今回はDennis Alcaponeのアルバム

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「Yeah Yeah Yeah Mash Up The Dance」です。

Dennis Alcaponeは70年代のルーツ・
レゲエの時代に活躍したディージェイ
です。
そのディージェイ・スタイルは多くの
ディージェイに影響を与えたそうで、
あのDillingerも初めはYoung Alcaponeと
名乗っていたほど、多くの人が憧れた
ディージェイが、このDennis Alcapone
だったんですね。
彼のアルバムとしてはStudio Oneに残した
「Forever Version」などが知られています。

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Dennis Alcapone - Forever Version (1971)

デニス・アルカポーン - Wikipedia

今回のアルバムは2012年にJamaican
Recordings傘下のレーベルKingston Sounds
からリリースされた、Dennis Alcaponeの曲を
集めたコンピュレーション・アルバムです。
このKingston SoundsやJamaican Recordings
からリリースされるアルバムはBunny Leeが
所有するいわゆる「Bunny Lee音源」が多い
のですが、今回もその「Bunny Lee音源」が
使われています。

全18曲で収録時間は約53分。
最後の4曲はCDボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Musicians Include:
Drums: Sly Dunbar
Bass: Robbie Shakespeare
Lead Guitar: Earl 'Chinna' Smith
Organ: Winston Wright
Keyboards: Robbie Lynn
Tenor Saxophone: Tommy McCook
Trumpet: Bobby Ellis
Studio Include: Channel 1, Harry J's, Randy's Studio 17

Produced by: Bunny Lee & Dennis Smith
Design by: Gary @ Voodoo London
Photography: Dennis Alcapone

となっています。

バックはBunny Leeのハウス・バンド
The Aggrovatorsが担当しているものと思われ
ます。
コンピュレーションなので一度の録音でない
せいか、スタジオもChannel 1にHarry J's、
Randy's Studio 17と多くのスタジオが使わ
れています。

プロデュースはBunny LeeとDennis Smith。
Dennis SmithはDennis Alcaponeの本名です。

さて今回のアルバムですが、このDennis
AlcaponeはU Royの生み出したディージェイ
のトースティング・スタイルを最初期に
模倣したディージェイのひとりで、その
オールド・スタイルのトースティングが
楽しめるアルバムになっています。

もともとジャマイカではディージェイという
曲のイントロや合間に掛け声ををかけて会場
を盛り上げる「掛け声係」のような仕事が
ありました。
それを劇的に変えたのがU Royというディー
ジェイだったんですね。
なんと彼は歌手が「歌う」ところで、歌手
に代わって「しゃべった」んですね。
それまで曲で歌う人は居ても、曲でしゃべる
人は居なかったんですね。
要するにU Royはディージェイによるトース
ティングという、まったく新しい音楽を発明
したのです。

トースティング - Wikipedia

このトースティングというスタイルは瞬く間
にジャマイカでブームとなり、多くの追随者
を生み出し、さらにはアメリカでは「ラップ」
という音楽を生み出す事になるんですね。

その追随者のひとりがこのDennis Alcapone
という訳です。
彼のトースティングはU Royと並ぶほどの、
人気を博すんですね。
今回のアルバムでもLeroy SmartやJohnny
Clarkeといった歌手の曲に乗せて、時には
タイトルにあるような「Yeah Yeah」という
奇声を発しながら、軽快なトースティング
を聴かせています。

1曲目は「Go Deh」です。
リディムはLeroy Smartの「How Long」。
Leroy Smartのヴォーカルに合わせて、合間
良く入るDennis Alcaponeのトースティング
が魅力的。

Go Deh


2曲目は「Wise Man From The East」です。
リディムはJohnny Clarkeの「You've Caught
Me Baby」。
ソフトなダブワイズも入ったラヴ・ソング
らしいメロディに乗せた、ちょっととぼけた
印象の明るいトースティングです。
ズシッと来るRobbie Shakespeareのベースが
効いている曲です。

3曲目は「It Must Come」です。
リディムはDelroy Wilsonの「Better Must
Come」。
ロックステディの匂いのするギターに乗せた
Delroy Wilsonの名曲に、「Yeah Yeah」と
いう奇声も入ったDennis Alcaponeの明るい
トースティングが冴えます。

Dennis Alcapone - It Must Come


4曲目は「Guns Don't Argue」です。
彼を代表するトースティングのひとつです。
初期レゲエらしい明るいメロディに乗せた、
Dennis Alcaponeの奇声も交えたトース
ティングが冴える曲です。

