシストとして、多くのアルバムに
名前を残す活躍しているんですね。

Lloyd Parks - Wikipedia

今回のアルバムは2016年にレゲエ・リイ
シュー・レーベルPressure Soundsからリリース
された、Lloyd Parksの曲とダブなどを集めた
コンピュレーション・アルバムです。
代表曲の「Slaving」ををはじめとした彼の
ヒット曲とダブのほか、彼と一度だけ共演
したWally Buckerというシンガーの曲まで
網羅したアルバムになっています。

手に入れたのはPressure Soundsからリリース
された、日本盤のCDでした。

全22曲で収録時間は約63分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Musicians include:
Drums: Sly Dunbar, Neville Grant
Bass: Lloyd Parks
Guitar: Radcliffe 'Dougie' Bryan, Philip Grant, Ranchie McLean
Keyboards: Tyrone Downie, Ansel Collins, Errol 'Tarzan' Nelson
Melodica: Lloyd Parks
Backing Vocals: Jimmy Riley, The Rocking Horse, Keith Poppin

Recorded at King Tubby's Studio, Federal Studio, Dynamic Sounds Studio,
Randy's Studio 17, Channel One Studio
Engineers: King Tubby, Carlton Lee, Buddy Davidson, Sid Bucknor,
Errol Thompson, Ernest Hookim, Anthony 'Crucial Bunny' Graham
Sound Restoration: Andy Le Vien
Mastering: Dave Blackman Hiltongrove
Compiled by Diggory Kenrick & Pete Holdsworth
Photographs: coutesy of Lloyd Parks
Artwork & Design: John 'Teflon' Sims & Pete Holdsworth
Produced by and under licence from Lloyd Parks

となっています。

今回はコンピュレーションなので、バックは
様々なバンドが務めているようです。
このアルバムに名前が書かれているだけでも
Skin, Flesh & Bones、We The People Band、
Black Expression Band、Kow All Starsと
いう名前があります。
Skin, Flesh & BonesはLloyd Campbellが
プロデューサーの時に使われるバンド名。
We The People BandはLloyd Parks本人が
使用していたバンド名のようです。
「Mafia Version」で使用しているBlack
Expression Bandと「Shake Up Dubwise」で
使用しているKow All Starsは、Discogsで
探した限りではこのシングル1曲のみの
バンド名のようです。

そうしたバンドのメンバーとして名前が
挙がっているのは、ドラムにSly Dunbarと
Neville Grant、ベースはLloyd Parks、ギター
はRadcliffe 'Dougie' BryanとPhilip Grant、
Ranchie McLean、キーボードにTyrone Downie
とAnsel Collins、Errol 'Tarzan' Nelson、
メロディカにLloyd Parks、バッキング・
ヴォーカルにJimmy RileyとThe Rocking Horse、
Keith Poppinという名前があります。

日本盤のDiggory Kenrickという人の解説文
を読むと、Lloyd Parksは当時Sly Dunbarと
Radcliffe 'Dougie' Bryanと仲良く、一緒に
曲を作ったりしていたんだとか。

また興味深いのは、「Mafia」や「Strike」
などいくつかの曲でLloyd Parks本人が
メロディカを吹いている事です。
解説文によるとこの時代にAugustus Pablo
の演奏したメロディカが流行し、前に
Augustus Pabloの使っていたメロディカを
手に入れたので、試しに吹いてみたんだ
とか。
彼がいろいろな楽器に興味があり、多才な
人だという事が解ります。

録音はKing Tubby'sとFederal、Dynamic
Sounds、Randy's、Channel Oneで、エンジニア
はKing Tubby(King Tubby's)、Carlton Lee、
Buddy Davidson、Sid Bucknor、Errol Thompson
(Randy's)、Ernest Hookim(Channel One)、
Anthony 'Crucial Bunny' Grahamが担当して
います。

さて今回のアルバムですが、このLloyd Parks
は「Slaving」のヒットで知られるシンガー
ですが、この70年代のルーツ・レゲエの
時代の空気感がうまく収められたアルバム
で、内容はとてもイイです。

