今回はLone Rangerのアルバム
「On The Other Side Of Dub (Deluxe Edition)」です。
Lone Ranger70年代のルーツ・レゲエの時代
から活躍するディージェイです。
ルーツ・レゲエの時代にはStudio Oneから
Dub Specialistのダブが半分収められた
ユニークな今回のアルバム「On The Other
Side Of Dub」をリリースしているほか、
80年代のダンスホール・レゲエの時代に
なってもその人気は衰えず、「M 16」などの
ヒット曲を連発したという人です。
The Lone Ranger – M 16 (1982)
アーティスト特集 Lone Ranger (ローン・レンジャー)
このアルバムのもう一人の重要人物Dub
Specialistについても書いておきます。
Dub SpecialistのついてはネットのDiscogs
のDub Specialistのページを自動翻訳なども
使って意訳すると、だいたい次のような内容
になります。
「Dub Specialistは、70年代を通してStudio
Oneからの一連のダブのLPのリリース時に使わ
れた名前です。
これらの限定盤アルバムは、伝説的な音楽プロ
デューサーでサウンド・システムのパイオニア
として知られるClement 'Coxsone' Dodd後援で、
Sylvan Morris、Syd BucknorとOverton
'Scientist' Brownなど何人かのエンジニアに
よって10年の間に亘りミキシングされました。
Doddがジャマイカのブレントフォード通りから
米国へ向かったとき、このシリーズは終わり
ました」
つまりDub Specialistという名前は、Studio
Oneからの一連のダブのLPのリリース時に
使われた名前なんですね。
ただミキサーのSylvan Morrisが多くの
ミックスを担当しているので、ほぼSylvan
Morrisの別名と考えて良さそうです。
ちなみにこのDub SpecialistによるStudio
Oneのダブは、74年頃から80年頃までに
10枚前後のアルバムが作られているよう
です。
Studio Oneというレーベルについても説明
しておきます。
Studio Oneはレコードをかけて踊る「サウンド・
システム」を運営していたClement 'Coxsone'
Dodd(C.S. Dodd)が立ち上げたレーベルで、
50年代後半には活動を始めています。
ジャマイカの音楽はメント→スカ→ロック
ステディ→レゲエとその変遷をたどるのです
が、そのスカの時代からTreassure Isleレーベル
とともに、常にジャマイカをけん引して来た
のがこのStudio Oneというレーベルだったん
ですね。
このレーベルからはあのBob Marleyの
The Wailersのほか、数え切れないくらいの
ジャマイカの音楽界のスターが育っています。
レーベル特集 Studio One (スタジオ・ワン)
今回のアルバムは1977年にStudio One
レーベルからリリースされた、片面が
Lone Rangerのディージェイ、片面が同曲の
Dub Specialistのダブが収められたアルバム
です。
この70年代後半になると老舗レーベルの
Studio Oneも、Channel Oneなど新興レーベル
の勢いに押され、勢いを失っていたんですね。
理由は主催者C.S. Doddの金払いの悪さに
あったと言われています。
そうした事でC.S. Doddも音楽の情熱を失って
いて、現場は主にSylvan Morrisが取り仕切って
いたようです。
ただStudio Oneにはスカ→ロックステディ→
レゲエと、それまでの時代に貯め込んだ豊富な
音源があったんですね。
Sylvan Morrisはそうした音源を使って多くの
ダブを作り、その古い曲を新しい歌手に歌わ
せるという事をするんですね。
そうしてこの70年代後半には、Studio One
から古くて新しい不思議なダブと曲が多く
作られる事になります。
そこから巣立った歌手がSugar Minottや
Freddie McGregorであり、ディージェイで
巣立ったのがこのThe Lone Rangerだったん
ですね。
今回のアルバムはそのThe Lone Rangerの
ファースト・アルバムであり、片面がダブと
いう実験的なアルバムなんですね。
手に入れたのはHeartbeat Recordsレーベル
からリリースされたCDでした。
オリジナル・アルバムは片面5曲がディー
ジェイ、片面5曲がダブの全10曲入りの
アルバムでしたが、今回のアルバムは
オリジナルから「Every Thing She Want」と
ダブの「Roots Style」の2曲が抜けて、
他に「The Answer」など9曲がプラスされた
(Deluxe Edition)のアルバムになっています。
全17曲で収録時間は約52分。
1~8曲目までがLone Rangerのディージェイ、
9曲目が前半がディージェイ後半がダブの
エクステンデッド・ミックスの曲で、10~
17曲目までがダブになっています。
詳細なミュージシャンの表記はありません。
Produced by Clement Seymour Dodd
Recorded at Jamaica Recording and Publishing Studio, Kingston, Jamaica
Engineered by Sylvan Morris and Clement Dodd
Mixed by Sylvan Morris
Tracks 8,13,17 mixed by Clement Dodd
という表記があります。
今回のアルバムは演奏はSound Dimensionなど
過去のStudio Oneのバック・バンドの演奏が
