今回はJackie Mittooのアルバム

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「Keep On Dancing」です。

Jackie Mittooは60年代のスカの時代に伝説
のスカ・バンドThe Skatalitesのキーボード
奏者として活躍し、さらにレゲエの前身の
ロックステディの時代になるとStudio Oneの
バック・バンドSoul Defenders→Soul Vendors
→Sound Dimensionなどを率いて、このロック
ステディの時代をギター奏者のLyn Taittなど
とリードし、そのロックステディの時代が
終わった後の70年代のルーツ・レゲエの
時代になっても、ソロやスタジオ・ミュージ
シャンとして活躍した人です。

1990年に癌の為40代前半という若さで
亡くなっています。

アーティスト特集 Jackie Mittoo (ジャッキー・ミットゥ)

今回のアルバムは1969年にCoxsone Records
からリリースされたJackie Mittooの3枚目の
ソロ・アルバムです。
(ネットには4枚目と書かれているサイトもあり
ます。)

この69年というのはジャマイカの音楽が
それまで流行っていたロックステディから
レゲエへと変わり始めた模索の時期だったん
ですね。
今回のJackie Mittooのアルバムも、そうした
時代の影響か、アメリカのファンクに影響を
受けたかのようなファンキーな楽曲が多く
収められています。
このJackie MittooはStudio OneのC.S, Dodd
とともにレゲエの基礎を作ったといわれる人
ですが、彼自身にとってもこの時期は次世代
の音楽に対する模索の時期だったのかもしれ
ません。

手に入れたのはCoxsone Recordsからリリース
されたCDでした。

全14曲で収録時間は約45分。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

Produced by C.S. Dodd
Recorded at Jamaica Recording & Publishing Studio Ltd.

Photography & Design by O'Neil Nanco

という記述があります。

プロデュースはStudio Oneの主催者C.S, Dodd
で、レコーディングはJamaica Recording &
Publishing Studioで行われています。

彼の68年の2枚目のソロ・アルバム
「Evening Time」には、バック・バンドが
The Soul Vendorsと記されていますが、今回
のアルバムにはバック・バンドの名前が書か
れていません。

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Jackie Mittoo And The Soul Vendors ‎– Evening Time (1968)

おそらくは同じThe Soul Vendorsか、その後
のSound Dimensionあたりではないかと思い
ます。
彼はそれらのStudio Oneのバック・バンドを
使って、C.S, Doddとともにレゲエの基礎と
なる音楽を作り上げて行くんですね。

今回のジャケット・デザインはO'Neil Nanco
ですが、これは後のジャケットで元々は違う
ジャケットだったようです。
オリジナル・ジャケットは白地に、真ん中に
丸くJackie Mittooの写真、上に赤字の
「Keep On Dancing」の文字、写真周りに踊る
女性の切り抜き写真という絵柄です。
(制作者は不明。)
その女性の切り抜きなどをアレンジして、
作り直したのが今回のジャケットのよう
です。

さて今回のアルバムですが、多くの販売サイト
にも書かれていますが、Jackie Mittooの
アルバムの中でも特にファンキーでレア・
グルーヴなアルバムで、なかなか面白い
アルバムだと思います。

今聴くとあまりレゲエっぽくなく聴こえて
しまう部分もありますが、レゲエの初期には
こうしたファンキーな「ファンキー・レゲエ」
や、軽快なインストの「スキンヘッド・レゲエ」
など、ロックステディに代わる音楽の様々な
模索があったんですね。
そうした模索が徐々に形になり、ルーツ・
レゲエからダンスホール・レゲエという形に
なって行ったんですね。
そうした模索が見える今回のアルバムは、
そのレアな空気感がとても魅力的です。

またロックステディやレゲエを作ったのが
この人と言われる、Jackie Mittooの輝く
ような才能が垣間見れるのも魅力です。
この人の音楽にはやはりどこかアメリカ
音楽への憧憬があり、今回のアルバムでは
Booker T.の楽曲を演奏していますが、
ファンクの影響がすごく感じられます。
そうした音使いのウマい人らしい、センス
のある選曲も魅力です。
彼の奏でるハモンド・オルガンは、ジャマ
イカに新しい時代の到来を告げる音色だった
のかもしれません。

1曲目は「Clean Up」です。
ホーンのイントロから独特のハモンド・
オルガンの音色が味わい深い曲です。

Jackie Mittoo "Clean up" Bamboo 15 A (1969)


