今回はDave And Ansel Collinsのアルバム

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「Double Barrel」です。

Dave And Ansel Collinsは歌手のDave Barker
とキーボード奏者のAnsel Collinsからなる
2人組ユニットです。
60年代後半にLee Perryの元でキャリアを
スタートさせた彼らは、71年に今回の表題曲
である「Double Barrel」がジャマイカと
UKシングルチャートで1位、アメリカの
チャートで22位という大ヒットを記録し、
一躍人気ユニットとなります。
続いて「Monkey Spanner」というヒット曲を
飛ばしたDave And Ansel Collinsでしたが、
その後は別々の道を歩み、Dave Barkerは
歌手として活躍し、Ansel Collinsは
セッション・ミュージシャンとして数々の
アルバムに名前を刻んでいます。

デイヴ・アンド・アンセル・コリンズ - Wikipedia

今回のアルバムは1971年にTrojan Records
やBig Tree Recordsというレーベルなどから
リリースされた、彼らのヒット曲「Double
Barrel」や「Monkey Spanner」などのヒット曲
が収められたアルバムです。

プロデューサーはTechniquesレーベルの
Winston Rileyで、彼らのヒット曲の多くは
このWinston Rileyが作曲しているようです。
Techniquesレーベルは80年代のダンス
ホール・レゲエの時代に大人気レーベルと
なりますが、この初期レゲエの頃から地道に
実績を残してきたレーベルで、今回のアルバム
もその主催者Winston Rileyの重要な仕事の
ひとつだと思います。

またネットの情報などを検索すると、この
「Double Barrel」という曲は、その後
ドラマーとして大活躍するSly Dunbarが
始めて録音に参加した曲としても知られて
いるようです。
「ミリタント・ビート」や「ステッパーズ」
といった、レゲエの歴史に名を残すビート
を開発した名ドラマーの初録音が、この
アルバムだったんですね。

手に入れたのはTrojan Recordsから出ている、
中古のCDでした。

全12曲で収録時間は約33分。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

All recording produced by Winston Riley for Techniques Records

という記述があるのみです。

ジャケットは2つの「樽」が銃口になって
いて、その煙の出ている銃口(樽)の中に
2人の裸の黒人女性がかがんで座っている
という絵柄です。
ちょっと意味不明だけれど、この時代らしい
ナイスなジャケットです。

さて今回のアルバムですが、いかにも誕生
したての初期レゲエのファンキーなノリの
アルバムで、なかなか面白いアルバムだと
思います。

ヒット曲の「Double Barrel」などに特に
顕著に特徴が現れていますが、Dave Barker
のトースティングにAnsel Collinsの軽快な
オルガンのメロディを中心としたファンキー
なインスト・ナンバーが、レゲエの初期には
「スキンヘッド・レゲエ」や「ファンキー・
レゲエ」と呼ばれて、UKの不良少年の間で
人気を博したんですね。
今回のアルバムはそうしたレゲエがまだ
固まっていない模索期の匂いのするアルバム
で、その自由な空気感がこのアルバムの最大
の面白さです。

1曲目は表題曲の「Double Barrel」です。
Dave Barkerは歌ではなく、ファンキーな
トースティングを担当しています。
そのファンキーな掛け声に乗せて、流れる
ようなオルガンとピアノのメロディ、硬め
のリズム隊がこの時代らしいレゲエ・
サウンドを作っています。

Double Barrel - Dave and Ansell Collins (1970)


2曲目はAnsel Collinsの「Wild Bunch」
です。
こちらはAnsel Collinsの軽快なオルガンの
メロディを中心とした曲です。
こうしたイケイケのノリが、いかにもこの
時代のスキンヘッド・レゲエらしい1曲。

3曲目はDave Barker & The Techniques All
Starsの「Elfrego Bacca」です。
ピアノを中心とした軽快なメロディにDave
Barkerと思われる掛け声、そしてコーラス・
ワーク。

4曲目はAnsel Collinsの「Monkey Spanner
Version」です。
彼らのもうひとつのヒット曲の掛け声なし
のヴァージョンのようです。
ちょっとユーモラスな雰囲気のオルガンと
ギターのメロディが魅力の曲です。

Dave And Ansel Collins - Monkey Spanner Version


5曲目はDave Barkerの「My Best Girl」です。
浮遊感のあるオルガンから、ロックステディ
を思わせるDave Barkerのの甘い歌声が素晴ら
しい曲です。
トースティングだけでない、歌手としての
魅力が光る曲です。

