今回はYellowmanのアルバム
「Mister Yellowman」です。
Yellowmanは８０年代のダンスホール・
レゲエの時代に「King」と呼ばれるほど
の人気を博したディージェイです。
アルビノ(先天性色素欠乏症)で生まれた
彼は、幼い頃に両親に捨てられ孤児院で
育つという辛い経験をし、成長してからも
なかなかスタジオに入れてもらえない日々
を過ごしました。
しかしその容姿を逆手に取って、キザで
ユーモラスな伊達男というキャラクターを
確立し、ダンスホール・レゲエの世界で
人気ＮＯ.１のディージェイになって行く
んですね。
アーティスト特集 Yellowman（イエローマン）
イエローマン - Wikipedia
今回のアルバムは１９８２年にGreensleeves
RecordsからリリースされたYellowmanのソロ・
アルバムです。
Yellowmanはこのアーリー・ダンスホールの
時代に多くのアルバムをリリースしており、
あまりのリリースの多さにどれが一番新しい
アルバムか解らないほどだったと言われて
います。
ネットのDiscogsなどで調べると、彼のソロ・
アルバムとしては８２年のアルバムが一番
早く、このアルバムもその時期の作品で、
比較的早い時期の作品といえそうです。
VolcanoレーベルのHenry 'Junjo' Lawesの
プロデュースで、バックはHi-Times Bandと
Roots Radicsというこのアーリー・ダンス
ホールらしい布陣で作られたアルバムです。
全１０曲で収録時間は約３８分。
ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。
Produced by Henry 'Junjo' Lawes
Recorded & mixed at Channel One
Mixed by Soldgie
Rhythm tracks by Hi-Times Band & Roots Radics
Cover: Tony McDermott
となっています。
プロデュースはHenry 'Junjo' Lawes、録音と
ミックスはChannel Oneで行われ、ミックスは
Soldgie、バックはHi-Times BandとRoots Radics
という布陣で録音されています。
カヴァー・デザインはScientistの「漫画
ジャケ」シリーズなどを手掛けたTony McDermott
が担当しています。
さて今回のアルバムですが、一番勢いのあった
時代のYellowmanのアルバムで、しかもプロ
デュースはHenry 'Junjo' Lawes、バックは
Roots Radicsとくれば内容的にも文句なしで、
彼の代表曲のひとつ「Mister Chin」なども
収められていて、聴きどころもタップリの
仕上がりになっています。
こうした彼の活躍などもあり、時代はルー
ツから一気にダンスホール・レゲエへと
大きく切り替わって行くんですね。
それまでの深刻なプロテスト・ソングから、
歌詞の内容もスラックネス（下ネタ）へと
舵を切ります。
そうした事の良い面と悪い面、功罪はあると
思いますが、豊かになって行けば徐々に人の
気持ちも変わって行くものなんですね。
実際に日本でも四畳半フォークからニュー・
ミュージックへと、若者の音楽が切り替わっ
て行った時代もありました。
良くも悪くも人の心は変わって行くものなん
ですね。
そうした時代の切り替わり目で活躍したのが、
このYellowmanです。
それまでの深刻なルーツ・レゲエから見る
と、下世話な話題で人気を博したこの時代の
ダンスホール・レゲエですが、それはある
意味音楽がより身近になったという事です。
この後ジャマイカの音楽は人々を楽しませる
事に主眼を置いた、スラックネスが主流に
なっていきます。
その中でも楽しいリリックで人気を博した
のが、このYellowmanなんですね。
今回のアルバムに入っている「Mister Chin」
の歌詞などを見ても、「ジャー（神）」と
いう言葉は出て来てもその意味は比較的軽い
ものなんですね。
イエローマン(Yellowman) - Mr. Chin - 1982 - リリック
それよりも軽快な「言葉遊び」に主眼が置か
れている印象です。
人々の興味がよりエンターテイメントに
移って来ている感じがします。
今回のアルバムなどを聴くと、彼がその軽妙
なトークで人々を沸かせた事がうかがえます。
１曲目は「Natty Sat Upon The Rock」です。
リディムはThe Heptonesの「Ting A Ling」。
軽快なオルガンのワン・ドロップのリズムに
乗せた、Yellowmanの滑らかなトースティング
が魅力です。
Yellowman - Natty Sat Upon The Rock
２曲目は「Lost Mi Love」です。
リディムはあのGlen Brownプロデュースの
Tommy McCook & Richard Hallの名曲「Dirty
Harry」です。
ルーツ期の名リディムを滑らかな流れるよう
なトースティングで、難なく乗りこなして
います。
Yellowman - Lost Mi Love
３曲目は「Mister Chin」です。
リディムはSugar Minottの「Vanity」。
その元のリディムはAliton Ellisのヒット曲
「I'm Just A Guy」です。
書いたように彼Yellowmanの代表曲です。