2曲目は「Taste Of Soul」です。
ギターの奏でる軽快なメロディに、寄り添う
ように入って来る浮遊感のあるオルガンが
良いです。

3曲目は「This Scorcher」です。
ギターの奏でるレゲエらしいリズムに、
高音のオルガンの浮遊感のあるメロディが
ファンキーな味わいを作り上げています。

(( Jackie Mittoo - This Scorcher ))


4曲目は「Water Hole」です。
勢いのあるホーンのイントロから、浮遊感の
あるハモンド・オルガンのメロディが魅力の
曲です。
イイ感じで入って来るホーンもグッド。

5曲目は「Blue Lue」です。
ギターのメロディから浮遊感のあるオルガン
のクールなメディ、さらにホーンと、華やかさ
のある曲です。

6曲目は「Taste Of Living」です。
軽快なオルガンのメロディの曲です。

7曲目は「Juice Box」です。
このアルバムの中でも一番長い4分39秒の
曲です。
ハモンドオルガンのちょっとこもった浮遊感
のあるメロディに、ホーンやギターが合間良く
入るファンキーなビートの曲です。
Jackie Mittooらしいオシャレなテイストが、
よく出た1曲です。

Jackie Mittoo - Juice Box


8曲目は表題曲の「Keep On Dancing」です。
華々しいホーンのイントロから、ハモンド・
オルガンの軽快なメロディとホーンが絡み合う
曲です。
ファンクなノリがカッコいい曲です。

9曲目は「Mellow Fellow」です。
こちらは浮遊感なあるオルガンの軽快な
インスト・ナンバー。
ギター・ソロやホーン・セクションなどが
合間良く入る、ファンキな―なノリの曲です。

Jackie Mittoo ♬ Mellow Fellow (1969)


10曲目は「Can I Change My Mind」です。
こちらはオリジナルが、Alton Ellisのロック
ステディの同名ヒット曲です。
ロックステディの時代に名曲をたくさん作った
この人ですが、オルガンを中心としたスウィート
なメロディは魅力的。

Jackie Mittoo - Can I Change My Mind


11曲目は「Spring Time」です。
こちらはギターのメロディから浮遊感のある
オルガンが心地良い曲です。

12曲目は「Hang 'Em High」です。
ネットの情報によるとこちらはBooker T. &
The M.G.'s のカヴァー曲なんだそうです。
オリジナルに負けないファンクなノリが
カッコイイ曲です。

Jackie Mittoo - Hang Em High


13曲目は「Lazy Bones」です。
ちょっとアラビアン風なイントロから始まる、
いかにもJackie Mittooらしいムーディーな
オルガンのメロディに、唐突に入って来る
ファンキーな泣きのギター、彼らしいセンス
が詰まった曲です。

Jackie Mittoo - Lazy bones


14曲目は「Hello Studio One」です。
こちらはスカを感じさせるようなホーン・
セクションとオルガンとピアノのメロディ
が楽しい、ノリの良い曲です。
タイトルからして、Studio Oneに対する
オマージュが込められた曲でしょうか?

ざっと追いかけて来ましたが、これから
ジャマイカでレゲエという音楽が始まる、
その予兆を感じさせるようなアルバムです。
どこかまだハッキリとは形になっていない、
けれどもどこか未来が見えている、そんな
微妙な時代の空気がこのアルバムにはあり
ます。
むしろそこまでスタイリッシュになり過ぎて
いないところが、このアルバムの魅力なん
ですね。

この稀代のキーボード奏者がその後のレゲエ
の原型を作った事は、多くの人に知られて
いる事実です。
ただ彼はただただ自分の求める音楽を、作り
続けていただけなのかもしれません。
彼の音楽からはアメリカ音楽への憧れと、
メロディ・メイカーとしての優れた才能が
感じられます。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Jackie Mittoo
○アルバム: Keep On Dancing
○レーベル: Coxsone Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1969

○Jackie Mittoo「Keep On Dancing」曲目
1. Clean Up
2. Taste Of Soul
3. This Scorcher
4. Water Hole
5. Blue Lue
6. Taste Of Living
7. Juice Box
8. Keep On Dancing
9. Mellow Fellow
10. Can I Change My Mind
11. Spring Time
12. Hang 'Em High
13. Lazy Bones
14. Hello Studio One