使われているようです。
その演奏にLone Rangerのトースティングを
乗せ、あるいはダブに編集し直して曲として
仕上げています。
そういう点ではミックスが重要で、8曲目と
13曲目、17曲目をClement Doddがミックス
している他は、すべてSylvan Morrisのミックス
です。
さて今回のアルバムですが、古いStudio One
の音源と新しいディージェイLone Rangerとの
コラボレーションというアルバムで、なかなか
面白いアルバムに仕上がっていると思います。
77年のアルバムながら、このアルバムから
はすでに次に来るダンスホール・レゲエの匂い
がすでに感じられるんですね。
このLone Rangerがダンスホールの時代に活躍
したのは、そのシッカリした実力ゆえだった
のでしょう。
「Why Oh Why」や「Pick Up The Pieces」、
「Hypocrites」など古いリディムを使って
いても、そのディージェイの新しい感性は
すでに次の時代に向かっています。
その古くて新しい感覚が、このアルバムの
最大の魅力です。
ちなみに今回のアルバムは、2002年刊行
の本「Roots Rock Reggae」にも紹介されて
いたアルバムでした。
このアルバムが彼の代表作のひとつである事
は、間違いが無さそうです。
1曲目は「Noah In The Ark」です。
リディムはErnest Wilsonの「Why Oh Why」。
オールド・リディムを使いながらも、明るく
吹っ切れたLone Rangerのトースティングは
とても魅力的。
Lone Ranger - Noah In The Ark
2曲目は「Apprentice Dentist」です。
リディムはJackie Mittoo & Sound Dimension
の「The Thing」。
心地良い刻むようなリズムに、明るい
Lone Rangerのトースティングが映えます。
Lone Ranger - Aprentice Dentist
3曲目は「Quarter Pound Ishen」です。
リディムはThe Royalsの「Pick Up The
Pieces」。
ロックステディの名リディムに、明るい
Lone Rangerのポジティブなトースティング
が冴えます。
リズム特集 Pick Up The Pieces (ピック・アップ・ザ・ピーシズ)
4曲目は「The Answer」です。
こちらはオリジナルにはない曲ですが、彼
Lone Rangerの代表曲のひとつで、「Answer」
リディムとして知られている曲です。
オリジナル・リディムはSlim Smithの「Never
Let Go」。
ロックステディの名リディムを、陽気なトース
ティングで盛り上げています。
リズム特集 Answer (アンサー)
5曲目は「Natty Dread On The Go」です。
リディムはThe Wailersの「Hypocrites」。
The Wailersのスカの時代のヒット曲を、
流れるような滑らかなトースティングで
歌いこなしています。
Lone Ranger - Natty Dread on Di Go
リズム特集 Hypocrite (ヒポクリッツ)
6曲目は「Screw Gone A North Coast」です。
こちらはシングル盤からの追加曲です。
リディムはHorace Andyの「Skylarking」。
ルーツの時代のStudio Oneの大ヒット曲を、
ちょっと陰影のあるトースティングで聴かせ
ます。
Lone Ranger - Screw Gone A North Coast
7曲目は「Tribute To Marley」です。
こちらもオリジナルにはない1曲。
リディムはDerrick Harriottの「Solomon」。
Bob Marleyに対するリスペクト・ソングの
ようですが、明るく歌いこなしています。
途中から「Get Up Stand Up」のメロディ
なども入り楽しい1曲。
8曲目は「Barnabbas Collins」です。
こちらもオリジナルにはない曲です。
リディムはThe Techniquesの「You Don't Care」。
ギターとオルガンのリズムに乗せた、楽しい
トースティングです。
リズム特集 You Don't Care (ユー・ドント・ケア)
9曲目は「Keep On Coming A The Dance
(Extended Mix)」です。
こちらもオリジナルにはない曲で、ディー
ジェイとダブがくっ付いた(Extended Mix)の
曲になっています。
リディムはDon Drummond & Skatalitesの
「Heavenless」。
ロックステディの名リディムに乗せた、
Lone Rangerのノリノリのトースティングが
魅力的。
後半はベースを中心としたインストに近い
ダブ。
リズム特集 Heavenless (ヘブンレス)
10~17曲目まではSylvan Morrisこと
Dub Specialistのダブが収められています。
10曲目は「Where Eagles Dwell」です。
1曲目「Noah In The Ark」と同じ「Why Oh
Why」のリディムのダブです。
華やかなホーンのメロディから、ベースを
中心にピアノやギターでまとめられた、
インストに近いダブです。
Lone Ranger - Where Eagles Dwell
11曲目は「Dentist Dub」です。
2曲目「Apprentice Dentist」と同じ
「The Thing」のリディムのダブ。
こちらもベースを中心としたダブです。
12曲目は「Collie Rock」です。
3曲目「Quarter Pound Ishen」と同じ
「Pick Up The Pieces」のリディムのダブ。
ベースを軸にギターなどで味付けしたダブ。