Dave & Ansel Collins - my best girl


6曲目はAnsel Collinsの「Secret Weapon」
です。
こちらは軽快なオルガンのメロディがとても
魅力的な曲です。
遅れて入って来るホーンもグッド。

7曲目はDave & Ansel Collinsの「I The Third
(aka Karate)」です。
カシっとしたリズムからちょっとユーモラス
なオルガンにファンキーな掛け声、それだけ
で1曲が出来上がっているような曲です。
別名「空手」と付いているように、ハデな
掛け声が面白い1曲。

karate aka i the third dave and ansel collins


8曲目はDave Barkerの「That Girl (aka
Groovy Situation)」です。
こちらはDave Barkerのロックステディを
思わせる、楽し気なヴォーカルが冴える曲
です。

THAT GIRL - REGGAE / SKA - DAVE & ANSEL COLLINS


9曲目はAnsel Collinsの「Impossible
Mission」です。
こちらはあの「ミッション・インポッシブル」
のメロディを思わせるイントロから、浮遊感
のあるユッタリしたオルガンのメロディの曲
へとチェンジして行く曲です。

10曲目はAnsel Collinsの「Ten To One」
です。
こちらもスキンヘッド・レゲエらしい軽快な
オルガンのメロディが冴える1曲。

11曲目はDave Barker & The Techniques
の「I Count The Days (aka Lonely Man)」
です。
こちらも軽快なオルガンの、流れるような
メロディの曲です。

I Can Count The Days by Dave and Ansell Collins


12曲目はAnsel Collins「Two Four One」です。
華やかなホーンから淡々としたピアノとギター
のメロディ、さらにまたホーンと展開して行く
曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、このアーリー・
レゲエの時代らしい完全には完成していない
若々しいサウンドが魅力のアルバムです。
全体を通して聴くと意外とスッキリとまと
まったアルバムの印象ですが、1曲1曲は
プロデューサーのWinston Rileyの神経が
隅々まで行き届いた曲が多く、内容がすごく
良いんですね。
ジャマイカとUKで1位をとった「Double
Barrel」と次のヒット「Monkey Spanner」の
ヴァージョンも収められたアルバムで、初期
レゲエの時代のスキンヘッド・レゲエを代表
する1枚だと思います。

この後このユニットはDave Barkerがソロの
歌手として活躍し、Ansel Collinsがスタジオ・
ミュージシャンと別々の道を歩む事になるの
ですが、Ansel Collinsは70年代のルーツの
時代にWinston Rileyのプロデュースで
「Stalag 17」というヒット曲をリリース
します。
その「Stalag」のリディムは後々まで愛され、
80年代のダンスホール・レゲエの時代には
Winston RileyのTechniquesレーベルの最大の
ヒット・リディムとなり、「Sleng Teng」や
「Tempo」と並ぶ3大リディムと呼ばれ
レゲエの歴史を作るリディムになって行くん
ですね。
その出発点にあったのが、このスキンヘッド・
レゲエのアルバムであったというのは、忘れて
はいけない事実です。

機会があればぜひ聴いてみてください。


最後にDave And Ansel CollinsがUKのテレビ
番組か何かに出た時の映像を見つけたので、
それも紹介しておきます。
Dave And Ansel Collinsは当時らしいアフロ・
ヘアーにオシャレな衣装というスタイルです
が、ベースとドラム(Sly Dunbarか?)は
腰ミノひとつという奇抜なスタイルです(笑)。
こういうところにも時代が感じられます。
ちなみに当時はDave And Ansel Collinsは、
ジャマイカ出身のアーティストとはあまり
知られていなかったんだとか。

*Top *Of *The *Pops* 70s*-#35. Dave and Ansell Collins - Double Barrel



○アーティスト: Dave And Ansel Collins
○アルバム: Double Barrel
○レーベル: Trojan Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1971

○Dave And Ansel Collins「Double Barrel」曲目
1. Double Barrel - Dave & Ansel Collins
2. Wild Bunch - Ansel Collins
3. Elfrego Bacca - Dave Barker & The Techniques All Stars
4. Monkey Spanner Version - Ansel Collins
5. My Best Girl - Dave Barker
6. Secret Weapon - Ansel Collins
7. I The Third (aka Karate) - Dave & Ansel Collins
8. That Girl (aka Groovy Situation) - Dave Barker
9. Impossible Mission - Ansel Collins
10. Ten To One - Ansel Collins
11. I Count The Days (aka Lonely Man) - Dave Barker & The Techniques
12. Two Four One - Ansel Collins