合いの手が入りますが、相棒のFatheadか？
「Mr. Chin、ちゃんとしたものを売ってくれ
よ」という内容ですが、主眼は言葉遊びに
置かれている曲です。
Yellowman - Mister Chin
リズム特集 I'm Just A Guy （アイム・ジャスト・ア・ガイ）
４曲目は「Two To Six, Supermix」です。
リディムはThe Tennorsの初期レゲエのヒット
曲「Pressure And Slide」。
ユッタリしたワン・ドロップのリズムに、
楽し気なYellowmanのトースティング。
ベースが効いた演奏がうまく曲を引き締めて
います。
Yellowman - Two To Six, Supermix
リズム特集 Pressure & Slide （プレッシャー・アンド・スライド）
５曲目は「Morning Ride」です。
ベースを中心としたユッタリとしたリズムに、
歌うようなYellowmanのトースティングが
冴える曲です。
６曲目は「How You Keep A Dance」です。
ベースを軸としたワン・ドロップに、Yellowman
の滑らかなトースティングが心地良い曲です。
甲高いシンセ、メロディアスなギターが良い
アクセントになっています。
７曲目は「Jamaica A Little Miami」です。
リディムはClint Eastwood & General Saintの
「Another One Bite The Dust」。
ワン・ドロップのムーディーな曲です。
８曲目は「Yellowman Getting Married」です。
リディムはDon Carlosの「I'm Not Getting
Crazy」。
ワン・ドロップのリズムに、Yellowmanの半分
ぐらい歌っている感じのトースティングが冴え
ます。
Yellowman - Getting Married
９曲目は「Duppy Or Gunman」です。
リディムはMichael Prophetの「Gunman」。
ベースの効いた演奏に、Yellowmanの脱力した
感じのユッタリしたトースティングです。
リズム特集 Gunman （ガンマン）
１０曲目は「Cocky Did A Hurt Me」です。
リディムはFreddie McGregorの「Bobby
Babylon」。
こちらもベースを中心としたズシッとした
演奏に、Yellowmanの流れるようなトース
ティングが冴えます。
リズム特集 Bobby Babylon/Hi Fashion （ボビー・バビロン/ハイファッション）
ざっと追いかけて来ましたが、比較的初期の
音源ながら余裕のある楽し気なトースティング
で、彼の自信が伝わって来るようなアルバム
です。
苦難を乗り越えここまでたどり着いた彼には、
人々を注目させるだけの実力と自信があった
のでしょう。
その通りに彼はこの８０年代のアーリー・
ダンスホールの時代に、「キング」として
君臨する事になります。
そしてメジャー・レーベルからのデビューも
果たすんですね。
そうしたYellowmanの良い時代の音源の
ひとつが、このアルバムです。
機会があればぜひ聴いてみてください。
○アーティスト: Yellowman
○アルバム: Mister Yellowman
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: ＣＤ
○オリジナル・アルバム制作年: 1982
○Yellowman「Mister Yellowman」曲目
1. Natty Sat Upon The Rock
2. Lost Mi Love
3. Mister Chin
4. Two To Six, Supermix
5. Morning Ride
6. How You Keep A Dance
7. Jamaica A Little Miami
8. Yellowman Getting Married
9. Duppy Or Gunman
10. Cocky Did A Hurt Me
●今までアップしたYellowman関連の記事
〇Yellowman & Fathead, Purpleman, Sister Nancy「The Yellow, The Purple, The Nancy」
〇Yellowman & Fathead「Live At Aces」
〇Yellowman and Fathead「One Yellowman」
〇Yellowman Feat. Fathead「Just Cool」
〇Yellowman VS Josey Wales「Two Giants Clash」
〇Yellowman, Toyan, (Ringo)「Super Star Yellowman Has Arrived With Toyan」
〇Yellowman「King Yellowman」
〇Yellowman「Live At Reggae Sunsplash」
〇Yellowman「Nobody Move Nobody Get Hurt」
〇Yellowman「Them A Mad Over Me」
〇Yellowman「Zungguzungguguzungguzeng」
〇Various「Junjo Presents A Live Session With Aces International」
〇Yellowman & Fathead「Bad Boy Skanking」
「Mister Yellowman」です。