Lone Ranger - Collie Rock
13曲目は「Dub Is The Answer」です。
オリジナルにはない曲で、4曲目「The Answer」
と同じリディムの曲です。
華々しいホーンのイントロから、ダブワイズが
冴える曲です。
14曲目は「Dub A Natty Dread」です。
5曲目「Natty Dread On The Go」と同じ
「Hypocrites」のダブです。
特徴的なホーンのメロディが強く印象に残り
ます。
Lone Ranger - Dub A Natty Dread
15曲目は「Dub Gone A North Coast」です。
こちらもオリジナルにない曲で、6曲目
「Screw Gone A North Coast」と同じ
「Skylarking」のダブです。
Lone Rangerのトースティングも入る、ホーン
のメロディを中心としたダブワイズが冴える
1曲。
16曲目は「Tribute To Marley Version」
です。
こちらもオリジナルにない、7曲目「Tribute
To Marley」のダブ・ヴァージョンです。
Lone Rangerのトースティングも入る、エコー
の効いたダブワイズが冴える曲です。
17曲目は「Grave Yard Skank」です。
こちらもオリジナルにない、8曲目
「Barnabbas Collins」のダブ・ヴァージョン
です。
オルガンの浮遊感のあるメロディと、野太い
ベース、ピアノメロディなどが絡み合った
ダブ。
ざっと追いかけて来ましたが、ある意味あり
合わせの音源を使ったとは思えないほど、
よく出来たアルバムなんですね。
この時代のStudio Oneのアルバムは「腐っても
鯛」では無いですが、Dub Specialistこと
Sylvan Morrisの工夫と創意で、過去の豊富な
音源を再生させることで古くて新しい、面白い
サウンドを作っているんですね。
このサウンドは私達に、作るという事は何か?
という事を今も問いかけて来ます。
機会があればぜひ聴いてみてください。
○アーティスト: Lone Ranger
○アルバム: On The Other Side Of Dub (Deluxe Edition)
○レーベル: Heartbeat Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1977
○The Lone Ranger「On The Other Side Of Dub (Deluxe Edition)」曲目
1. Noah In The Ark *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
2. Apprentice Dentist *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
3. Quarter Pound Ishen *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
4. The Answer
Original single mix
5. Natty Dread On The Go *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
6. Screw Gone A North Coast
Original stereo single mix
Previously unreleased on CD
7. Tribute To Marley
Original stereo single mix
Previously unreleased on CD
8. Barnabbas Collins
Remastered from the original master
9. Keep On Coming A The Dance (Extended Mix)
Alternate stereo mix
Previously unreleased on CD
10. Where Eagles Dwell *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
11. Dentist Dub *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
12. Collie Rock *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
13. Dub Is The Answer
Alternate stereo mix
Previously unreleased on CD
14. Dub A Natty Dread *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
15. Dub Gone A North Coast
Original stereo single mix
Previously unreleased on CD
16. Tribute To Marley Version
Alternate stereo mix
Previously unreleased on CD
17. Grave Yard Skank
* オリジナル・アルバム収録曲
●今までアップしたLone Ranger関連の記事
〇Lone Ranger「Badda Dan Dem」
〇Lone Ranger「Hi-Yo, Silver, Away!」
〇Lone Ranger「M16」
〇Lone Ranger「Rosemarie Meet D.J. Daddy」
〇Lone Ranger「Barnabas In Collins Wood」