Dennis Alcapone - Guns Don't Argue


5曲目は「Steve Austin」です。
リディムはLeroy Smartの「Pride And
Ambition」。
Leroy Smartの心地良い歌声とDennis Alcapone
のトースティングのコラボが良い味を出して
いる曲です。

6曲目は「No Place Like Home」です。
リディムはJohn Holtの同名曲「No Place Like
Home」です。
John Holtの伸びのある歌声とDennis
Alcapone余裕のあるトースティング、ダブ
ワイズしたアレンジも楽しい1曲。

Dennis Alcapone - No Place Like Home


7曲目は「Blessed Are The Meek」です。
リディムはSlim Smithのロックステディの
ヒット曲「Blessed Are The Meek」です。
ロックステディらしいギターにホーンに
乗せた、陽気なトースティングが冴えます。

8曲目は「Eternal Life」です。
リディムはPeter Toshの「Legalise It」。
切れ味の良いピアノの効いたメロディに、
Dennis Alcaponeの明るいトースティング
が冴えます。

Dennis Alcapone - Eternal Life


9曲目は「Gather My People」です。
特徴的なオルガンのメロディに、流れる
ようなDennis Alcaponeのトースティング
が魅力。

10曲目は「If Jah Is For Us」です。
Leroy Smartの曲のようですが、曲名は特定
出来ませんでした。
こちらもDennis Alcaponeの流れるような
トースティングが光ります。

11曲目は「Table Gonna Turn」です。
こちらはJohn Holtの曲のようですが、曲名が
解りませんでした。
ベースが効いたダブワイズしたメロディに
乗せたトースティング。

12曲目は「Rock It In The Ghetto」です。
こちらはミリタント・ビートに乗せたトース
ティングの曲です。

13曲目は「Life Is Great」です。
リディムはLeroy Smartの「Mr. Richman」。
ベースを中心とした心地良いリズムに乗せた、
ノリノリのトースティングです。

Dennis Alcapone - Life Is Great


14曲目は「Togetherness」です。
リディムはポップ・グループThree Dog Night
のヒット曲「Black & White」。
歌っているのはJohn Holtか?
浮遊感のあるオルガンのメロディに乗せた
ファンキーなトースティングが印象的。

Dennis Alcapone - Togetherness


15~18曲の4曲はLPにない、CD
ボーナス・トラックです。

15曲目は「Walk In Gladness」です。
リディムはJohnny Clarkeの「Roots Natty
Congo」です。

16曲目は「Everybody Needs Love」です。
明るい浮遊感のあるメロディに女性ヴォー
カル、ファンキなトースティングという曲
です。

17曲目は「Investigation Rock」です。
ヴォーカルはCornell Campbellか?
ベースを軸にダブワイズが強烈な1曲。

18曲目は「Too Proud To Beg」です。
こちらも刻むリズムに乗せたファンキーな
トースティング。

ざっと追いかけて来ましたが、奇声を交えた
ノリノリのトースティングが味わえるアルバム
で、Dennis Alcaponeというディージェイの
個性が良く出たアルバムだと思います。
U Roy自身は他のディージェイに真似をされる
のを嫌がったようですが、こうした彼のような
追随者が出現した事で、ディージェイという
スタイルがレゲエの1ジャンルとして確立
した事は間違いありません。

この70年代のルーツ・レゲエの時代には、
このディージェイ・スタイルの他にもダブ
など、それまでに無かったような実験的な
スタイルを持った音楽が次々と誕生している
んですね。
その誕生のきっかけは一度録音した音源の
「再利用」という、かなり現実的な目的が
あった事は事実です。
ただそのダブにしてもディージェイにしても、
それまでに無かった斬新な音楽であった事も
また事実です。

経済的な理由から知性的な音楽を生み出す、
そこにジャマイカ人の類まれなる知性があり
ます。
要するに面白いものを生み出す、センスと
パワーが彼らにはあったんですね。

機会があれば聴いてみてください。


○アーティスト: Dennis Alcapone
○アルバム: Yeah Yeah Yeah Mash Up The Dance
○レーベル: Kingston Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2012

○Dennis Alcapone「Yeah Yeah Yeah Mash Up The Dance」曲目
1. Go Deh
2. Wise Man From The East
3. It Must Come
4. Guns Don't Argue
5. Steve Austin
6. No Place Like Home
7. Blessed Are The Meek
8. Eternal Life
9. Gather My People
10. If Jah Is For Us
11. Table Gonna Turn
12. Rock It In The Ghetto
13. Life Is Great
14. Togetherness
(CD Bonus Tracks)
15. Walk In Gladness
16. Everybody Needs Love
17. Investigation Rock
18. Too Proud To Beg