Yellowmanは８０年代のダンスホール・
レゲエの時代に「King」と呼ばれるほど
の人気を博したディージェイです。
アルビノ(先天性色素欠乏症)で生まれた
彼は、幼い頃に両親に捨てられ孤児院で
育つという辛い経験をし、成長してからも
なかなかスタジオに入れてもらえない日々
を過ごしました。
しかしその容姿を逆手に取って、キザで
ユーモラスな伊達男というキャラクターを
確立し、ダンスホール・レゲエの世界で
人気ＮＯ.１のディージェイになって行く
んですね。
アーティスト特集 Yellowman（イエローマン）
イエローマン - Wikipedia
今回のアルバムは１９８２年にGreensleeves
RecordsからリリースされたYellowmanのソロ・
アルバムです。
Yellowmanはこのアーリー・ダンスホールの
時代に多くのアルバムをリリースしており、
あまりのリリースの多さにどれが一番新しい
アルバムか解らないほどだったと言われて
います。
ネットのDiscogsなどで調べると、彼のソロ・
アルバムとしては８２年のアルバムが一番
早く、このアルバムもその時期の作品で、
比較的早い時期の作品といえそうです。
VolcanoレーベルのHenry 'Junjo' Lawesの
プロデュースで、バックはHi-Times Bandと
Roots Radicsというこのアーリー・ダンス
ホールらしい布陣で作られたアルバムです。
全１０曲で収録時間は約３８分。
ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。
Produced by Henry 'Junjo' Lawes
Recorded & mixed at Channel One
Mixed by Soldgie
Rhythm tracks by Hi-Times Band & Roots Radics
Cover: Tony McDermott
となっています。
プロデュースはHenry 'Junjo' Lawes、録音と
ミックスはChannel Oneで行われ、ミックスは
Soldgie、バックはHi-Times BandとRoots Radics
という布陣で録音されています。
カヴァー・デザインはScientistの「漫画
ジャケ」シリーズなどを手掛けたTony McDermott
が担当しています。
さて今回のアルバムですが、一番勢いのあった
時代のYellowmanのアルバムで、しかもプロ
デュースはHenry 'Junjo' Lawes、バックは
Roots Radicsとくれば内容的にも文句なしで、
彼の代表曲のひとつ「Mister Chin」なども
収められていて、聴きどころもタップリの
仕上がりになっています。
こうした彼の活躍などもあり、時代はルー
ツから一気にダンスホール・レゲエへと
大きく切り替わって行くんですね。
それまでの深刻なプロテスト・ソングから、
歌詞の内容もスラックネス（下ネタ）へと
舵を切ります。
そうした事の良い面と悪い面、功罪はあると
思いますが、豊かになって行けば徐々に人の
気持ちも変わって行くものなんですね。
実際に日本でも四畳半フォークからニュー・
ミュージックへと、若者の音楽が切り替わっ
て行った時代もありました。
良くも悪くも人の心は変わって行くものなん
ですね。
そうした時代の切り替わり目で活躍したのが、
このYellowmanです。
それまでの深刻なルーツ・レゲエから見る
と、下世話な話題で人気を博したこの時代の
ダンスホール・レゲエですが、それはある
意味音楽がより身近になったという事です。
この後ジャマイカの音楽は人々を楽しませる
事に主眼を置いた、スラックネスが主流に
なっていきます。
その中でも楽しいリリックで人気を博した
のが、このYellowmanなんですね。
今回のアルバムに入っている「Mister Chin」
の歌詞などを見ても、「ジャー（神）」と
いう言葉は出て来てもその意味は比較的軽い
ものなんですね。
イエローマン(Yellowman) - Mr. Chin - 1982 - リリック
それよりも軽快な「言葉遊び」に主眼が置か
れている印象です。
人々の興味がよりエンターテイメントに
移って来ている感じがします。
今回のアルバムなどを聴くと、彼がその軽妙
なトークで人々を沸かせた事がうかがえます。
１曲目は「Natty Sat Upon The Rock」です。
リディムはThe Heptonesの「Ting A Ling」。
軽快なオルガンのワン・ドロップのリズムに
乗せた、Yellowmanの滑らかなトースティング
が魅力です。
Yellowman - Natty Sat Upon The Rock
２曲目は「Lost Mi Love」です。
リディムはあのGlen Brownプロデュースの
Tommy McCook & Richard Hallの名曲「Dirty
Harry」です。
ルーツ期の名リディムを滑らかな流れるよう
なトースティングで、難なく乗りこなして
います。
Yellowman - Lost Mi Love
３曲目は「Mister Chin」です。
リディムはSugar Minottの「Vanity」。
その元のリディムはAliton Ellisのヒット曲
「I'm Just A Guy」です。
書いたように彼Yellowmanの代表曲です。
合いの手が入りますが、相棒のFatheadか？
「Mr. Chin、ちゃんとしたものを売ってくれ