「On The Other Side Of Dub (Deluxe Edition)」です。
Lone Ranger70年代のルーツ・レゲエの時代
から活躍するディージェイです。
ルーツ・レゲエの時代にはStudio Oneから
Dub Specialistのダブが半分収められた
ユニークな今回のアルバム「On The Other
Side Of Dub」をリリースしているほか、
80年代のダンスホール・レゲエの時代に
なってもその人気は衰えず、「M 16」などの
ヒット曲を連発したという人です。
The Lone Ranger – M 16 (1982)
アーティスト特集 Lone Ranger (ローン・レンジャー)
このアルバムのもう一人の重要人物Dub
Specialistについても書いておきます。
Dub SpecialistのついてはネットのDiscogs
のDub Specialistのページを自動翻訳なども
使って意訳すると、だいたい次のような内容
になります。
「Dub Specialistは、70年代を通してStudio
Oneからの一連のダブのLPのリリース時に使わ
れた名前です。
これらの限定盤アルバムは、伝説的な音楽プロ
デューサーでサウンド・システムのパイオニア
として知られるClement 'Coxsone' Dodd後援で、
Sylvan Morris、Syd BucknorとOverton
'Scientist' Brownなど何人かのエンジニアに
よって10年の間に亘りミキシングされました。
Doddがジャマイカのブレントフォード通りから
米国へ向かったとき、このシリーズは終わり
ました」
つまりDub Specialistという名前は、Studio
Oneからの一連のダブのLPのリリース時に
使われた名前なんですね。
ただミキサーのSylvan Morrisが多くの
ミックスを担当しているので、ほぼSylvan
Morrisの別名と考えて良さそうです。
ちなみにこのDub SpecialistによるStudio
Oneのダブは、74年頃から80年頃までに
10枚前後のアルバムが作られているよう
です。
Studio Oneというレーベルについても説明
しておきます。
Studio Oneはレコードをかけて踊る「サウンド・
システム」を運営していたClement 'Coxsone'
Dodd(C.S. Dodd)が立ち上げたレーベルで、
50年代後半には活動を始めています。
ジャマイカの音楽はメント→スカ→ロック
ステディ→レゲエとその変遷をたどるのです
が、そのスカの時代からTreassure Isleレーベル
とともに、常にジャマイカをけん引して来た
のがこのStudio Oneというレーベルだったん
ですね。
このレーベルからはあのBob Marleyの
The Wailersのほか、数え切れないくらいの
ジャマイカの音楽界のスターが育っています。
レーベル特集 Studio One (スタジオ・ワン)
今回のアルバムは1977年にStudio One
レーベルからリリースされた、片面が
Lone Rangerのディージェイ、片面が同曲の
Dub Specialistのダブが収められたアルバム
です。
この70年代後半になると老舗レーベルの
Studio Oneも、Channel Oneなど新興レーベル
の勢いに押され、勢いを失っていたんですね。
理由は主催者C.S. Doddの金払いの悪さに
あったと言われています。
そうした事でC.S. Doddも音楽の情熱を失って
いて、現場は主にSylvan Morrisが取り仕切って
いたようです。
ただStudio Oneにはスカ→ロックステディ→
レゲエと、それまでの時代に貯め込んだ豊富な
音源があったんですね。
Sylvan Morrisはそうした音源を使って多くの
ダブを作り、その古い曲を新しい歌手に歌わ
せるという事をするんですね。
そうしてこの70年代後半には、Studio One
から古くて新しい不思議なダブと曲が多く
作られる事になります。
そこから巣立った歌手がSugar Minottや
Freddie McGregorであり、ディージェイで
巣立ったのがこのThe Lone Rangerだったん
ですね。
今回のアルバムはそのThe Lone Rangerの
ファースト・アルバムであり、片面がダブと
いう実験的なアルバムなんですね。
手に入れたのはHeartbeat Recordsレーベル
からリリースされたCDでした。
オリジナル・アルバムは片面5曲がディー
ジェイ、片面5曲がダブの全10曲入りの
アルバムでしたが、今回のアルバムは
オリジナルから「Every Thing She Want」と
ダブの「Roots Style」の2曲が抜けて、
他に「The Answer」など9曲がプラスされた
(Deluxe Edition)のアルバムになっています。
全17曲で収録時間は約52分。
1~8曲目までがLone Rangerのディージェイ、
9曲目が前半がディージェイ後半がダブの
エクステンデッド・ミックスの曲で、10~
17曲目までがダブになっています。
詳細なミュージシャンの表記はありません。
Produced by Clement Seymour Dodd
Recorded at Jamaica Recording and Publishing Studio, Kingston, Jamaica
Engineered by Sylvan Morris and Clement Dodd
Mixed by Sylvan Morris
Tracks 8,13,17 mixed by Clement Dodd
という表記があります。
今回のアルバムは演奏はSound Dimensionなど
過去のStudio Oneのバック・バンドの演奏が
使われているようです。
その演奏にLone Rangerのトースティングを