このPressure Soundsはこうしたちょっと
知名度の劣る人の音源を、うまく発掘して
来るレーベルなんですね。
The Techniquesなどで活躍した、今回の
アルバムにも参加しているJimmy Rileyの音源
など、レゲエ好きが聴きたい音源を見つけて
来るのがすごくウマいレーベルなんですね。

jimmy_riley_01a
Jimmy Riley ‎– Live It To Know It (2015)

今回のアルバムもよくこういう人のアルバム
を出したなぁと、あらためて感心するアルバム
です。
確かに知名度は高くないかもしれないけれど、
聴けば納得の良い音楽を作っている人なん
ですね。

またいつも思うけれどこのPressure Sounds
のアルバムは解説文が良いんですね。
今回のアルバムではこの曲がどういう風に
作られたかが、彼のインタビューなどから
細かく語られています。
こうした事が解るとより興味が増します。
私のように英語の苦手な方は、日本盤を
買う事をおススメします。

今回のアルバムでは彼の曲とそのダブや
彼の曲を使ったカヴァーなど、かなり細かく
網羅したアルバムで、そのあたりもとても
魅力的です。
特に9曲目のWallie Buckerの「Take A Ride」
は、Lloyd Parksが自分より歌がウマいと
才能を認めてコラボしたという貴重な音源の
ようです。
彼はその後亡くなってしまって、コラボは
1曲で終わったとの事ですが、こうした
埋もれた名曲を発掘しているのも今回の
アルバムの魅力です。

そして極め付きは、やはり「Slaving」。
彼の最大のヒット曲ですが、やはりこの曲の
持つ独特の寂寥感は特別なものがあります。
(解説文ではこの曲がヒットすると同時に、
Glen Brownに勝手にリズムを盗まれて使わ
れたというエピソードが語られています。)

1曲目は「Money For Jam」です。
ホーンを中心としたメロディの曲です。
Lloyd Parksの感情を込めた、よく通る声が
印象的。

Lloyd Parks - Money for jam


2曲目は「Money For Jam Version」です。
1曲目「Money For Jam」のヴァージョン
(ダブ)です。

3曲目は「Push Push」です。
ギターとホーンに乗せた曲です。
解説文によると、Lloyd Parksの革新的な
ベース・スタイルが生きた曲なんだとか。
ファルセットも入った、ソウルフルな
ヴォーカルも光ります。

Lloyd Parks - Push Push + Version


4曲目はSkin, Flesh & Bonesの「Push
Version」です。
3曲目「Push Push」のSkin, Flesh & Bones
によるヴァージョン(ダブ)です。

5曲目は表題曲の「Time A Go Dread」です。
ソフトなコーラス・ワークから、Lloyd Parks
の感情を込めたファルセットも駆使した歌声
が冴える曲です。
タイミングよく入るコーラス(Jimmy Rileyか?)
とオルガンもグッド。

Time A Go Dread


6曲目はWe The People Bandの「Dread Dub」
です。
5曲目「Time A Go Dread」のダブ・ヴァー
ジョンです。
オルガンを駆使した、ダブワイズの効いた
1曲。

7曲目は「Mafia」です。
リディムを作っている時に「俺はマフィアだ!」
という言葉が聴こえて、作ったという曲です。
彼の「現場主義」の発想力が面白いところ。
書いたように彼のメロディカも、良い感じに
キマった曲です。

I MAN A MAFIA LLOYD PARKS


8曲目はBlack Expression Bandの「Mafia
Version」です。
7曲目「Mafia」のヴァージョン(ダブ)です。
ヴォーカルが抜けている分、よけいに
メロディカのメロディが際立ちます。

9曲目はWallie Buckerの「Take A Ride」
です。
書いたようにLloyd Parksが望んでコラボした
という、貴重なアーティストの1曲です。
ギターのメロディに乗せた個性的なヴォーカル
が光る曲です。