よ」という内容ですが、主眼は言葉遊びに
置かれている曲です。
Yellowman - Mister Chin
リズム特集 I'm Just A Guy （アイム・ジャスト・ア・ガイ）
４曲目は「Two To Six, Supermix」です。
リディムはThe Tennorsの初期レゲエのヒット
曲「Pressure And Slide」。
ユッタリしたワン・ドロップのリズムに、
楽し気なYellowmanのトースティング。
ベースが効いた演奏がうまく曲を引き締めて
います。
Yellowman - Two To Six, Supermix
リズム特集 Pressure & Slide （プレッシャー・アンド・スライド）
５曲目は「Morning Ride」です。
ベースを中心としたユッタリとしたリズムに、
歌うようなYellowmanのトースティングが
冴える曲です。
６曲目は「How You Keep A Dance」です。
ベースを軸としたワン・ドロップに、Yellowman
の滑らかなトースティングが心地良い曲です。
甲高いシンセ、メロディアスなギターが良い
アクセントになっています。
７曲目は「Jamaica A Little Miami」です。
リディムはClint Eastwood & General Saintの
「Another One Bite The Dust」。
ワン・ドロップのムーディーな曲です。
８曲目は「Yellowman Getting Married」です。
リディムはDon Carlosの「I'm Not Getting
Crazy」。
ワン・ドロップのリズムに、Yellowmanの半分
ぐらい歌っている感じのトースティングが冴え
ます。
Yellowman - Getting Married
９曲目は「Duppy Or Gunman」です。
リディムはMichael Prophetの「Gunman」。
ベースの効いた演奏に、Yellowmanの脱力した
感じのユッタリしたトースティングです。
リズム特集 Gunman （ガンマン）
１０曲目は「Cocky Did A Hurt Me」です。
リディムはFreddie McGregorの「Bobby
Babylon」。
こちらもベースを中心としたズシッとした
演奏に、Yellowmanの流れるようなトース
ティングが冴えます。
リズム特集 Bobby Babylon/Hi Fashion （ボビー・バビロン/ハイファッション）
ざっと追いかけて来ましたが、比較的初期の
音源ながら余裕のある楽し気なトースティング
で、彼の自信が伝わって来るようなアルバム
です。
苦難を乗り越えここまでたどり着いた彼には、
人々を注目させるだけの実力と自信があった
のでしょう。
その通りに彼はこの８０年代のアーリー・
ダンスホールの時代に、「キング」として
君臨する事になります。
そしてメジャー・レーベルからのデビューも
果たすんですね。
そうしたYellowmanの良い時代の音源の
ひとつが、このアルバムです。
機会があればぜひ聴いてみてください。
○アーティスト: Yellowman
○アルバム: Mister Yellowman
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: ＣＤ
○オリジナル・アルバム制作年: 1982
○Yellowman「Mister Yellowman」曲目
1. Natty Sat Upon The Rock
2. Lost Mi Love
3. Mister Chin
4. Two To Six, Supermix
5. Morning Ride
6. How You Keep A Dance
7. Jamaica A Little Miami
8. Yellowman Getting Married
9. Duppy Or Gunman
10. Cocky Did A Hurt Me
●今までアップしたYellowman関連の記事
〇Yellowman & Fathead, Purpleman, Sister Nancy「The Yellow, The Purple, The Nancy」
〇Yellowman & Fathead「Live At Aces」
〇Yellowman and Fathead「One Yellowman」
〇Yellowman Feat. Fathead「Just Cool」
〇Yellowman VS Josey Wales「Two Giants Clash」
〇Yellowman, Toyan, (Ringo)「Super Star Yellowman Has Arrived With Toyan」
〇Yellowman「King Yellowman」
〇Yellowman「Live At Reggae Sunsplash」
〇Yellowman「Nobody Move Nobody Get Hurt」
〇Yellowman「Them A Mad Over Me」
〇Yellowman「Zungguzungguguzungguzeng」
〇Various「Junjo Presents A Live Session With Aces International」
〇Yellowman & Fathead「Bad Boy Skanking」
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