乗せ、あるいはダブに編集し直して曲として
仕上げています。
そういう点ではミックスが重要で、8曲目と
13曲目、17曲目をClement Doddがミックス
している他は、すべてSylvan Morrisのミックス
です。
さて今回のアルバムですが、古いStudio One
の音源と新しいディージェイLone Rangerとの
コラボレーションというアルバムで、なかなか
面白いアルバムに仕上がっていると思います。
77年のアルバムながら、このアルバムから
はすでに次に来るダンスホール・レゲエの匂い
がすでに感じられるんですね。
このLone Rangerがダンスホールの時代に活躍
したのは、そのシッカリした実力ゆえだった
のでしょう。
「Why Oh Why」や「Pick Up The Pieces」、
「Hypocrites」など古いリディムを使って
いても、そのディージェイの新しい感性は
すでに次の時代に向かっています。
その古くて新しい感覚が、このアルバムの
最大の魅力です。
ちなみに今回のアルバムは、2002年刊行
の本「Roots Rock Reggae」にも紹介されて
いたアルバムでした。
このアルバムが彼の代表作のひとつである事
は、間違いが無さそうです。
1曲目は「Noah In The Ark」です。
リディムはErnest Wilsonの「Why Oh Why」。
オールド・リディムを使いながらも、明るく
吹っ切れたLone Rangerのトースティングは
とても魅力的。
Lone Ranger - Noah In The Ark
2曲目は「Apprentice Dentist」です。
リディムはJackie Mittoo & Sound Dimension
の「The Thing」。
心地良い刻むようなリズムに、明るい
Lone Rangerのトースティングが映えます。
Lone Ranger - Aprentice Dentist
3曲目は「Quarter Pound Ishen」です。
リディムはThe Royalsの「Pick Up The
Pieces」。
ロックステディの名リディムに、明るい
Lone Rangerのポジティブなトースティング
が冴えます。
リズム特集 Pick Up The Pieces (ピック・アップ・ザ・ピーシズ)
4曲目は「The Answer」です。
こちらはオリジナルにはない曲ですが、彼
Lone Rangerの代表曲のひとつで、「Answer」
リディムとして知られている曲です。
オリジナル・リディムはSlim Smithの「Never
Let Go」。
ロックステディの名リディムを、陽気なトース
ティングで盛り上げています。
リズム特集 Answer (アンサー)
5曲目は「Natty Dread On The Go」です。
リディムはThe Wailersの「Hypocrites」。
The Wailersのスカの時代のヒット曲を、
流れるような滑らかなトースティングで
歌いこなしています。
Lone Ranger - Natty Dread on Di Go
リズム特集 Hypocrite (ヒポクリッツ)
6曲目は「Screw Gone A North Coast」です。
こちらはシングル盤からの追加曲です。
リディムはHorace Andyの「Skylarking」。
ルーツの時代のStudio Oneの大ヒット曲を、
ちょっと陰影のあるトースティングで聴かせ
ます。
Lone Ranger - Screw Gone A North Coast
7曲目は「Tribute To Marley」です。
こちらもオリジナルにはない1曲。
リディムはDerrick Harriottの「Solomon」。
Bob Marleyに対するリスペクト・ソングの
ようですが、明るく歌いこなしています。
途中から「Get Up Stand Up」のメロディ
なども入り楽しい1曲。
8曲目は「Barnabbas Collins」です。
こちらもオリジナルにはない曲です。
リディムはThe Techniquesの「You Don't Care」。
ギターとオルガンのリズムに乗せた、楽しい
トースティングです。
リズム特集 You Don't Care (ユー・ドント・ケア)
9曲目は「Keep On Coming A The Dance
(Extended Mix)」です。
こちらもオリジナルにはない曲で、ディー
ジェイとダブがくっ付いた(Extended Mix)の
曲になっています。
リディムはDon Drummond & Skatalitesの
「Heavenless」。
ロックステディの名リディムに乗せた、
Lone Rangerのノリノリのトースティングが
魅力的。
後半はベースを中心としたインストに近い
ダブ。
リズム特集 Heavenless (ヘブンレス)
10~17曲目まではSylvan Morrisこと
Dub Specialistのダブが収められています。
10曲目は「Where Eagles Dwell」です。
1曲目「Noah In The Ark」と同じ「Why Oh
Why」のリディムのダブです。
華やかなホーンのメロディから、ベースを
中心にピアノやギターでまとめられた、
インストに近いダブです。
Lone Ranger - Where Eagles Dwell
11曲目は「Dentist Dub」です。
2曲目「Apprentice Dentist」と同じ
「The Thing」のリディムのダブ。
こちらもベースを中心としたダブです。
12曲目は「Collie Rock」です。
3曲目「Quarter Pound Ishen」と同じ
「Pick Up The Pieces」のリディムのダブ。
ベースを軸にギターなどで味付けしたダブ。
Lone Ranger - Collie Rock