Wally Bucker Take a Ride


10曲目は「Shake Up Yu Dread」です。
心地良いギターのメロディに乗せた曲です。

11曲目はKow All Starsの「Shake Up
Dubwise」です。
10曲目「Shake Up Yu Dread」のダブです。

12曲目は「Strike」です。
リリカルなピアノのイントロから、感情を
込めたLloyd Parksのヴォーカルが印象的な
曲です。
ジャマイカで頻発していた「ストライキ」
をテーマにした曲です。
こちらもメロディカが効果的に使われて
います。

13曲目はWe The People Bandの「Part 2」
です。
12曲目「Strike」のダブ・ヴァージョン
です。
こちrもリリカルなピアノ、野太いベース、
そしてメロディカのメロディが効いた曲
です。

14曲目は「Slaving」です。
書いたようにLloyd Parksの代表曲です。
クールなオルガンのメロディから、エコー
の効いたLloyd Parksのヴォーカルがグッと
来る名曲です。
コーラスはJimmy Riley。

Lloyd Parks Slaving Remastered


15曲目は「Slaving Version」です。
14曲目「Slaving」のヴァージョン(ダブ)
です。

16曲目はDillingerの「Money Done」です。
陽気な会話からかなり高音のメロディカ、
Dillingerのトースティングという、ちょっと
イカレた雰囲気の不思議な曲です。

17曲目は「Doney」です。
16曲目Dillingerの「Money Done」の
Lloyd Parksのメロディカを中心とした
ヴァージョン(ダブ)です。
不思議な妖し気な雰囲気が魅力。

LLoyd Parks "Doney" Parks 7" Melodica cut


18曲目は「Famine」です。
「ママがサンタにキスをした(I Saw Mommy
Kissing Santa Claus)」のメロディか?
楽し気なピアノのメロディとコーラス、それ
に乗せたソフトなヴォーカルという曲です。

19曲目は「Come Back Early」です。
浮遊感のあるオルガンのメロディから、
Lloyd Parksのメリハリの効いたヴォーカル
が冴える曲です。

20曲目はWe The People Bandの「Version 2」
です。
19曲目「Come Back Early」のダブ・ヴァー
ジョンです。
かなりダブワイズの効いた1曲。

21曲目は「Girl In The Morning」です。
リリカルなピアノとホーン・セクションに
乗せた曲です。
感情の入ったソウルフルなヴォーカルが
印象的。

Lloyd Parks - Girl In The Morning - 1975


22曲目は「Girl In The Morning Part 2」
です。
21曲目「Girl In The Morning」のダブ・
ヴァージョンです。

ざっと追いかけて来ましたが、何よりも
この時代のジャマイカの熱い空気が詰め
込まれたようなアルバムで、そこがすごく
魅力的です。
その熱い熱いジャマイカの空気の中で光り
輝いていたアーティストのひとりが、この
Lloyd Parksだった事は間違いありません。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Lloyd Parks
○アルバム: Time A Go Dread
○レーベル: Pressure Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2016

○Lloyd Parks「Time A Go Dread」曲目
1. Money For Jam - Lloyd Parks
2. Money For Jam Version
3. Push Push - Lloyd Parks
4. Push Version - Skin, Flesh & Bones
5. Time A Go Dread - Lloyd Parks
6. Dread Dub - We The People Band
7. Mafia - Lloyd Parks
8. Mafia Version - Black Expression Band
9. Take A Ride - Wallie Bucker
10. Shake Up Yu Dread - Lloyd Parks
11. Shake Up Dubwise - Kow All Stars
12. Strike - Lloyd Parks
13. Part 2 - We The People Band
14. Slaving - Lloyd Parks
15. Slaving Version
16. Money Done - Dillinger
17. Doney - Lloyd Parks
18. Famine - Lloyd Parks
19. Come Back Early - Lloyd Parks
20. Version 2 - We The People Band
21. Girl In The Morning - Lloyd Parks
22. Girl In The Morning Part 2