13曲目は「Dub Is The Answer」です。
オリジナルにはない曲で、4曲目「The Answer」
と同じリディムの曲です。
華々しいホーンのイントロから、ダブワイズが
冴える曲です。
14曲目は「Dub A Natty Dread」です。
5曲目「Natty Dread On The Go」と同じ
「Hypocrites」のダブです。
特徴的なホーンのメロディが強く印象に残り
ます。
Lone Ranger - Dub A Natty Dread
15曲目は「Dub Gone A North Coast」です。
こちらもオリジナルにない曲で、6曲目
「Screw Gone A North Coast」と同じ
「Skylarking」のダブです。
Lone Rangerのトースティングも入る、ホーン
のメロディを中心としたダブワイズが冴える
1曲。
16曲目は「Tribute To Marley Version」
です。
こちらもオリジナルにない、7曲目「Tribute
To Marley」のダブ・ヴァージョンです。
Lone Rangerのトースティングも入る、エコー
の効いたダブワイズが冴える曲です。
17曲目は「Grave Yard Skank」です。
こちらもオリジナルにない、8曲目
「Barnabbas Collins」のダブ・ヴァージョン
です。
オルガンの浮遊感のあるメロディと、野太い
ベース、ピアノメロディなどが絡み合った
ダブ。
ざっと追いかけて来ましたが、ある意味あり
合わせの音源を使ったとは思えないほど、
よく出来たアルバムなんですね。
この時代のStudio Oneのアルバムは「腐っても
鯛」では無いですが、Dub Specialistこと
Sylvan Morrisの工夫と創意で、過去の豊富な
音源を再生させることで古くて新しい、面白い
サウンドを作っているんですね。
このサウンドは私達に、作るという事は何か?
という事を今も問いかけて来ます。
機会があればぜひ聴いてみてください。
○アーティスト: Lone Ranger
○アルバム: On The Other Side Of Dub (Deluxe Edition)
○レーベル: Heartbeat Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1977
○The Lone Ranger「On The Other Side Of Dub (Deluxe Edition)」曲目
1. Noah In The Ark *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
2. Apprentice Dentist *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
3. Quarter Pound Ishen *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
4. The Answer
Original single mix
5. Natty Dread On The Go *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
6. Screw Gone A North Coast
Original stereo single mix
Previously unreleased on CD
7. Tribute To Marley
Original stereo single mix
Previously unreleased on CD
8. Barnabbas Collins
Remastered from the original master
9. Keep On Coming A The Dance (Extended Mix)
Alternate stereo mix
Previously unreleased on CD
10. Where Eagles Dwell *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
11. Dentist Dub *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
12. Collie Rock *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
13. Dub Is The Answer
Alternate stereo mix
Previously unreleased on CD
14. Dub A Natty Dread *
Original stereo mix
Previously unreleased on CD
15. Dub Gone A North Coast
Original stereo single mix
Previously unreleased on CD
16. Tribute To Marley Version
Alternate stereo mix
Previously unreleased on CD
17. Grave Yard Skank
* オリジナル・アルバム収録曲
●今までアップしたLone Ranger関連の記事
〇Lone Ranger「Badda Dan Dem」
〇Lone Ranger「Hi-Yo, Silver, Away!」
〇Lone Ranger「M16」
〇Lone Ranger「Rosemarie Meet D.J. Daddy」
〇Lone Ranger「Barnabas In Collins Wood」
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